新潟大 自然科学研究科 数理物質科学専攻 数理科学コース 数学 2023年度 第1回募集 院試 過去問 解答例・解説(解説6項目)
解説6項目の分野は位相・幾何1項目、線形代数1項目、微分積分・解析1項目です。固有値・固有ベクトル、群論・環論が出ています。2022年度 第2回募集と共通するテーマは固有値・固有ベクトル、群論・環論です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。
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第1問 — 積分計算
有理関数の処理
2 次式の積分では,まず因数分解できるか,できなければ平方完成できるかを見る。 実数で一次因子に分かれる場合は部分分数分解,判別式が負になる場合は 型に直して逆正接関数に帰着する。
Wallis 型の漸化式
の計算では, と分けて を微分しやすい形にするのが標準的である。 区間端点で となるため境界項が消える。この一点を明記すると, 漸化式の導出が答案として読みやすくなる。
解答
(1) 分母を因数分解すると である。部分分数分解より したがって
(2) 平方完成すると である。よって
(3) とおく。 とし,部分積分で 境界項は であり, だから 従って また なので
最終答
(1)
(2)
(3)
第2問 — 行列の累乗
対角化できない場合の累乗
対角化できない行列でも,特性多項式から得られる関係式で累乗を下げられる。 この問題では が零でない冪零行列になっているため,二項展開が 1 次で止まる。Jordan 標準形を明示しなくても,同じ計算が行える。
確認
を代入すると,表示した式はそれぞれ と一致する。 また偶数乗では左上成分が ,奇数乗では となり,固有値 の寄与も 正しく反映されている。
第3問 — 距離空間の連続性
証明の組み方
距離空間では,-- による連続性,点列による連続性, 開近傍による連続性が一致する。点列条件から -- 条件へ戻す部分だけは, 直接証明より対偶が自然である。
近傍条件の読み替え
(iii) は, の任意の開近傍 に対して, の近くを十分小さく取れば その像が に入る,という主張である。これは と書くと 逆像を使った位相的な連続性そのものになる。
第4問 — 共役類と交代群
対称群の共役類
では型だけを見ればよい。型 の元の個数は で求められる。この公式を使うと, の表の個数を機械的に確認できる。
交代群で共役類が分裂する場合
の共役類を に制限すると,そのまま一つの共役類になる場合と二つに分裂する場合がある。 判定の核心は「中心化群に奇置換があるか」である。 本問では の 3-cycle と の 5-cycle だけが,中心化群を偶置換だけで持つため分裂する。 最後の正規部分群の議論では,正規部分群が共役類の和集合になることと, その位数が群の位数を割ることを同時に使う。
第5問 — グラフの直径と半径
中心を使う
半径は「最もよい基準点から見た最大距離」である。直径の上界を示すときは, 任意の 2 点を直接比べるのではなく,中心 を経由して三角不等式を使うと一行で済む。
道 の添字
ここでは が「辺数 の道」と指定されているため,頂点数は である。 文献によっては を 頂点の道とすることがあるので,半径・直径の添字を 取り違えないようにする。
第6問 — 線形計画法
符号に注意する制約
第 2 制約は右辺が負なので,余剰変数を入れたあとに式全体を 倍して 右辺を正にしている。この操作をしないと,初期基底解の可否を誤りやすい。
双対による検算
主問題の最小値と双対問題の最大値がともに で一致する。これは強双対性による 自然な検算であり,シンプレックス法で得た解が最適であることの確認にもなる。
年度別の解答例(12年度)
逆正接関数 / 対角化 / ユニタリ群
2023年度 第1回募集(このページ・解説6項目)
積分計算 / 行列の累乗 / 距離空間の連続性
逆三角関数と積分 / 対称行列の直交対角化 / コンパクト集合と閉集合の和
楕円体の体積 / 2次行列の対角化 / 距離空間と同相写像
2変数関数の極値 / 対角化と行列の累乗 / HolderとMinkowskiの不等式
微分積分:2変数関数の偏導関数とヘッセ行列による極値判定 / 線形代数:対合行列の対角化と A^n / 位相:閉包と連結性の保存
微分積分:原点の特異性を持つ広義積分の収束次元依存性 / 線形代数:対称・交代分解、逆行列、対角化可能性、多項式の固有値 / 距離空間:収束列・コーシー列・有界性・部分列
ガンマ関数とベータ関数 / ジョルダン標準形 / 極分解
微分積分:部分分数分解・広義積分の収束・極座標による重積分 / 線形代数:4×4 対称行列の行列式・固有値・直交対角化 / 位相:閉包の点列的でない特徴づけと連続写像による像の閉包
微分積分:逆正弦関数の冪級数展開と楕円体の切片の体積 / 線形代数:実対称行列の直交対角化と二次形式の標準形 / 複素解析:単位円上のハーディ内積とノルムの計算
線形代数:対角化・行列のべき・対角化可能性の判定 / 微分積分:平坦な関数の無限回微分可能性とガウス積分 / 微分方程式:接線の内分条件から定まる曲線
微分積分:三角形の山を持つ関数列と極限の交換 / 線形代数:べき等行列と直交行列の固有値 / 位相:コンパクト性と連続全単射が同相になる条件
2023年度 第1回募集の出題内容
解説6項目
同じテーマを出した他大学・他年度
2テーマ
2023年度 第1回募集は2問に2テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第2問 | 28大学・601問 | |
| 群論・環論 | 第4問 | 15大学・69問 |
前年度(2022年度 第2回募集)との違い
- 大問数
- 2022年度 第2回募集 6問 → 2023年度 第1回募集 6問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・群論・環論
新潟大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 平成29〜令和5年度(2017〜2023相当。令和3年度は筆記試験実施なし)
- 公式の解答例
- 解答例の掲載なし
- 英語の扱い
- 一般選抜の外国語[英語]はTOEICまたはTOEFL(iBT・改訂版ペーパー・ITP)のスコアシート提出に基づき評価(研究科公式案内PDFに明記)。
- 院試hubの最終確認
- 2026-09-05