熊本大 自然科学教育部 理学専攻 数学コース 数学 2026年度第1期 専門基礎 院試 過去問 解答例・解説(全3問)
全3問の分野は微分積分・解析2問です。重積分と極座標、一様収束、テイラー展開が出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
最終更新:
第1問 — 下三角分解と連立一次方程式
方針
この問題は,直接 元連立方程式を解くよりも,指定された分解 を使う方が速い。 は下三角, は結果として上三角になるため,前進代入と後退代入だけで全体が終わる。
検算
最後の解については を代入で確認できる。また は, の対角成分の積から一瞬で検算できる。
答案上の注意
から と書いてしまう誤りが起こりやすい。行列積は可換ではないので,左から を掛けて とする必要がある。
解答
与えられた は対角成分がすべて の下三角行列であるから,前進代入で を解く。上から順に となるので,
次に であるから である。列ごとに を解くと 実際,第2行以降では直前の行を消去していく形になり,例えば第3列については という計算が現れる。
も上三角行列の後退代入で解ける。第4成分から となる。したがって
行列式は分解を使えば短く求まる。 の対角成分はすべて なので また は上三角行列だから よって
最後に,すでに を満たす を求めているので, である。したがって の解は であり,
最終答
第2問 — ガウス積分と誤差関数
方針
中心は の整級数展開である。有界閉区間上の一様収束を先に押さえると,その後の項別積分が正当化され,テイラー展開まで自然に進む。
一様収束の見方
区間が有界であることから とできる。あとは で各項を上から押さえるだけでよい。ここで区間全体で同じ を使うことが,一様収束の答案で必ず書くべき点である。
数値計算の注意
小数第3位を四捨五入するのではなく,切り捨てる指定である。 なので,答は ではなく になる。
第3問 — ハウスドルフ性・連結性・無限遠で消える関数
方針
3つの小問はいずれも標準事実だが,定義に戻って書くことが重要である。ハウスドルフ性は「異なる2点を交わらない開集合で分ける」,連結性は「非自明な開閉分離がない」,無限遠での収束は「大きな区間の外では値が小さい」と読む。
連結性の典型手
の非連結性では,有理数で切るのではなく無理数で切る。有理数で切ると切断点そのものが片側に入ってしまい,開集合としての扱いがやや面倒になる。無理数を使えば,左右の相対開集合がそのまま を分割する。
最大値・最小値の検算
無限遠で に近づくだけでは,常に最大値と最小値の両方があるとは限らない。例えば正の山だけを持つ関数では最大値を取り,最小値は に近づくだけで取らないことがあり得る。そのため結論は「最大値または最小値」であり,正の値を取る場合と負の値を取る場合に分けるのが自然である。
年度別の解答例(3年度)
エルミート行列の対角化 / 極座標と重積分 / 距離空間と集合への距離
対称群の中心化群 / トーラスの基本群と被覆空間 / ルーシェの定理と留数計算
2026年度第1期 専門基礎(このページ・全3問)
下三角分解と連立一次方程式 / ガウス積分と誤差関数 / ハウスドルフ性・連結性・無限遠で消える関数
2026年度第1期 専門基礎の出題内容
全3問
同じテーマを出した他大学・他年度
3テーマ
熊本大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2026年度(掲載は直近年度分。2025年度以前は郵送請求で2年分のコピー配布)
- 公式の解答例
- 一部の年度・科目のみ公開
- 院試hubの最終確認
- 2026-08-13