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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 物理工学専攻 物理学 2013年度 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。テーマタグは7件(電磁波・固有値・固有ベクトル・調和振動子)。2012年度と共通のテーマはハミルトン形式。

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解説6問・解答6問・最終答6問(全6問)
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2013年度は解答・最終答まで全文公開
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東大 物理学 2013年度 院試 過去問の出題内容(全6問)

大問主題解説の小見出し最終答
第1問粗い円柱のつり合いと滑りから転がりへの移行静止摩擦の向きを先に決める / 転がり条件は接触点速度で判定するあり
第2問平行平板間の空間電荷制限電流空間電荷制限電流の構造 / 乗則の由来あり
第3問調和振動子の遷移と非調和摂動選択則はパリティで見る / 一次の補正でどこまで広がるかあり
第4問理想ボース気体とボース・アインシュタイン凝縮凝縮は励起状態の収容数の限界 / 熱容量の温度依存あり
第5問誘電体スラブ導波路のTEモード境界条件は と / モード数の数え方あり
第6問二原子鎖のフォノン分散とブリルアン散乱二原子鎖だが質量は同じ / 光散乱と中性子散乱の役割分担あり

この年度の解説には検算1件が付いています。

2013年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は6問に7テーマが出ています。

前年度(2012年度)との違い

大問数
2012年度 6問 → 2013年度 6問
両年度に出たテーマ
ハミルトン形式
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第1問 — 粗い円柱のつり合いと滑りから転がりへの移行

静止摩擦の向きを先に決める

この問題で落としやすいのは、摩擦力の向きを「何となく」置いてしまう点である。下側右の円柱 BB には、上の円柱からの法線力が右下向きに働く。これを水平方向で支えるには床からの摩擦力が左向きである必要がある。さらに中心まわりのモーメントを打ち消すには、上側接触での摩擦力も左下向きでなければならない。

転がり条件は接触点速度で判定する

右向きを正、反時計回りを正にしたため、接触点の床に対する速度は v+aωv+a\omega である。純粋転がりではこれが 0 になる。転がり開始後に点 SS に戻るかどうかは、転がり開始時点で位置がまだ SS の右側にあり、速度が左向きであるかだけで判定できる。

検算

μmin⁡=2−3\mu_{\min}=2-\sqrt{3} は 0.268…0.268\ldots、床側の条件はさらに 3 分の 1 である。床は三本の円柱全体のうち右下の一本を直接支えるため垂直抗力が大きく、同じ摩擦力を支えるのに必要な係数が小さくなる、という物理的な見通しと合っている。

解答

  1. 3本の円柱の中心を正三角形に置く。下側右の円柱を BB、上側を CC とし、BB が CC から受ける法線力を NN、接線方向摩擦力の大きさを FF、床から受ける摩擦力の大きさを F′F' とする。 BB について、CC との接触点の位置ベクトルは (−a2, 3a2) \left(-\frac{a}{2},\,\frac{\sqrt{3}a}{2}\right) である。静止するには、CC から受ける摩擦力は接線に沿って左下向き、床から受ける摩擦力も左向きでなければならない。中心まわりのモーメントをとると、法線力と重力、床の垂直抗力は寄与しないので aF−aF′=0 aF-aF'=0 となる。したがって F=F′ F=F' である。水平方向のつり合いから N2−32F−F=0,N=(2+3)F. \frac{N}{2}-\frac{\sqrt{3}}{2}F-F=0, \qquad N=(2+\sqrt{3})F. 上側の円柱 CC について左右対称性を用いると、左右の接触で法線力の大きさはともに NN、摩擦力の大きさはともに FF である。鉛直方向のつり合いは 3N+F=mg. \sqrt{3}N+F=mg. よって F=mg2(2+3),N=mg2. F=\frac{mg}{2(2+\sqrt{3})}, \qquad N=\frac{mg}{2}. BB が床から受ける垂直抗力を RR とすると R−mg−32N−12F=0 R-mg-\frac{\sqrt{3}}{2}N-\frac{1}{2}F=0 であり、上の値を代入して R=3mg2. R=\frac{3mg}{2}. したがって静止に必要な最小摩擦係数は μ≥FN=2−3,μ′≥F′R=2−33. \mu \geq \frac{F}{N}=2-\sqrt{3},\qquad \mu' \geq \frac{F'}{R}=\frac{2-\sqrt{3}}{3}.
  2. 床上を滑る円柱に移る。水平方向右向きを正、反時計回りの角速度を正とする。初めの接触点の相対速度は u0=v0+aω0 u_0=v_0+a\omega_0 であり、ここでは u0>0u_0>0 として動摩擦力は左向きに働く。円柱の慣性モーメントは I=12ma2 I=\frac{1}{2}ma^2 であるから、滑っている間 v˙=−μ′g,Iω˙=−aμ′mg,ω˙=−2μ′ga. \dot v=-\mu' g,\qquad I\dot\omega=-a\mu' mg, \qquad \dot\omega=-\frac{2\mu'g}{a}. よって v(t)=v0−μ′gt,ω(t)=ω0−2μ′gta. v(t)=v_0-\mu'gt,\qquad \omega(t)=\omega_0-\frac{2\mu'gt}{a}. 速度が初めて 0 になる点を TT とすれば tT=v0μ′g,ST=∫0tTv(t) dt=v022μ′g. t_T=\frac{v_0}{\mu'g},\qquad ST=\int_0^{t_T}v(t)\,dt=\frac{v_0^2}{2\mu'g}.
  3. その瞬間の角速度は ωT=ω0−2v0a. \omega_T=\omega_0-\frac{2v_0}{a}. ここで ωT>0\omega_T>0、すなわち aω0>2v0a\omega_0>2v_0 なら、重心がいったん止まっても円柱はなお接触点を右向きに擦るため、摩擦力は左向きのままで、その後は左向きに進み始める。
  4. 純粋転がりが始まる条件は、接触点の相対速度 u=v+aω u=v+a\omega が 0 になることである。したがって v0+aω0−3μ′gtR=0,tR=v0+aω03μ′g. v_0+a\omega_0-3\mu'gt_R=0,\qquad t_R=\frac{v_0+a\omega_0}{3\mu'g}. この時の重心速度は vR=v0−μ′gtR=2v0−aω03. v_R=v_0-\mu'gt_R =\frac{2v_0-a\omega_0}{3}. したがって左向きに戻る場合の速さは aω0−2v03. \frac{a\omega_0-2v_0}{3}.
  5. 純粋転がりが始まる位置は xR=v0tR−12μ′gtR2=(v0+aω0)(5v0−aω0)18μ′g. x_R=v_0t_R-\frac{1}{2}\mu'gt_R^2 =\frac{(v_0+a\omega_0)(5v_0-a\omega_0)}{18\mu'g}. 転がり開始後は摩擦力を必要とせず等速で進む。したがって点 SS を転がりながら通過するには、 vR<0,xR>0 v_R<0,\qquad x_R>0 が必要十分である。よって 2v0<aω0<5v0 2v_0<a\omega_0<5v_0 である。

最終答

% F=F′=mg2(2+3),μmin⁡=2−3,μmin⁡′=2−33. F=F'=\frac{mg}{2(2+\sqrt{3})},\qquad \mu_{\min}=2-\sqrt{3},\qquad \mu'_{\min}=\frac{2-\sqrt{3}}{3}. また、滑り運動では ST=v022μ′g,ωT=ω0−2v0a,∣vR∣=aω0−2v03, ST=\frac{v_0^2}{2\mu'g},\qquad \omega_T=\omega_0-\frac{2v_0}{a},\qquad |v_R|=\frac{a\omega_0-2v_0}{3}, 戻って点 SS を転がりながら通る条件は 2v0<aω0<5v0. 2v_0<a\omega_0<5v_0.

第2問 — 平行平板間の空間電荷制限電流

空間電荷制限電流の構造

陰極から供給される電子が多いと、電極間の負電荷自身が電場を弱める。このため電流は単にオーム則で決まらず、ポアソン方程式と運動エネルギー保存を同時に解く必要がある。陰極表面で電場が 0 になる条件が、空間電荷制限の特徴である。

3/23/2 乗則の由来

電位が小さいところでは電子速度 vv も小さいので、同じ電流を運ぶには密度が大きくなる。したがって n∝ϕ−1/2 n\propto \phi^{-1/2} となり、ポアソン方程式が非線形になる。積分の結果として ϕ∝x4/3\phi\propto x^{4/3} が出るため、端子電圧と電流密度の関係は i0∝V3/2L−2 i_0\propto V^{3/2}L^{-2} になる。

符号の注意

電流密度 i=−envi=-env は電子が正の xx 方向へ進むため負である。設問で i0>0i_0>0 を使うときは、i=−i0i=-i_0 と置くと符号の混乱が少ない。ポアソン方程式では電子の電荷密度が負であるため、ϕ′′\phi'' は正になる。

解答

陰極を x=0x=0、陽極を x=Lx=L とし、電位を ϕ(x)\phi(x) と書く。電子の電荷の大きさを ee、質量を mm、電子密度を n(x)n(x)、速度を v(x)v(x) とする。

  1. 陰極から初速 0 で出た電子について、静電場がした仕事が運動エネルギーになる。陰極での電位を 0 とすれば 12mv2=eϕ. \frac{1}{2}mv^2=e\phi. よって v(ϕ)=2eϕm. v(\phi)=\sqrt{\frac{2e\phi}{m}}.
  2. 定常一次元流では、任意の断面を単位時間に通過する電荷量が等しい。電流密度を i(x)=−en(x)v(x) i(x)=-e n(x)v(x) と書くと、電荷保存より didx=0. \frac{di}{dx}=0. したがって i(x)=−i0i(x)=-i_0 は xx に依存しない。
  3. ポアソン方程式は d2ϕdx2=−ρε0 \frac{d^2\phi}{dx^2}=-\frac{\rho}{\varepsilon_0} である。電子の電荷密度は ρ=−en\rho=-en なので d2ϕdx2=enε0. \frac{d^2\phi}{dx^2}=\frac{en}{\varepsilon_0}. 一方、−env=−i0-en v=-i_0 より en=i0/ven=i_0/v であるから d2ϕdx2=i0ε0m2eϕ−1/2. \frac{d^2\phi}{dx^2} =\frac{i_0}{\varepsilon_0} \sqrt{\frac{m}{2e}}\phi^{-1/2}. したがって A=i0ε0m2e,α=−12. A=\frac{i_0}{\varepsilon_0}\sqrt{\frac{m}{2e}}, \qquad \alpha=-\frac{1}{2}.
  4. 電場が陰極で 0 という条件は ϕ′(0)=0\phi'(0)=0 である。 ϕ′′=Aϕ−1/2 \phi''=A\phi^{-1/2} に ϕ′\phi' を掛けると ϕ′′ϕ′=Aϕ−1/2ϕ′. \phi''\phi'=A\phi^{-1/2}\phi'. 積分して 12(ϕ′)2=2Aϕ1/2 \frac{1}{2}(\phi')^2=2A\phi^{1/2} となる。境界条件により積分定数は 0 である。よって dϕdx=2A ϕ1/4. \frac{d\phi}{dx}=2\sqrt{A}\,\phi^{1/4}. さらに積分して 43ϕ3/4=2A x, \frac{4}{3}\phi^{3/4}=2\sqrt{A}\,x, すなわち ϕ(x)=(32A x)4/3. \phi(x)=\left(\frac{3}{2}\sqrt{A}\,x\right)^{4/3}.
  5. ϕ(L)=V\phi(L)=V を代入すると V=(32A L)4/3,A=49V3/2L2. V=\left(\frac{3}{2}\sqrt{A}\,L\right)^{4/3}, \qquad A=\frac{4}{9}\frac{V^{3/2}}{L^2}. したがって電流密度の大きさは i0=49ε02emV3/2L2. i_0=\frac{4}{9}\varepsilon_0 \sqrt{\frac{2e}{m}} \frac{V^{3/2}}{L^2}.

最終答

% v=2eϕm,ϕ′′=i0ε0m2eϕ−1/2, v=\sqrt{\frac{2e\phi}{m}},\qquad \phi''= \frac{i_0}{\varepsilon_0}\sqrt{\frac{m}{2e}}\phi^{-1/2}, ϕ(x)=(32A x)4/3,i0=49ε02emV3/2L2. \phi(x)=\left(\frac{3}{2}\sqrt{A}\,x\right)^{4/3}, \qquad i_0=\frac{4}{9}\varepsilon_0 \sqrt{\frac{2e}{m}} \frac{V^{3/2}}{L^2}.

第3問 — 調和振動子の遷移と非調和摂動

選択則はパリティで見る

調和振動子の固有状態は nn の偶奇でパリティが決まる。双極子演算子 XX は奇パリティなので、パリティの異なる状態だけを結ぶ。非調和摂動 X4X^4 は偶パリティであり、固有状態のパリティ自体は変えない。ただし同じパリティの別の数状態が混ざるため、双極子遷移の候補が n±1n\pm1 から広がる。

一次の補正でどこまで広がるか

(a+a†)4(a+a^\dagger)^4 は量子数を 0,±2,±40,\pm2,\pm4 だけ変える。したがって初期状態 88 には 4,6,10,124,6,10,12 が混ざる。そこへ XX が作用すると量子数がさらに ±1\pm1 変わるため、3,5,7,9,11,133,5,7,9,11,13 が現れる。二次摂動まで含めればさらに遠い準位も現れるが、一次までという指定ではここで止める。

期待値が振動する状態

数状態では位置の期待値は常に 0 である。古典運動に対応するのは、隣り合う数状態の位相関係をもつ重ね合わせである。コヒーレント状態を使うと式が最も簡単になり、振幅と位相を α\alpha が直接指定する。

解答

一次元調和振動子のハミルトニアンを H0=P22m+12mω02X2 H_0=\frac{P^2}{2m}+\frac{1}{2}m\omega_0^2X^2 とし、生成消滅演算子で X=ℏ2mω0(a+a†),P=−imℏω02(a−a†) X=\sqrt{\frac{\hbar}{2m\omega_0}}(a+a^\dagger), \qquad P=-i\sqrt{\frac{m\hbar\omega_0}{2}}(a-a^\dagger) と書く。

  1. 電気双極子近似では、遷移行列要素は ⟨n′∣X∣n⟩ \langle n'|X|n\rangle に比例する。XX は a+a†a+a^\dagger に比例するので ⟨n′∣X∣n⟩≠0 \langle n'|X|n\rangle\neq 0 となるのは n′=n±1 n'=n\pm 1 のときだけである。
  2. 非調和項を Hah=λX4 H_{\mathrm{ah}}=\lambda X^4 とする。一次の摂動エネルギーは ΔEn(1)=λ⟨n∣X4∣n⟩ \Delta E_n^{(1)}=\lambda\langle n|X^4|n\rangle である。正規順序化またはガウス積分を用いると ⟨n∣(a+a†)4∣n⟩=6n2+6n+3. \langle n|(a+a^\dagger)^4|n\rangle =6n^2+6n+3. したがって ΔEn(1)=λ(ℏ2mω0)2(6n2+6n+3). \Delta E_n^{(1)} =\lambda\left(\frac{\hbar}{2m\omega_0}\right)^2 (6n^2+6n+3).
  3. 一次摂動までの固有状態は ∣n⟩λ=∣n⟩+λ∑k≠n⟨k∣X4∣n⟩En(0)−Ek(0)∣k⟩ |n\rangle_\lambda =|n\rangle +\lambda\sum_{k\neq n} \frac{\langle k|X^4|n\rangle}{E_n^{(0)}-E_k^{(0)}}|k\rangle と書ける。X4X^4 は偶関数なので、混ざる状態は同じパリティをもつ k=n±2, n±4 k=n\pm2,\ n\pm4 だけである。 初期状態を n=8n=8 とすると、補正後の状態は偶パリティを保つ。一方、双極子演算子 XX は奇パリティであるから、行列要素をもつ終状態は奇パリティである。一次摂動で現れる成分まで数えると ℓ=3,5,7,9,11,13 \ell=3,5,7,9,11,13 が双極子行列要素をもち得る。発光だけに限れば、エネルギーの低い ℓ=3,5,7 \ell=3,5,7 が候補である。
  4. ハイゼンベルク方程式から X˙=Pm,P˙=−mω02X \dot X=\frac{P}{m},\qquad \dot P=-m\omega_0^2X である。したがって X(t)=X(0)cos⁡ω0t+P(0)mω0sin⁡ω0t. X(t)=X(0)\cos\omega_0t+\frac{P(0)}{m\omega_0}\sin\omega_0t.
  5. 数状態 ∣n⟩|n\rangle では ⟨n∣X(t)∣n⟩=0 \langle n|X(t)|n\rangle=0 である。古典的な振動を示す状態の例としてコヒーレント状態 ∣α⟩|\alpha\rangle を取ると ⟨X(t)⟩α=2ℏmω0 Re(αe−iω0t) \langle X(t)\rangle_\alpha =\sqrt{\frac{2\hbar}{m\omega_0}}\, \mathrm{Re}\left(\alpha e^{-i\omega_0 t}\right) となり、古典振動子と同じ角振動数で振動する。

最終答

% ΔEn(1)=λ(ℏ2mω0)2(6n2+6n+3). \Delta E_n^{(1)} =\lambda\left(\frac{\hbar}{2m\omega_0}\right)^2 (6n^2+6n+3). 調和振動子の双極子選択則は n→n±1n\to n\pm1。X4X^4 摂動を一次まで入れると、n=8n=8 からの双極子行列要素は ℓ=3,5,7,9,11,13 \ell=3,5,7,9,11,13 に対して現れ得る。発光では低エネルギー側の ℓ=3,5,7\ell=3,5,7 が候補である。また X(t)=X(0)cos⁡ω0t+P(0)mω0sin⁡ω0t. X(t)=X(0)\cos\omega_0t+\frac{P(0)}{m\omega_0}\sin\omega_0t.

第4問 — 理想ボース気体とボース・アインシュタイン凝縮

凝縮は励起状態の収容数の限界

フェルミ気体と違い、ボース粒子はいくつでも同じ状態に入れる。しかし三次元自由粒子の励起状態に入る粒子数は、μ=0\mu=0 で有限の上限をもつ。この上限を超えた粒子が基底状態へ巨視的に入る、というのがボース・アインシュタイン凝縮の数式上の見方である。

熱容量の温度依存

T<TcT<T_c では μ=0\mu=0 で固定され、温度依存は状態密度とボース分布だけから出る。三次元では D(E)∝E1/2D(E)\propto E^{1/2} なので、エネルギー積分は U∝T5/2U\propto T^{5/2}、したがって CV∝T3/2C_V\propto T^{3/2} になる。

実在ヘリウムとの違い

数値が同じ桁になるのは、量子縮退の密度スケールを正しく捉えているためである。一方で液体ヘリウムは希薄理想気体ではなく、相互作用、液体構造、フォノン・ロトン励起が重要になる。したがってこの見積もりは転移温度の精密計算ではなく、量子統計のスケール評価と理解する。

解答

一粒子エネルギーの基準を基底状態で E=0E=0 とする。温度 TT、化学ポテンシャル μ\mu に対する平均占有数は f(E)=1exp⁡{(E−μ)/(kBT)}−1 f(E)=\frac{1}{\exp\{(E-\mu)/(k_{\mathrm B}T)\}-1} である。分母が正であるためには μ≤0 \mu\leq 0 でなければならない。

  1. 固定した E>0E>0 では、μ\mu が大きいほど分母が小さくなり、占有数は増える。凝縮点に近づくと μ→0\mu\to0 となる。
  2. 体積 VV の三次元箱で、スピン縮退を考えない一粒子状態数を運動量空間で数えると D(E)dE=Vh34πp2 dp,E=p22m. D(E)dE =\frac{V}{h^3}4\pi p^2\,dp, \qquad E=\frac{p^2}{2m}. よって D(E)=V4π2(2mℏ2)3/2E1/2. D(E)=\frac{V}{4\pi^2} \left(\frac{2m}{\hbar^2}\right)^{3/2}E^{1/2}.
  3. 励起状態に入る粒子数は Nex(T,μ)=∫0∞D(E)dEexp⁡{(E−μ)/(kBT)}−1 N_{\mathrm{ex}}(T,\mu) =\int_0^\infty D(E) \frac{dE}{\exp\{(E-\mu)/(k_{\mathrm B}T)\}-1} である。最大値は μ=0\mu=0 で Nexmax⁡(T)=V(mkBT2πℏ2)3/2ζ ⁣(32). N_{\mathrm{ex}}^{\max}(T) =V\left(\frac{mk_{\mathrm B}T}{2\pi\hbar^2}\right)^{3/2} \zeta\!\left(\frac{3}{2}\right). T→0T\to0 ではこの値は 0 に近づく。
  4. 全粒子数 NN が固定されているとき、凝縮温度 TcT_c は N=V(mkBTc2πℏ2)3/2ζ ⁣(32) N =V\left(\frac{mk_{\mathrm B}T_c}{2\pi\hbar^2}\right)^{3/2} \zeta\!\left(\frac{3}{2}\right) で定まる。したがって Tc=2πℏ2mkB{NVζ(3/2)}2/3. T_c=\frac{2\pi\hbar^2}{mk_{\mathrm B}} \left\{\frac{N}{V\zeta(3/2)}\right\}^{2/3}.
  5. T<TcT<T_c では化学ポテンシャルは μ=0\mu=0 に張り付き、励起状態には Nex(T)=N(TTc)3/2 N_{\mathrm{ex}}(T)=N\left(\frac{T}{T_c}\right)^{3/2} だけ入る。残り N0=N{1−(TTc)3/2} N_0=N\left\{1-\left(\frac{T}{T_c}\right)^{3/2}\right\} が基底状態に巨視的に占有される。
  6. T<TcT<T_c の内部エネルギーは、基底状態のエネルギーを 0 とすれば励起粒子だけが寄与する。 U=∫0∞D(E)E dEeE/(kBT)−1. U =\int_0^\infty D(E) \frac{E\,dE}{e^{E/(k_{\mathrm B}T)}-1}. 積分公式 ∫0∞xs−1ex−1 dx=Γ(s)ζ(s) \int_0^\infty \frac{x^{s-1}}{e^x-1}\,dx =\Gamma(s)\zeta(s) を用いて U=32ζ(5/2)ζ(3/2)NkBT(TTc)3/2. U=\frac{3}{2} \frac{\zeta(5/2)}{\zeta(3/2)} Nk_{\mathrm B}T\left(\frac{T}{T_c}\right)^{3/2}. よって体積一定の熱容量は CV=(∂U∂T)V=154ζ(5/2)ζ(3/2)NkB(TTc)3/2. C_V=\left(\frac{\partial U}{\partial T}\right)_V =\frac{15}{4} \frac{\zeta(5/2)}{\zeta(3/2)} Nk_{\mathrm B}\left(\frac{T}{T_c}\right)^{3/2}.
  7. 液体ヘリウムを理想ボース気体として粗く見積もる。質量密度を ρ=1.5×102 kg/m3\rho=1.5\times10^2\,\mathrm{kg/m^3}、原子質量を m=6.7×10−27 kgm=6.7\times10^{-27}\,\mathrm{kg} とすれば NV=ρm≃2.2×1028 m−3. \frac{N}{V}=\frac{\rho}{m}\simeq2.2\times10^{28}\,\mathrm{m^{-3}}. ζ(3/2)≃2.61\zeta(3/2)\simeq2.61、ℏ≃1.1×10−34 J s\hbar\simeq1.1\times10^{-34}\,\mathrm{J\,s}、kB≃1.4×10−23 J/Kk_{\mathrm B}\simeq1.4\times10^{-23}\,\mathrm{J/K} を用いると Tc≃3 K T_c\simeq 3\,\mathrm{K} の程度になる。実在の液体ヘリウムの転移温度からずれる主な理由は、粒子間相互作用が強く、理想気体近似が粗いことである。

最終答

% f(E)=1e(E−μ)/(kBT)−1,μ≤0, f(E)=\frac{1}{e^{(E-\mu)/(k_{\mathrm B}T)}-1},\qquad \mu\le0, D(E)=V4π2(2mℏ2)3/2E1/2, D(E)=\frac{V}{4\pi^2} \left(\frac{2m}{\hbar^2}\right)^{3/2}E^{1/2}, Tc=2πℏ2mkB{NVζ(3/2)}2/3,N0=N{1−(TTc)3/2}, T_c=\frac{2\pi\hbar^2}{mk_{\mathrm B}} \left\{\frac{N}{V\zeta(3/2)}\right\}^{2/3},\qquad N_0=N\left\{1-\left(\frac{T}{T_c}\right)^{3/2}\right\}, CV=154ζ(5/2)ζ(3/2)NkB(TTc)3/2. C_V=\frac{15}{4} \frac{\zeta(5/2)}{\zeta(3/2)} Nk_{\mathrm B}\left(\frac{T}{T_c}\right)^{3/2}. ヘリウムの理想気体見積もりは Tc≃3 KT_c\simeq3\,\mathrm{K} である。

第5問 — 誘電体スラブ導波路のTEモード

β\beta の範囲を最初に押さえる

導波路問題では、コア内では振動し、クラッドでは減衰するという条件から始めるのが最も確実である。コアで k02n22−β2>0k_0^2n_2^2-\beta^2>0、クラッドで β2−k02n12>0\beta^2-k_0^2n_1^2>0 でなければならないため、ただちに k0n1<β<k0n2 k_0n_1<\beta<k_0n_2 が得られる。

境界条件は EyE_y と HzH_z

TE モードでは接線電場 EyE_y が連続であり、さらに接線磁場 HzH_z も連続である。非磁性媒質では Hz∝dEy/dxH_z\propto dE_y/dx なので、結局 EyE_y とその微分を境界でつなげばよい。この二つの条件から tan⁡(hd)=γ/h\tan(hd)=\gamma/h が出る。

モード数の数え方

V=dk0n22−n12V=dk_0\sqrt{n_2^2-n_1^2} は導波路の規格化周波数に相当する。VV が大きいほど横方向に多くの節をもつ解が入る。偶モードだけを見ると、V≤πV\leq\pi なら基本偶モードだけであり、VV が π\pi を超えると次の偶モードが許される。

解答

角振動数を ω\omega、真空中波数を k0=ω/ck_0=\omega/c とする。屈折率 n2n_2 のコアを ∣x∣<d|x|<d、屈折率 n1n_1 のクラッドを ∣x∣>d|x|>d とし、n2>n1n_2>n_1 とする。伝搬方向は zz 方向で、場の zz 依存性を ei(ωt−βz)e^{i(\omega t-\beta z)} と置く。

  1. コア内の平面波成分の波数の大きさは k0n2k_0n_2 であり、その zz 成分が β\beta である。クラッドで指数減衰する導波モードには k0n1<β<k0n2 k_0n_1<\beta<k_0n_2 が必要である。これは幾何光学的には全反射条件に対応する。
  2. TE モードでは E=(0,Ey(x),0)ei(ωt−βz) \boldsymbol E=(0,E_y(x),0)e^{i(\omega t-\beta z)} と書ける。ファラデーの法則から Hx=−βωμ0Ey,Hz=iωμ0dEydx,Hy=0 H_x=-\frac{\beta}{\omega\mu_0}E_y,\qquad H_z=\frac{i}{\omega\mu_0}\frac{dE_y}{dx},\qquad H_y=0 である。アンペールの法則を合わせると、各領域で d2Eydx2+(k02nj2−β2)Ey=0 \frac{d^2E_y}{dx^2} +\left(k_0^2n_j^2-\beta^2\right)E_y=0 が成り立つ。
  3. HzH_z は EyE_y の xx 微分に比例する。もし Hz=0H_z=0 なら EyE_y は各領域で定数となる。しかしクラッドで減衰し、かつ境界で連続な非自明解は作れない。したがって導波するTEモードでは一般に Hz≠0 H_z\neq0 である。
  4. コア内では h=k02n22−β2 h=\sqrt{k_0^2n_2^2-\beta^2} とおくと Ey′′+h2Ey=0. E_y''+h^2E_y=0. クラッドでは γ=β2−k02n12 \gamma=\sqrt{\beta^2-k_0^2n_1^2} とおくと Ey′′−γ2Ey=0. E_y''-\gamma^2E_y=0.
  5. 偶モードを考えると Ey(x)={Acos⁡hx,∣x∣<d,Be−γ(x−d),x>d,Beγ(x+d),x<−d. E_y(x)= \begin{cases} A\cos hx, & |x|<d,\\ B e^{-\gamma(x-d)}, & x>d,\\ B e^{\gamma(x+d)}, & x<-d. \end{cases} x=dx=d で EyE_y と HzH_z、すなわち dEy/dxdE_y/dx が連続であるから Acos⁡hd=B,−Ahsin⁡hd=−γB. A\cos hd=B,\qquad -Ah\sin hd=-\gamma B. これより htan⁡hd=γ,tan⁡ ⁣(dk02n22−β2)=β2−k02n12k02n22−β2. h\tan hd=\gamma, \qquad \tan\!\left(d\sqrt{k_0^2n_2^2-\beta^2}\right) = \frac{\sqrt{\beta^2-k_0^2n_1^2}} {\sqrt{k_0^2n_2^2-\beta^2}}.
  6. V=dk0n22−n12 V=d k_0\sqrt{n_2^2-n_1^2} とおく。偶モードの分散式は dh−tan⁡−1(γh)=mπ(m=0,1,2,…) d h-\tan^{-1}\left(\frac{\gamma}{h}\right)=m\pi \qquad(m=0,1,2,\ldots) と同値である。左辺は β=k0n1\beta=k_0n_1 で VV、β→k0n2\beta\to k_0n_2 で −π/2-\pi/2 に単調に下がる。したがって少なくとも m=0m=0 の偶モードは存在する。偶モードが一つだけである条件は V≤π,dk0n22−n12≤π V\leq \pi, \qquad d k_0\sqrt{n_2^2-n_1^2}\leq \pi である。

最終答

% 導波条件は k0n1<β<k0n2. k_0n_1<\beta<k_0n_2. TE 偶モードの固有方程式は tan⁡ ⁣(dk02n22−β2)=β2−k02n12k02n22−β2, \tan\!\left(d\sqrt{k_0^2n_2^2-\beta^2}\right) = \frac{\sqrt{\beta^2-k_0^2n_1^2}} {\sqrt{k_0^2n_2^2-\beta^2}}, または dh−tan⁡−1γh=mπ. d h-\tan^{-1}\frac{\gamma}{h}=m\pi. 少なくとも一つの偶モードが存在し、偶モードが一つだけとなる条件は dk0n22−n12≤π d k_0\sqrt{n_2^2-n_1^2}\leq \pi である。

第6問 — 二原子鎖のフォノン分散とブリルアン散乱

二原子鎖だが質量は同じ

この設定では二つの原子の質量は同じで、ばね定数が交互に異なる。したがってゾーン端のギャップは質量差ではなく、強い結合 C1C_1 と弱い結合 C2C_2 の差から生じる。k=π/ak=\pi/a では分枝の端点が 2C2/m\sqrt{2C_2/m} と 2C1/m\sqrt{2C_1/m} に分かれる。

光散乱と中性子散乱の役割分担

光の波数は結晶のブリルアンゾーンに比べて小さいため、ブリルアン散乱で見るのは長波長音響フォノンである。一方、中性子は波長を格子間隔程度にできるので、ゾーン端のフォノンを直接測れる。設問後半は、光散乱で音速を測り、中性子散乱でゾーン端の二つの振動数を測ることで C1,C2,aC_1,C_2,a を復元する流れになっている。

短い入射波長が高いエネルギーに対応する

中性子の運動エネルギーは h2/(2Mnλ2)h^2/(2M_n\lambda^2) である。したがって λi1<λi2\lambda_{i1}<\lambda_{i2} なら、λi1\lambda_{i1} の方が高エネルギーのフォノンを生成する。C1>C2C_1>C_2 なので、ゾーン端では高い方の振動数が C1C_1 に対応する。

解答

質量 mm の原子が交互にばね定数 C1>C2C_1>C_2 のばねでつながれ、単位胞長を aa とする。単位胞 nn の二つの変位を un,vnu_n,v_n と書く。

  1. 運動方程式は mu¨n=−C1(un−vn)−C2(un−vn−1), m\ddot u_n=-C_1(u_n-v_n)-C_2(u_n-v_{n-1}), mv¨n=−C1(vn−un)−C2(vn−un+1) m\ddot v_n=-C_1(v_n-u_n)-C_2(v_n-u_{n+1}) である。平面波 un=Uei(kna−ωt),vn=Vei(kna−ωt) u_n=Ue^{i(kna-\omega t)},\qquad v_n=Ve^{i(kna-\omega t)} を代入すると mω2(UV)=(C1+C2−(C1+C2e−ika)−(C1+C2eika)C1+C2)(UV). m\omega^2 \begin{pmatrix}U\\V\end{pmatrix} = \begin{pmatrix} C_1+C_2 & -(C_1+C_2e^{-ika})\\ -(C_1+C_2e^{ika}) & C_1+C_2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix}U\\V\end{pmatrix}. 固有値は mω2=C1+C2±C12+C22+2C1C2cos⁡ka. m\omega^2=C_1+C_2 \pm\sqrt{C_1^2+C_2^2+2C_1C_2\cos ka}. 符号 −- が音響分枝、符号 ++ が光学分枝である。
  2. k=0k=0 では ωa(0)=0,ωo(0)=2(C1+C2)m. \omega_{\mathrm a}(0)=0,\qquad \omega_{\mathrm o}(0)=\sqrt{\frac{2(C_1+C_2)}{m}}. ゾーン端 k=π/ak=\pi/a では ωa ⁣(πa)=2C2m,ωo ⁣(πa)=2C1m. \omega_{\mathrm a}\!\left(\frac{\pi}{a}\right)=\sqrt{\frac{2C_2}{m}}, \qquad \omega_{\mathrm o}\!\left(\frac{\pi}{a}\right)=\sqrt{\frac{2C_1}{m}}.
  3. 長波長で cos⁡ka≃1−(ka)22 \cos ka\simeq1-\frac{(ka)^2}{2} と展開すると、音響分枝は ωa≃a∣k∣C1C22m(C1+C2). \omega_{\mathrm a}\simeq a|k|\sqrt{\frac{C_1C_2}{2m(C_1+C_2)}}. よって音速は va=aC1C22m(C1+C2). v_{\mathrm a} =a\sqrt{\frac{C_1C_2}{2m(C_1+C_2)}}. 長波長の音響モードでは二つの原子が同位相に動き、光学モードでは逆位相に動く。
  4. 光の入射波数ベクトルを Ki\boldsymbol K_i、散乱後を Kf\boldsymbol K_f、フォノン波数を q\boldsymbol q とする。フォノンを生成するストークス過程では ωi−ωf=ωB,Ki−Kf=q \omega_i-\omega_f=\omega_{\mathrm B},\qquad \boldsymbol K_i-\boldsymbol K_f=\boldsymbol q が成り立つ。光の振動数変化は小さいので ∣Ki∣≃∣Kf∣=nωi/c|\boldsymbol K_i|\simeq|\boldsymbol K_f|=n\omega_i/c と近似できる。散乱角を θ\theta とすると q=∣Ki−Kf∣=2nωicsin⁡θ2. q=|\boldsymbol K_i-\boldsymbol K_f| =2\frac{n\omega_i}{c}\sin\frac{\theta}{2}.
  5. 長波長音響フォノンでは ωB=vaq=2vanωicsin⁡θ2. \omega_{\mathrm B}=v_{\mathrm a}q =2v_{\mathrm a}\frac{n\omega_i}{c}\sin\frac{\theta}{2}.
  6. 後方散乱では θ=π\theta=\pi である。入射光の波長を λi=680 nm\lambda_i=680\,\mathrm{nm}、屈折率を n=2.4n=2.4、ブリルアンシフトの波数表示を 1/λB=3.0 cm−11/\lambda_{\mathrm B}=3.0\,\mathrm{cm^{-1}} とすると 1λB=2nvacλi. \frac{1}{\lambda_{\mathrm B}} =\frac{2nv_{\mathrm a}}{c\lambda_i}. よって va=cλi2nλB≃1.3×104 m/s. v_{\mathrm a} =\frac{c\lambda_i}{2n\lambda_{\mathrm B}} \simeq 1.3\times10^4\,\mathrm{m/s}.
  7. 中性子の質量を MnM_n、プランク定数を h=2πℏh=2\pi\hbar とする。入射波長 λi\lambda_i、散乱後波長 λf\lambda_f に対してフォノン生成のエネルギーは ℏω=h22Mn(1λi2−1λf2). \hbar\omega =\frac{h^2}{2M_n} \left(\frac{1}{\lambda_i^2}-\frac{1}{\lambda_f^2}\right). 二つの入射波長 λi1<λi2\lambda_{i1}<\lambda_{i2} がゾーン端 q=π/aq=\pi/a の二分枝に対応すると、短い入射波長の方が大きいエネルギーを与えるので光学分枝に対応する。したがって ω1=h22Mnℏ(1λi12−1λf2),ω2=h22Mnℏ(1λi22−1λf2) \omega_1= \frac{h^2}{2M_n\hbar} \left(\frac{1}{\lambda_{i1}^2}-\frac{1}{\lambda_f^2}\right), \qquad \omega_2= \frac{h^2}{2M_n\hbar} \left(\frac{1}{\lambda_{i2}^2}-\frac{1}{\lambda_f^2}\right) と置くと C1=mω122,C2=mω222. C_1=\frac{m\omega_1^2}{2},\qquad C_2=\frac{m\omega_2^2}{2}.
  8. すでに得た音速 va=aC1C22m(C1+C2) v_{\mathrm a} =a\sqrt{\frac{C_1C_2}{2m(C_1+C_2)}} を用いると a=va2m(C1+C2)C1C2. a=v_{\mathrm a} \sqrt{\frac{2m(C_1+C_2)}{C_1C_2}}. ω1,ω2\omega_1,\omega_2 で書けば a=2vaω12+ω22ω1ω2. a=2v_{\mathrm a} \frac{\sqrt{\omega_1^2+\omega_2^2}}{\omega_1\omega_2}.

最終答

% mω2=C1+C2±C12+C22+2C1C2cos⁡ka, m\omega^2=C_1+C_2 \pm\sqrt{C_1^2+C_2^2+2C_1C_2\cos ka}, va=aC1C22m(C1+C2). v_{\mathrm a} =a\sqrt{\frac{C_1C_2}{2m(C_1+C_2)}}. ブリルアン散乱では ωB=2vanωicsin⁡θ2,va≃1.3×104 m/s. \omega_{\mathrm B} =2v_{\mathrm a}\frac{n\omega_i}{c}\sin\frac{\theta}{2}, \qquad v_{\mathrm a}\simeq1.3\times10^4\,\mathrm{m/s}. 中性子散乱では C1=mω122,C2=mω222,a=2vaω12+ω22ω1ω2, C_1=\frac{m\omega_1^2}{2},\quad C_2=\frac{m\omega_2^2}{2},\quad a=2v_{\mathrm a} \frac{\sqrt{\omega_1^2+\omega_2^2}}{\omega_1\omega_2}, ωj=h22Mnℏ(1λij2−1λf2)(j=1,2). \omega_j= \frac{h^2}{2M_n\hbar} \left(\frac{1}{\lambda_{ij}^2}-\frac{1}{\lambda_f^2}\right) \quad(j=1,2).

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