東京大学 院試 過去問 解答例
東大 工学系研究科 物理工学専攻 物理学 2021年度 院試 解答例・解説
東京大学 工学系研究科 物理工学専攻 物理学 2021年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 量子ビットの時間発展とゲート生成
見通し
時間発展の本質は「エルミート演算子がユニタリーの生成子である」ことにある。 は形式的解、 はその帰結、 は確率保存(ノルム保存)を意味する。
指数の扱い
が時間に依存しないときのみ と書ける。行列指数関数は対角化(固有値分解)で計算でき、 を満たす(エルミートな)ゲートは固有値が なので、固有値 を 、固有値 を に対応させる発想で を作れる。
典型ミス
位相ゲートやアダマールの生成では、全体位相( に を足すこと)を無視して良いかどうかを答案で曖昧にしないこと。設問が「」と等号で指定している場合は、全体位相込みで一致する をひとつ提示するのが安全である。
第2問 — 等方弾性体の応力と弾性波反射
押さえるべき対応
は法線が の面に作用する牽引(トラクション)で、成分は と同一視できる。従って は (この設定では も自動的)という自由表面条件である。
位相整合の考え方
境界条件は「境界上の任意の と任意の時刻 」で成立する必要がある。したがって、境界上の指数因子 の形が一致しない項どうしは打ち消し合えない。この観察だけで の保存、 の保存(スネル則の本質)が一気に出る。
なぜ が特別か
横波は なので、自由表面条件は実質的に の2本を同時に満たす必要がある。入射・反射の2つの振幅だけで2条件を満たせるのは、係数行列が特異になる( か がゼロになる)角度に限られ、 では がそれに当たる。
第3問 — 理想ボース気体とボース凝縮
計算の核
凝縮の有無は「 としても励起状態に入れられる粒子数 が有限かどうか」で決まる。低エネルギーでの状態密度 のべきが臨界挙動を支配し、3次元自由気体では のため が有限になる一方、2次元自由気体では が定数となり赤外発散が出る。
調和トラップの直感
箱では「体積 」が状態数のスケールを与えるが、調和トラップではエネルギー殻の縮退度が増えるため となり、2次元でも が有限になって凝縮が可能になる。
第4問 — 誘起双極子による電磁波散乱
どこが放射()か
双極子の時間変化が作る波(放射場)は、遠方で となる成分である。スカラーポテンシャルの 成分は近接場で、遠方では寄与が落ちる。
横波になる理由
と の 成分が遠方で相殺され、 が のみになる。結果として は 方向で、 は 方向(放射は外向き)になる。
周波数混合
が振動すると は入射周波数 の振幅変調になり、和周波・差周波 が現れる。散乱電場は に比例するため、強度は概ね各成分の スケールで重み付けされる。