東京大学 院試 過去問 解答例
東大 工学系研究科 物理工学専攻 物理学 2020年度 院試 解答例・解説
東京大学 工学系研究科 物理工学専攻 物理学 2020年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 固定端ばね鎖の固有振動
固定端条件が作る正弦波
両端が壁につながれているため、仮想的に と置ける。この境界条件を自然に満たす基底が であり、自由端の場合の余弦型とは異なる。
静的応答の意味
は、外力が各基準振動をどれだけ変位として励起しやすいかを表す。最も波長の長い モードは復元力が最も弱いため、系の長さが伸びるほど応答が で大きくなる。
オンサイト項の検算
は各質点を元の位置へ引き戻す局所的なばねである。したがって長波長極限でも復元力が消えず、分散は原点から始まらず のギャップを持つ。
第2問 — 一軸性結晶中の電磁波
通常光と異常光
偏光は誘電率 だけを見るため、波数もエネルギー流も通常の等方媒質のように扱える。これが通常光である。 偏光は の両方を含むため、波面法線とエネルギー流の向きがずれる。
符号の検算
かつ なので である。つまり異常光は、結晶軸から測った角度が波数ベクトルより大きい側へ曲がる。ここを逆にすると二重像のずれ方向も反対になってしまう。
第3問 — 理想気体と吸着等温式
Langmuir型になる理由
各サイトが独立で、1つのサイトに高々1個だけ吸着できるため、吸着密度はフェルミ分布に似た形になる。ただし全体系はボルツマン統計で、排他性は吸着サイトの局所的な制約として入っている。
グラフの読み方
一定温度では が定数なので、低圧で と線形に増え、高圧で に飽和する。一定圧力では が上がるほど熱的波長の寄与と の寄与がともに小さくなり、吸着密度は単調に下がる。
第4問 — 2次元調和振動子と角運動量
円運動の基底を作る
は直交座標方向の量子を1つ増やす演算子である。これを と組み合わせると、回転に対して固有の変換をする円運動の基底になる。角運動量の固有値が一気に読めるのはこのためである。
縮退の分裂
等方振動子では だけでエネルギーが決まり、同じ和を持つ状態が縮退する。スピン軌道相互作用は とスピンの積を見るため、同じエネルギー殻の中で角運動量に応じた分裂を起こす。