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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2022年度 院試 解答例・解説

大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 一次微分方程式

方針

x>0x>0 という条件は,積分因子を xx と書くために効いている。 一次線形方程式 y+p(x)y=q(x) y'+p(x)y=q(x) では,積分因子 μ(x)=expp(x)dx \mu(x)=\exp\int p(x)\,dx を掛けて (μy)=μq(\mu y)'=\mu q に直すのが最も安全である。

検算

得られた解を左辺へ代入する。 y=3x24+12Cx2 y'=\frac{3x^{2}}{4}+\frac12-\frac{C}{x^{2}} だから xy+y=x(3x24+12Cx2)+(x34+x2+Cx)=x3+x. x y'+y =x\left(\frac{3x^{2}}{4}+\frac12-\frac{C}{x^{2}}\right) +\left(\frac{x^{3}}{4}+\frac{x}{2}+\frac{C}{x}\right) =x^{3}+x. 任意定数の項は必ず打ち消える。ここまで確認すると,符号ミスを発見しやすい。

典型ミス

1/xdx=logx\int 1/x\,dx=\log x としてよいのは x>0x>0 だからである。 区間条件を無視して logx\log|x| まで書いても最終形は同じになるが, 試験答案では問題の定義域に合わせて xx を積分因子に選ぶと簡潔である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 4次元球の体積

方針

4変数の積分だが,領域が x2+y2+z2+w2a2 x^{2}+y^{2}+z^{2}+w^{2}\le a^{2} だけで決まるため,回転対称性を使うのが自然である。2次元なら円板の面積, 3次元なら球の体積,この問題はその4次元版である。

検算

次元だけ見ても答は a4a^{4} に比例するはずである。 a=1a=1 のとき4次元単位球の体積が π2/2\pi^{2}/2 であることは, Vn(1)=πn/2Γ(n/2+1) V_{n}(1)=\frac{\pi^{n/2}}{\Gamma(n/2+1)} n=4n=4 を代入しても一致する。

典型ミス

3次元球の体積公式 4πa3/34\pi a^{3}/3 をそのまま使ってはいけない。 また,4次元極座標のヤコビアンは単に r3r^{3} ではなく, 角度部分の面積 2π22\pi^{2} と合わせて 2π2r3dr2\pi^{2}r^{3}\,dr になる。

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3 — 導関数の極限と微分可能性

方針

第1の主張では,導関数の極限から元の関数の微分可能性を出したい。 この形は平均値の定理が最短である。差商 f(x)f(0)x \frac{f(x)-f(0)}{x} 00xx の間の導関数値に置き換えられるため,導関数の極限をそのまま使える。

なぜ第2は失敗するか

x=0x=0 で微分可能であることは,差商の極限が存在することだけを意味する。 周辺点での導関数 f(x)f'(x) が落ち着くことまでは要求していない。 反例では,関数値そのものは x2x^{2} で抑えられているので差商は xsin(1/x)x\sin(1/x) となり収束する。 一方,微分すると高周波振動の項から cos(1/x)-\cos(1/x) が現れ,導関数は振動し続ける。

採点上の注意

反例を出すときは, 連続性,x=0での微分可能性,f(x)の極限不存在 \text{連続性},\quad x=0\text{での微分可能性},\quad f'(x)\text{の極限不存在} を別々に確認する必要がある。反例の式だけを書いて終えると,どの仮定を満たしているかが不明確になりやすい。

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4 — rank関数の連続性

方針

rank は整数値関数である。したがって連続であるためには,その点の近くで値が一定になる必要がある。 最大rankの点では,非零な最大小行列式が近傍で非零のまま残るので値が固定される。 最大でないrankの点では,ゼロ特異値の方向へ小さい成分を足すだけでrankを上げられる。

検算

1×11\times1 行列で考えると,rank関数は x{0,x=0,1,x0 x\mapsto \begin{cases} 0, & x=0,\\ 1, & x\ne0 \end{cases} である。最大rankである非零点では局所的に値が 11 のままだが, 00 では任意に近い非零点があるため不連続になる。一般の場合も同じ現象である。

典型ミス

「rank は小さい摂動で下がらない」とだけ書くと不十分である。 低rank点では小さい摂動で rank が上がる可能性があり,これが不連続性の本質である。 最大rankの場合だけ,上がる余地がないため連続になる。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 2次行列の指数関数

方針

行列指数では,対角化できる場合は固有値で計算し,対角化できない場合は 「スカラー行列 ++ 冪零行列」に分けるのが基本である。 今回の (1) は典型的な Jordan ブロックで, N2=0 N^{2}=0 なので指数級数は I+NI+N で止まる。

(2) の見方

目標行列は固有値 11 を重複して持つが,単位行列ではない。 そこで BI B-I を見ると,それが2乗でゼロになる冪零行列であることが分かる。 冪零行列 N2=0N^{2}=0 に対しては eN=I+N e^{N}=I+N であるから,対数を難しく考えずに A=NA=N と取ればよい。

検算

A2=0 A^{2}=0 なので eA=I+A=(1001)+(1111)=(0112). e^{A}=I+A = \begin{pmatrix} 1&0\\ 0&1 \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} -1&1\\ -1&1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0&1\\ -1&2 \end{pmatrix}. 採点ではこの一行の検算を書いておくと,求めた行列が本当に条件を満たすことが明確になる。

典型ミス

行列指数は成分ごとに指数を取る操作ではない。 例えば (1) の右上成分は e1e^{1} ではなく,Jordan ブロックの冪零成分から出る eαe^{\alpha} である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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