大阪大学 院試 過去問 解答例
阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2021年度 院試 解答例・解説
大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2021年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 三角関数の定積分
方針
分子が ,分母が の形なので,まず と見る。この一手で,計算は標準積分 に落ちる。
標準積分の確認
公式をそのまま使ってよいが,導出も短い。 とおくと は実軸を2回の向きに分けて走るため,結果として となる。
検算
答は負である。これは一見意外だが, となる範囲では 分母 が小さくなり,負の寄与が相対的に強調されるためである。 したがって という符号は自然である。
典型ミス
から積分全体も と判断してはいけない。 分母が に依存しているため,正負の面積は対称に打ち消えない。
第2問 — 定数係数線形微分方程式
方針
定数係数線形方程式では,同次解と特解を分ける。 右辺が のとき,微分で が混ざるため, 特解には と の両方を入れておくのが安全である。
共鳴の有無
は複素数で見ると に対応する。 特性根は であり, ではないので共鳴は起こらない。 そのため や を掛ける必要はない。
検算
特解だけを確認すると である。したがって余分な 項は消え,右辺の だけが残る。
典型ミス
特解を だけで置くと,微分後に出る の係数を消せない。 三角関数右辺の未定係数法では,微分で閉じる組を丸ごと用意する。
第3問 — 凸関数の導関数の極限
方針
は の単調性を意味する。 単調関数は無限遠で一方向に極限を持つので,あとはその極限が正・負・無限大だった場合に の有限収束と矛盾することを示せばよい。
なぜ有限収束が効くか
もし が最終的に正の定数以上なら, は少なくとも一次関数的に増加する。 もし が最終的に負の定数以下なら, は少なくとも一次関数的に減少する。 どちらも が有限値へ近づく状況とは両立しない。
採点上の注意
「 が収束するから 」は一般には正しくない。 微分可能関数でも導関数が振動する反例がある。 この問題では による単調性があるから結論が出る。
典型ミス
が単調増加なら極限が存在するとだけ書いて,その極限が である理由を省くと不十分である。 正または負の極限を仮定し,積分評価で の収束と矛盾させる部分が答案の中心である。
第4問 — 核と像の直和条件
方針
この問題は, と をそれぞれ求め, 最後に を判定する問題である。 パラメータは の2つの組合せだけに整理すると見通しがよい。
直和判定の短い見方
のとき, は2次元であり,しかも を含む。このベクトルは の値によらず に入るので,直和は不可能である。 逆に のときは が1次元へ落ち,その生成ベクトルが に入らないことを確認すれば十分である。
典型ミス
基底の本数だけで直和を決めてはいけない。 たとえば では なので一見よさそうに見えるが, 実際には の生成ベクトルが に含まれている。 必ず交わりを確認する。
第5問 — 不変2次元部分空間
方針
不変部分空間は固有空間・一般化固有空間から探す。 この行列では固有値 が重複し,しかも固有空間は1次元しかない。 したがって固有値 側には2次元のJordanブロックがあり,その一般化固有空間が 1つ目の不変平面になる。
平面としての見方
1つ目の平面は である。2つ目の平面は である。実際にそれぞれへ を作用させると,同じ平面内に戻る。
検算
なので2つ目の平面は不変である。また だから1つ目の平面も不変である。
典型ミス
固有値 の代数的重複度が2だからといって,固有ベクトルが2本あるとは限らない。 は1次元であり,もう1本は一般化固有ベクトルとして取る必要がある。