東京大学 院試 過去問 解答例
東大 工学系研究科 物理工学専攻 物理学 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)
全4問。量子力学1問。テーマタグは4件(固有値・固有ベクトル・ハミルトン形式・電磁波)。2020年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・ハミルトン形式・電磁波。
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- 解説4問/全4問(2,457字)
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- 途中式と最終答(最終答つき4問)
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東大 物理学 2021年度 院試 過去問の出題内容(全4問)
この4問の分野は量子力学1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 量子力学 | 量子ビットの時間発展とゲート生成 | 見通し / 指数の扱い | あり |
| 第2問 | — | 等方弾性体の応力と弾性波反射 | 押さえるべき対応 / 位相整合の考え方 | あり |
| 第3問 | — | 理想ボース気体とボース凝縮 | 計算の核 / 調和トラップの直感 | あり |
| 第4問 | — | 誘起双極子による電磁波散乱 | どこが放射()か / 横波になる理由 | あり |
この年度の解説には典型ミス1件が付いています。
2021年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は2問に4テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第1問 | 25大学・544問 | |
| ハミルトン形式 | 第1問 | 15大学・72問 | |
| 電磁波 | 第2問 | 15大学・55問 | |
| テイラー展開 | 第1問 | 18大学・45問 |
前年度(2020年度)との違い
- 大問数
- 2020年度 4問 → 2021年度 4問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・ハミルトン形式・電磁波
- 2021年度で新しく出たテーマ
- テイラー展開
第1問 — 量子ビットの時間発展とゲート生成
見通し
時間発展の本質は「エルミート演算子がユニタリーの生成子である」ことにある。 は形式的解、 はその帰結、 は確率保存(ノルム保存)を意味する。
指数の扱い
が時間に依存しないときのみ と書ける。行列指数関数は対角化(固有値分解)で計算でき、 を満たす(エルミートな)ゲートは固有値が なので、固有値 を 、固有値 を に対応させる発想で を作れる。
典型ミス
位相ゲートやアダマールの生成では、全体位相( に を足すこと)を無視して良いかどうかを答案で曖昧にしないこと。設問が「」と等号で指定している場合は、全体位相込みで一致する をひとつ提示するのが安全である。
第2問 — 等方弾性体の応力と弾性波反射
押さえるべき対応
は法線が の面に作用する牽引(トラクション)で、成分は と同一視できる。従って は (この設定では も自動的)という自由表面条件である。
位相整合の考え方
境界条件は「境界上の任意の と任意の時刻 」で成立する必要がある。したがって、境界上の指数因子 の形が一致しない項どうしは打ち消し合えない。この観察だけで の保存、 の保存(スネル則の本質)が一気に出る。
なぜ が特別か
横波は なので、自由表面条件は実質的に の2本を同時に満たす必要がある。入射・反射の2つの振幅だけで2条件を満たせるのは、係数行列が特異になる( か がゼロになる)角度に限られ、 では がそれに当たる。
第3問 — 理想ボース気体とボース凝縮
計算の核
凝縮の有無は「 としても励起状態に入れられる粒子数 が有限かどうか」で決まる。低エネルギーでの状態密度 のべきが臨界挙動を支配し、3次元自由気体では のため が有限になる一方、2次元自由気体では が定数となり赤外発散が出る。
調和トラップの直感
箱では「体積 」が状態数のスケールを与えるが、調和トラップではエネルギー殻の縮退度が増えるため となり、2次元でも が有限になって凝縮が可能になる。
第4問 — 誘起双極子による電磁波散乱
どこが放射()か
双極子の時間変化が作る波(放射場)は、遠方で となる成分である。スカラーポテンシャルの 成分は近接場で、遠方では寄与が落ちる。
横波になる理由
と の 成分が遠方で相殺され、 が のみになる。結果として は 方向で、 は 方向(放射は外向き)になる。
周波数混合
が振動すると は入射周波数 の振幅変調になり、和周波・差周波 が現れる。散乱電場は に比例するため、強度は概ね各成分の スケールで重み付けされる。
東大 物理学 院試 過去問の収録13年度
剛体回転と磁気トルク / 調和振動子と突然近似 / ゴム弾性の統計力学
減衰振動と揺動応答 / 一次元障壁散乱 / 平均場イジング模型
剛体振り子と磁気モーメント測定 / 1次元光共振器 / 固体の比熱
量子井戸と対称性 / 支点加振振り子 / 古典気体の回転平衡
回転磁場によるスピン遷移と Ramsey 干渉 / 一次元格子振動 / 二元合金の相分離
2021年度(このページ・全4問)
量子ビットの時間発展とゲート生成 / 等方弾性体の応力と弾性波反射 / 理想ボース気体とボース凝縮
固定端ばね鎖の固有振動 / 一軸性結晶中の電磁波 / 理想気体と吸着等温式
午前・軌道力学と重力勾配 / 午前・誘導加熱と円環電流 / 午後・デルタ障壁と二粒子干渉
2016年度(全6問)解答・最終答まで全文公開
午前・振り子と二重振り子 / 午前・導体リングと電磁誘導 / 午後・調和振動子のコヒーレント状態
2015年度(全6問)解答・最終答まで全文公開
午前・跳ね返る剛体球 / 午前・線電荷と円筒導体の鏡像法 / 午後・二重井戸と二粒子トンネル
2014年度(全6問)解答・最終答まで全文公開
午前・中心力とラプラス--ルンゲ--レンツベクトル / 午前・電磁場とLC振動 / 午後・スピン軌道相互作用
2013年度(全6問)解答・最終答まで全文公開
粗い円柱のつり合いと滑りから転がりへの移行 / 平行平板間の空間電荷制限電流 / 調和振動子の遷移と非調和摂動
2012年度(全6問)解答・最終答まで全文公開
円板に巻き付く糸につながれた質点 / 円柱導体のジュール熱とポインティングベクトル / スピン1の磁気共鳴と四極子摂動