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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2020年度 院試 解答例・解説

大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2020年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 有理関数の広義積分

方針

分母が x4+a4x^4+a^4 で,分子が x2x^2 であるため,まず x=atx=at で パラメータ aa を外に出す。残る積分は 0tp11+tqdt \int_0^\infty \frac{t^{p-1}}{1+t^q}\,dt 型の標準積分で処理できる。

標準積分の導出

標準積分は u=xqu=x^q とおけば 0xp11+xqdx=1q0up/q11+udu=πqcscpπq \int_0^\infty \frac{x^{p-1}}{1+x^q}\,dx = \frac1q\int_0^\infty \frac{u^{p/q-1}}{1+u}\,du = \frac{\pi}{q}\csc\frac{p\pi}{q} となる。最後はベータ関数の反射公式 Γ(s)Γ(1s)=π/sin(πs)\Gamma(s)\Gamma(1-s)=\pi/\sin(\pi s) である。

検算

次元で見ると,分子 x2x^2,分母 x4+a4x^4+a^4,積分 dxdx から全体は 1/a1/a に比例するはずである。答が a1a^{-1} の形になっていることは, 計算ミスを見つけるよい確認になる。

典型ミス

0\int_0^\infty\int_{-\infty}^{\infty} の係数2を落としやすい。 また x=atx=at のとき dx=adtdx=a\,dt まで含めると係数は 1/a1/a になる。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 二変数関数の極値

方針

x+yx+yx2+y2x^2+y^2 だけで決まる関数なので, 対角方向 x=yx=y が本質的である。実際,停留条件を引き算すると 2s(yx)=0 2s(y-x)=0 となる。停留条件そのものから s=0s=0 はあり得ないため, x=yx=y に絞られる。

大域的極値である理由

停留点だけを求めても,それが極大か極小かはまだ結論できない。 ここでは ex2y2e^{-x^2-y^2} が急速に小さくなるため, f(x,y)2x2+y2e(x2+y2) |f(x,y)|\le \sqrt2\,\sqrt{x^2+y^2}\,e^{-(x^2+y^2)} となり無限遠で 00 に近づく。したがって大きな円板の外では絶対値が小さく, 内部のコンパクト集合上の最大・最小は停留点で実現される。

典型ミス

偏微分の指数因子を落として 12x(x+y)1-2x(x+y)12y(x+y)1-2y(x+y) の連立まで進めばよいが, そこから x+y=0x+y=0 を停留点候補として残してしまうミスがある。 停留条件は両方とも右辺が 11 なので,x+y=0x+y=0 は不可能である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 正則行列の開性と行列冪の極限

方針

前半は「正則行列の集合が開集合である」ことの証明である。 Frobeniusノルムを使っているが,有限次元ではどのノルムでも同じ議論でよい。 後半は固有値の絶対値を見る問題で,絶対値が 11 未満の固有成分は冪で消える。

射影を使う利点

対角化行列 SS を最後まで書いて An=Sdiag(1,1,(1/2)n)S1A^n=S\operatorname{diag}(1,1,(1/2)^n)S^{-1} としてもよい。 ただし,固有値が 111/21/2 だけなので, P=2AI P=2A-I と書く方が計算が短い。この PPE1E_1 上では恒等写像, E1/2E_{1/2} 上では零写像として働く。

採点上の注意

χA(λ)\chi_A(\lambda) だけを求めて終えると不十分である。 固有値 11 が重複しているため,対角化可能性またはJordanブロックがないことを確認する必要がある。 ここでは dimE1=2\dim E_1=2dimE1/2=1\dim E_{1/2}=1 を示しているので十分である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 変数変換による体積計算

方針

不等式に y\sqrt yz3\sqrt[3]z が現れるので, これらをそのまま新しい変数にするのが最短である。 領域が直交座標では曲面で囲まれていても, (u,v,w)(u,v,w) では単体になる。

公式を使わない確認

公式を使わずに積分すると 0A0Aw0Avw6vw2dudvdw \int_0^A\int_0^{A-w}\int_0^{A-v-w}6vw^2\,du\,dv\,dw である。内側の uu 積分は長さ AvwA-v-w を掛けるだけなので, 同じ A6/60A^6/60 が得られる。試験ではこの形で書いても十分である。

典型ミス

ヤコビアンの 2v2v3w23w^2 を落とすと,次数が合わない。 元の領域では xx の次数が a2a^2yya4a^4zza6a^6 の大きさなので, 体積が a12a^{12} に比例することを検算に使える。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 多項式空間上の微分作用素

方針

多項式空間上の微分作用素では,標準基底 1,x,,xn1,x,\ldots,x^n に対する 最高次係数を見るのが基本である。今回の作用素は x2fx^2 f''2xf2x f' によって 次数を保つ項が生じ,それ以外は低次へ落ちる。

三角行列になる理由

T(xk)=k(k+1)xk+k(2k)xk1+k(k1)xk2 T(x^k)=k(k+1)x^k+k(2-k)x^{k-1}+k(k-1)x^{k-2} と展開できる。したがって T(xk)T(x^k)xkx^k 以下の次数しか含まない。 基底を 1,x,,xn1,x,\ldots,x^n の順に並べれば,行列は三角行列になる。 三角行列の固有値は対角成分である。

採点上の注意

TTVV に値を返すことを明記する必要がある。 線形性だけを書いても,VV 上の線形変換であることの確認としては不足する。 また固有値を求めるときは,行列全体を作る必要はなく,三角化されることと対角成分を示せば十分である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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