大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2024年度 院試 解答例・解説
大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 楕円体と円柱条件の共通部分
方針
楕円体を球に直す線形変換を先に入れると,残る条件は -平面上の円柱条件になる。三次元の積分を,円柱の射影領域上での高さ の積分として処理するのが最短である。
典型ミス
最後にヤコビアン を掛け忘れると,答えがちょうど になる。 また は の範囲でのみ意味を持つため, の範囲を全周にしないことが重要である。
第2問 — 二変数関数の極値判定
極大点がない理由
この関数は高次の項が を含むため無限遠で大きくなる方向が多い。 停留点をすべて列挙してヘッセ行列で分類すれば,正定値になる点と鞍点しか出ない。 したがって局所極大点はない。
検算
の原点での値は ,新しく現れる極小点での値は である。 なので,新しい極小点の方が値が小さい。停留点の分類と値の大小が整合している。
採点上の注意
停留条件の差から を出すところが分岐の中心である。 が と矛盾することを書かないと,余分な候補を残したままになる。
第3問 — 単調列と指数型列
核になる不等式
必要なのは が について増加し,かつ で上から抑えられるという標準事実である。 ただし今回は も動くため,まず で底を比較し, 次に の比較を入れる,という二段階に分けると間違えにくい。
典型ミス
は収束先を 未満にする条件ではない。 必要なのは上から抑える定数があることだけである。したがって最後の設問では 「有界なら を取れる」と書けば同じ証明がそのまま使える。
第4問 — 正定値行列のQR分解
方針
この問題の本質は,QR分解の存在そのものよりも,対角成分を正に固定したときの一意性である。 直交化では各段階のノルムを正に取るため,自動的に になる。
一意性で見るべき点
直交行列と上三角行列の両方である行列は非常に制限される。 第1列から順に見ると,下三角側の成分がすでに であり,直交性により上側の非対角成分も消える。 さらに対角成分が正であれば全て になる。
固有値の検算
と は一般には同じ行列ではないが,ここでは と書ける。したがって「積の順序を入れ替えても固有値が同じ」という一般論に頼らず, 直交相似として確認できる。
第5問 — 行列の冪
方針
固有値を調べると が重複し, が単根として現れる。 ただし の値によっては通常の対角化だけで処理しにくい。 そこで,射影部分 と冪零部分 に分けると,全ての実数 を同じ式で扱える。
検算
を代入すると であり, が戻る。したがって少なくとも初期値との整合性は取れている。
典型ミス
のときだけ別扱いにしようとすると場合分けが長くなる。 上の式では となるだけでそのまま成立するため,冪零部分を用いた処理の方が答案として安定する。