大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2020年度 院試 解答例・解説
大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2020年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 有理関数の広義積分
方針
分母が で,分子が であるため,まず で パラメータ を外に出す。残る積分は 型の標準積分で処理できる。
標準積分の導出
標準積分は とおけば となる。最後はベータ関数の反射公式 である。
検算
次元で見ると,分子 ,分母 ,積分 から全体は に比例するはずである。答が の形になっていることは, 計算ミスを見つけるよい確認になる。
典型ミス
と の係数2を落としやすい。 また のとき まで含めると係数は になる。
第2問 — 二変数関数の極値
方針
と だけで決まる関数なので, 対角方向 が本質的である。実際,停留条件を引き算すると となる。停留条件そのものから はあり得ないため, に絞られる。
大域的極値である理由
停留点だけを求めても,それが極大か極小かはまだ結論できない。 ここでは が急速に小さくなるため, となり無限遠で に近づく。したがって大きな円板の外では絶対値が小さく, 内部のコンパクト集合上の最大・最小は停留点で実現される。
典型ミス
偏微分の指数因子を落として と の連立まで進めばよいが, そこから を停留点候補として残してしまうミスがある。 停留条件は両方とも右辺が なので, は不可能である。
第3問 — 正則行列の開性と行列冪の極限
方針
前半は「正則行列の集合が開集合である」ことの証明である。 Frobeniusノルムを使っているが,有限次元ではどのノルムでも同じ議論でよい。 後半は固有値の絶対値を見る問題で,絶対値が 未満の固有成分は冪で消える。
射影を使う利点
対角化行列 を最後まで書いて としてもよい。 ただし,固有値が と だけなので, と書く方が計算が短い。この は 上では恒等写像, 上では零写像として働く。
採点上の注意
だけを求めて終えると不十分である。 固有値 が重複しているため,対角化可能性またはJordanブロックがないことを確認する必要がある。 ここでは と を示しているので十分である。
第4問 — 変数変換による体積計算
方針
不等式に と が現れるので, これらをそのまま新しい変数にするのが最短である。 領域が直交座標では曲面で囲まれていても, では単体になる。
公式を使わない確認
公式を使わずに積分すると である。内側の 積分は長さ を掛けるだけなので, 同じ が得られる。試験ではこの形で書いても十分である。
典型ミス
ヤコビアンの と を落とすと,次数が合わない。 元の領域では の次数が , が , が の大きさなので, 体積が に比例することを検算に使える。
第5問 — 多項式空間上の微分作用素
方針
多項式空間上の微分作用素では,標準基底 に対する 最高次係数を見るのが基本である。今回の作用素は と によって 次数を保つ項が生じ,それ以外は低次へ落ちる。
三角行列になる理由
と展開できる。したがって は 以下の次数しか含まない。 基底を の順に並べれば,行列は三角行列になる。 三角行列の固有値は対角成分である。
採点上の注意
が に値を返すことを明記する必要がある。 線形性だけを書いても, 上の線形変換であることの確認としては不足する。 また固有値を求めるときは,行列全体を作る必要はなく,三角化されることと対角成分を示せば十分である。