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新潟大 自然科学研究科 数理物質科学専攻 数理科学コース 数学 2020年度 第2回募集 院試 過去問 解答例・解説(解説6項目)

解説6項目の分野は線形代数1項目、微分積分・解析1項目です。固有値・固有ベクトル、群論・環論が出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1問 — 2変数関数の極値

極値判定の要点

2変数関数では、まず勾配が消える点を求め、次にヘッセ行列で判定する。 判別式 Δ=fxxfyy−fxy2\Delta=f_{xx}f_{yy}-f_{xy}^2 が負なら鞍点で、極値ではない。 この問題では (0,0)(0,0) が典型的な鞍点であり、ここを極値として数えないことが重要である。

閉領域での最大・最小

閉じた有界領域上の連続関数は最大値・最小値をもつ。候補は内部の停留点と境界上の1変数問題から出る。 境界では端点だけでなく、各辺に沿った微分が0になる点も調べる必要がある。 この確認を落とすと、最小値 −8−42-8-4\sqrt2 を見逃しやすい。

解答

(1) 扱う関数を f(x,y)=x3+3xy+y3 f(x,y)=x^3+3xy+y^3 とおく。1階偏導関数と2階偏導関数は fx=3x2+3y,fy=3x+3y2, f_x=3x^2+3y,\qquad f_y=3x+3y^2, fxx=6x,fxy=3,fyy=6y f_{xx}=6x,\qquad f_{xy}=3,\qquad f_{yy}=6y である。

(2) 極値の候補は x2+y=0,x+y2=0 x^2+y=0,\qquad x+y^2=0 を満たす点である。第1式から y=−x2y=-x^2 として第2式へ代入すると x+x4=x(x3+1)=0 x+x^4=x(x^3+1)=0 となるので、候補点は (0,0),(−1,−1)(0,0),(-1,-1) である。ヘッセ行列の判別式は Δ=fxxfyy−fxy2=36xy−9. \Delta=f_{xx}f_{yy}-f_{xy}^2=36xy-9. (0,0)(0,0) では Δ=−9<0\Delta=-9<0 だから鞍点である。 (−1,−1)(-1,-1) では Δ=27>0\Delta=27>0 かつ fxx=−6<0f_{xx}=-6<0 だから極大点であり、極大値は f(−1,−1)=1 f(-1,-1)=1 である。極小値は存在しない。

(3) 次に正方形領域 D=[−2,2]×[−2,2]D=[-2,2]\times[-2,2] 上の最大値・最小値を求める。 内部の候補値は 0,10,1 である。境界を調べる。

境界f の形候補値x=28+6y+y3−12, 28x=−2−8−6y+y3−12, −8−42, −8+42, −4y=2x3+6x+8−12, 28y=−2x3−6x−8−12, −8−42, −8+42, −4 \begin{array}{c|c|c} \text{境界} & f \text{ の形} & \text{候補値}\\ \hline x=2 & 8+6y+y^3 & -12,\ 28\\ x=-2 & -8-6y+y^3 & -12,\ -8-4\sqrt2,\ -8+4\sqrt2,\ -4\\ y=2 & x^3+6x+8 & -12,\ 28\\ y=-2 & x^3-6x-8 & -12,\ -8-4\sqrt2,\ -8+4\sqrt2,\ -4 \end{array} したがって max⁡Df=28,min⁡Df=−8−42. \max_D f=28,\qquad \min_D f=-8-4\sqrt2. 最大値は (2,2)(2,2) で、最小値は (−2,2)(-2,\sqrt2) と (2,−2)(\sqrt2,-2) で達成される。

最終答

(1) fx=3x2+3y,fy=3x+3y2,fxx=6x,fxy=3,fyy=6y. f_x=3x^2+3y,\quad f_y=3x+3y^2,\quad f_{xx}=6x,\quad f_{xy}=3,\quad f_{yy}=6y.

(2) 極大値は 11(点 (−1,−1)(-1,-1))、極小値はなし。

(3) 領域 DD 上では最大値 2828、最小値 −8−42-8-4\sqrt2。

第2問 — 対角化と行列の累乗

対角化できる理由

固有値がすべて異なるので、対応する固有ベクトルは一次独立である。 したがって固有ベクトルを列に並べた行列 PP は正則となり、対角化ができる。

累乗計算

行列の累乗を直接掛けるのではなく、対角化 A=PDP−1 A=PDP^{-1} を使うと An=PDnP−1 A^n=PD^nP^{-1} となる。対角行列の累乗は対角成分を累乗するだけなので、最終式まで機械的に進められる。

対角化と行列の累乗の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — HolderとMinkowskiの不等式

証明の流れ

この問題は Young⇒Holder⇒Minkowski \text{Young} \Rightarrow \text{Holder} \Rightarrow \text{Minkowski} という標準的な流れをそのまま使うのが最も安定する。最初の1変数最小化で共役指数の関係が現れ、その正規化を使ってHolderを証明する。

Minkowskiで割る量

最後に Sp/qS^{p/q} で割るため、先に S=0S=0 の場合を分けておく必要がある。 この一言がないと、0で割る可能性が残る。入試答案ではこのような例外処理を短く書いておくと減点されにくい。

HolderとMinkowskiの不等式の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 四元数群

群の正体

この群は四元数群 Q8Q_8 である。行列として出題されていても、積の関係 I2=J2=K2=−E,IJ=K,JI=−K I^2=J^2=K^2=-E,\quad IJ=K,\quad JI=-K を確認した後は Q8Q_8 の構造を使ってよい。

部分群列挙の考え方

位数8の群なので、部分群の位数は 1,2,4,81,2,4,8 に限られる。 位数2の元は −E-E だけで、その他の非中心元は位数4である。 この情報だけで列挙がほぼ終わる。

四元数群の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 空間曲線

接線と接触平面

空間曲線の接線方向は速度ベクトル p′(t)\mathbf p'(t) で決まる。 接触平面は、曲線を2次まで近似したときの平面なので、通常は p′(t)\mathbf p'(t) と p′′(t)\mathbf p''(t) が張る平面を使う。

確認

p′(2)\mathbf p'(2) と p′′(2)\mathbf p''(2) は比例していないため、接触平面は一意に定まる。 法線ベクトルを外積で取れば、点 p(2)\mathbf p(2) を通る平面の式にすぐ変換できる。

空間曲線の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 線形計画と双対

図示の代わりに確認すべき点

表示された3本の不等式だけで見ると、実行可能領域は下方向に非有界である。 ただし最大化なので、各 x1x_1 で許される x2x_2 の上限を追えばよい。 標準形の慣例として x1,x2≥0x_1,x_2\ge0 も課す読み方をしても、最適点 (2,10)(2,10) と最適値 2626 は変わらない。

相補性による検算

主問題の最適点では第3制約に余裕があるため、対応する双対変数は y3=0y_3=0 になる。 また主変数が符号制約なしであるため、双対の2本の制約は等号で成り立つ。 y1+2y2=3,y1+y2=2 y_1+2y_2=3,\qquad y_1+y_2=2 から y1=y2=1y_1=y_2=1 が出る。シンプレックス計算の結果をこの相補性で検算できる。

符号制約の読み違いに注意

主変数に非負制約が明記されている問題なら,双対制約は等式ではなく 「≥\ge」型になる。今回は符号制約なしとして扱ったため等式にしている。 ただし非負制約を追加して読んでも最適点 (2,10)(2,10) は第1象限内にあり, 相補性から得られる双対解 (1,1,0)(1,1,0) も同じ最適値を与える。 採点答案では,どちらの標準形を採用したかを最初に一言書いておくと, 双対問題の不等号・等号の違いで減点されにくい。

線形計画と双対の途中式・最終答をPDFで見る

数学の解答・解説PDF

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年度別の解答例(12年度)

2020年度 第2回募集の出題内容

解説6項目

この6問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析2変数関数の極値極値判定の要点 / 閉領域での最大・最小あり
第2問線形代数対角化と行列の累乗対角化できる理由 / 累乗計算あり
第3問—HolderとMinkowskiの不等式証明の流れ / Minkowskiで割る量あり
第4問—四元数群群の正体 / 部分群列挙の考え方あり
第5問—空間曲線接線と接触平面 / 確認あり
第6問—線形計画と双対図示の代わりに確認すべき点 / 相補性による検算あり

同じテーマを出した他大学・他年度

2テーマ

2020年度 第2回募集は2問に2テーマが出ています。

前年度(2020年度 第1回募集)との違い

大問数
2020年度 第1回募集 6問 → 2020年度 第2回募集 6問
2020年度 第1回募集の解答例

新潟大学の公式過去問

公開年度範囲
平成29〜令和5年度(2017〜2023相当。令和3年度は筆記試験実施なし)
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
一般選抜の外国語[英語]はTOEICまたはTOEFL(iBT・改訂版ペーパー・ITP)のスコアシート提出に基づき評価(研究科公式案内PDFに明記)。
院試hubの最終確認
2026-09-05
新潟大学の公式過去問PDF