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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。微分積分・解析2問・微分方程式1問。テーマタグは1件(固有値・固有ベクトル)。2020年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル。

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解説5問/全5問(3,891字)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

阪大 数学 2021年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は微分積分・解析2問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析三角関数の定積分標準積分の確認あり
第2問微分方程式定数係数線形微分方程式共鳴の有無あり
第3問微分積分・解析凸関数の導関数の極限なぜ有限収束が効くか / 採点上の注意あり
第4問—核と像の直和条件直和判定の短い見方あり
第5問—不変2次元部分空間平面としての見方あり

この年度の解説には典型ミス5件・検算3件・採点上の注意1件が付いています。

2021年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は1問に1テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
固有値・固有ベクトル第5問25大学・544問

前年度(2020年度)との違い

大問数
2020年度 5問 → 2021年度 5問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル
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第1問 — 三角関数の定積分

方針

分子が cos⁡θ\cos\theta,分母が 2+cos⁡θ2+\cos\theta の形なので,まず cos⁡θ=(2+cos⁡θ)−2 \cos\theta=(2+\cos\theta)-2 と見る。この一手で,計算は標準積分 ∫02π(a+bcos⁡θ)−1 dθ\int_0^{2\pi}(a+b\cos\theta)^{-1}\,d\theta に落ちる。

標準積分の確認

公式をそのまま使ってよいが,導出も短い。t=tan⁡(θ/2)t=\tan(\theta/2) とおくと cos⁡θ=1−t21+t2,dθ=2 dt1+t2. \cos\theta=\frac{1-t^{2}}{1+t^{2}},\qquad d\theta=\frac{2\,dt}{1+t^{2}}. [0,2π][0,2\pi] は実軸を2回の向きに分けて走るため,結果として ∫02πdθ2+cos⁡θ=∫−∞∞2 dt3+t2=2π3 \int_{0}^{2\pi}\frac{d\theta}{2+\cos\theta} = \int_{-\infty}^{\infty}\frac{2\,dt}{3+t^{2}} = \frac{2\pi}{\sqrt3} となる。

検算

答は負である。これは一見意外だが,cos⁡θ<0\cos\theta<0 となる範囲では 分母 2+cos⁡θ2+\cos\theta が小さくなり,負の寄与が相対的に強調されるためである。 したがって 2π−4π/3<02\pi-4\pi/\sqrt3<0 という符号は自然である。

典型ミス

∫02πcos⁡θ dθ=0\int_0^{2\pi}\cos\theta\,d\theta=0 から積分全体も 00 と判断してはいけない。 分母が θ\theta に依存しているため,正負の面積は対称に打ち消えない。

三角関数の定積分の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 定数係数線形微分方程式

方針

定数係数線形方程式では,同次解と特解を分ける。 右辺が cos⁡x\cos x のとき,微分で sin⁡x\sin x が混ざるため, 特解には cos⁡x\cos x と sin⁡x\sin x の両方を入れておくのが安全である。

共鳴の有無

cos⁡x,sin⁡x\cos x,\sin x は複素数で見ると eixe^{ix} に対応する。 特性根は 1,31,3 であり,ii ではないので共鳴は起こらない。 そのため xcos⁡xx\cos x や xsin⁡xx\sin x を掛ける必要はない。

検算

特解だけを確認すると 2⋅110−4(−15)=1,4⋅110+2(−15)=0 2\cdot\frac1{10}-4\left(-\frac15\right)=1,\qquad 4\cdot\frac1{10}+2\left(-\frac15\right)=0 である。したがって余分な sin⁡x\sin x 項は消え,右辺の cos⁡x\cos x だけが残る。

典型ミス

特解を αcos⁡x\alpha\cos x だけで置くと,微分後に出る sin⁡x\sin x の係数を消せない。 三角関数右辺の未定係数法では,微分で閉じる組を丸ごと用意する。

定数係数線形微分方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 凸関数の導関数の極限

方針

f′′≥0f''\ge0 は f′f' の単調性を意味する。 単調関数は無限遠で一方向に極限を持つので,あとはその極限が正・負・無限大だった場合に ff の有限収束と矛盾することを示せばよい。

なぜ有限収束が効くか

もし f′(x)f'(x) が最終的に正の定数以上なら,ff は少なくとも一次関数的に増加する。 もし f′(x)f'(x) が最終的に負の定数以下なら,ff は少なくとも一次関数的に減少する。 どちらも f(x)f(x) が有限値へ近づく状況とは両立しない。

採点上の注意

「f(x)f(x) が収束するから f′(x)→0f'(x)\to0」は一般には正しくない。 微分可能関数でも導関数が振動する反例がある。 この問題では f′′≥0f''\ge0 による単調性があるから結論が出る。

典型ミス

f′f' が単調増加なら極限が存在するとだけ書いて,その極限が 00 である理由を省くと不十分である。 正または負の極限を仮定し,積分評価で ff の収束と矛盾させる部分が答案の中心である。

凸関数の導関数の極限の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 核と像の直和条件

方針

この問題は,V=ker⁡AV=\ker A と W=Im⁡BW=\operatorname{Im}B をそれぞれ求め, 最後に V∩W={0}V\cap W=\{0\} を判定する問題である。 パラメータは a−b,3a+b a-b,\qquad 3a+b の2つの組合せだけに整理すると見通しがよい。

直和判定の短い見方

3a+b≠03a+b\ne0 のとき,WW は2次元であり,しかも (3,0,1)T=(1,2,3)T−2(−1,1,1)T (3,0,1)^T=(1,2,3)^T-2(-1,1,1)^T を含む。このベクトルは a−ba-b の値によらず VV に入るので,直和は不可能である。 逆に 3a+b=03a+b=0 のときは WW が1次元へ落ち,その生成ベクトルが VV に入らないことを確認すれば十分である。

典型ミス

基底の本数だけで直和を決めてはいけない。 たとえば a−b≠−8, 3a+b≠0a-b\ne-8,\ 3a+b\ne0 では dim⁡V+dim⁡W=3\dim V+\dim W=3 なので一見よさそうに見えるが, 実際には VV の生成ベクトルが WW に含まれている。 必ず交わりを確認する。

核と像の直和条件の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 不変2次元部分空間

方針

不変部分空間は固有空間・一般化固有空間から探す。 この行列では固有値 11 が重複し,しかも固有空間は1次元しかない。 したがって固有値 11 側には2次元のJordanブロックがあり,その一般化固有空間が 1つ目の不変平面になる。

平面としての見方

1つ目の平面は span⁡{(1,2,0)T,(0,0,1)T}={(x,y,z)T∣y=2x} \operatorname{span}\{(1,2,0)^T,(0,0,1)^T\} =\{(x,y,z)^T\mid y=2x\} である。2つ目の平面は span⁡{(4,−8,7)T,(0,0,1)T}={(x,y,z)T∣y=−2x} \operatorname{span}\{(4,-8,7)^T,(0,0,1)^T\} =\{(x,y,z)^T\mid y=-2x\} である。実際にそれぞれへ AA を作用させると,同じ平面内に戻る。

検算

A(001)=(001),A(4−87)=−3(4−87) A\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix},\qquad A\begin{pmatrix}4\\-8\\7\end{pmatrix} = -3\begin{pmatrix}4\\-8\\7\end{pmatrix} なので2つ目の平面は不変である。また A(120)=(121)=(120)+(001) A\begin{pmatrix}1\\2\\0\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1\\2\\1\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1\\2\\0\end{pmatrix} + \begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix} だから1つ目の平面も不変である。

典型ミス

固有値 11 の代数的重複度が2だからといって,固有ベクトルが2本あるとは限らない。 ker⁡(A−I)\ker(A-I) は1次元であり,もう1本は一般化固有ベクトルとして取る必要がある。

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  • 2006年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2005年度(全5問)解答・最終答まで全文公開

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