大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2018年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)
全5問。線形代数1問・微分積分・解析1問・微分方程式1問。テーマタグは3件(線形空間・基底・二次形式・ラグランジュの未定乗数法)。2017年度と共通のテーマは二次形式・ラグランジュの未定乗数法。
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- 解説5問/全5問(3,109字)
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- 途中式と最終答(最終答つき5問)
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阪大 数学 2018年度 院試 過去問の出題内容(全5問)
この5問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問・微分方程式1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 微分積分・解析 | 三角置換と周期積分 | 周期積分の注意 | あり |
| 第2問 | 線形代数 | 行列の核と階数1行列 | 階数1の意味 | あり |
| 第3問 | — | 制約付き極値 | 符号の扱い | あり |
| 第4問 | 微分方程式 | 常微分方程式の保存量 | 有界性から符号を排除する | あり |
| 第5問 | — | 直和分解と部分空間の分類 | 構成の意味 / 採点上の注意 | あり |
この年度の解説には典型ミス5件・検算4件・採点上の注意1件が付いています。
2018年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は2問に3テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 線形空間・基底 | 第2問 | 21大学・152問 | |
| 二次形式 | 第2問 | 16大学・63問 | |
| ラグランジュの未定乗数法 | 第3問 | 12大学・33問 |
前年度(2017年度)との違い
- 大問数
- 2017年度 5問 → 2018年度 5問
- 両年度に出たテーマ
- 二次形式・ラグランジュの未定乗数法
- 2018年度で新しく出たテーマ
- 線形空間・基底
第1問 — 三角置換と周期積分
方針
根号 は が最短である。周期積分は, が常に正なので特異点を気にせず一周期の標準公式に落とせる。
周期積分の注意
は一周期を実線全体へ写す置換である。途中で区間を のように取り直しても,周期関数なので値は変わらない。 分母を まで整理すれば,あとは を使うだけでよい。
検算
第2の値は,分母が から の間にあることから を満たすはずである。得られた はこの範囲に入り,符号も正しい。
典型ミス
を に直すとき,置換後の積分区間にこだわりすぎて 余計な符号を入れるミスがある。一周期積分では平行移動しても値が変わらないことを 先に書くと安全である。
第2問 — 行列の核と階数1行列
方針
前半は内積 を見るのが最も確実である。 からすぐ と書くのではなく, いったんこの二次形式を経由すると,論理の穴がなくなる。
階数1の意味
は列空間が1次元であることを意味する。したがって 全ての列が1本の非零列ベクトルの実数倍になる。この「列ごとの係数」を横に並べたものが であり,行列全体が外積 になる。
検算
逆向きに見ると, なら の列はすべて の倍数なので 階数は高くても1である。さらに少なくとも1列は非零なので階数は1である。 この確認により,表現が階数1行列をちょうど捉えていることが分かる。
典型ミス
から左に を掛けるような議論は, が正則とは限らないため使えない。 また,階数1の表現では の取り方は一意ではない。 と は同じ行列を与える。
第3問 — 制約付き極値
方針
まず極値の存在をコンパクト性で押さえる。その後,ラグランジュ未定乗数法でも解けるが, この制約では を消去して の1変数最大化にする方が計算が短い。
制約曲線上で積の絶対値が最大になる点
符号の扱い
を最大化すると絶対値だけが分かる。最大値と最小値を分けるには, と が同符号なら正,異符号なら負であることを最後に戻す必要がある。
検算
得られた点では であり,制約を満たす。また である。
典型ミス
で直接微分すると 近くの符号処理が面倒になる。 とおけば 定義域が閉区間になり,端点確認も自然に行える。
第4問 — 常微分方程式の保存量
方針
この式は力学でいうエネルギー保存則の形をしている。方程式に を掛けて積分する, または直接 を計算する,という二通りの書き方がある。答案では直接微分が最も短い。
有界性から符号を排除する
と仮定すると,保存量の式から の絶対値が正の定数以上になる。 つまり解は全実数上で止まれない。微分係数が正に固定されれば右へ進むほど増大し, 負に固定されれば左へ戻るほど増大する。どちらも上有界性に反する。
検算
は結論と矛盾しない。例えば定数解 や では である。定数解 では であり,やはり を満たす。
典型ミス
上に有界という仮定だけで が有界とは限らない。しかし の場合は が正の下限を持つため,片側の無限遠で必ず上へ発散する。この片側の議論を書けば, 下に有界かどうかを仮定する必要はない。
第5問 — 直和分解と部分空間の分類
方針
と次元条件から,まず と見抜く。 この直和分解に対して, のうち に完全に入る部分, に完全に入る部分, どちらにも完全には入らないグラフ部分に分けるのが本質である。
斜め成分を含む標準形
構成の意味
と は個別に固定される部分である。 残りの は, 成分を決めると 成分も一意に決まるグラフ部分になる。 同じ を持つ では,この三つの部品の次元が一致するため, 基底を対応させるだけで求める同型写像を作れる。
採点上の注意
(1) は必要条件 を示すだけでは不十分である。 その条件を満たす全ての組が実際に実現できることを,具体的な を作って示す必要がある。
典型ミス
が必ず の部分直和として だけで書けると思ってしまう誤りがある。 一般には斜めの成分 が存在し,この成分の数が である。
阪大 数学 院試 過去問の収録21年度
階数と連立一次方程式の整合条件 / 2つの放物線上の点の距離 / 二点境界条件付き線形常微分方程式
楕円体と円柱条件の共通部分 / 二変数関数の極値判定 / 単調列と指数型列
主値積分 / 二次曲線上の積の極値 / 冪級数の収束半径
一次微分方程式 / 4次元球の体積 / 導関数の極限と微分可能性
三角関数の定積分 / 定数係数線形微分方程式 / 凸関数の導関数の極限
有理関数の広義積分 / 二変数関数の極値 / 正則行列の開性と行列冪の極限
パラメータ付き有理型積分 / 偏導関数が消える関数 / 行列の冪と作用素ノルム
2018年度(このページ・全5問)
三角置換と周期積分 / 行列の核と階数1行列 / 制約付き極値
二重積分と球・円柱の共通部分 / 二次形式の最大値と固有値 / 漸化式と収束半径
2016年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
円盤上の積分と差分商 / 数列空間と線形漸化式 / 留数定理によるフーリエ型積分
2015年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
重積分と広義積分 / 階段型行列の行列式 / Rodrigues型多項式と直交性
2014年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
変数変換とベータ積分 / 多項式の零点と三角格子 / 直交行列のCayley変換
2013年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
多項式空間上の線形変換 / 積分剰余と凸性 / 巡回行列の固有値
2012年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
積分の変数変換 / 実数連立方程式 / 指数型母関数と3周期列
2011年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
積分評価 / 線形部分空間 / 正則関数と調和共役
2010年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
広義積分と留数計算 / 行列の核の次元 / 複素数列の周期性
2009年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
制約付き最大化 / 歪対称行列と非対角化性 / 単位円上の留数計算
2008年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
球と円柱の共通部分の体積 / 同伴行列の固有多項式と対角化 / 有界正則関数の係数評価
2007年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
左右から近づく微分商 / 楕円体の体積 / 留数による有理関数積分
2006年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
漸化式と階乗正規化 / 二変数関数の極値 / 単位円上の留数計算
2005年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
可積分条件と無限遠での極限 / 極座標でのラプラシアン / フーリエ型積分と留数