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新潟大学 院試 過去問 解答例

新潟大 自然科学研究科 数理物質科学専攻 数理科学コース 数学 2019年度 第1回募集 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問。微分積分・解析1問。テーマタグは5件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・線形空間・基底)。

最終更新:

収録12年度分の解答PDF:新潟大学 自然科学研究科 数理物質科学専攻 数理科学コース 数学(¥3,200・紙面見本あり)

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解説6問と大問1問の途中式・最終答(全6問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき6問)
問題本文
非収録

新潟大 数学 2019年度 第1回募集 院試 過去問の出題内容(全6問)

この6問の分野は微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析ガンマ関数とベータ関数基本公式のつながり / 最後の定積分あり
第2問—ジョルダン標準形重複固有値の扱い / 列ベクトルの順序あり
第3問—極分解何を求めているか / 平方根行列の作り方あり
第4問—単位円板上の演算閉性の決め手 / 結合律ではないあり
第5問—立方体グラフ距離の下限と上限 / 奇閉路の否定あり
第6問—対数正規分布分布の名前 / 平均・中央値・最頻値の違いあり

2019年度 第1回募集の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に5テーマが出ています。

前年度(2018年度 第2回募集)との違い

大問数
2018年度 第2回募集 6問 → 2019年度 第1回募集 6問
2018年度 第2回募集のページを見る

第1問 — ガンマ関数とベータ関数

基本公式のつながり

ガンマ関数の漸化式は部分積分、ベータ関数の対称性は置換、両者の関係式は2重積分の変数変換で示す。 それぞれ別々に覚えるより、積分計算の型として整理すると再現しやすい。 部分積分では境界項、2重積分では変数変換後の領域とヤコビアンを書くと答案として安定する。

最後の定積分

(1−t4)n(1-t^4)^n は偶関数なので、まず区間を [0,1][0,1] に半分化する。 その後 u=t4u=t^4 と置くと、指数 u−3/4u^{-3/4} が出てベータ積分の形になる。 係数 1/21/2 は、偶関数の2倍と置換の 1/41/4 の積から来る。 Γ(n+1)=n!\Gamma(n+1)=n! と書いてもよいが、ここでは前半で求めた Γ(n)\Gamma(n) の形とそろえるため Γ(n+1)\Gamma(n+1) のまま残している。

解答

(1) 以下ではガンマ関数・ベータ関数の各積分が収束する範囲、すなわち x>0, y>0x>0,\ y>0 を仮定して計算する。まず部分積分により Γ(x+1)=xΓ(x) \Gamma(x+1)=x\Gamma(x) が成り立つ。境界項は lim⁡t→∞txe−t=0,lim⁡t→0+txe−t=0 \lim_{t\to\infty} t^x e^{-t}=0,\qquad \lim_{t\to0+} t^x e^{-t}=0 で消える。さらに Γ(1)=∫0∞e−t dt=1 \Gamma(1)=\int_0^\infty e^{-t}\,dt=1 であるから、自然数 nn に対して帰納的に Γ(n)=(n−1)! \Gamma(n)=(n-1)! である。

(2) ベータ関数の対称性は、積分で t=1−ut=1-u と置換すればよい。 B(x,y)=∫01tx−1(1−t)y−1 dt=∫01(1−u)x−1uy−1 du=B(y,x). \begin{aligned} B(x,y) &=\int_0^1 t^{x-1}(1-t)^{y-1}\,dt\\ &=\int_0^1 (1-u)^{x-1}u^{y-1}\,du\\ &=B(y,x). \end{aligned}

(3) 次にガンマ関数の積を考える。被積分関数は非負なので、積分順序や変数変換は Tonelliの定理の範囲で正当化できる。 Γ(x)Γ(y)=∫0∞∫0∞e−(s+t)sx−1ty−1 ds dt. \Gamma(x)\Gamma(y) =\int_0^\infty\int_0^\infty e^{-(s+t)}s^{x-1}t^{y-1}\,ds\,dt. 変数変換 r=s+t,u=ss+t r=s+t,\qquad u=\frac{s}{s+t} を用いると、領域 s>0, t>0s>0,\ t>0 は r>0, 0<u<1r>0,\ 0<u<1 に移る。また s=ru, t=r(1−u)s=ru,\ t=r(1-u) であり、ヤコビアンは ∣∂(s,t)∂(r,u)∣=∣ur1−u−r∣=r \left|\frac{\partial(s,t)}{\partial(r,u)}\right| = \left| \begin{matrix} u&r\\ 1-u&-r \end{matrix} \right| =r である。したがって Γ(x)Γ(y)=∫0∞∫01e−r(ru)x−1{r(1−u)}y−1r du dr=(∫0∞e−rrx+y−1 dr)(∫01ux−1(1−u)y−1 du)=Γ(x+y)B(x,y). \begin{aligned} \Gamma(x)\Gamma(y) &=\int_0^\infty\int_0^1 e^{-r}(ru)^{x-1}\{r(1-u)\}^{y-1}r\,du\,dr\\ &=\left(\int_0^\infty e^{-r}r^{x+y-1}\,dr\right) \left(\int_0^1 u^{x-1}(1-u)^{y-1}\,du\right)\\ &=\Gamma(x+y)B(x,y). \end{aligned}

(4) 最後に I=∫−11(1−t4)n dt I=\int_{-1}^{1}(1-t^4)^n\,dt を求める。被積分関数は偶関数なので I=2∫01(1−t4)n dt. I=2\int_0^1(1-t^4)^n\,dt. u=t4u=t^4 とおくと dt=14u−3/4 dudt=\frac14u^{-3/4}\,du だから I=12∫01u1/4−1(1−u)n du=12B(14,n+1)=Γ(1/4)Γ(n+1)2Γ(n+5/4). \begin{aligned} I &=\frac12\int_0^1 u^{1/4-1}(1-u)^n\,du\\ &=\frac12 B\left(\frac14,n+1\right)\\ &=\frac{\Gamma(1/4)\Gamma(n+1)}{2\Gamma(n+5/4)}. \end{aligned}

最終答

(1) Γ(n)=(n−1)!. \Gamma(n)=(n-1)!.

(2) B(x,y)=B(y,x). B(x,y)=B(y,x).

(3) Γ(x)Γ(y)=Γ(x+y)B(x,y), \Gamma(x)\Gamma(y)=\Gamma(x+y)B(x,y),

(4) ∫−11(1−t4)n dt=12B(14,n+1)=Γ(1/4)Γ(n+1)2Γ(n+5/4). \int_{-1}^{1}(1-t^4)^n\,dt =\frac12 B\left(\frac14,n+1\right) =\frac{\Gamma(1/4)\Gamma(n+1)}{2\Gamma(n+5/4)}.

第2問 — ジョルダン標準形

重複固有値の扱い

代数的重複度が2でも、固有空間が2次元とは限らない。 ここでは λ=2\lambda=2 の固有空間が1次元なので、対角化ではなくジョルダンブロックを作る必要がある。

列ベクトルの順序

ジョルダンブロック (2102) \begin{pmatrix}2&1\\0&2\end{pmatrix} に対応させるには、列を v1,v2v_1,v_2 の順に並べ、 Av1=2v1,Av2=v1+2v2 Av_1=2v_1,\qquad Av_2=v_1+2v_2 となるようにする。この順序が右上の 11 の位置を決める。

ジョルダン標準形の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 極分解

何を求めているか

これは行列の極分解 A=UPA=UP の問題である。 P=(A∗A)1/2P=(A^*A)^{1/2} が正の部分、UU が部分等長作用素にあたる。

平方根行列の作り方

A∗AA^*A はすでに 11 次元部分と 22 次元部分に分かれている。 右下ブロックは階数1なので、固有ベクトル (1,1)(1,1) 方向だけに 2\sqrt2 を掛け、直交する (1,−1)(1,-1) 方向は0にする。 この見方をすると平方根行列を無理なく書ける。

極分解の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 単位円板上の演算

閉性の決め手

単位円板に入ることは、絶対値を直接評価するより 1−∣a⊕b∣2 1-|a\oplus b|^2 を計算する方が速い。分子が (1−∣a∣2)(1−∣b∣2)(1-|a|^2)(1-|b|^2) に因数分解されるため、正であることがすぐ分かる。

結合律ではない

この演算は一般には結合的でない。第2問の具体計算で a⊕(b⊕c)≠(a⊕b)⊕c a\oplus(b\oplus c)\ne (a\oplus b)\oplus c が確認できる。第4問の等式は、ずれを回転因子 zz で補正する形になっている。

単位円板上の演算の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 立方体グラフ

距離の下限と上限

距離がハミング距離に等しいことを示すには、下限と上限の両方を書く。 下限は「1回の移動で1座標しか変えられない」こと、上限は「違う座標を順に反転すれば到達できる」ことから従う。

奇閉路の否定

0,1列の成分和の偶奇で頂点を2色に分けるのが自然である。 辺を渡るたびに偶奇が変わるので、閉路の長さは偶数でなければならない。

立方体グラフの途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 対数正規分布

分布の名前

Y=eXY=e^X で XX が正規分布に従うとき、YY は対数正規分布に従う。 密度変換ではヤコビアン 1/y1/y を忘れないことが最重要である。 また、変換後の台は y>0y>0 だけであり、y≤0y\le0 で密度を0と書くところまで含めて答えにする。

平均・中央値・最頻値の違い

対数正規分布では一般に eμ−σ2<eμ<eμ+σ2/2 e^{\mu-\sigma^2}<e^\mu<e^{\mu+\sigma^2/2} となる。右に裾が長いため、平均値が中央値より大きくなる。 中央値は指数関数の単調性だけで決まる一方、平均値は裾の重さを強く受ける。 最頻値は密度そのものの最大点なので、対数密度を平方完成して一意最大まで確認すると減点されにくい。

対数正規分布の途中式・最終答をPDFで見る

新潟大 数学 院試 過去問の収録12年度

  • 2023年度 第2回募集(全6問)

    逆正接関数 / 対角化 / ユニタリ群

  • 2023年度 第1回募集(全6問)

    積分計算 / 行列の累乗 / 距離空間の連続性

  • 2022年度 第2回募集(全6問)

    逆三角関数と積分 / 対称行列の直交対角化 / コンパクト集合と閉集合の和

  • 2022年度 第1回募集(全6問)

    楕円体の体積 / 2次行列の対角化 / 距離空間と同相写像

  • 2020年度 第2回募集(全6問)

    2変数関数の極値 / 対角化と行列の累乗 / HolderとMinkowskiの不等式

  • 2020年度 第1回募集(全6問)

    微分積分:2変数関数の偏導関数とヘッセ行列による極値判定 / 線形代数:対合行列の対角化と A^n / 位相:閉包と連結性の保存

  • 2019年度 第2回募集(全6問)

    微分積分:原点の特異性を持つ広義積分の収束次元依存性 / 線形代数:対称・交代分解、逆行列、対角化可能性、多項式の固有値 / 距離空間:収束列・コーシー列・有界性・部分列

  • 2019年度 第1回募集(このページ・全6問)

    ガンマ関数とベータ関数 / ジョルダン標準形 / 極分解

  • 2018年度 第2回募集(全6問)

    微分積分:部分分数分解・広義積分の収束・極座標による重積分 / 線形代数:4\times4 対称行列の行列式・固有値・直交対角化 / 位相:閉包の点列的でない特徴づけと連続写像による像の閉包

  • 2018年度 第1回募集(全6問)

    微分積分:逆正弦関数の冪級数展開と楕円体の切片の体積 / 線形代数:実対称行列の直交対角化と二次形式の標準形 / 複素解析:単位円上のハーディ内積とノルムの計算

  • 2017年度 第2回募集(全6問)

    線形代数:対角化・行列のべき・対角化可能性の判定 / 微分積分:平坦な関数の無限回微分可能性とガウス積分 / 微分方程式:接線の内分条件から定まる曲線

  • 2017年度 第1回募集(全6問)

    微分積分:三角形の山を持つ関数列と極限の交換 / 線形代数:べき等行列と直交行列の固有値 / 位相:コンパクト性と連続全単射が同相になる条件