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名古屋工業大学 院試 過去問 解答例

名工大 工学研究科 物理工学系 応用物理プログラム 応用物理 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。電磁気学・回路1問・量子力学1問。テーマタグは6件(静電場・ハミルトン形式・電磁波)。2024年度と共通のテーマは電磁波。

最終更新:

収録3年度分の解答PDF:名古屋工業大学 工学研究科 物理工学系 応用物理プログラム 応用物理(¥2,180・紙面見本あり)

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

名工大 応用物理 2025年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は電磁気学・回路1問・量子力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—基礎物理数学保存力場の確認 / ガウスの定理での検算あり
第2問電磁気学・回路電磁気学導体棒で効く磁場成分 / エネルギーでの検算あり
第3問—統計物理学自由エネルギー最小化の形 / 相互作用項の微分あり
第4問量子力学量子物理学交換関係の示し方 / 期待値の時間微分あり

この年度の解説には試験で書くべきポイント4件・典型ミス3件が付いています。

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に6テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 4問 → 2025年度 4問
両年度に出たテーマ
電磁波
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第1問 — 基礎物理数学

方針

第1問は、計算を力任せに進めるよりも、使う定理を先に選ぶのが重要である。ベクトル場 F⃗\vec F では回転がゼロかを見て保存力場として扱い、球面積分では直接面積分ではなく発散定理へ移す。微分方程式は変数分離、フーリエ級数は偶奇性を最初に判定する、という順に進めると計算量を抑えられる。

保存力場の確認

線積分を直接パラメータ表示で計算してもよいが、最初に rot⁡F⃗=0⃗\operatorname{rot}\vec F=\vec0 を得ているので、ポテンシャル差で出す方が速く、計算ミスも少ない。ポテンシャルには任意定数が付くが、差を取るため線積分の値には影響しない。

ガウスの定理での検算

球面上で直接計算すると、外向き単位法線は n⃗=(x,y,z)/R\vec n=(x,y,z)/R であり E⃗⋅n⃗=x4+y4+z4R \vec E\cdot\vec n=\frac{x^4+y^4+z^4}{R} となる。球面平均 ⟨x4⟩=R4/5\langle x^4\rangle=R^4/5 を使えば ∫SE⃗⋅n⃗ dS=3R4/5R⋅4πR2=12π5R5 \int_S\vec E\cdot\vec n\,dS =\frac{3R^4/5}{R}\cdot 4\pi R^2 =\frac{12\pi}{5}R^5 となり、発散定理による答と一致する。

ロジスティック方程式の典型ミス

0<y<10<y<1 なので log⁡∣y/(1−y)∣\log|y/(1-y)| の絶対値は最終的に外してよい。初期条件 y(0)=1/2y(0)=1/2 を入れると積分定数がちょうどゼロになる。e−kte^{-kt} 型に直すと、t→∞t\to\infty で y→1y\to 1、t→−∞t\to -\infty で y→0y\to 0 となり、微分方程式の向きとも合う。

フーリエ係数の注意

三角波は偶関数なので bn=0b_n=0 と先に判断できる。a0a_0 は級数中で a0/2a_0/2 として現れるため、定数項を a0a_0 と書いてしまうミスが多い。この問題では a0=1a_0=1、定数項は 1/21/2 である。

無限級数の取り出し方

フーリエ級数を t=0t=0 に代入するのが最短である。端点や折れ点で級数値を使うときは左右極限の平均になるが、ここでは関数が連続で値は 00 なのでそのまま代入できる。

試験で書くべきポイント

ベクトル解析では、rot⁡F⃗=0⃗\operatorname{rot}\vec F=\vec0 と発散定理の式を答案に明記してから数値計算へ進む。フーリエ級数では、g(t)g(t) が偶関数であるため bn=0b_n=0 となること、定数項が a0/2a_0/2 であること、最後に t=0t=0 を代入して奇数項だけの級数を取り出すことを書くと、採点者に論理の流れが伝わる。

解答

I ベクトル解析と微分方程式
  1. ベクトル場を F⃗=(Fx,Fy,Fz)=(2x−3y,−3x,4z) \vec F=(F_x,F_y,F_z)=(2x-3y,-3x,4z) とおく。 rot⁡F⃗=(∂Fz∂y−∂Fy∂z,∂Fx∂z−∂Fz∂x,∂Fy∂x−∂Fx∂y)=(0,0,−3−(−3))=(0,0,0). \operatorname{rot}\vec F =\left( \frac{\partial F_z}{\partial y}-\frac{\partial F_y}{\partial z}, \frac{\partial F_x}{\partial z}-\frac{\partial F_z}{\partial x}, \frac{\partial F_y}{\partial x}-\frac{\partial F_x}{\partial y} \right) =(0,0,-3-(-3))=(0,0,0). したがってポテンシャルが存在する。F⃗=grad⁡U\vec F=\operatorname{grad}Uより Ux=2x−3y,Uy=−3x,Uz=4z. U_x=2x-3y,\qquad U_y=-3x,\qquad U_z=4z. まず xx で積分して U=x2−3xy+g(y,z). U=x^2-3xy+g(y,z). Uy=−3xU_y=-3x であるため gy=0g_y=0、よって g=h(z)g=h(z)。さらに Uz=4zU_z=4z から h′(z)=4zh'(z)=4z である。従って U(x,y,z)=x2−3xy+2z2+C U(x,y,z)=x^2-3xy+2z^2+C である。 線積分は保存力場の基本定理で ∫CF⃗⋅dr⃗=U(B)−U(A) \int_C \vec F\cdot d\vec r=U(B)-U(A) と計算できる。A=(5,−2,1)A=(5,-2,1)、B=(−3,1,4)B=(-3,1,4) として U(A)=25−3⋅5⋅(−2)+2=57, U(A)=25-3\cdot 5\cdot(-2)+2=57, U(B)=9−3⋅(−3)⋅1+2⋅16=50. U(B)=9-3\cdot(-3)\cdot 1+2\cdot 16=50. したがって ∫CF⃗⋅dr⃗=−7. \int_C \vec F\cdot d\vec r=-7.
  2. E⃗=(x3,y3,z3) \vec E=(x^3,y^3,z^3) について div⁡E⃗=∂x3∂x+∂y3∂y+∂z3∂z=3(x2+y2+z2). \operatorname{div}\vec E =\frac{\partial x^3}{\partial x} +\frac{\partial y^3}{\partial y} +\frac{\partial z^3}{\partial z} =3(x^2+y^2+z^2). 閉曲面 SS の外向き単位法線を n⃗\vec n とすると、ガウスの発散定理は ∫SE⃗⋅n⃗ dS=∫Vdiv⁡E⃗ dV \int_S \vec E\cdot \vec n\,dS = \int_V \operatorname{div}\vec E\,dV である。球の内部では r2=x2+y2+z2r^2=x^2+y^2+z^2 だから ∫SE⃗⋅n⃗ dS=∫V3r2 dV=3∫0Rr2⋅4πr2 dr=12π5R5. \int_S \vec E\cdot \vec n\,dS =\int_V 3r^2\,dV =3\int_0^R r^2\cdot 4\pi r^2\,dr =\frac{12\pi}{5}R^5.

微分方程式 dydt=ky(1−y),y(0)=12 \frac{dy}{dt}=ky(1-y),\qquad y(0)=\frac12 は変数分離で解く。 dyy(1−y)=k dt,1y(1−y)=1y+11−y. \frac{dy}{y(1-y)}=k\,dt,\qquad \frac{1}{y(1-y)}=\frac1y+\frac{1}{1-y}. よって log⁡y1−y=kt+C. \log\frac{y}{1-y}=kt+C. 初期条件から y/(1−y)=1y/(1-y)=1 at t=0t=0 なので C=0C=0。従って y1−y=ekt,y(t)=ekt1+ekt=11+e−kt. \frac{y}{1-y}=e^{kt},\qquad y(t)=\frac{e^{kt}}{1+e^{kt}} =\frac{1}{1+e^{-kt}}.

II フーリエ級数
  1. 複素フーリエ係数は cn=ω02π∫−π/ω0π/ω0f(t)e−inω0t dt c_n=\frac{\omega_0}{2\pi} \int_{-\pi/\omega_0}^{\pi/\omega_0} f(t)e^{-in\omega_0 t}\,dt であり、 e−inω0t=cos⁡(nω0t)−isin⁡(nω0t) e^{-in\omega_0t}=\cos(n\omega_0t)-i\sin(n\omega_0t) を用いると cn=12(an−ibn). c_n=\frac12(a_n-i b_n). したがって ∣cn∣=12an2+bn2. |c_n|=\frac12\sqrt{a_n^2+b_n^2}. 特に n=0n=0 では b0=0b_0=0 であり c0=a0/2c_0=a_0/2 である。
  2. 図の関数は偶関数で、周期 2π/ω02\pi/\omega_0 の三角波である。したがって正弦項は消える。 0≤t≤π/ω00\le t\le \pi/\omega_0 では g(t)=ω0πt g(t)=\frac{\omega_0}{\pi}t であるから、 a0=ω0π∫−π/ω0π/ω0g(t) dt=2ω0π∫0π/ω0ω0tπ dt=1. a_0=\frac{\omega_0}{\pi}\int_{-\pi/\omega_0}^{\pi/\omega_0}g(t)\,dt =\frac{2\omega_0}{\pi}\int_0^{\pi/\omega_0}\frac{\omega_0 t}{\pi}\,dt=1. また n≥1n\ge 1 について an=2ω0π∫0π/ω0ω0tπcos⁡(nω0t) dt. a_n=\frac{2\omega_0}{\pi}\int_0^{\pi/\omega_0} \frac{\omega_0 t}{\pi}\cos(n\omega_0t)\,dt. u=ω0tu=\omega_0t とおくと an=2π2∫0πucos⁡(nu) du. a_n=\frac{2}{\pi^2}\int_0^\pi u\cos(nu)\,du. 部分積分により ∫0πucos⁡(nu) du=[usin⁡(nu)n]0π−1n∫0πsin⁡(nu) du=(−1)n−1n2. \int_0^\pi u\cos(nu)\,du =\left[\frac{u\sin(nu)}{n}\right]_0^\pi -\frac1n\int_0^\pi\sin(nu)\,du =\frac{(-1)^n-1}{n^2}. したがって an=2π2(−1)n−1n2,bn=0. a_n=\frac{2}{\pi^2}\frac{(-1)^n-1}{n^2},\qquad b_n=0. 求める級数は g(t)=12+∑n=1∞2{(−1)n−1}π2n2cos⁡(nω0t). g(t)=\frac12+\sum_{n=1}^{\infty} \frac{2\{(-1)^n-1\}}{\pi^2n^2}\cos(n\omega_0t). 偶数 nn の項はゼロなので、 g(t)=12−4π2∑m=1∞cos⁡{(2m−1)ω0t}(2m−1)2. g(t)=\frac12-\frac{4}{\pi^2} \sum_{m=1}^{\infty}\frac{\cos\{(2m-1)\omega_0t\}}{(2m-1)^2}.
  3. t=0t=0 で g(0)=0g(0)=0 を代入すると 0=12−4π2∑m=1∞1(2m−1)2. 0=\frac12-\frac{4}{\pi^2} \sum_{m=1}^{\infty}\frac{1}{(2m-1)^2}. よって ∑m=1∞1(2m−1)2=π28. \sum_{m=1}^{\infty}\frac{1}{(2m-1)^2}=\frac{\pi^2}{8}.

最終答

rot⁡F⃗=0⃗,U=x2−3xy+2z2+C,∫CF⃗⋅dr⃗=−7,div⁡E⃗=3(x2+y2+z2),∫SE⃗⋅n⃗ dS=12π5R5,y(t)=11+e−kt,cn=12(an−ibn),∣cn∣=12an2+bn2,g(t)=12−4π2∑m=1∞cos⁡{(2m−1)ω0t}(2m−1)2,∑m=1∞1(2m−1)2=π28. \begin{gathered} \operatorname{rot}\vec F=\vec0,\quad U=x^2-3xy+2z^2+C,\quad \int_C\vec F\cdot d\vec r=-7,\\ \operatorname{div}\vec E=3(x^2+y^2+z^2),\quad \int_S\vec E\cdot\vec n\,dS=\frac{12\pi}{5}R^5,\\ y(t)=\frac{1}{1+e^{-kt}},\quad c_n=\frac12(a_n-ib_n),\quad |c_n|=\frac12\sqrt{a_n^2+b_n^2},\\ g(t)=\frac12-\frac{4}{\pi^2} \sum_{m=1}^{\infty}\frac{\cos\{(2m-1)\omega_0t\}}{(2m-1)^2},\quad \sum_{m=1}^{\infty}\frac{1}{(2m-1)^2}=\frac{\pi^2}{8}. \end{gathered}

第2問 — 電磁気学

方針

前半は、磁束の時間変化から起電力を出し、オームの法則、ローレンツ力、運動方程式へ順に接続する。後半は円柱対称性を使い、場の向きを先に e⃗r\vec e_r または e⃗θ\vec e_\theta に決めてから、ガウスの法則・アンペールの法則で大きさを求める。最後の発散と回転は、与えられた円柱座標公式に代入して確認する。

導体棒で効く磁場成分

起電力は磁束の時間変化で決まるため、レール面に垂直な磁場成分 Bcos⁡θB\cos\theta を使う。ここで BB や Bsin⁡θB\sin\theta を入れると、θ=0\theta=0 の水平レールで最大、θ→π/2\theta\to\pi/2 の鉛直面でゼロという極限と合わない。

エネルギーでの検算

終端速度では I2R=(BwVcos⁡θR)2R=B2w2cos⁡2θRV2. I^2R=\left(\frac{BwV\cos\theta}{R}\right)^2R =\frac{B^2w^2\cos^2\theta}{R}V^2. 終端条件より B2w2cos⁡2θRV=mgsin⁡θ \frac{B^2w^2\cos^2\theta}{R}V=mg\sin\theta なので I2R=mgVsin⁡θI^2R=mgV\sin\theta となる。力のつり合いとエネルギー収支が一致している。

円柱座標の微分

rne⃗rr^n\vec e_r の発散では ∂Ar/∂r\partial A_r/\partial r だけではなく、必ず 1r∂(rAr)∂r \frac1r\frac{\partial(rA_r)}{\partial r} を使う。rne⃗θr^n\vec e_\theta の回転も同様に rAθrA_\theta を微分する。座標系の単位ベクトルが場所で変わることが、この rr の因子として現れる。

マクスウェル方程式との対応

電荷がある内部で div⁡E⃗=ρ/ε0\operatorname{div}\vec E=\rho/\varepsilon_0、外部で 00 となるのはガウスの法則そのものである。また定常電流のある内部で rot⁡B⃗=μ0ie⃗z\operatorname{rot}\vec B=\mu_0 i\vec e_z、外部で 0⃗\vec0 となるのはアンペールの法則に対応する。境界 r=ar=a では場そのものは連続だが、設問の微分計算は内部・外部で分けて答える。

典型ミス

導体棒の問題では、力の向きを重力と同じ向きに取ってしまうミスが多い。誘導電流による力はレンツの法則により運動を妨げる向きなので、運動方程式では速度に比例する項に負号が付く。円柱問題では、外部領域の電場・磁場を内部式のまま rr に比例させる誤答が多い。外部では包む電荷量・電流量が一定になるため、どちらも 1/r1/r 型になる。

試験で書くべきポイント

終端速度を求める答案では、m dv/dt=0m\,dv/dt=0 として力のつり合いから VV を出したことを明記する。円柱座標の小問では、内部と外部の範囲を場合分けし、r=ar=a で場が連続になることを軽く確認しておくと、式の選択が正しいことを示せる。

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第3問 — 統計物理学

方針

前半は、確率分布そのものを変数として自由エネルギーを最小化する問題である。規格化条件はラグランジュ未定乗数で入れ、相互作用がある場合は ∑ipipi+1\sum_i p_ip_{i+1} の中で pip_i を含む2項を落とさずに微分する。後半は、スピン縮退度 gs=2s+1g_s=2s+1 を含めたフェルミ波数を求め、T=0T=0 の内部エネルギー U=(3/5)NεFU=(3/5)N\varepsilon_F を各成分に適用する。

自由エネルギー最小化の形

エントロピーの微分で ∂∂pi(piln⁡pi)=ln⁡pi+1 \frac{\partial}{\partial p_i}(p_i\ln p_i)=\ln p_i+1 を落とさないことが重要である。+1+1 は最終的には規格化定数に吸収されるが、途中式で消してよいわけではない。

相互作用項の微分

∑ipipi+1\sum_i p_ip_{i+1} を pip_i で微分すると、pipi+1p_ip_{i+1} から pi+1p_{i+1}、pi−1pip_{i-1}p_i から pi−1p_{i-1} が出る。周期境界条件があるため端点でも同じ形で書ける。ここを片側の pi+1p_{i+1} だけにすると、引力が左右両隣から働く効果を半分落とす。

引力相互作用の物理的意味

相互作用項は負であり、隣接する確率が同時に大きいほど自由エネルギーが下がる。これは分布を全体に平坦化する効果ではなく、ポテンシャル最小点の周辺に確率の重みを集める効果である。ただし相互作用が同じ位置ではなく隣接位置に働くため、「pαp_\alpha だけが単調に増える」と断定するより、最小点近傍の隣接サイトを含む山が強くなる、と表現する方が正確である。

縮退度とフェルミ波数

スピン量子数 ss の縮退度は 2s+12s+1 である。粒子数だけを見て系1と系2を比較すると誤る。系2では異なるスピン種は別成分なので、粒子数 NN の気体を2つ足し合わせる。特にスピン 5/25/2 成分は縮退度が大きく、同じ NN でもフェルミ波数が小さくなる。

熱容量比較の見方

低温で熱励起できるのはフェルミ面近傍だけである。系1と系3はフェルミエネルギーが同じだが、系1は粒子総数が2倍で、フェルミ面上の状態数も2倍になる。したがって低温定積熱容量は系1の方が大きい。

典型ミス

フェルミ気体では、粒子数 2N2N だけを見て系1の縮退度を忘れると kFk_F がずれる。系2は2種類の粒子が混ざった1つのフェルミ海ではなく、スピン 1/21/2 成分とスピン 5/25/2 成分を別々に詰める。自由エネルギー最小化では、規格化定数に吸収される項を途中で勝手に捨てると、停留条件の導出としては不十分になる。

試験で書くべきポイント

相互作用ありの分布は明示解ではなく自己無撞着方程式でよい。答案では pip_i の右辺にも pi−1,pi+1p_{i-1},p_{i+1} が残ることをはっきり書く。フェルミ気体の比較では、gsg_s、kFk_F、εF\varepsilon_F、UU の順に並べると、どの縮退度をどこに使ったかが採点しやすい。

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第4問 — 量子物理学

方針

前半は、交換子から期待値の運動方程式を導くエーレンフェストの定理である。自由粒子では H^=p^x2/(2m)\hat H=\hat p_x^2/(2m) とし、[x^,p^x]=iℏ[\hat x,\hat p_x]=i\hbar から x‾\overline{x} と px‾\overline{p_x} の時間変化を求める。後半は、階段ポテンシャルの左右で波数が異なる平面波を接続し、確率流で保存則を確認する。

交換関係の示し方

[x^,p^x]=iℏ[\hat x,\hat p_x]=i\hbar は暗記でもよいが、試験答案では任意の関数に作用させて示すと符号ミスを防げる。p^x=−iℏ∂x\hat p_x=-i\hbar\partial_x のマイナスを落とすと、後のエーレンフェストの式も逆符号になる。

期待値の時間微分

演算子が時間に陽に依存する場合は ⟨∂O^/∂t⟩\langle \partial \hat O/\partial t\rangle が追加される。この設問では「時間に陽に依存しない」とされているため、交換子の項だけでよい。導出ではハミルトニアンのエルミート性を使って左側に出る H^\hat H を移す点を書くと、式変形が正当化される。

自由粒子の検算

自由粒子では運動量が保存する。従って位置期待値は等速直線運動になる。初期波動関数が原点中心の実ガウス型であるため、平均位置も平均運動量もゼロであり、波束は広がっても中心は動かない。

確率流の係数

透過率は単に ∣T/A∣2|T/A|^2 ではなく、速度の違いを含めて T=k2∣T∣2k1∣A∣2 \mathcal T=\frac{k_2|T|^2}{k_1|A|^2} である。一方、反射側は入射側と同じ領域なので速度因子が同じで、R=∣R/A∣2\mathcal R=|R/A|^2 となる。

階段ポテンシャルの符号

左側が低いポテンシャルなので、同じ全エネルギー EE に対して左側の波数 k1k_1 は右側の k2k_2 より大きい。反射確率の条件で k1/k2=3k_1/k_2=3 を得ると、E+V0=9EE+V_0=9E から E=V0/8E=V_0/8 となる。

典型ミス

期待値の時間微分では、[O^,H^][\hat O,\hat H] と [H^,O^][\hat H,\hat O] の順序を入れ替えると符号が変わる。散乱問題では、透過確率を ∣T/A∣2|T/A|^2 とだけ書く誤りが多い。右側と左側で波数、すなわち速度が違うため、透過流には k2/k1k_2/k_1 の補正が必要である。

試験で書くべきポイント

ガウス波束の小問では、初期波動関数が実かつ偶関数であることから x‾(0)=0\overline{x}(0)=0、px‾(0)=0\overline{p_x}(0)=0 と書けば十分である。階段ポテンシャルでは、境界で波動関数と微分が連続であること、確率保存を確率流で確認すること、反射確率 1/41/4 から正の根を選ぶことを答案に残す。

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名工大 応用物理 院試 過去問の収録3年度

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