名古屋工業大学 院試 過去問 解答例
名工大 工学研究科 物理工学系 材料機能プログラム 材料機能プログラム 専門科目 2025年度 院試 解答例・解説
名古屋工業大学 工学研究科 物理工学系 材料機能プログラム 材料機能プログラム 専門科目 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 基礎物理数学
方針
第1問は,線形代数と定係数微分方程式を混ぜた標準問題である。 行列式は余因子展開と行基本変形を併用する。振動問題は,指数関数解を 仮定して特性方程式に落とすのが最短である。連成振動は,ばねの式から 係数行列 を正しく作ることが勝負になる。
検算
減衰振動では とおくと に戻るので,不足減衰の式は正しい。連成振動では,同相運動 では中央のばねが伸びず,角振動数が になる。 逆相運動 では中央のばねも効くので になる。これは固有値 と一致する。
典型ミス
減衰項が なので,標準形の係数は である。ここを としてしまうと, すべての条件が だけずれる。また連成振動では の符号を忘れると, 対角化後の振動方程式の符号が反対になる。
試験で書くべきポイント
固有ベクトルは規格化を明記する。複素根の場合は,根だけで終わらせず, 実数解として , の形まで戻す。連成振動では と のどちらを使っているかを明示しておくと,最後の の符号を 取り違えにくい。
第2問 — 固体物理
方針
前半はドルーデ模型で,抵抗力を含む一次微分方程式を解き,ドリフト速度から 電流密度を作る。後半は一次元量子散乱で,領域ごとの一般解を書き, 境界で と を連続にする。ポテンシャルが有限段差なので, 波動関数そのものだけでなく導関数の連続条件が必要である。
検算
で とすると なので となる。逆に では なので となり,物理的な極限と一致する。 では で全反射になるが,右側に 指数減衰する波が残る点が古典力学との違いである。
典型ミス
透過率は単なる ではない。左右で波数が異なるため, 確率流束の比として を掛ける必要がある。また, の右側で を残すと無限遠で発散するため, 物理的な解にならない。
試験で書くべきポイント
ドルーデ模型では,電子の速度は電場と逆向きだが,電流密度は 電荷 を掛けるため電場と同じ向きになる。この符号の説明を 一言入れると答案が安定する。量子散乱では, の定義, 境界条件,確率流束による の定義を順に書く。
第3問 — 材料物理化学
方針
電位--pH 図では,線の傾きが H を含むかどうかを教えてくれる。 水素線と酸素線はいずれも pH に対して負の傾きを持つ。銅の 境界は H を含まないので, pH に依存しない水平線になる。
検算
水素線で が小さくなる,すなわち pH が大きくなると は低くなる。これは Pourbaix 図の下側破線が右下がりであることと 一致する。また の Nernst 式では, 濃度を下げると金属 Cu が安定化し,境界電位は 低下する。
典型ミス
不活態と免疫域を混同しやすい。酸化物皮膜で守られているのが不活態, 金属単体が熱力学的に安定で溶解しにくいのが免疫域である。また Tafel 反応は二つの吸着水素を使うため,速度は の二乗に比例する。
試験で書くべきポイント
Nernst 式では反応商を先に書くと符号ミスを防げる。水素発生反応の 電流符号は流儀に依存するため,答案では「電流の大きさ」か 「アノード正の符号付き電流」かを一言で宣言しておくとよい。
第4問 — 材料科学
方針
結晶面は切片の逆数を取る。立方晶ではそのまま ,六方晶では かつ を満たすように読む。すべりは Schmid 因子の比較,状態図はレバー則,CCT 線図は冷却曲線がどの変態線を 横切るかで判断する。
検算
は格子定数 より 小さく,稠密面の間隔として妥当である。レバー則では 初析フェライト分率とパーライト分率の和が となる。パーライト内部の と についても であり,質量分率として整合している。
典型ミス
Schmid 因子では,すべり面法線と引張軸の角度だけでなく, すべり方向と引張軸の角度も必要である。片方だけで判断すると 候補系を誤る。また,亜共析鋼の 直下のパーライト分率は, 共析直前に残っていたオーステナイト分率である。パーライト中の フェライト分率とは別のレバー則なので混同しない。
試験で書くべきポイント
数値問題では,どの組成値を使ったかを明記する。ここでは , , を用いた。 CCT 線図では,冷却曲線が開始線だけを横切るのか,終了線まで横切るのかを 言葉で説明すると,組織判定の根拠が伝わる。