名工大 工学研究科 物理工学系 材料機能プログラム 材料機能プログラム 専門科目 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)
全3問の分野は化学1問、材料力学・材料1問、量子力学1問です。結晶構造、井戸型ポテンシャル、フェルミ・ボース統計などが出ています。2025年度と共通するテーマは結晶構造です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
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第1問 — 量子物性
方針
量子井戸、自由電子、半導体キャリア統計はいずれも「許される状態を数え、その状態を占有する粒子数を決める」問題である。井戸では境界条件、金属では波数空間の状態密度、半導体では状態密度とフェルミ分布の積分が本質になる。
検算
は を大きくすると で小さくなる。 は密度 の 乗、 は 乗で増える。真性キャリア密度は が大きいほど指数関数的に小さくなり、物理的な傾向と合っている。
典型ミス
周期境界条件では の間隔が ではなく である。また、フェルミ波数の導出ではスピン縮退の2を忘れると がずれる。半導体の積分では を使う。
解答
- 一次元井戸型ポテンシャル 井戸幅を 、井戸の中心を原点とする。井戸内部では 、外部では障壁が十分高いものとして扱うと、時間に依存しないシュレディンガー方程式は である。無限障壁極限では境界条件 を課すので、内部解は したがって基底状態、第一励起状態、第二励起状態はそれぞれ偶関数、奇関数、偶関数で、節の数は である。
- 金属中自由電子 一辺 の立方体に周期境界条件を課すと、固有関数と固有エネルギーは で与えられる。したがって波数空間の隣接格子点間隔は である。 電子数密度を とすると、スピン縮退を含めて だから 格子定数 の単純立方格子なら第1ブリルアンゾーンの体積は であり、スピンを含めて単位胞当たり最大2個の電子状態を収容できる。試料中の単位胞数を とすれば最大電子数は である。
- 真性半導体 価電子帯頂上と伝導帯底が同じ波数にある半導体は直接遷移型半導体であり、代表例は GaAs である。両帯の間で電子状態が存在しない領域は禁制帯、幅はバンドギャップ である。 伝導帯底近傍を放物線で近似すると、有効質量は で定義される。低温で非縮退近似が使えるとき、フェルミ分布は である。状態密度を とすれば 同様に 真性半導体では なので
最終答
井戸型ポテンシャルでは 、金属自由電子では 、真性半導体では 、 が中心結果である。
第2問 — 材料物理化学
方針
溶液問題は の曲率で相分離を判定する。臨界点では曲率が0になり、対称正則溶液なら計算は一行で に落ちる。エリンガム図は の大小比較を温度軸上で読む問題である。
試験で書くべきポイント
正則溶液では「混合エントロピーは理想溶液と同じ、混合エンタルピーが非ゼロ」と明記する。エリンガム図では、反応式の酸素量をそろえて比較しないと線の上下関係の意味が崩れる。
第3問 — 金属材料学
方針
金属材料学の設問は、X線を「光子」、吸収を「一次減衰」、結晶を「単位胞内の原子配置」として処理すればよい。いずれも公式を暗記するより、エネルギー保存、微分方程式、構造因子の和から導くとミスが少ない。
典型ミス
質量吸収係数の混合では原子数比ではなく質量分率で平均する。FCCの構造因子では、 の偶奇だけで判定すると BCC と混同する。FCCは「全偶または全奇」が許容条件である。
年度別の解答例(3年度)
2026年度(このページ・全3問)
量子物性 / 材料物理化学 / 金属材料学
基礎物理数学 / 固体物理 / 材料物理化学
基礎物理数学 / 固体物理 / 材料物理化学
2026年度の出題内容
全3問
同じテーマを出した他大学・他年度
4テーマ
2026年度は2問に4テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 結晶構造 | 第3問 | 9大学・44問 | |
| 井戸型ポテンシャル | 第1問 | 15大学・31問 | |
| フェルミ・ボース統計 | 第1問 | 13大学・27問 | |
| シュレディンガー方程式 | 第1問 | 10大学・18問 |
前年度(2025年度)との違い
- 大問数
- 2025年度 4問 → 2026年度 3問
- 両年度に出たテーマ
- 結晶構造
- 2026年度で新しく出たテーマ
- 井戸型ポテンシャル・フェルミ・ボース統計・シュレディンガー方程式
名古屋工業大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2025〜2027年度
- 公式の解答例
- 一部の年度・科目のみ公開
- 院試hubの最終確認
- 2026-09-26