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大阪大学 院試 過去問 解答例

阪大 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2021年度 院試 解答例・解説

大阪大学 情報科学研究科 情報基礎数学専攻 数学 2021年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 三角関数の定積分

方針

分子が cosθ\cos\theta,分母が 2+cosθ2+\cos\theta の形なので,まず cosθ=(2+cosθ)2 \cos\theta=(2+\cos\theta)-2 と見る。この一手で,計算は標準積分 02π(a+bcosθ)1dθ\int_0^{2\pi}(a+b\cos\theta)^{-1}\,d\theta に落ちる。

標準積分の確認

公式をそのまま使ってよいが,導出も短い。t=tan(θ/2)t=\tan(\theta/2) とおくと cosθ=1t21+t2,dθ=2dt1+t2. \cos\theta=\frac{1-t^{2}}{1+t^{2}},\qquad d\theta=\frac{2\,dt}{1+t^{2}}. [0,2π][0,2\pi] は実軸を2回の向きに分けて走るため,結果として 02πdθ2+cosθ=2dt3+t2=2π3 \int_{0}^{2\pi}\frac{d\theta}{2+\cos\theta} = \int_{-\infty}^{\infty}\frac{2\,dt}{3+t^{2}} = \frac{2\pi}{\sqrt3} となる。

検算

答は負である。これは一見意外だが,cosθ<0\cos\theta<0 となる範囲では 分母 2+cosθ2+\cos\theta が小さくなり,負の寄与が相対的に強調されるためである。 したがって 2π4π/3<02\pi-4\pi/\sqrt3<0 という符号は自然である。

典型ミス

02πcosθdθ=0\int_0^{2\pi}\cos\theta\,d\theta=0 から積分全体も 00 と判断してはいけない。 分母が θ\theta に依存しているため,正負の面積は対称に打ち消えない。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 定数係数線形微分方程式

方針

定数係数線形方程式では,同次解と特解を分ける。 右辺が cosx\cos x のとき,微分で sinx\sin x が混ざるため, 特解には cosx\cos xsinx\sin x の両方を入れておくのが安全である。

共鳴の有無

cosx,sinx\cos x,\sin x は複素数で見ると eixe^{ix} に対応する。 特性根は 1,31,3 であり,ii ではないので共鳴は起こらない。 そのため xcosxx\cos xxsinxx\sin x を掛ける必要はない。

検算

特解だけを確認すると 21104(15)=1,4110+2(15)=0 2\cdot\frac1{10}-4\left(-\frac15\right)=1,\qquad 4\cdot\frac1{10}+2\left(-\frac15\right)=0 である。したがって余分な sinx\sin x 項は消え,右辺の cosx\cos x だけが残る。

典型ミス

特解を αcosx\alpha\cos x だけで置くと,微分後に出る sinx\sin x の係数を消せない。 三角関数右辺の未定係数法では,微分で閉じる組を丸ごと用意する。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 凸関数の導関数の極限

方針

f0f''\ge0ff' の単調性を意味する。 単調関数は無限遠で一方向に極限を持つので,あとはその極限が正・負・無限大だった場合に ff の有限収束と矛盾することを示せばよい。

なぜ有限収束が効くか

もし f(x)f'(x) が最終的に正の定数以上なら,ff は少なくとも一次関数的に増加する。 もし f(x)f'(x) が最終的に負の定数以下なら,ff は少なくとも一次関数的に減少する。 どちらも f(x)f(x) が有限値へ近づく状況とは両立しない。

採点上の注意

f(x)f(x) が収束するから f(x)0f'(x)\to0」は一般には正しくない。 微分可能関数でも導関数が振動する反例がある。 この問題では f0f''\ge0 による単調性があるから結論が出る。

典型ミス

ff' が単調増加なら極限が存在するとだけ書いて,その極限が 00 である理由を省くと不十分である。 正または負の極限を仮定し,積分評価で ff の収束と矛盾させる部分が答案の中心である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 核と像の直和条件

方針

この問題は,V=kerAV=\ker AW=ImBW=\operatorname{Im}B をそれぞれ求め, 最後に VW={0}V\cap W=\{0\} を判定する問題である。 パラメータは ab,3a+b a-b,\qquad 3a+b の2つの組合せだけに整理すると見通しがよい。

直和判定の短い見方

3a+b03a+b\ne0 のとき,WW は2次元であり,しかも (3,0,1)T=(1,2,3)T2(1,1,1)T (3,0,1)^T=(1,2,3)^T-2(-1,1,1)^T を含む。このベクトルは aba-b の値によらず VV に入るので,直和は不可能である。 逆に 3a+b=03a+b=0 のときは WW が1次元へ落ち,その生成ベクトルが VV に入らないことを確認すれば十分である。

典型ミス

基底の本数だけで直和を決めてはいけない。 たとえば ab8, 3a+b0a-b\ne-8,\ 3a+b\ne0 では dimV+dimW=3\dim V+\dim W=3 なので一見よさそうに見えるが, 実際には VV の生成ベクトルが WW に含まれている。 必ず交わりを確認する。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 不変2次元部分空間

方針

不変部分空間は固有空間・一般化固有空間から探す。 この行列では固有値 11 が重複し,しかも固有空間は1次元しかない。 したがって固有値 11 側には2次元のJordanブロックがあり,その一般化固有空間が 1つ目の不変平面になる。

平面としての見方

1つ目の平面は span{(1,2,0)T,(0,0,1)T}={(x,y,z)Ty=2x} \operatorname{span}\{(1,2,0)^T,(0,0,1)^T\} =\{(x,y,z)^T\mid y=2x\} である。2つ目の平面は span{(4,8,7)T,(0,0,1)T}={(x,y,z)Ty=2x} \operatorname{span}\{(4,-8,7)^T,(0,0,1)^T\} =\{(x,y,z)^T\mid y=-2x\} である。実際にそれぞれへ AA を作用させると,同じ平面内に戻る。

検算

A(001)=(001),A(487)=3(487) A\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix},\qquad A\begin{pmatrix}4\\-8\\7\end{pmatrix} = -3\begin{pmatrix}4\\-8\\7\end{pmatrix} なので2つ目の平面は不変である。また A(120)=(121)=(120)+(001) A\begin{pmatrix}1\\2\\0\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1\\2\\1\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1\\2\\0\end{pmatrix} + \begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix} だから1つ目の平面も不変である。

典型ミス

固有値 11 の代数的重複度が2だからといって,固有ベクトルが2本あるとは限らない。 ker(AI)\ker(A-I) は1次元であり,もう1本は一般化固有ベクトルとして取る必要がある。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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