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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 情報通信系 情報通信 2020年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。線形代数1問・電磁気学・回路1問・微分積分・解析1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・正定値行列・ヒルベルト空間)。

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解説5問/全5問(2,118字)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
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東京科学大 情報通信 2020年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は線形代数1問・電磁気学・回路1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析変数変換と二変数関数の極値領域の形から変数を選ぶ / Jacobian の符号あり
第2問線形代数正定値行列と対称化写像正定値条件の見方 / 正規直交基底の作り方あり
第3問—ガウス分布のモーメント中心化してから考える / 偶数次モーメントの導出あり
第4問電磁気学・回路二端子対回路と無損失伝送線路F 行列の入力インピーダンス / 伝送線路の基本形あり
第5問—二次元累積和と矩形領域計算行優先配列のインデックス / 累積和表の包除原理あり

2020年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に3テーマが出ています。

第1問 — 変数変換と二変数関数の極値

領域の形から変数を選ぶ

領域条件が x+yx+y と x−yx-y で直接書かれているので,その二つを新変数にするのが自然である。この変換を使うと,斜めの平行四辺形が長方形になり,積分範囲を迷わず書ける。

Jacobian の符号

面積要素に入れるのは絶対値である。行列式そのものは −1/2-1/2 だが,dx dy=(1/2) du dvdx\,dy=(1/2)\,du\,dv とする。ここを落とすと積分値が二倍ずれる。

極値判定と最大値判定の違い

Hessian による判定は局所的な極値の判定である。最後の最大値は閉領域全体の最大値なので,境界も含めて調べる必要がある。今回は vv 方向が −v2-v^2 で分離しているため,まず v=0v=0 に絞り,その後 uu の一変数問題として処理できる。

変数変換と二変数関数の極値の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 正定値行列と対称化写像

正定値条件の見方

2×22\times2 の正定値条件は,左上成分が正で,行列式が正という形で覚えてよい。ただし,答案では平方完成で導くと条件の意味が明確になる。係数 a>0a>0 が先に与えられているため,x+bayx+\frac{b}{a}y で平方完成するのが最短である。

正規直交基底の作り方

平面の式から法線ベクトルを読み取り,それに直交する簡単なベクトルを二つ作る。二つ目は一つ目とも直交するように選ぶと,Gram--Schmidt の計算を短くできる。正規化を最後に行うと計算ミスが少ない。

対称部分と交代部分

任意の行列は A=A+tA2+A−tA2 A=\frac{A+{}^tA}{2}+\frac{A-{}^tA}{2} と対称部分と交代部分に分解できる。今回の FF は対称部分を取り出す写像であり,G(A)G(A) は交代部分である。交代行列の対称部分はゼロなので,G(A)G(A) が核に入る。

正定値行列と対称化写像の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — ガウス分布のモーメント

中心化してから考える

ガウス分布の計算は y=x−my=x-m によって平均をゼロに移すとほとんど終わる。奇数次の中心モーメントがゼロになる理由は,密度が yy について偶関数で,y2k−1y^{2k-1} が奇関数だからである。

偶数次モーメントの導出

公式を暗記していてもよいが,入試答案ではガウス積分をパラメータで微分する導出を書けると強い。微分ごとに −x2-x^2 が降りてくるため,偶数次の積分が得られる。

非中心モーメントへの戻し方

⟨X2⟩\langle X^2\rangle や ⟨X3⟩\langle X^3\rangle は X=(X−m)+mX=(X-m)+m と展開して求める。中心化した奇数次モーメントが消えることを使うと,計算量が大きく減る。

ガウス分布のモーメントの途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 二端子対回路と無損失伝送線路

F 行列の入力インピーダンス

F 行列では,出力側の負荷条件を V2=ZRI2V_2=Z_RI_2 と置いてから V1/I1V_1/I_1 を取る。公式だけを覚えるより,この一行の代入で導けば符号の混乱を避けられる。

伝送線路の基本形

無損失線路の電圧と電流は二階の波動方程式に従う。ここで出る β=ωLC1\beta=\omega\sqrt{LC_1} は位相定数,Z0=L/C1Z_0=\sqrt{L/C_1} は特性インピーダンスである。以後の式はこの二つで整理すると見通しがよい。

短絡線路の近似

短絡終端では Zin=jZ0tan⁡βlZ_{\mathrm{in}}=jZ_0\tan\beta l となる。短い線路なら tan⁡βl≃βl\tan\beta l\simeq\beta l なので,jωLlj\omega Ll が残る。これはインダクタのインピーダンス jωLeqj\omega L_{\mathrm{eq}} と同じ形である。

二端子対回路と無損失伝送線路の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 二次元累積和と矩形領域計算

行優先配列のインデックス

二次元座標 (x,y)(x,y) を一次元に直すときは,先に yy 行ぶん進み,その後 xx 列ぶん進む。したがって i=yw+xi=yw+x である。この変換を間違えると,アルゴリズムの空欄がすべて崩れる。

累積和表の包除原理

右下までの大きな累積和から,左側と上側を引く。ただし左上の重なりを二回引いているため一度足し戻す。このため +,+,−,−+,+,-,- の形になる。画像処理でいう integral image と同じ考え方である。

前処理の価値

累積和表は作るときにコストがかかるが,一度作れば各矩形を定数回の演算で処理できる。矩形数が少ないと直接足す方が速いが,多数の矩形を扱うと前処理の効果が出る。

分散への拡張

分散は平均と二乗平均から計算できる。したがって,値の累積和表だけでなく,値を二乗した表の累積和表も用意すればよい。矩形ごとに全要素を走査し直す必要はない。

二次元累積和と矩形領域計算の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 情報通信 院試 過去問の収録4年度

  • 2025年度(全3問)

    極限・二重積分・数列の収束 / 対称行列と二次曲面 / 情報通信分野の論述

  • 2023年度(全5問)

    ガンマ関数とWallis積 / Gram行列と固有値 / 二項分布とロジスティック回帰

  • 2022年度(全5問)

    多変数微分と体積 / 線形写像と対称行列 / 2状態Markov連鎖

  • 2020年度(このページ・全5問)

    変数変換と二変数関数の極値 / 正定値行列と対称化写像 / ガウス分布のモーメント