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名大 情報学研究科 複雑系科学 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全19問)

全19問の分野は熱・統計力学1問、力学1問です。固有値・固有ベクトル、調和振動子、分配関数などが出ています。2025年度と共通するテーマは固有値・固有ベクトル、調和振動子、分配関数です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 数1

複素内積の向き

この問題の内積は (u,v)=u1v1‾+u2v2‾(u,v)=u_1\overline{v_1}+u_2\overline{v_2} と定義されている。したがって第2成分では i‾=−i\overline{i}=-i を掛ける点に注意する。物理でよく使う記法とは線形性の置き方が逆の場合もあるため,必ず問題文の定義から計算する。

Fourier係数は正規直交性から出る

ϕn\phi_n が正規直交系であることを示した後は,展開式の両辺に ϕm\phi_m との内積を取るだけで係数が分離される。積分の指数は,内積の第2成分側に複素共役が付くため e−imxe^{-imx} になる。

線形写像は基底の像で決まる

3つの入力ベクトルが一次独立であることは,列に並べた行列の行列式が −1-1 であることから分かる。したがって,その3点の像を指定すれば R3\mathbb{R}^3 全体で線形写像が一意に決まる。

解答

[1]

1) 内積の定義に従うと (u,v)=(1+i)(2+3i)‾+(2−i)i‾=(1+i)(2−3i)+(2−i)(−i). (u,v) =(1+i)\overline{(2+3i)}+(2-i)\overline{i} =(1+i)(2-3i)+(2-i)(-i). したがって (1+i)(2−3i)=5−i,(2−i)(−i)=−1−2i (1+i)(2-3i)=5-i,\qquad (2-i)(-i)=-1-2i より (u,v)=4−3i. (u,v)=4-3i. また ∥u∥=(u,u)=∣1+i∣2+∣2−i∣2=2+5=7. \|u\|=\sqrt{(u,u)} =\sqrt{|1+i|^2+|2-i|^2} =\sqrt{2+5} =\sqrt{7}.

2) ϕn(x)=12πeinx(n=0,±1,±2,…) \phi_n(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{inx} \qquad (n=0,\pm1,\pm2,\ldots) とおく。整数 m,nm,n に対して (ϕm,ϕn)=12π∫02πeimxe−inx dx=12π∫02πei(m−n)x dx. (\phi_m,\phi_n) =\frac{1}{2\pi}\int_0^{2\pi}e^{imx}e^{-inx}\,dx =\frac{1}{2\pi}\int_0^{2\pi}e^{i(m-n)x}\,dx. m=nm=n のときこの値は 11 である。m≠nm\ne n のときは ∫02πei(m−n)x dx=[ei(m−n)xi(m−n)]02π=0 \int_0^{2\pi}e^{i(m-n)x}\,dx =\left[\frac{e^{i(m-n)x}}{i(m-n)}\right]_0^{2\pi} =0 であるから,(ϕm,ϕn)=δmn(\phi_m,\phi_n)=\delta_{mn} であり,正規直交系である。

さらに f(x)=∑n=−∞∞cnϕn(x) f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_n\phi_n(x) と展開されるなら,両辺と ϕm\phi_m の内積を取って (f,ϕm)=∑n=−∞∞cn(ϕn,ϕm)=cm. (f,\phi_m)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_n(\phi_n,\phi_m)=c_m. よって任意の整数 nn について cn=(f,ϕn)=12π∫02πf(x)e−inx dx. c_n=(f,\phi_n) =\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_0^{2\pi}f(x)e^{-inx}\,dx.

[2]

線形写像を表す行列を A=(abcdef) A=\begin{pmatrix}a&b&c\\ d&e&f\end{pmatrix} とする。与えられた3つの対応を列ベクトルでまとめると A(120132011)=(2−11103). A \begin{pmatrix} 1&2&0\\ 1&3&2\\ 0&1&1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 2&-1&1\\ 1&0&3 \end{pmatrix}. 右の 3×33\times3 行列は行列式が −1-1 で可逆であるから, A=(2−11103)(120132011)−1=(−46−11−45−7). A= \begin{pmatrix} 2&-1&1\\ 1&0&3 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1&2&0\\ 1&3&2\\ 0&1&1 \end{pmatrix}^{-1} = \begin{pmatrix} -4&6&-11\\ -4&5&-7 \end{pmatrix}.

[3]

すべての成分が 11 の n×nn\times n 行列を JJ とする。 1=(1,1,…,1)T \mathbf{1}=(1,1,\ldots,1)^T とおくと,J1=n1J\mathbf{1}=n\mathbf{1} であるから nn は固有値である。

一方,∑k=1nxk=0\sum_{k=1}^n x_k=0 を満たす任意のベクトル x=(x1,…,xn)T x=(x_1,\ldots,x_n)^T に対して Jx=(∑k=1nxk⋮∑k=1nxk)=0 Jx= \begin{pmatrix} \sum_{k=1}^n x_k\\ \vdots\\ \sum_{k=1}^n x_k \end{pmatrix} =0 である。条件 ∑xk=0\sum x_k=0 が定める部分空間の次元は n−1n-1 なので,固有値 00 の重複度は n−1n-1 である。

最終答

[1](u,v)=4−3i,∥u∥=7,cn=12π∫02πf(x)e−inx dx,[2](−46−11−45−7),[3]n が重複度 1,0 が重複度 n−1. \begin{gathered} [1]\quad (u,v)=4-3i,\qquad \|u\|=\sqrt7,\qquad c_n=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_0^{2\pi}f(x)e^{-inx}\,dx,\\ [2]\quad \begin{pmatrix} -4&6&-11\\ -4&5&-7 \end{pmatrix},\\ [3]\quad n\text{ が重複度 }1,\qquad 0\text{ が重複度 }n-1. \end{gathered}

第2問 — 数2

二重極限と反復極限は別物

反復極限では一方の変数を固定してから極限を取る。一方,二重極限は (m,n)(m,n) がどの経路で無限大へ向かっても同じ値になることを要求する。今回は m=nm=n と m=2nm=2n で値が異なるため,反復極限が存在しても二重極限は存在しない。

積分領域を読む

I1I_1 と I2I_2 はどちらも三角形領域 0≤y≤x≤1 0\le y\le x\le 1 上の積分である。非初等関数 ex2e^{x^2} が出ていても,内側の積分が yy だけなら面積分として処理できる。

Euler型方程式の注意点

t2x′′−tx′+x=t2t^2x''-tx'+x=t^2 は t=0t=0 で特異である。したがって一般解に log⁡∣t∣\log|t| が現れ,解は t>0t>0 または t<0t<0 のように 00 を含まない区間で考えるのが自然である。

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第3問 — 物1

相対速度で運動量を書く

ロケット方程式で最も符号を誤りやすいのは,噴射ガスの速度である。ロケットが速度 VV で上向きまたは右向きに進み,ガスを後方へ相対速度 vv で出すなら,ガスの慣性系速度は V−vV-v である。したがってロケットは +ρv dt+\rho v\,dt だけの前向き運動量を受け取り,M dV=ρv dtM\,dV=\rho v\,dt になる。

重力項は燃焼中だけ積分する

鉛直打ち上げでは推力による速度増加 vlog⁡(M0/Mb)v\log(M_0/M_b) から,燃焼時間 tbt_b の間に重力で失う速度 gtbgt_b を引く。ここで R(t)≃RER(t)\simeq R_E の指定があるので,燃焼中の g=GME/RE2g=GM_E/R_E^2 を一定としてよい。

無限遠到達条件

無限遠で位置エネルギーをゼロに取ると,地表での脱出速度は 2GME/RE\sqrt{2GM_E/R_E} である。燃焼終了後に外力が重力だけなら機械的エネルギー保存が使えるので,燃焼終了直後の速度がこの値以上かどうかを判定すればよい。

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第4問 — 物2

アンペール経路の取り方

円柱対称性があるので,磁場は円周方向だけを向く。アンペール経路を同心円に取ると,左辺は 2πrB(r)2\pi rB(r) まで一気に簡単になる。内部では囲む電流が r2r^2 に比例し,外部では全電流で一定になるため,内部で B∝rB\propto r,外部で B∝1/rB\propto 1/r となる。

ランダウ準位の符号確認

この問題の定義では B=∂Ay∂x−∂Ax∂y,Π^i=p^i−eA^i B=\frac{\partial A_y}{\partial x}-\frac{\partial A_x}{\partial y},\qquad \hat{\Pi}_i=\hat{p}_i-e\hat{A}_i である。したがって [Π^x,Π^y][\hat{\Pi}_x,\hat{\Pi}_y] は +iℏeB+i\hbar eB になる。ここを逆符号にすると [C^,C^†]=1[\hat{C},\hat{C}^{\dagger}]=1 が崩れるので,計算のよい検算になる。

調和振動子への帰着

C^\hat{C} と C^†\hat{C}^{\dagger} は調和振動子の消滅・生成演算子そのものである。ハミルトニアンは H^=ℏωc(N^+12),ωc=eBm \hat{H}=\hbar\omega_c\left(\hat{N}+\frac12\right),\qquad \omega_c=\frac{eB}{m} と読めるので,固有値は一次元調和振動子と同じ形になる。

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第5問 — 物3

分配関数の微分

カノニカル分布では −∂β-\partial_\beta がエネルギーを一つ前に出す操作になっている。したがって ⟨E⟩=−∂βlog⁡Z\langle E\rangle=-\partial_\beta\log Z を使うと,平均値の積分を直接計算しなくてもよい。

連続スペクトルと離散スペクトル

[2][2] は E=0E=0 から連続的に状態があるため,低温でも熱容量が一定値 (α+1)kB(\alpha+1)k_B になる。一方 [3][3] は次の準位に上がるために必ず ε\varepsilon のエネルギーが必要なので,低温では励起確率が e−ε/(kBT)e^{-\varepsilon/(k_BT)} で抑えられる。

高温極限の意味

[3][3] の高温極限 C→kBC\to k_B は,等間隔離散準位が高温で古典的な一次元調和振動子と同じ熱容量を示すことに対応する。低温極限 C→0C\to0 は,エネルギーギャップを越えられず基底状態に凍結することの反映である。

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第6問 — 化1

箱の中の電子は定常波として数える

無限に高い壁をもつ一次元箱では,波動関数は壁で 00 にならなければならない。この境界条件が sin⁡(nπx/a)\sin(n\pi x/a) だけを許し,エネルギーを離散化する。古典力学との差は,この境界条件から最低状態にも波数 n=1n=1 が残る点である。

β-カロテンの吸収は HOMO-LUMO 差で見る

箱モデルでは準位が n2n^2 に比例する。22 個の π\pi 電子を2個ずつ詰めると HOMO が n=11n=11,LUMO が n=12n=12 になるので,差は 122−112=2312^2-11^2=23 で決まる。ビタミン A では電子数だけでなく箱の長さも短くなるため,エネルギー差は大きくなり,吸収波長は短波長側へ移る。

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第7問 — 化2

逐次反応では中間体の山を調べる

厳密解では BB は一度増えてから減る。最大時刻は BB の生成速度 k1[A]k_1[A] と消費速度 k2[B]k_2[B] が等しくなる点である。k2≫k1k_2\gg k_1 ならこの山は非常に低く,中間体濃度をほぼ一定,すなわち d[B]/dt≃0\mathrm d[B]/\mathrm dt\simeq0 とみなせる。

Maxwell-Boltzmann分布の温度依存

規格化定数は分布の面積を 1 にする条件から決まる。最確速度 vmpv_{\mathrm{mp}} は T\sqrt{T} に比例するので,高温ほど速い分子が増える。ただし全体の面積は常に 1 であるため,ピークは右に動くと同時に低く広がる。

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第8問 — 化3

酸性度は共役塩基の安定性で判断する

酸そのものの安定性ではなく,プロトンを失った後の共役塩基がどれだけ安定かを見る。サリチル酸ではオルト位 OH がカルボキシラートを近距離で安定化できるため,安息香酸よりも酸性が強くなる。

酵素反応の立体化学

ピルベートのカルボニルは平面構造なので,どちらの面からヒドリドが入るかで生成物の立体が決まる。乳酸脱水素酵素は基質と NADH を固定し,特定の面からだけヒドリド移動を起こすため,ラセミ体ではなく L-ラクテートが選択的に生じる。

ベンザインでは置換位置が入れ替わる

ハロベンゼンに強塩基を作用させる反応は,通常の芳香族求核置換ではなくベンザインを経ることがある。求核剤がベンザインの二つの炭素のどちらへも付加できるため,放射性標識を入れると付加位置の入れ替わりが観測される。

グルコシノレートは貯蔵型の防御物質

グリコシドとして貯蔵している間は毒性が低いが,組織が壊れて酵素と接触すると反応性の高いイソチオシアネートが生じる。植物が自身の細胞を傷つけずに,食害や感染時だけ防御物質を作る仕組みである。

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第9問 — 化4

tert-ブチル化はカチオンを作ってから進む

tert-ブタノールは第三級アルコールなので,濃塩酸中で SN1\mathrm{S_N1} 型に tert-ブチルクロリドへ変わる。Friedel-Crafts 段階では FeClX3\ce{FeCl3} が塩化物を引き抜き,強い求電子種を作ることが鍵である。

酸塩化物とアシルイミダゾールはどちらも求核アシル置換

SOClX2\ce{SOCl2} 反応では SOX2\ce{SO2} と HCl\ce{HCl} が気体として抜けるため反応が進みやすい。酸塩化物からアシルイミダゾールへの変換も同じく,求核剤がカルボニル炭素を攻撃し,脱離基が出る四面体中間体の反応で整理できる。

Gabriel合成は一級アミンをきれいに作る方法

フタルイミドアニオンは窒素求核剤として働くが,アルキル化後はイミドとして保護された形になる。ヒドラジン分解で保護基を外すため,過剰アルキル化を避けて一級アミンを得られる。

Robinson環化は二段階で見る

一つの名前反応として覚えるより,Michael 付加で 1,5-ジカルボニルを作り,その後に分子内アルドール縮合で環を閉じると考えると機構を追いやすい。最後の脱水が共役エノンを作るため,生成物が安定化される。

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第10問 — 生1

細菌の翻訳開始はコード領域ごとに決まる

「1本の mRNA から複数のタンパク質ができる」ことだけでなく、開始コドンの位置決定を説明することが重要である。細菌では、各コード領域の上流にあるリボソーム結合配列が小サブユニット rRNA と対合し、開始コドンを P 部位に合わせる。したがって、同じ mRNA 上に複数の開始単位が並んでいても、各タンパク質の翻訳は独立に始まる。

RNAポリメラーゼの尾部リン酸化の意味

真核生物の RNA ポリメラーゼ II の C 末端側の尾部は、転写開始後にリン酸化され、キャップ形成酵素、スプライシング因子、ポリアデニル化因子を呼び込む足場になる。転写とプロセシングは別々の出来事ではなく、新生 RNA がポリメラーゼから出てくるのに合わせて連携して進む、と押さえると空欄の流れが自然に決まる。

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第11問 — 生2

実験法問題で外してはいけない三点

目的は「何を知る、または何を変える方法か」、原理は「どの分子認識や反応を利用するか」、手順は「試料調製から検出・確認までの流れ」を書く。PCR ならプライマー、温度サイクル、耐熱性ポリメラーゼ、増幅産物の確認が必須である。CRISPR なら gRNA、Cas、PAM、二本鎖切断、NHEJ または HDR を区別して書くと答案が安定する。

対照実験と確認

実験法の説明では、反応が成立する条件だけでなく、偽陽性・偽陰性を避ける確認も評価されやすい。PCR では鋳型なし対照とサイズ確認、CRISPR では標的部位のシークエンスとオフターゲット確認が対応する。手順の最後に「どう判定するか」まで書くと、単なる操作列ではなく実験計画として読める。

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第12問 — 生3

酸素は危機であり資源でもあった

酸素発生型光合成の意味は、単に酸素を出すことではない。嫌気性生物にとって酸素は活性酸素種を生じる毒であったが、酸素を電子受容体として制御できる生物にとっては、大きな酸化還元電位差を利用できる資源になった。この二面性を「大酸化事変」と好気呼吸の高 ATP 収率に結びつけると、歴史の説明としてまとまる。

系統樹では遺伝子重複と種分岐を分ける

α\alpha と β\beta は同じ ATP 合成酵素複合体の別サブユニットであり、種が分かれる前の重複で生じた関係である。したがって、6配列の樹を単純な生物種の樹として描くと誤る。まず α\alpha と β\beta の2群に分け、その各群の中で大腸菌、メタン菌、ヒトの関係を描くのが採点対象の中心である。

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第13問 — 地1

温度で分ける大気圏

大気の層名は「温度が高度とともに下がるか上がるか」で覚えると混乱しにくい。 対流圏では地表からの加熱が重要なので上ほど低温になる。成層圏ではオゾンが 紫外線を吸収するため上ほど高温になる。中間圏では有効な加熱源が弱まり再び 低温化し、熱圏では極端紫外線や X 線を希薄な原子・分子が吸収するため、分子の 運動エネルギーとしての温度が高くなる。

現象と高度を対応させる

雲、雷、台風は水蒸気の凝結と対流に支配されるので対流圏である。オゾン層は 成層圏の温度逆転の原因でもある。オーロラは太陽風由来の粒子が上層大気の 酸素・窒素を励起して光る現象であり、電離圏を含む熱圏を答えればよい。

組成の問題は均質圏を思い出す

温度と気圧は高度で大きく変わるが、主要成分の混合比は乱流混合のため中間圏 上部まで大きく変わらない。この範囲を均質圏という。問われている「簡便な指標」 としては平均分子量が最も書きやすい。上層で平均分子量が小さくなる理由まで 添えると、単なる暗記ではなく物理的な説明になる。

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第14問 — 地2

解像度は何を細かく見るかで分ける

空間解像度は地図上の細かさであり、時間解像度は時系列としての細かさである。 両者は同時に高くできるとは限らない。広い範囲を頻繁に見る衛星では一画素が 粗くなりやすく、狭い範囲を細かく見る衛星では同じ場所に戻るまで時間がかかる。 このトレードオフを書くと、単なる定義よりもリモートセンシングの設計意図まで 説明できる。

軌道と目的を結び付ける

気象では雲や台風が数時間以下で変化するため、同じ場所を繰り返し見る能力が 決定的である。したがって静止気象衛星は強力である。一方、土地被覆や地形は 数分単位ではあまり変わらないため、毎時観測よりも高い空間解像度、同じ日照条件、 多波長観測が重視される。極軌道・太陽同期軌道が地球観測衛星に多いのはこのため である。

例外を含めた書き方

実際には気象衛星にも極軌道衛星があり、地球観測衛星にも高頻度観測を狙う コンステレーションがある。答案では「代表的には」「多くは」と書き、目的と 解像度・軌道の対応を説明すると過度な断定を避けられる。

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第15問 — 情1

基数表記を先に10進へ戻す

C言語では、先頭が 0x\texttt{0x} なら16進整数、先頭が 0\texttt{0} なら8進整数で 解釈される。特に 0745607456 は10進の7456ではなく、7⋅83+4⋅82+5⋅8+6=38867\cdot 8^3+4\cdot 8^2+ 5\cdot 8+6=3886 である。この確認をせずにビット演算へ進むと、以後の値が すべてずれる。

文字列処理は終端文字まで添字を進める

文字列は最後にヌル文字を持つので、条件は「今見ている文字が終端でないこと」に なる。比較のあとに必ず ii を増やさないと、同じ文字を見続けて無限ループに なる。返すべき値は添字ではなく、数え上げた個数 cc である。

再帰関数では終了条件と更新対象を分ける

区間走査の関数では、n1n1 が n2n2 を超えたところが終了条件である。最大値と 最小値は呼び出し元に残す必要があるため、値渡しではなくポインタで受け取る。 再帰呼び出しでは左端だけを n1+1n1+1 に進め、右端とポインタはそのまま渡す。

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第16問 — 情2

一回ゲームでは裏切りが個人誘因になる

利得表では、相手がAでもBでも、自分だけを見るとBの方がA以上に有利である。 しかし双方がBを選ぶと双方Aより悪い。この「個人合理性」と「集団合理性」の ずれが社会的ジレンマの中心である。

しっぺ返しの得点表は時系列で数える

Zは相手の前回の手だけを見て次の手を決める。したがって、常にAのXとは相互協力、 常にBのYとは初回だけ搾取され、その後は相互Bになる。平均得点を出すときは、 5回分を合計してから5で割る。初回だけ特別であることを書けば、表の 9/59/5 と 4/54/5 の由来が明確になる。

ノイズ下では誤りからの復帰が差になる

ノイズがないならZ同士もW同士も相互協力を保てる。差が出るのは、意図しない手が 混じった後である。Zは相手の直前の手をそのまま写すので誤りを反響させやすい。 Wは手が一致したかどうかで戻るため、一時的な失敗を短い手順で吸収できる。

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第17問 — 情3

バブルソートでは右端から確定する

昇順バブルソートでは、1回のパスごとに未整列部分の最大値が右端へ移動する。 今回の初期配列では29がすでに右端にあるが、各パスで10が少しずつ左へ移動して いくため、第8パスで整列が完了する。第9パスを実行しても変化しないことを示すと、 「全てのパス」を求める設問に対して漏れがない。

平均探索コストは深さの平均で見る

等確率なら、全ノードの深さの平均がそのまま平均探索コストになる。7個のキーでは 完全二分木が作れるため、根を中央値4、左右の根を2と6にするのが最小である。 挿入順は一意ではないが、親を子より先に挿入する順序を選べば同じ木が得られる。

ダイクストラ法の確定操作

ダイクストラ法では、暫定距離が最小のノードを確定し、そのノードから出る辺だけを 使って隣接ノードを緩和する。今回、CとD/Eの候補距離が途中で更新されるので、 表で「どの辺により短くなったか」を示すと手順の正当性が伝わりやすい。

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第18問 — 工1 熱力学

状態方程式の見方

van der Waals 式の bb は排除体積、aa は分子間引力の補正である。bb は体積側の補正、 aa は圧力側の補正として現れるので、理想気体との差を説明するときはこの二つを分けて書くとよい。

カルノー効率の根拠

カルノー効率は、熱機関の巧妙な設計から出る値ではなく、可逆サイクルでエントロピー収支が ちょうど閉じることから決まる上限である。したがって「不可逆性があるから低下する」とだけ書くより、 ΔSuniv>0\Delta S_{\mathrm{univ}}>0 と QH/TH−QL/TLQ_H/T_H-Q_L/T_L の関係を示す方が答案として強い。

工1 熱力学の途中式・最終答をPDFで見る

第19問 — 工2 流体力学

二液体中の浮力

浮力は「押しのけた流体の重さ」であり、単一流体でなくても同じである。密度の異なる部分に分けて 体積 Ah2A h_2 と A(h0−h2)A(h_0-h_2) を掛ければよい。h2h_2 の式が 00 と h0h_0 の間に入ることを確認すると、 密度条件の使い忘れを防げる。

噴流の断面積

小孔を出た後は圧力が大気圧のままなので、落下による位置エネルギーの減少は速度の増加になる。 流量 Q=AvQ=Av が一定であるため、速度が大きくなるほど断面積は細くなる。このため A(x)A(x) は xx とともに単調減少する。

工2 流体力学の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(3年度)

2026年度の出題内容

全19問

この19問の分野は熱・統計力学1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—数1複素内積の向き / Fourier係数は正規直交性から出るあり
第2問—数2二重極限と反復極限は別物 / 積分領域を読むあり
第3問—物1相対速度で運動量を書く / 重力項は燃焼中だけ積分するあり
第4問—物2アンペール経路の取り方 / ランダウ準位の符号確認あり
第5問—物3分配関数の微分 / 連続スペクトルと離散スペクトルあり
第6問—化1箱の中の電子は定常波として数える / β-カロテンの吸収は HOMO-LUMO 差で見るあり
第7問—化2逐次反応では中間体の山を調べる / Maxwell-Boltzmann分布の温度依存あり
第8問—化3酸性度は共役塩基の安定性で判断する / 酵素反応の立体化学あり
第9問—化4tert-ブチル化はカチオンを作ってから進む / 酸塩化物とアシルイミダゾールはどちらも求核アシル置換あり
第10問—生1細菌の翻訳開始はコード領域ごとに決まる / RNAポリメラーゼの尾部リン酸化の意味あり
第11問—生2実験法問題で外してはいけない三点 / 対照実験と確認あり
第12問—生3酸素は危機であり資源でもあった / 系統樹では遺伝子重複と種分岐を分けるあり
第13問—地1温度で分ける大気圏 / 現象と高度を対応させるあり
第14問—地2解像度は何を細かく見るかで分ける / 軌道と目的を結び付けるあり
第15問—情1基数表記を先に10進へ戻す / 文字列処理は終端文字まで添字を進めるあり
第16問—情2一回ゲームでは裏切りが個人誘因になる / しっぺ返しの得点表は時系列で数えるあり
第17問—情3バブルソートでは右端から確定する / 平均探索コストは深さの平均で見るあり
第18問熱・統計力学工1 熱力学状態方程式の見方 / カルノー効率の根拠あり
第19問力学工2 流体力学二液体中の浮力 / 噴流の断面積あり

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10テーマ

前年度(2025年度)との違い

名古屋大学の公式過去問

公開年度範囲
2023〜2026(博士前期課程)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
院試hubの最終確認
2026-09-26
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