大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)
全5問。線形代数2問・微分積分・解析1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・正定値行列・重積分と極座標)。2023年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル。
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- 解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき5問)
- 問題本文
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阪大 数学 2024年度 院試 過去問の出題内容(全5問)
この5問の分野は線形代数2問・微分積分・解析1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | — | 楕円体と円柱条件の共通部分 | — | あり |
| 第2問 | 微分積分・解析 | 二変数関数の極値判定 | 極大点がない理由 / 採点上の注意 | あり |
| 第3問 | — | 単調列と指数型列 | 核になる不等式 | あり |
| 第4問 | 線形代数 | 正定値行列のQR分解 | 一意性で見るべき点 / 固有値の検算 | あり |
| 第5問 | 線形代数 | 行列の冪 | — | あり |
この年度の解説には典型ミス3件・検算2件・採点上の注意1件が付いています。
2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は4問に3テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第2・4・5問 | 25大学・544問 | |
| 正定値行列 | 第2・4問 | 17大学・70問 | |
| 重積分と極座標 | 第1問 | 23大学・142問 |
前年度(2023年度)との違い
- 大問数
- 2023年度 5問 → 2024年度 5問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル
第1問 — 楕円体と円柱条件の共通部分
方針
楕円体を球に直す線形変換を先に入れると,残る条件は -平面上の円柱条件になる。三次元の積分を,円柱の射影領域上での高さ の積分として処理するのが最短である。
典型ミス
最後にヤコビアン を掛け忘れると,答えがちょうど になる。 また は の範囲でのみ意味を持つため, の範囲を全周にしないことが重要である。
解答
変数 を用いる。この変換のヤコビアンは である。楕円体側の条件は半径 の球 に変わる。一方,もう一つの条件は すなわち である。
-平面で極座標 を使うと, であり,球の条件から である。したがって求める体積 は であるから, を得る。
最終答
第2問 — 二変数関数の極値判定
極大点がない理由
この関数は高次の項が を含むため無限遠で大きくなる方向が多い。 停留点をすべて列挙してヘッセ行列で分類すれば,正定値になる点と鞍点しか出ない。 したがって局所極大点はない。
検算
の原点での値は ,新しく現れる極小点での値は である。 なので,新しい極小点の方が値が小さい。停留点の分類と値の大小が整合している。
採点上の注意
停留条件の差から を出すところが分岐の中心である。 が と矛盾することを書かないと,余分な候補を残したままになる。
第3問 — 単調列と指数型列
核になる不等式
必要なのは が について増加し,かつ で上から抑えられるという標準事実である。 ただし今回は も動くため,まず で底を比較し, 次に の比較を入れる,という二段階に分けると間違えにくい。
典型ミス
は収束先を 未満にする条件ではない。 必要なのは上から抑える定数があることだけである。したがって最後の設問では 「有界なら を取れる」と書けば同じ証明がそのまま使える。
第4問 — 正定値行列のQR分解
方針
この問題の本質は,QR分解の存在そのものよりも,対角成分を正に固定したときの一意性である。 直交化では各段階のノルムを正に取るため,自動的に になる。
一意性で見るべき点
直交行列と上三角行列の両方である行列は非常に制限される。 第1列から順に見ると,下三角側の成分がすでに であり,直交性により上側の非対角成分も消える。 さらに対角成分が正であれば全て になる。
固有値の検算
と は一般には同じ行列ではないが,ここでは と書ける。したがって「積の順序を入れ替えても固有値が同じ」という一般論に頼らず, 直交相似として確認できる。
第5問 — 行列の冪
方針
固有値を調べると が重複し, が単根として現れる。 ただし の値によっては通常の対角化だけで処理しにくい。 そこで,射影部分 と冪零部分 に分けると,全ての実数 を同じ式で扱える。
検算
を代入すると であり, が戻る。したがって少なくとも初期値との整合性は取れている。
典型ミス
のときだけ別扱いにしようとすると場合分けが長くなる。 上の式では となるだけでそのまま成立するため,冪零部分を用いた処理の方が答案として安定する。
阪大 数学 院試 過去問の収録21年度
階数と連立一次方程式の整合条件 / 2つの放物線上の点の距離 / 二点境界条件付き線形常微分方程式
2024年度(このページ・全5問)
楕円体と円柱条件の共通部分 / 二変数関数の極値判定 / 単調列と指数型列
主値積分 / 二次曲線上の積の極値 / 冪級数の収束半径
一次微分方程式 / 4次元球の体積 / 導関数の極限と微分可能性
三角関数の定積分 / 定数係数線形微分方程式 / 凸関数の導関数の極限
有理関数の広義積分 / 二変数関数の極値 / 正則行列の開性と行列冪の極限
パラメータ付き有理型積分 / 偏導関数が消える関数 / 行列の冪と作用素ノルム
三角置換と周期積分 / 行列の核と階数1行列 / 制約付き極値
二重積分と球・円柱の共通部分 / 二次形式の最大値と固有値 / 漸化式と収束半径
2016年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
円盤上の積分と差分商 / 数列空間と線形漸化式 / 留数定理によるフーリエ型積分
2015年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
重積分と広義積分 / 階段型行列の行列式 / Rodrigues型多項式と直交性
2014年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
変数変換とベータ積分 / 多項式の零点と三角格子 / 直交行列のCayley変換
2013年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
多項式空間上の線形変換 / 積分剰余と凸性 / 巡回行列の固有値
2012年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
積分の変数変換 / 実数連立方程式 / 指数型母関数と3周期列
2011年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
積分評価 / 線形部分空間 / 正則関数と調和共役
2010年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
広義積分と留数計算 / 行列の核の次元 / 複素数列の周期性
2009年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
制約付き最大化 / 歪対称行列と非対角化性 / 単位円上の留数計算
2008年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
球と円柱の共通部分の体積 / 同伴行列の固有多項式と対角化 / 有界正則関数の係数評価
2007年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
左右から近づく微分商 / 楕円体の体積 / 留数による有理関数積分
2006年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
漸化式と階乗正規化 / 二変数関数の極値 / 単位円上の留数計算
2005年度(全5問)解答・最終答まで全文公開
可積分条件と無限遠での極限 / 極座標でのラプラシアン / フーリエ型積分と留数