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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 情報通信系 情報通信 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)

全3問。線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・符号理論)。2023年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・重積分と極座標。

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解説3問と大問1問の途中式・最終答(全3問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき3問)
問題本文
非収録

東京科学大 情報通信 2025年度 院試 過去問の出題内容(全3問)

この3問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析極限・二重積分・数列の収束極限が存在しないことの示し方 / 変数変換の狙いあり
第2問線形代数対称行列と二次曲面跡と直交性を使う / 二次曲面の読み替えあり
第3問—情報通信分野の論述論述答案の骨格 / 図表を使う場合あり

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に3テーマが出ています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 5問 → 2025年度 3問
2025年度で新しく出たテーマ
符号理論
2023年度のページを見る

第1問 — 極限・二重積分・数列の収束

極限が存在しないことの示し方

二変数極限では,一つの経路で値が出るだけでは不十分である。存在しないことを示すには,原点へ近づく二つの経路で異なる値に近づくことを示せばよい。今回の関数は x2x^2 と y2y^2 の対称性が強いため,座標軸上を調べるのが最短である。

変数変換の狙い

領域が x+yx+y と x−yx-y で与えられているので,その二つをそのまま新変数にする。被積分関数も x−yx-y と x+yx+y の積の形になっており,変数変換後は長方形上の積分に分離する。Jacobian の 12\frac12 を落とすと値が半分ずれるため,ここが採点上の注意点である。

収束証明で書くべきこと

数列の和の収束は三角不等式だけで処理できる。ただし,二つの数列の収束に対して別々に得られる番号 N1,N2N_1,N_2 を,一つの NN にまとめる手順を書く必要がある。ここを書かない答案は,定義に基づく証明として不完全に見える。

解答

原点への近づき方を二通り比べる。y=0y=0 上では x2−y2x2+y2=1(x≠0) \frac{x^2-y^2}{x^2+y^2}=1 \qquad (x\ne 0) である。一方,x=0x=0 上では x2−y2x2+y2=−1(y≠0) \frac{x^2-y^2}{x^2+y^2}=-1 \qquad (y\ne 0) となる。原点へ近づく二つの経路で極限候補が一致しないので,原点における極限は存在しない。

次に u=x+y,v=x−y u=x+y,\qquad v=x-y とおく。このとき x=u+v2,y=u−v2,∣∂(x,y)∂(u,v)∣=12. x=\frac{u+v}{2},\qquad y=\frac{u-v}{2},\qquad \left|\frac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)}\right|=\frac12. 領域は 0≤u≤2, 0≤v≤20\le u\le 2,\ 0\le v\le 2 に移る。したがって ∬D(x−y)ex+y dx dy=∫02∫02veu12 dv du=12(∫02v dv)(∫02eu du)=e2−1. \iint_D (x-y)e^{x+y}\,dx\,dy = \int_0^2\int_0^2 v e^u\frac12\,dv\,du = \frac12\left(\int_0^2 v\,dv\right)\left(\int_0^2 e^u\,du\right) =e^2-1.

最後に,ε>0\varepsilon>0 を任意に取る。an→αa_n\to\alpha,bn→βb_n\to\beta より,ある自然数 N1,N2N_1,N_2 が存在して n>N1⇒∣an−α∣<ε2,n>N2⇒∣bn−β∣<ε2 n>N_1\Rightarrow |a_n-\alpha|<\frac{\varepsilon}{2},\qquad n>N_2\Rightarrow |b_n-\beta|<\frac{\varepsilon}{2} が成り立つ。N=max⁡{N1,N2}N=\max\{N_1,N_2\} とすれば,n>Nn>N で ∣(an+bn)−(α+β)∣≤∣an−α∣+∣bn−β∣<ε. |(a_n+b_n)-(\alpha+\beta)| \le |a_n-\alpha|+|b_n-\beta| <\varepsilon. よって an+bn→α+βa_n+b_n\to\alpha+\beta である。

最終答

原点での極限は存在しない。 ∬D(x−y)ex+y dx dy=e2−1. \iint_D (x-y)e^{x+y}\,dx\,dy=e^2-1. また,収束の定義から an+bn→α+βa_n+b_n\to\alpha+\beta が従う。

第2問 — 対称行列と二次曲面

跡と直交性を使う

対称行列の問題では,すべてを行列式から解こうとすると計算が重くなる。既に二つの固有値が与えられているので,残りの固有値は跡から直ちに出る。また,相異なる固有値の固有ベクトルが直交することを使えば,残りの固有ベクトルは外積で求まる。

二次曲面の読み替え

pTAp=1p^TAp=1 は,対角化した座標では 3r12+2r22+r32=1 3r_1^2+2r_2^2+r_3^2=1 である。したがって単位球ではなく楕円体であり,固有値が大きい方向ほど半径が短い。固有値と半径の関係は 半径=1/λ\text{半径}=1/\sqrt{\lambda} と覚えるとよい。

回転角の確認

3次元の回転行列では,回転軸方向に固有値 11 が一つあり,残り二つの固有値が回転角を表す。そのため跡は 1+2cos⁡θ1+2\cos\theta になる。今回のように cos⁡θ\cos\theta だけを問われている場合,軸の向きに依存する符号の議論は不要である。

対称行列と二次曲面の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 情報通信分野の論述

論述答案の骨格

この種の論述では,話題の広さよりも構造が重要である。課題,重要性,技術的解決,理論的根拠,限界,将来影響の順に書くと,採点者が論理を追いやすい。単なる感想ではなく,通信容量,SNR,符号化,MIMOなどの専門語を,役割が分かる形で使うことが必要である。

図表を使う場合

答案用紙で図を使うなら,「端末,基地局,チャネル状態,制御部」の関係を簡単なブロック図にするとよい。ただし,図だけでは説明にならない。本文で,どの技術がどの制約を緩和するのかを明確に書く必要がある。

過度な一般論を避ける

「AIが重要」「高速通信が必要」といった一般論だけでは,情報通信系の答案として弱い。数式や具体的な制御対象を一つ入れると,専門性が出る。今回なら C=Blog⁡2(1+SNR)C=B\log_2(1+\mathrm{SNR}) を用いて,帯域とSNRが速度上限に関係することを説明している点が有効である。

情報通信分野の論述の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 情報通信 院試 過去問の収録4年度

  • 2025年度(このページ・全3問)

    極限・二重積分・数列の収束 / 対称行列と二次曲面 / 情報通信分野の論述

  • 2023年度(全5問)

    ガンマ関数とWallis積 / Gram行列と固有値 / 二項分布とロジスティック回帰

  • 2022年度(全5問)

    多変数微分と体積 / 線形写像と対称行列 / 2状態Markov連鎖

  • 2020年度(全5問)

    変数変換と二変数関数の極値 / 正定値行列と対称化写像 / ガウス分布のモーメント