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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2020年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。微分積分・解析3問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・ベータ関数・ガンマ関数)。2019年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・ベータ関数・ガンマ関数。

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収録21年度分の解答PDF:大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学(¥3,200・紙面見本あり)

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

阪大 数学 2020年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は微分積分・解析3問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析有理関数の広義積分標準積分の導出あり
第2問微分積分・解析二変数関数の極値大域的極値である理由あり
第3問—正則行列の開性と行列冪の極限射影を使う利点 / 採点上の注意あり
第4問—変数変換による体積計算公式を使わない確認あり
第5問微分積分・解析多項式空間上の微分作用素三角行列になる理由 / 採点上の注意あり

この年度の解説には典型ミス3件・採点上の注意2件・検算1件が付いています。

2020年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に3テーマが出ています。

前年度(2019年度)との違い

大問数
2019年度 5問 → 2020年度 5問
2019年度のページを見る

第1問 — 有理関数の広義積分

方針

分母が x4+a4x^4+a^4 で,分子が x2x^2 であるため,まず x=atx=at で パラメータ aa を外に出す。残る積分は ∫0∞tp−11+tq dt \int_0^\infty \frac{t^{p-1}}{1+t^q}\,dt 型の標準積分で処理できる。

標準積分の導出

標準積分は u=xqu=x^q とおけば ∫0∞xp−11+xq dx=1q∫0∞up/q−11+u du=πqcsc⁡pπq \int_0^\infty \frac{x^{p-1}}{1+x^q}\,dx = \frac1q\int_0^\infty \frac{u^{p/q-1}}{1+u}\,du = \frac{\pi}{q}\csc\frac{p\pi}{q} となる。最後はベータ関数の反射公式 Γ(s)Γ(1−s)=π/sin⁡(πs)\Gamma(s)\Gamma(1-s)=\pi/\sin(\pi s) である。

検算

次元で見ると,分子 x2x^2,分母 x4+a4x^4+a^4,積分 dxdx から全体は 1/a1/a に比例するはずである。答が a−1a^{-1} の形になっていることは, 計算ミスを見つけるよい確認になる。

典型ミス

∫0∞\int_0^\infty と ∫−∞∞\int_{-\infty}^{\infty} の係数2を落としやすい。 また x=atx=at のとき dx=a dtdx=a\,dt まで含めると係数は 1/a1/a になる。

解答

求める積分を I(a)I(a) とおく。変数変換 x=atx=at を用いると I(a)=∫−∞∞x2x4+a4 dx=1a∫−∞∞t2t4+1 dt I(a)=\int_{-\infty}^{\infty} \frac{x^{2}}{x^{4}+a^{4}}\,dx = \frac1a\int_{-\infty}^{\infty} \frac{t^{2}}{t^{4}+1}\,dt である。被積分関数は偶関数なので ∫−∞∞t2t4+1 dt=2∫0∞t2t4+1 dt. \int_{-\infty}^{\infty}\frac{t^{2}}{t^{4}+1}\,dt = 2\int_{0}^{\infty}\frac{t^{2}}{t^{4}+1}\,dt .

ここで ∫0∞xp−11+xq dx=πqcsc⁡pπq(0<p<q) \int_{0}^{\infty}\frac{x^{p-1}}{1+x^q}\,dx = \frac{\pi}{q}\csc\frac{p\pi}{q} \qquad (0<p<q) を p=3, q=4p=3,\ q=4 に適用すると ∫0∞t2t4+1 dt=π4csc⁡3π4=π22. \int_{0}^{\infty}\frac{t^{2}}{t^{4}+1}\,dt = \frac{\pi}{4}\csc\frac{3\pi}{4} = \frac{\pi}{2\sqrt2}. したがって I(a)=1a⋅2⋅π22=π2 a. I(a)=\frac1a\cdot 2\cdot \frac{\pi}{2\sqrt2} = \frac{\pi}{\sqrt2\,a}.

最終答

π2 a\displaystyle \frac{\pi}{\sqrt2\,a}

第2問 — 二変数関数の極値

方針

x+yx+y と x2+y2x^2+y^2 だけで決まる関数なので, 対角方向 x=yx=y が本質的である。実際,停留条件を引き算すると 2s(y−x)=0 2s(y-x)=0 となる。停留条件そのものから s=0s=0 はあり得ないため, x=yx=y に絞られる。

大域的極値である理由

停留点だけを求めても,それが極大か極小かはまだ結論できない。 ここでは e−x2−y2e^{-x^2-y^2} が急速に小さくなるため, ∣f(x,y)∣≤2 x2+y2 e−(x2+y2) |f(x,y)|\le \sqrt2\,\sqrt{x^2+y^2}\,e^{-(x^2+y^2)} となり無限遠で 00 に近づく。したがって大きな円板の外では絶対値が小さく, 内部のコンパクト集合上の最大・最小は停留点で実現される。

典型ミス

偏微分の指数因子を落として 1−2x(x+y)1-2x(x+y) と 1−2y(x+y)1-2y(x+y) の連立まで進めばよいが, そこから x+y=0x+y=0 を停留点候補として残してしまうミスがある。 停留条件は両方とも右辺が 11 なので,x+y=0x+y=0 は不可能である。

二変数関数の極値の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 正則行列の開性と行列冪の極限

方針

前半は「正則行列の集合が開集合である」ことの証明である。 Frobeniusノルムを使っているが,有限次元ではどのノルムでも同じ議論でよい。 後半は固有値の絶対値を見る問題で,絶対値が 11 未満の固有成分は冪で消える。

射影を使う利点

対角化行列 SS を最後まで書いて An=Sdiag⁡(1,1,(1/2)n)S−1A^n=S\operatorname{diag}(1,1,(1/2)^n)S^{-1} としてもよい。 ただし,固有値が 11 と 1/21/2 だけなので, P=2A−I P=2A-I と書く方が計算が短い。この PP は E1E_1 上では恒等写像, E1/2E_{1/2} 上では零写像として働く。

採点上の注意

χA(λ)\chi_A(\lambda) だけを求めて終えると不十分である。 固有値 11 が重複しているため,対角化可能性またはJordanブロックがないことを確認する必要がある。 ここでは dim⁡E1=2\dim E_1=2 と dim⁡E1/2=1\dim E_{1/2}=1 を示しているので十分である。

正則行列の開性と行列冪の極限の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 変数変換による体積計算

方針

不等式に y\sqrt y と z3\sqrt[3]z が現れるので, これらをそのまま新しい変数にするのが最短である。 領域が直交座標では曲面で囲まれていても, (u,v,w)(u,v,w) では単体になる。

公式を使わない確認

公式を使わずに積分すると ∫0A∫0A−w∫0A−v−w6vw2 du dv dw \int_0^A\int_0^{A-w}\int_0^{A-v-w}6vw^2\,du\,dv\,dw である。内側の uu 積分は長さ A−v−wA-v-w を掛けるだけなので, 同じ A6/60A^6/60 が得られる。試験ではこの形で書いても十分である。

典型ミス

ヤコビアンの 2v2v と 3w23w^2 を落とすと,次数が合わない。 元の領域では xx の次数が a2a^2,yy が a4a^4,zz が a6a^6 の大きさなので, 体積が a12a^{12} に比例することを検算に使える。

変数変換による体積計算の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 多項式空間上の微分作用素

方針

多項式空間上の微分作用素では,標準基底 1,x,…,xn1,x,\ldots,x^n に対する 最高次係数を見るのが基本である。今回の作用素は x2f′′x^2 f'' と 2xf′2x f' によって 次数を保つ項が生じ,それ以外は低次へ落ちる。

三角行列になる理由

T(xk)=k(k+1)xk+k(2−k)xk−1+k(k−1)xk−2 T(x^k)=k(k+1)x^k+k(2-k)x^{k-1}+k(k-1)x^{k-2} と展開できる。したがって T(xk)T(x^k) は xkx^k 以下の次数しか含まない。 基底を 1,x,…,xn1,x,\ldots,x^n の順に並べれば,行列は三角行列になる。 三角行列の固有値は対角成分である。

採点上の注意

TT が VV に値を返すことを明記する必要がある。 線形性だけを書いても,VV 上の線形変換であることの確認としては不足する。 また固有値を求めるときは,行列全体を作る必要はなく,三角化されることと対角成分を示せば十分である。

多項式空間上の微分作用素の途中式・最終答をPDFで見る

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