東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 工学院 情報通信系 情報通信 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)
全3問。線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・符号理論)。2023年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・重積分と極座標。
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- 解説3問と大問1問の途中式・最終答(全3問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき3問)
- 問題本文
- 非収録
東京科学大 情報通信 2025年度 院試 過去問の出題内容(全3問)
この3問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。
2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は3問に3テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第2問 | 25大学・544問 | |
| 重積分と極座標 | 第1問 | 23大学・142問 | |
| 符号理論 | 第3問 | 5大学・9問 |
前年度(2023年度)との違い
- 大問数
- 2023年度 5問 → 2025年度 3問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・重積分と極座標
- 2025年度で新しく出たテーマ
- 符号理論
第1問 — 極限・二重積分・数列の収束
極限が存在しないことの示し方
二変数極限では,一つの経路で値が出るだけでは不十分である。存在しないことを示すには,原点へ近づく二つの経路で異なる値に近づくことを示せばよい。今回の関数は と の対称性が強いため,座標軸上を調べるのが最短である。
変数変換の狙い
領域が と で与えられているので,その二つをそのまま新変数にする。被積分関数も と の積の形になっており,変数変換後は長方形上の積分に分離する。Jacobian の を落とすと値が半分ずれるため,ここが採点上の注意点である。
収束証明で書くべきこと
数列の和の収束は三角不等式だけで処理できる。ただし,二つの数列の収束に対して別々に得られる番号 を,一つの にまとめる手順を書く必要がある。ここを書かない答案は,定義に基づく証明として不完全に見える。
解答
原点への近づき方を二通り比べる。 上では である。一方, 上では となる。原点へ近づく二つの経路で極限候補が一致しないので,原点における極限は存在しない。
次に とおく。このとき 領域は に移る。したがって
最後に, を任意に取る。, より,ある自然数 が存在して が成り立つ。 とすれば, で よって である。
最終答
原点での極限は存在しない。 また,収束の定義から が従う。
第2問 — 対称行列と二次曲面
跡と直交性を使う
対称行列の問題では,すべてを行列式から解こうとすると計算が重くなる。既に二つの固有値が与えられているので,残りの固有値は跡から直ちに出る。また,相異なる固有値の固有ベクトルが直交することを使えば,残りの固有ベクトルは外積で求まる。
二次曲面の読み替え
は,対角化した座標では である。したがって単位球ではなく楕円体であり,固有値が大きい方向ほど半径が短い。固有値と半径の関係は と覚えるとよい。
回転角の確認
3次元の回転行列では,回転軸方向に固有値 が一つあり,残り二つの固有値が回転角を表す。そのため跡は になる。今回のように だけを問われている場合,軸の向きに依存する符号の議論は不要である。
第3問 — 情報通信分野の論述
論述答案の骨格
この種の論述では,話題の広さよりも構造が重要である。課題,重要性,技術的解決,理論的根拠,限界,将来影響の順に書くと,採点者が論理を追いやすい。単なる感想ではなく,通信容量,SNR,符号化,MIMOなどの専門語を,役割が分かる形で使うことが必要である。
図表を使う場合
答案用紙で図を使うなら,「端末,基地局,チャネル状態,制御部」の関係を簡単なブロック図にするとよい。ただし,図だけでは説明にならない。本文で,どの技術がどの制約を緩和するのかを明確に書く必要がある。
過度な一般論を避ける
「AIが重要」「高速通信が必要」といった一般論だけでは,情報通信系の答案として弱い。数式や具体的な制御対象を一つ入れると,専門性が出る。今回なら を用いて,帯域とSNRが速度上限に関係することを説明している点が有効である。
東京科学大 情報通信 院試 過去問の収録4年度
2025年度(このページ・全3問)
極限・二重積分・数列の収束 / 対称行列と二次曲面 / 情報通信分野の論述
ガンマ関数とWallis積 / Gram行列と固有値 / 二項分布とロジスティック回帰
多変数微分と体積 / 線形写像と対称行列 / 2状態Markov連鎖
変数変換と二変数関数の極値 / 正定値行列と対称化写像 / ガウス分布のモーメント