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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2018年度 院試 解答例・解説

大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2018年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 三角置換と周期積分

方針

根号 4x2\sqrt{4-x^2}x=2sintx=2\sin t が最短である。周期積分は, 2+sinθ2+\sin\theta が常に正なので特異点を気にせず一周期の標準公式に落とせる。

周期積分の注意

t=tan(ϕ/2)t=\tan(\phi/2) は一周期を実線全体へ写す置換である。途中で区間を (π,π)(-\pi,\pi) のように取り直しても,周期関数なので値は変わらない。 分母を (a+b)+(ab)t2 (a+b)+(a-b)t^2 まで整理すれば,あとは (t2+c2)1dt=π/c\int_{-\infty}^{\infty}(t^2+c^2)^{-1}dt=\pi/c を使うだけでよい。

検算

第2の値は,分母が 11 から 33 の間にあることから 2π302πdθ2+sinθ2π \frac{2\pi}{3}\le \int_0^{2\pi}\frac{d\theta}{2+\sin\theta} \le 2\pi を満たすはずである。得られた 2π/32\pi/\sqrt3 はこの範囲に入り,符号も正しい。

典型ミス

2+sinθ2+\sin\theta2+cosθ2+\cos\theta に直すとき,置換後の積分区間にこだわりすぎて 余計な符号を入れるミスがある。一周期積分では平行移動しても値が変わらないことを 先に書くと安全である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 行列の核と階数1行列

方針

前半は内積 xTATAx=Ax2 x^TA^TAx=\|Ax\|^2 を見るのが最も確実である。ATAx=0A^TAx=0 からすぐ Ax=0Ax=0 と書くのではなく, いったんこの二次形式を経由すると,論理の穴がなくなる。

階数1の意味

rankA=1\operatorname{rank}A=1 は列空間が1次元であることを意味する。したがって 全ての列が1本の非零列ベクトルの実数倍になる。この「列ごとの係数」を横に並べたものが bTb^T であり,行列全体が外積 abTab^T になる。

検算

逆向きに見ると,a0, b0a\ne0,\ b\ne0 なら abTab^T の列はすべて aa の倍数なので 階数は高くても1である。さらに少なくとも1列は非零なので階数は1である。 この確認により,表現が階数1行列をちょうど捉えていることが分かる。

典型ミス

ATAx=0A^TAx=0 から左に ATA^{-T} を掛けるような議論は,AA が正則とは限らないため使えない。 また,階数1の表現では a,ba,b の取り方は一意ではない。cacab/cb/c は同じ行列を与える。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 制約付き極値

方針

まず極値の存在をコンパクト性で押さえる。その後,ラグランジュ未定乗数法でも解けるが, この制約では y2y^2 を消去して (xy)2(xy)^2 の1変数最大化にする方が計算が短い。

制約曲線上で積の絶対値が最大になる点

符号の扱い

(xy)2(xy)^2 を最大化すると絶対値だけが分かる。最大値と最小値を分けるには, xxyy が同符号なら正,異符号なら負であることを最後に戻す必要がある。

検算

得られた点では 3x4+18y2=319+18163=13+23=1 3x^4+\frac18y^2 = 3\cdot\frac19+\frac18\cdot\frac{16}{3} = \frac13+\frac23=1 であり,制約を満たす。また xy=±4/3xy=\pm4/3 である。

典型ミス

xx で直接微分すると x=0x=0 近くの符号処理が面倒になる。s=x2s=x^2 とおけば 定義域が閉区間になり,端点確認も自然に行える。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 常微分方程式の保存量

方針

この式は力学でいうエネルギー保存則の形をしている。方程式に uu' を掛けて積分する, または直接 E(x)E'(x) を計算する,という二通りの書き方がある。答案では直接微分が最も短い。

有界性から符号を排除する

E(0)>0E(0)>0 と仮定すると,保存量の式から uu' の絶対値が正の定数以上になる。 つまり解は全実数上で止まれない。微分係数が正に固定されれば右へ進むほど増大し, 負に固定されれば左へ戻るほど増大する。どちらも上有界性に反する。

検算

E(0)=0E(0)=0 は結論と矛盾しない。例えば定数解 u1u\equiv1u1u\equiv-1 では E=0 E=0 である。定数解 u0u\equiv0 では E=1E=-1 であり,やはり E(0)0E(0)\le0 を満たす。

典型ミス

上に有界という仮定だけで uu が有界とは限らない。しかし E(0)>0E(0)>0 の場合は u|u'| が正の下限を持つため,片側の無限遠で必ず上へ発散する。この片側の議論を書けば, 下に有界かどうかを仮定する必要はない。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 直和分解と部分空間の分類

方針

V1V2={0}V_1\cap V_2=\{0\} と次元条件から,まず V=V1V2V=V_1\oplus V_2 と見抜く。 この直和分解に対して,WW のうち V1V_1 に完全に入る部分,V2V_2 に完全に入る部分, どちらにも完全には入らないグラフ部分に分けるのが本質である。

斜め成分を含む標準形

構成の意味

A=WV1A=W\cap V_1B=WV2B=W\cap V_2 は個別に固定される部分である。 残りの CC は,V1V_1 成分を決めると V2V_2 成分も一意に決まるグラフ部分になる。 同じ (n1,n2)(n_1,n_2) を持つ W,WW,W' では,この三つの部品の次元が一致するため, 基底を対応させるだけで求める同型写像を作れる。

採点上の注意

(1) は必要条件 n1+n2nn_1+n_2\le n を示すだけでは不十分である。 その条件を満たす全ての組が実際に実現できることを,具体的な WW を作って示す必要がある。

典型ミス

WW が必ず V1V2V_1\oplus V_2 の部分直和として (WV1)(WV2)(W\cap V_1)\oplus(W\cap V_2) だけで書けると思ってしまう誤りがある。 一般には斜めの成分 pi+qip_i+q_i が存在し,この成分の数が nn1n2n-n_1-n_2 である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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