東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 工学院 情報通信系 情報通信 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)
全5問。線形代数1問・電磁気学・回路1問・微分積分・解析1問。テーマタグは9件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・正定値行列)。2022年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル。
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収録4年度分の解答PDF:東京科学大学 工学院 情報通信系 情報通信(¥2,880・紙面見本あり)
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- 解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき5問)
- 問題本文
- 非収録
東京科学大 情報通信 2023年度 院試 過去問の出題内容(全5問)
この5問の分野は線形代数1問・電磁気学・回路1問・微分積分・解析1問です。
2023年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は5問に9テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第2問 | 25大学・544問 | |
| 重積分と極座標 | 第1問 | 23大学・142問 | |
| 正定値行列 | 第2問 | 17大学・70問 | |
| 二次形式 | 第2問 | 16大学・63問 | |
| RC回路の過渡応答 | 第4問 | 12大学・44問 | |
| 最尤推定 | 第3問 | 8大学・28問 | |
| ベータ関数・ガンマ関数 | 第1問 | 12大学・23問 | |
| グラフ理論 | 第5問 | 8大学・21問 | |
| RLC回路 | 第4問 | 7大学・13問 |
前年度(2022年度)との違い
- 大問数
- 2022年度 5問 → 2023年度 5問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル
第1問 — ガンマ関数とWallis積
部分積分の境界項
の部分積分では, が で 0 に近づき, なら でも 0 に近づく。この境界項の確認を書いておくと,漸化式の導出が厳密になる。
ガウス積分への帰着
は一変数のままでは直接評価しにくいが,二乗して二重積分にすると円対称性が現れる。極座標変換のヤコビアン が入ることで, という初等的な積分になる。
Wallis積の位置づけ
最後の無限積は,ガンマ関数の極限表示を に特殊化したものである。単に既知公式として書くより, と有限積の極限を結びつける流れを示すと,設問全体の意図に合う。
解答
定義から また,部分積分により したがって自然数 に対して である。
では, とおくと この積分を とすると 極座標 のヤコビアンは であるから よって である。
漸化式を繰り返すと また,問題で導かせる極限表示は である。これは に対して,部分積分を 回繰り返すことで となることから得られる。
を代入すると この標準形を整理すると Wallis の積 を得る。
最終答
第2問 — Gram行列と固有値
Gram行列として見る
は列ベクトル同士の内積を並べた Gram 行列である。Gram 行列が半正定値になることは,二次形式がノルムの二乗になることから一行で示せる。
非零固有値だけが一致する理由
や を通じて固有ベクトルを移すため,移したベクトルが零にならないことが必要である。ここで を使う。零固有値については, の行数と列数が異なると個数がずれるので,同じとは限らない。
具体計算の短縮
3次の を直接対角化するより,2次の を先に対角化する方が速い。非零固有値の一致を使うことで,固有値計算が大幅に軽くなる。
第3問 — 二項分布とロジスティック回帰
二項分布への帰着
個体ごとの回復が独立で,回復確率が一定なら,回復数は二項分布である。平均と分散は暗記で済ませず,独立な Bernoulli 変数の和として理解しておくと,後半の近似分散にもつながる。
ロジット変換の意味
ロジスティック分布の累積分布関数は である。この両辺をロジット変換すると となり,直線回帰の形になる。解析的な最尤推定が難しいため,ロジット変換後の最小二乗に切り替えるのが問題の流れである。
信頼区間の分散
の微分は である。この微分係数に二項比率の分散 を掛けると になる。最後に を で置き換えることで,答案に使える形になる。
第4問 — RLC回路と過渡応答
インピーダンスの分解
回路を直接一つの式にしようとすると複雑に見えるが,並列部分を二つ作ってから直列和を取ればよい。係数比較では,分子が分母の定数倍になることが「周波数によらない抵抗」の条件である。
過渡応答の初期値と終値
ステップ応答では,初期時刻のコンデンサは短絡,十分後のコンデンサは開放として扱う。初期値と終値を先に決めると,一次遅れ応答の形を迷わず書ける。
ばらつき範囲
時定数は である。抵抗値と容量値が独立に範囲を動くとき,正規化した式にして単調性を確認すると,端点だけを調べればよいことが分かる。
第5問 — 状態遷移と最短路
状態遷移は意味から作る
3枚で切符が出て初期状態に戻るので,投入時の遷移は3状態の巡回になる。入力なしの自己ループと,投入時の巡回遷移を分けて考えると,出力が かつ投入ありの場合だけ 1 になることが見える。
Dijkstra法の空欄
プログラムは「確定していない点のうち,現在分かっている距離が最小の点を次に確定する」という処理である。`st` は今回確定する点,`nt` は次に確定する候補点であり,更新式は現在距離に辺の重みを足す形になる。
用語問題の落とし穴
状態の区別不能性は,完全定義回路では等価性,不完全定義回路では両立性として扱う。グラフ用語と順序回路用語が混在しているため,文脈ごとに使う語を切り替える必要がある。
東京科学大 情報通信 院試 過去問の収録4年度
極限・二重積分・数列の収束 / 対称行列と二次曲面 / 情報通信分野の論述
2023年度(このページ・全5問)
ガンマ関数とWallis積 / Gram行列と固有値 / 二項分布とロジスティック回帰
多変数微分と体積 / 線形写像と対称行列 / 2状態Markov連鎖
変数変換と二変数関数の極値 / 正定値行列と対称化写像 / ガウス分布のモーメント