新潟大学 院試 過去問 解答例
新潟大 自然科学研究科 数理物質科学専攻 数理科学コース 数学 2017年度 第2回募集 院試 過去問 解答例・解説(全6問)
全6問。線形代数2問・微分積分・解析2問・代数1問。
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- 解説6問/全6問(5,945字)
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- 途中式と最終答(最終答つき6問)
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新潟大 数学 2017年度 第2回募集 院試 過去問の出題内容(全6問)
この6問の分野は線形代数2問・微分積分・解析2問・代数1問・微分方程式1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 線形代数 | 対角化・行列のべき・対角化可能性の判定 | — | あり |
| 第2問 | 微分積分・解析 | 平坦な関数の無限回微分可能性とガウス積分 | この関数が示していること / (a) が (b) を支える構造 | あり |
| 第3問 | 微分方程式 | 接線の内分条件から定まる曲線 | 内分比の向き / 一般の比の場合 | あり |
| 第4問 | 代数 | 単位円がなす群と1の冪根の巡回性 | 一般化 / (3) の幾何的な意味 | あり |
| 第5問 | 微分積分・解析 | ミンコフスキー汎関数とノルムとの関係 | (3) で何が原因か | あり |
| 第6問 | 線形代数 | 基底解の列挙・最適解・双対問題による検証 | 双対問題の作り方 / 相補性条件の使い方 | あり |
この年度の解説には失点しやすい点6件・検算2件が付いています。
前年度(2017年度 第1回募集)との違い
- 大問数
- 2017年度 第1回募集 6問 → 2017年度 第2回募集 6問
第1問 — 線形代数:対角化・行列のべき・対角化可能性の判定
方針
行列の対角化可能性は判別式でほぼ決まる。 固有値が相異なれば必ず対角化でき、重解のときだけ個別に調べればよい。 重解 で対角化可能なのは の場合に限る (対角化して になるなら だから)。
検算
(3) の式で とすると 。 とすると で、 を直接計算した値と一致する。
の別の求め方
ケーリー・ハミルトンの定理より なので、 と書ける。 が で成り立つことから 、 が定まり、 上と同じ結果になる。対角化を経由しないので計算量が少ない。
失点しやすい点
(2) は「一つ求めよ」なので、固有ベクトルのスカラー倍や列の順序を変えたものも正解である。 ただし と対角行列の並びは対応させること。 (4) で「判別式が 」だけを答えると、 がスカラー行列でないことの確認が抜ける。 また実対角化と複素対角化のどちらを問うているかを明示せずに答えると、 採点者に意図が伝わらない。
第2問 — 微分積分:平坦な関数の無限回微分可能性とガウス積分
この関数が示していること
(1) の は原点で でありながら、テイラー級数がすべて になる。 にもかかわらず で なので、 テイラー級数は関数に収束しない。すなわち は だが解析的でない。 この は「なめらかで台がコンパクトな関数」(バンプ関数)を作る材料になり、 微分幾何の1の分割や超関数論で使われる。
(a) が (b) を支える構造
(b) の核心は「多項式 は で 」という一点で、 それがまさに (a) の主張である。 の具体形(、 など)を求める必要はなく、 多項式であることさえ言えれば十分である。
はさみうちを使う理由
(2) で四分円と正方形を比べるのは、 広義重積分の値が積分領域の取り方によらないことをきちんと保証するためである。 「極座標に変換して 」といきなり書いても答えは合うが、 非有界領域での重積分の扱いを飛ばしたことになる。 被積分関数が正なので、増大する領域列での極限が一致することが本質である。
失点しやすい点
(1)(a) で 側を忘れると、両側極限を示したことにならない。 (1)(b) では「 での導関数の形」と「 での微分係数」を混同しやすい。 原点での微分係数は定義(差商の極限)に戻って計算する必要がある。 (2) では と を取り違えないこと。
第3問 — 微分方程式:接線の内分条件から定まる曲線
内分比の向き
は「 から数えて 、 から まで 」を意味し、 内分点の公式では遠いほうの端点に大きい重みが付く。 すなわち である。 比を逆に取ると ではなく となり、答えが になってしまう。 2つの座標から同じ式が出ることを確認すれば、比の向きの取り違えに気づける。
検算
のとき なので、 での接線は 、すなわち 。 、 である。 で確かに内分点になっている。
一般の比の場合
とすると同様の計算で 、 すなわち となる。 (中点)なら で双曲線、 なら である。 接点が線分をどこで分けるかが、そのまま冪の指数になっている。
失点しやすい点
や の場合を考えると、 接線が第1象限で両軸と交わらない( の 座標が負になる等)。 条件から自動的に (減少関数)であることに触れておくと丁寧である。 また (2) で の絶対値を外す根拠(第1象限なので )を明示すること。
第4問 — 代数:単位円がなす群と1の冪根の巡回性
方針
(4) の要点は「有限部分群は自動的に に閉じ込められる」ことである。 自体は無限群だが、位数 という制約が という方程式に翻訳され、 その解が高々 個しかないという代数的な事実で押さえ込める。 が巡回群であることを (2) で用意しておくのがこの構成の狙いである。
一般化
同じ議論で「体の乗法群の有限部分群は巡回群」が示せる。 の解が高々 個であることは、 多項式の根の個数が次数以下という体の性質だけを使っているからである。 有限体 の乗法群が巡回群であることも、この定理の系である。
(3) の幾何的な意味
の元は単位円周を 等分した点、すなわち正 角形の頂点である。 は を に戻す回転を に施したものなので、 は2点の間の中心角にあたる。 異なる2頂点の中心角の最小値は隣接する場合の である。 では2点が と で中心角は 、確かに公式に合う。
失点しやすい点
(2) で「 個の相異なる解がある」ことと「それ以上ない」ことの両方を示す必要がある。 前者だけでは が より大きい可能性を排除できない。 (3) では偏角を で取ると の最小値が にならない場合がある。 主値を に取ることを明示すること。
第5問 — 関数解析:ミンコフスキー汎関数とノルムとの関係
がノルムになるための条件
は一般に ()を満たし、 が凸なら (2) の劣加法性も持つ。 さらにノルムになるためには (i) が原点対称()で となること、 (ii) が要る。 (3) の反例は (ii) が落ちる場合で、 は半ノルムにとどまる。
(3) で何が原因か
となるのは の向きに が無限に伸びているときである。 反例の帯は 軸方向に非有界なので、その方向のベクトルはいくら縮めても に残る。 逆に が有界なら、( は の直径の上界)から となり (ii) が従う。 すなわち「 が有界」が反例を防ぐ条件である。
を使う理由
(2) で「 が達成される」と仮定してはいけない。 下限は達成されないことがあり( が開集合のとき になる)、 そのため だけ余裕を持たせた を取る必要がある。 最後に とするのが下限を扱う定石である。
失点しやすい点
(1) で の場合を落とすと、 の対象集合が になる特殊な場合を見逃すことになる。 (3) では「凸である」「 が内点」の2条件をどちらも確認すること。 片方でも欠けると反例として成立しない。
第6問 — 線形計画:基底解の列挙・最適解・双対問題による検証
方針
への写像なので基底は2本、基底可能解は「2本選んで正係数」の組と対応する。 (1) はその列挙そのもので、(2) はそれらを比べるだけになる。 変数が5個あっても、実質的には6通りの候補を比べる問題である。
双対問題の作り方
主問題が「等式制約・変数非負・最小化」なら、双対は 「不等式制約 ・変数自由・最大化」になる。 制約が等式であることが双対変数の符号を自由にし、 主変数が非負であることが双対制約を不等号にしている。 この対応を覚えておくと (3) で迷わない。
相補性条件の使い方
最適解では「主変数が正なら対応する双対制約が等号で成立」する。 (2) で が分かっているので、 と を連立すれば 図を描かなくても が求まる。 図示はその答えが実行可能領域の頂点であることの確認に使う。
失点しやすい点
(1) で係数が になる場合(1本だけで表せる場合)を「2個選んだ」と数えないこと。 本問では が単独のベクトルの正の倍にならないので該当はない。 (3) で双対変数に を課すと、主問題の制約が等式であることと矛盾する。 また目的関数の係数ベクトルが であること( ではない)に注意する。
新潟大 数学 院試 過去問の収録12年度
逆正接関数 / 対角化 / ユニタリ群
積分計算 / 行列の累乗 / 距離空間の連続性
逆三角関数と積分 / 対称行列の直交対角化 / コンパクト集合と閉集合の和
楕円体の体積 / 2次行列の対角化 / 距離空間と同相写像
2変数関数の極値 / 対角化と行列の累乗 / HolderとMinkowskiの不等式
微分積分:2変数関数の偏導関数とヘッセ行列による極値判定 / 線形代数:対合行列の対角化と <span class="katex"><span class="katex-mathml"><math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML"><semantics><mrow><msup><mi>A</mi><mi>n</mi></msup></mrow><annotation encoding="application/x-tex">A^{n}</annotation></semantics></math></span><span class="katex-html" aria-hidden="true"><span class="base"><span class="strut" style="height:0.6833em;"></span><span class="mord"><span class="mord mathnormal">A</span><span class="msupsub"><span class="vlist-t"><span class="vlist-r"><span class="vlist" style="height:0.6644em;"><span style="top:-3.063em;margin-right:0.05em;"><span class="pstrut" style="height:2.7em;"></span><span class="sizing reset-size6 size3 mtight"><span class="mord mtight"><span class="mord mathnormal mtight">n</span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span></span> / 位相:閉包と連結性の保存
微分積分:原点の特異性を持つ広義積分の収束次元依存性 / 線形代数:対称・交代分解、逆行列、対角化可能性、多項式の固有値 / 距離空間:収束列・コーシー列・有界性・部分列
ガンマ関数とベータ関数 / ジョルダン標準形 / 極分解
微分積分:部分分数分解・広義積分の収束・極座標による重積分 / 線形代数:<span class="katex"><span class="katex-mathml"><math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML"><semantics><mrow><mn>4</mn><mo>×</mo><mn>4</mn></mrow><annotation encoding="application/x-tex">4\times4</annotation></semantics></math></span><span class="katex-html" aria-hidden="true"><span class="base"><span class="strut" style="height:0.7278em;vertical-align:-0.0833em;"></span><span class="mord">4</span><span class="mspace" style="margin-right:0.2222em;"></span><span class="mbin">×</span><span class="mspace" style="margin-right:0.2222em;"></span></span><span class="base"><span class="strut" style="height:0.6444em;"></span><span class="mord">4</span></span></span></span> 対称行列の行列式・固有値・直交対角化 / 位相:閉包の点列的でない特徴づけと連続写像による像の閉包
微分積分:逆正弦関数の冪級数展開と楕円体の切片の体積 / 線形代数:実対称行列の直交対角化と二次形式の標準形 / 複素解析:単位円上のハーディ内積とノルムの計算
2017年度 第2回募集(このページ・全6問)
線形代数:対角化・行列のべき・対角化可能性の判定 / 微分積分:平坦な関数の無限回微分可能性とガウス積分 / 微分方程式:接線の内分条件から定まる曲線
微分積分:三角形の山を持つ関数列と極限の交換 / 線形代数:べき等行列と直交行列の固有値 / 位相:コンパクト性と連続全単射が同相になる条件