東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 工学院 情報通信系 情報通信 2023年度 院試 解答例・解説
東京科学大学 工学院 情報通信系 情報通信 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全5問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — ガンマ関数とWallis積
部分積分の境界項
の部分積分では, が で 0 に近づき, なら でも 0 に近づく。この境界項の確認を書いておくと,漸化式の導出が厳密になる。
ガウス積分への帰着
は一変数のままでは直接評価しにくいが,二乗して二重積分にすると円対称性が現れる。極座標変換のヤコビアン が入ることで, という初等的な積分になる。
Wallis積の位置づけ
最後の無限積は,ガンマ関数の極限表示を に特殊化したものである。単に既知公式として書くより, と有限積の極限を結びつける流れを示すと,設問全体の意図に合う。
第2問 — Gram行列と固有値
Gram行列として見る
は列ベクトル同士の内積を並べた Gram 行列である。Gram 行列が半正定値になることは,二次形式がノルムの二乗になることから一行で示せる。
非零固有値だけが一致する理由
や を通じて固有ベクトルを移すため,移したベクトルが零にならないことが必要である。ここで を使う。零固有値については, の行数と列数が異なると個数がずれるので,同じとは限らない。
具体計算の短縮
3次の を直接対角化するより,2次の を先に対角化する方が速い。非零固有値の一致を使うことで,固有値計算が大幅に軽くなる。
第3問 — 二項分布とロジスティック回帰
二項分布への帰着
個体ごとの回復が独立で,回復確率が一定なら,回復数は二項分布である。平均と分散は暗記で済ませず,独立な Bernoulli 変数の和として理解しておくと,後半の近似分散にもつながる。
ロジット変換の意味
ロジスティック分布の累積分布関数は である。この両辺をロジット変換すると となり,直線回帰の形になる。解析的な最尤推定が難しいため,ロジット変換後の最小二乗に切り替えるのが問題の流れである。
信頼区間の分散
の微分は である。この微分係数に二項比率の分散 を掛けると になる。最後に を で置き換えることで,答案に使える形になる。
第4問 — RLC回路と過渡応答
インピーダンスの分解
回路を直接一つの式にしようとすると複雑に見えるが,並列部分を二つ作ってから直列和を取ればよい。係数比較では,分子が分母の定数倍になることが「周波数によらない抵抗」の条件である。
過渡応答の初期値と終値
ステップ応答では,初期時刻のコンデンサは短絡,十分後のコンデンサは開放として扱う。初期値と終値を先に決めると,一次遅れ応答の形を迷わず書ける。
ばらつき範囲
時定数は である。抵抗値と容量値が独立に範囲を動くとき,正規化した式にして単調性を確認すると,端点だけを調べればよいことが分かる。
第5問 — 状態遷移と最短路
状態遷移は意味から作る
3枚で切符が出て初期状態に戻るので,投入時の遷移は3状態の巡回になる。入力なしの自己ループと,投入時の巡回遷移を分けて考えると,出力が かつ投入ありの場合だけ 1 になることが見える。
Dijkstra法の空欄
プログラムは「確定していない点のうち,現在分かっている距離が最小の点を次に確定する」という処理である。`st` は今回確定する点,`nt` は次に確定する候補点であり,更新式は現在距離に辺の重みを足す形になる。
用語問題の落とし穴
状態の区別不能性は,完全定義回路では等価性,不完全定義回路では両立性として扱う。グラフ用語と順序回路用語が混在しているため,文脈ごとに使う語を切り替える必要がある。