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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 工学系研究科 物理工学専攻 物理学 2025年度 院試 解答例・解説

東京大学 工学系研究科 物理工学専攻 物理学 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 減衰振動と揺動応答

方針

前半は線形応答の問題であり、外力が eiΩte^{i\Omega t} に比例するなら定常応答も同じ時間因子をもつ。過渡項は減衰で消えるため、代数方程式だけを解けばよい。後半は同じ線形振動子を白色雑音で駆動する問題で、運動方程式から得るエネルギー型の恒等式と、パワースペクトルの逆変換を組み合わせる。

共鳴曲線の読み方

ε-\varepsilon'' は吸収に対応するローレンツ型で、共鳴周波数の近くで正の鋭い山になる。一方 ε\varepsilon' は分散型で、Ω=ω0\Omega=\omega_0 を境に符号を変える。答案で概形を描くときは、ε-\varepsilon'' のピークを ω0\omega_0ε\varepsilon' の正負の極値を ω0ζ/(2m)\omega_0\mp \zeta/(2m) と明記するのが採点上重要である。

相関関数の検算

得られた相関関数は τ|\tau|\to\infty で指数的に 0 へ減衰し、τ=0\tau=0 では x2=I2mζω02 \langle x^2\rangle=\frac{I}{2m\zeta\omega_0^2} となる。これは問 [2.1][2.1]x2=v2/ω02\langle x^2\rangle=v^2/\omega_0^2 と一致し、揺動強度が I=2mζv2I=2m\zeta v^2 でなければならないことを示す。次元も [I]=[2時間][I]=[\text{力}^2\text{時間}] で、右辺 mζv2m\zeta v^2 と一致する。

典型ミス

フーリエ変換で x˙iωX\dot{x}\mapsto -i\omega X としてしまうと、応答関数の虚部の符号が逆になる。この問題の規約は X(ω)=x(t)eiωtdtX(\omega)=\int x(t)e^{-i\omega t}dt なので、部分積分により x˙iωX\dot{x}\mapsto i\omega X である。また、xx¨=x˙2\langle x\ddot{x}\rangle=-\langle \dot{x}^2\rangle は定常性から出る関係であり、この一行を書かないと平均二乗変位の導出が説明不足になる。

試験で書くべきポイント

前半では分母を実数化して ε\varepsilon'ε\varepsilon'' を明確に分ける。後半では、白色雑音から If(ω)=II_f(\omega)=I となること、相関関数はスペクトルの逆フーリエ変換で求めること、最後に τ=0\tau=0 の比較で II を決めることを順に示すと、長い計算でも答案の流れが崩れない。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 一次元障壁散乱

方針

矩形障壁では各領域の一般解を置き、境界で波動関数と導関数をつなぐ。左右のポテンシャルが同じなら透過率は単に振幅比の二乗でよいが、左右の波数が異なる場合は確率流 j=mIm ⁣(ψdψdx) j=\frac{\hbar}{m}\operatorname{Im}\!\left(\psi^*\frac{d\psi}{dx}\right) の比をとる必要がある。この違いが第 [3][3] 部の最も重要な点である。

透過率の検算

T1T_1aγ1a\gamma\gg1e4γae^{-4\gamma a} に比例して小さくなる。障壁の幅は 2a2a なので指数は 2γ(2a)=4γa-2\gamma(2a)=-4\gamma a であり、ここを 2γa-2\gamma a とする誤りが多い。逆に E>V0E>V_0 では障壁内も振動解となり、sin2(2aq)\sin^2(2aq) が消えるエネルギーで干渉による完全透過が起こる。

概形の描き方

T2T_2E/V0E/V_0 の関数として描くと、しきい値直後から振動しながら、包絡線として 1 に近づく曲線になる。極大点では T2=1T_2=1 で、極大条件 2aq=nπ2aq=n\pi を横軸上に示す。高エネルギー側で T21T_2\to1 と明記すると、係数 V02/[4E(EV0)]V_0^2/[4E(E-V_0)] の意味も伝わる。

典型ミス

[3][3] 部で T3=E/A2T_3=|E/A|^2 としてしまうと、右側の速度が変わる効果を落とす。透過側の確率流は (k1/m)E2(\hbar k_1/m)|E|^2、入射側は (k/m)A2(\hbar k/m)|A|^2 なので、必ず k1/kk_1/k を掛ける。また、R3+T3=1R_3+T_3=1 は確率流で定義した反射率・透過率に対して成り立つ保存則である。

試験で書くべきポイント

境界条件を少なくとも一組は明示し、透過率を振幅比から確率流の比へ変換する手順を書く。近似問題では、どの因子を近似したかを sinh(2γa)\sinh(2\gamma a) などの形で示すと、最終式だけよりも採点者が部分点を付けやすい。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 平均場イジング模型

方針

全結合イジング模型では、個々のスピン配置を直接数えるよりも、総スピン Sσ=ασαS_\sigma=\sum_\alpha\sigma_\alpha でエネルギーを表すのが最短である。恒等式 (ασα)2=N+2α<βσασβ \left(\sum_\alpha\sigma_\alpha\right)^2 = N+2\sum_{\alpha<\beta}\sigma_\alpha\sigma_\beta を使うと、相互作用の和が一気に整理される。

基底状態の意味

J>0J>0 ではスピンが揃うほどエネルギーが下がるので、全上向きと全下向きの 2 状態が基底状態である。J<0J<0 では総スピンをできるだけ 0 に近づけるのが有利で、偶奇によって最小の N2M|N-2M| が変わる。この偶奇の場合分けを落とすと一般 NN の答えとして不完全になる。

低温極限の検算

低温で me2J/(kBT)m\simeq e^{-2J/(k_BT)} となるのは、揃った状態から一つ反転させる励起のエネルギー差が 2J2J であることに対応している。熱容量も同じ活性化因子をもち、 C/NT2e2J/(kBT) C/N\propto T^{-2}e^{-2J/(k_BT)} となる。指数因子だけでなく前の T2T^{-2} まで出すには、mm を温度で微分する必要がある。

典型ミス

エントロピーで W=(NM)W=\binom{N}{M} を使うとき、mm1m1-m の両方の項が必要である。また、温度は dS/dEdS/dE から求めるので、 dSdE=dS/dmdE/dm \frac{dS}{dE}=\frac{dS/dm}{dE/dm} と書いてから計算すると、逆数を取り違えにくい。m1/2m\to1/2 の極限では分子・分母がともに 0 になるため、一次展開を明示するのがよい。

試験で書くべきポイント

小さい NN の表、一般 NNE(M)E(M)、熱力学極限の E/NE/NS/NS/N を別々に整理する。特に J<0J<0 の偶奇、低温の活性化形、臨界温度 Tc=J/kBT_c=J/k_B は答えだけを並べるより、どの極限から出たかを一言添えると答案の信頼性が上がる。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — プラズマ中の電磁波

方針

プラズマ中の電磁波は、電子の運動から電流密度を求め、それを波動方程式へ戻すことで分散関係を得る。静磁場がない場合はスカラーの誘電応答、静磁場がある場合は x,yx,y 成分がローレンツ力で混ざるため、導電率が 2×22\times2 行列になる。

符号の確認

電子の電荷は e-e なので、ローレンツ力は e(E+v×B)-e(\mathbf{E}+\mathbf{v}\times\mathbf{B}) である。Bz>0B_z>0 のとき v×B=(vyBz,vxBz,0) \mathbf{v}\times\mathbf{B}=(v_yB_z,\,-v_xB_z,\,0) となるため、運動方程式の xx 成分には ωcvy-\omega_cv_yyy 成分には +ωcvx+\omega_cv_x が入る。この符号が反対になると、円偏光モードと k+k_+, kk_- の対応が入れ替わる。

固有モードの物理

静磁場中では左右の円偏光が固有モードになる。二つの円偏光は異なる波数をもつため、初めに直線偏光として入れた波は、進行するにつれて二成分の位相差を蓄積する。その結果、偏光面が θ(z)=k+k2z \theta(z)=\frac{k_+-k_-}{2}z だけ回転する。これはファラデー回転の基本的な形である。

伝搬条件の検算

磁場なしでは k2=(ω2ωp2)/c2k^2=(\omega^2-\omega_p^2)/c^2 なので、低周波側では波数が純虚数となり長距離伝搬しない。磁場ありでは二つの円偏光のうち 1ωp2ω(ωωc) 1-\frac{\omega_p^2}{\omega(\omega-\omega_c)} の方が小さいため、こちらが正ならもう一方も正である。したがって二モード伝搬の条件は一つの不等式にまとめられる。

試験で書くべきポイント

導電率行列を出すところでは、時間因子 eiωte^{-i\omega t} から t=iω\partial_t=-i\omega とすることを明記する。最後の偏光の問題では、初期の直線偏光を円偏光固有ベクトルの和に分解してから、それぞれに eik±ze^{ik_\pm z} を掛けると、回転角まで自然に導ける。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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