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新潟大 自然科学研究科 数理物質科学専攻 数理科学コース 数学 2022年度 第1回募集 院試 過去問 解答例・解説(解説6項目)

解説6項目の分野は位相・幾何1項目、線形代数1項目、代数1項目です。固有値・固有ベクトル、重積分と極座標、群論・環論が出ています。2020年度 第2回募集と共通するテーマは固有値・固有ベクトル、群論・環論です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1問 — 楕円体の体積

一次変換で標準形に直す

楕円や楕円体は、軸方向の拡大縮小で円や球に戻すのが最短である。面積・体積は図形そのものを積分するより、ヤコビアンを掛ける方が計算ミスが少ない。

第3小問の切り替え点

第3小問は、球による制限 r2≤1−w2r^2\le 1-w^2 と放物面状の制限 r2≤wr^2\le w のどちらが強いかを分ける問題である。ww の範囲を先に決めずに積分すると、負の ww まで含めてしまう誤りが起こりやすい。r2≤wr^2\le w から w≥0w\ge 0 が出る点を最初に確認する。

検算

第3小問の無次元体積は、単位球全体の体積 4π/34\pi/3 より小さくなるはずである。 5π(3−5)12≃0.318π \frac{5\pi(3-\sqrt5)}{12}\simeq 0.318\pi なので、この大まかな大小関係と合っている。また、最後に元の座標へ戻すときは、断面積だけでなく体積全体に abcabc を掛ける。ここで abab だけを掛けると、zz 軸方向の伸縮を落とした答案になる。

解答

(1) 変数変換 x=au,y=bv x=a u,\qquad y=b v を行うと、対象は u2+v2≤1u^2+v^2\le 1 で表される単位円板に移る。変換行列は diag⁡(a,b)\operatorname{diag}(a,b) であり、ヤコビアンの絶対値は abab である。したがって面積は ab∬u2+v2≤1du dv=πab. ab\iint_{u^2+v^2\le 1}du\,dv=\pi ab.

(2) 同様に x=au,y=bv,z=cw x=a u,\qquad y=b v,\qquad z=c w とおくと、対象は u2+v2+w2≤1u^2+v^2+w^2\le 1 で表される単位球に移り、ヤコビアンは abcabc である。したがって体積は abc⋅4π3=4πabc3. abc\cdot \frac{4\pi}{3}=\frac{4\pi abc}{3}. ここでも a,b,ca,b,c による拡大率は各軸方向に独立なので、体積倍率は 3つの倍率の積 abcabc である。

(3) 同じ変数変換を用いる。r2=u2+v2r^2=u^2+v^2 とおくと、条件は r2+w2≤1,r2≤w r^2+w^2\le 1,\qquad r^2\le w である。特に w≥0w\ge 0 であり、各 ww における断面円板の半径の二乗は r2≤min⁡{w, 1−w2} r^2\le \min\{w,\,1-w^2\} となる。両者が等しい点を α\alpha とすると α=1−α2,α=5−12. \alpha=1-\alpha^2,\qquad \alpha=\frac{\sqrt5-1}{2}. 0≤w<α0\le w<\alpha では w<1−w2w<1-w^2 なので r2≤wr^2\le w が強く、 α<w≤1\alpha<w\le1 では 1−w2<w1-w^2<w なので球の条件が強い。 よって単位変数での体積は ∫0απw dw+∫α1π(1−w2) dw=π{α22+23−α+α33}. \int_0^\alpha \pi w\,dw+\int_\alpha^1\pi(1-w^2)\,dw =\pi\left\{\frac{\alpha^2}{2}+\frac23-\alpha+\frac{\alpha^3}{3}\right\}. α2=1−α, α3=2α−1\alpha^2=1-\alpha,\ \alpha^3=2\alpha-1 を代入して整理すると π{1−α2+23−α+2α−13}=π⋅56(1−α)=5π(3−5)12. \pi\left\{\frac{1-\alpha}{2}+\frac23-\alpha+\frac{2\alpha-1}{3}\right\} = \pi\cdot \frac{5}{6}(1-\alpha) =\frac{5\pi(3-\sqrt5)}{12}. したがって、元の空間での体積は 5πabc(3−5)12. \frac{5\pi abc(3-\sqrt5)}{12}.

最終答

(1) πab. \pi ab.

(2) 4πabc3. \frac{4\pi abc}{3}.

(3) 5πabc(3−5)12. \frac{5\pi abc(3-\sqrt5)}{12}.

第2問 — 2次行列の対角化

極限で残る固有空間

この行列は各行の和が 11 であるため、(1,1)T(1,1)^T が固有値 11 の固有ベクトルになる。もう一つの固有値は絶対値が 11 未満なので、累乗の極限ではその成分が消える。

0<a,b<10<a,b<1 から 0<a+b<20<a+b<2 であり、したがって −1<1−a−b<1-1<1-a-b<1 である。この範囲確認を省くと、極限で第2固有値成分が消える理由が書かれていない答案になる。

対角化の確認

固有値が異なるので、対応する2本の固有ベクトルは自動的に一次独立である。PP の列を固有ベクトルの順に並べると、対角成分も同じ順に並ぶ。この対応を取り違えないことが重要である。

極限行列の見方

極限行列 1a+b(baba) \frac1{a+b}\begin{pmatrix}b&a\\ b&a\end{pmatrix} は、任意の初期ベクトルを固有空間 span⁡{(1,1)T}\operatorname{span}\{(1,1)^T\} へ射影する行列である。各行の和は 11 で、さらに A{1a+b(baba)}=1a+b(baba) A\left\{\frac1{a+b}\begin{pmatrix}b&a\\ b&a\end{pmatrix}\right\} = \frac1{a+b}\begin{pmatrix}b&a\\ b&a\end{pmatrix} も成り立つので、累乗極限として自然な形になっている。

2次行列の対角化の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 距離空間と同相写像

正値集合は開集合

{f>0}\{f>0\} が開く理由は、値 f(x0)f(x_0) が正ならその半分だけの余裕があるからである。ε\varepsilon を固定値でなく f(x0)/2f(x_0)/2 と選ぶのが自然な一手である。

距離の比較が意味すること

第2小問の仮定は、XX の距離と YY へ写した後の距離が定数倍の範囲で同程度であることを表している。左側の不等式は ff の連続性と単射性に効き、右側の不等式は逆写像の連続性に効く。全射の仮定は逆写像を YY 全体で定義するために必要である。

列で書く場合の注意

距離空間では列による連続性判定が使えるので、xn→xx_n\to x から f(xn)→f(x)f(x_n)\to f(x)、さらに yn→yy_n\to y から f−1(yn)→f−1(y)f^{-1}(y_n)\to f^{-1}(y) と示してもよい。ただし、逆写像を使う前に ff が全単射であることを明記する必要がある。試験答案ではこの順序を落とすと、 「逆写像が定義できる理由」が抜けた答案に見える。

距離空間と同相写像の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 可換群の部分群

和集合は普通は部分群にならない

部分群の共通部分は常に部分群だが、和集合は一般には部分群ではない。第3小問では、互いに外側にはみ出した元 a,ba,b を掛けると、どちらの部分群に入っても矛盾する、という典型的な論法を使う。 包含がある場合の逆向きは短いが、答案では必ず書く。必要条件だけを書いて終えると 「場合に限る」の十分性を示していない答案になる。

可換性の使いどころ

第1小問と第2小問の正規性では可換性が直接効く。一方、第3小問の包含関係の議論自体は可換性を使わず、部分群の閉性だけで証明できる。 第3小問で abab を使っても baba を使ってもよいのは、実は可換性に依存しない。 部分群に属する元の逆元と積が再びその部分群に属する、という閉性だけが本質である。

可換群の部分群の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 空間曲線の曲率

まず速度を整理する

曲率まで求める問題では、∥p′(t)∥\|\mathbf p'(t)\| の簡約が後の計算量を大きく左右する。この曲線では速度が 2(1+t2)\sqrt2(1+t^2) にきれいに因数分解されるため、弧長も曲率も短く処理できる。

曲率公式の選び方

弧長パラメータでない曲線に対しては κ=∥p′×p′′∥∥p′∥3 \kappa=\frac{\|\mathbf p'\times\mathbf p''\|}{\|\mathbf p'\|^3} を使うのが安全である。単位接ベクトルを微分してから弧長で割る方法も可能だが、成分計算が長くなりやすい。

答案上の確認点

単位接ベクトルは、方向だけでなく長さが 11 になっていることを一度確認するとよい。曲率では分母が ∥p′(t)∥3\|\mathbf p'(t)\|^3 であるため、速度の二乗のまま代入したり、分母を ∥p′(t)∥2\|\mathbf p'(t)\|^2 としてしまうミスが起きやすい。最後に t=0t=0 など簡単な値を代入して検算すると、係数 22 や 2\sqrt2 の落としを発見しやすい。

空間曲線の曲率の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 線形計画法と双対

自由変数の扱い

x1x_1 に非負条件がないため、標準形では x1+−x1−x_1^+-x_1^- と分ける。双対側では、自由変数に対応する制約が不等式ではなく等式になる。この対応を押さえると双対問題を機械的に書ける。

シンプレックス計算を短くする見方

等式制約が2本あるので、まず掃き出して x1x_1 と x3x_3 を x4x_4 で表すと、実質的に1変数の問題になる。シンプレックス法の表計算でも同じ構造が現れるため、計算結果の検算として有効である。

線形計画法と双対の途中式・最終答をPDFで見る

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年度別の解答例(12年度)

2022年度 第1回募集の出題内容

解説6項目

この6問の分野は位相・幾何1問・線形代数1問・代数1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—楕円体の体積一次変換で標準形に直す / 第3小問の切り替え点あり
第2問線形代数2次行列の対角化極限で残る固有空間 / 対角化の確認あり
第3問位相・幾何距離空間と同相写像正値集合は開集合 / 距離の比較が意味することあり
第4問代数可換群の部分群和集合は普通は部分群にならない / 可換性の使いどころあり
第5問—空間曲線の曲率まず速度を整理する / 曲率公式の選び方あり
第6問—線形計画法と双対自由変数の扱い / シンプレックス計算を短くする見方あり

2022年度 第1回募集の解説には検算1件が付いています。

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3テーマ

前年度(2020年度 第2回募集)との違い

大問数
2020年度 第2回募集 6問 → 2022年度 第1回募集 6問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル・群論・環論
2022年度 第1回募集で新しく出たテーマ
重積分と極座標
2020年度 第2回募集の解答例

新潟大学の公式過去問

公開年度範囲
平成29〜令和5年度(2017〜2023相当。令和3年度は筆記試験実施なし)
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
一般選抜の外国語[英語]はTOEICまたはTOEFL(iBT・改訂版ペーパー・ITP)のスコアシート提出に基づき評価(研究科公式案内PDFに明記)。
院試hubの最終確認
2026-09-05
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