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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。微分積分・解析2問・線形代数1問・微分方程式1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・特異値分解)。2021年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル。

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収録21年度分の解答PDF:大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学(¥3,200・紙面見本あり)

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

阪大 数学 2022年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は微分積分・解析2問・線形代数1問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分方程式一次微分方程式—あり
第2問—4次元球の体積—あり
第3問微分積分・解析導関数の極限と微分可能性なぜ第2は失敗するか / 採点上の注意あり
第4問微分積分・解析rank関数の連続性—あり
第5問線形代数2次行列の指数関数(2) の見方あり

この年度の解説には検算4件・典型ミス4件・採点上の注意1件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に3テーマが出ています。

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 5問 → 2022年度 5問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル
2022年度で新しく出たテーマ
重積分と極座標・特異値分解
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第1問 — 一次微分方程式

方針

x>0x>0 という条件は,積分因子を xx と書くために効いている。 一次線形方程式 y′+p(x)y=q(x) y'+p(x)y=q(x) では,積分因子 μ(x)=exp⁡∫p(x) dx \mu(x)=\exp\int p(x)\,dx を掛けて (μy)′=μq(\mu y)'=\mu q に直すのが最も安全である。

検算

得られた解を左辺へ代入する。 y′=3x24+12−Cx2 y'=\frac{3x^{2}}{4}+\frac12-\frac{C}{x^{2}} だから xy′+y=x(3x24+12−Cx2)+(x34+x2+Cx)=x3+x. x y'+y =x\left(\frac{3x^{2}}{4}+\frac12-\frac{C}{x^{2}}\right) +\left(\frac{x^{3}}{4}+\frac{x}{2}+\frac{C}{x}\right) =x^{3}+x. 任意定数の項は必ず打ち消える。ここまで確認すると,符号ミスを発見しやすい。

典型ミス

∫1/x dx=log⁡x\int 1/x\,dx=\log x としてよいのは x>0x>0 だからである。 区間条件を無視して log⁡∣x∣\log|x| まで書いても最終形は同じになるが, 試験答案では問題の定義域に合わせて xx を積分因子に選ぶと簡潔である。

解答

一次線形方程式として解く。x>0x>0 なので,両辺を xx で割ると dydx+1xy=x2+1 \frac{dy}{dx}+\frac{1}{x}y=x^{2}+1 である。積分因子は exp⁡∫1x dx=x \exp\int \frac{1}{x}\,dx=x と取れる。したがって ddx(xy)=x(x2+1)=x3+x \frac{d}{dx}(xy)=x(x^{2}+1)=x^{3}+x であり,積分して xy=x44+x22+C xy=\frac{x^{4}}{4}+\frac{x^{2}}{2}+C を得る。ここで CC は任意定数である。よって一般解は y=x34+x2+Cx(x>0) y=\frac{x^{3}}{4}+\frac{x}{2}+\frac{C}{x}\qquad (x>0) である。

最終答

y=x34+x2+Cx(C∈R)\displaystyle y=\frac{x^{3}}{4}+\frac{x}{2}+\frac{C}{x}\quad(C\in\mathbb{R})

第2問 — 4次元球の体積

方針

4変数の積分だが,領域が x2+y2+z2+w2≤a2 x^{2}+y^{2}+z^{2}+w^{2}\le a^{2} だけで決まるため,回転対称性を使うのが自然である。2次元なら円板の面積, 3次元なら球の体積,この問題はその4次元版である。

検算

次元だけ見ても答は a4a^{4} に比例するはずである。 a=1a=1 のとき4次元単位球の体積が π2/2\pi^{2}/2 であることは, Vn(1)=πn/2Γ(n/2+1) V_{n}(1)=\frac{\pi^{n/2}}{\Gamma(n/2+1)} に n=4n=4 を代入しても一致する。

典型ミス

3次元球の体積公式 4πa3/34\pi a^{3}/3 をそのまま使ってはいけない。 また,4次元極座標のヤコビアンは単に r3r^{3} ではなく, 角度部分の面積 2π22\pi^{2} と合わせて 2π2r3 dr2\pi^{2}r^{3}\,dr になる。

4次元球の体積の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 導関数の極限と微分可能性

方針

第1の主張では,導関数の極限から元の関数の微分可能性を出したい。 この形は平均値の定理が最短である。差商 f(x)−f(0)x \frac{f(x)-f(0)}{x} を 00 と xx の間の導関数値に置き換えられるため,導関数の極限をそのまま使える。

なぜ第2は失敗するか

x=0x=0 で微分可能であることは,差商の極限が存在することだけを意味する。 周辺点での導関数 f′(x)f'(x) が落ち着くことまでは要求していない。 反例では,関数値そのものは x2x^{2} で抑えられているので差商は xsin⁡(1/x)x\sin(1/x) となり収束する。 一方,微分すると高周波振動の項から −cos⁡(1/x)-\cos(1/x) が現れ,導関数は振動し続ける。

採点上の注意

反例を出すときは, 連続性,x=0での微分可能性,f′(x)の極限不存在 \text{連続性},\quad x=0\text{での微分可能性},\quad f'(x)\text{の極限不存在} を別々に確認する必要がある。反例の式だけを書いて終えると,どの仮定を満たしているかが不明確になりやすい。

導関数の極限と微分可能性の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — rank関数の連続性

方針

rank は整数値関数である。したがって連続であるためには,その点の近くで値が一定になる必要がある。 最大rankの点では,非零な最大小行列式が近傍で非零のまま残るので値が固定される。 最大でないrankの点では,ゼロ特異値の方向へ小さい成分を足すだけでrankを上げられる。

検算

1×11\times1 行列で考えると,rank関数は x↦{0,x=0,1,x≠0 x\mapsto \begin{cases} 0, & x=0,\\ 1, & x\ne0 \end{cases} である。最大rankである非零点では局所的に値が 11 のままだが, 00 では任意に近い非零点があるため不連続になる。一般の場合も同じ現象である。

典型ミス

「rank は小さい摂動で下がらない」とだけ書くと不十分である。 低rank点では小さい摂動で rank が上がる可能性があり,これが不連続性の本質である。 最大rankの場合だけ,上がる余地がないため連続になる。

rank関数の連続性の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 2次行列の指数関数

方針

行列指数では,対角化できる場合は固有値で計算し,対角化できない場合は 「スカラー行列 ++ 冪零行列」に分けるのが基本である。 今回の (1) は典型的な Jordan ブロックで, N2=0 N^{2}=0 なので指数級数は I+NI+N で止まる。

(2) の見方

目標行列は固有値 11 を重複して持つが,単位行列ではない。 そこで B−I B-I を見ると,それが2乗でゼロになる冪零行列であることが分かる。 冪零行列 N2=0N^{2}=0 に対しては eN=I+N e^{N}=I+N であるから,対数を難しく考えずに A=NA=N と取ればよい。

検算

A2=0 A^{2}=0 なので eA=I+A=(1001)+(−11−11)=(01−12). e^{A}=I+A = \begin{pmatrix} 1&0\\ 0&1 \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} -1&1\\ -1&1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0&1\\ -1&2 \end{pmatrix}. 採点ではこの一行の検算を書いておくと,求めた行列が本当に条件を満たすことが明確になる。

典型ミス

行列指数は成分ごとに指数を取る操作ではない。 例えば (1) の右上成分は e1e^{1} ではなく,Jordan ブロックの冪零成分から出る eαe^{\alpha} である。

2次行列の指数関数の途中式・最終答をPDFで見る

阪大 数学 院試 過去問の収録21年度

  • 2025年度(全5問)

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  • 2024年度(全5問)

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  • 2023年度(全5問)

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  • 2022年度(このページ・全5問)

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  • 2018年度(全5問)

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  • 2016年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2015年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2014年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2013年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2012年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2011年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

    積分評価 / 線形部分空間 / 正則関数と調和共役

  • 2010年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

    広義積分と留数計算 / 行列の核の次元 / 複素数列の周期性

  • 2009年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

    制約付き最大化 / 歪対称行列と非対角化性 / 単位円上の留数計算

  • 2008年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

    球と円柱の共通部分の体積 / 同伴行列の固有多項式と対角化 / 有界正則関数の係数評価

  • 2007年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

    左右から近づく微分商 / 楕円体の体積 / 留数による有理関数積分

  • 2006年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

    漸化式と階乗正規化 / 二変数関数の極値 / 単位円上の留数計算

  • 2005年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

    可積分条件と無限遠での極限 / 極座標でのラプラシアン / フーリエ型積分と留数