広島大学 院試 過去問 解答例
広島大 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2026年度 一般A 院試 解答例・解説
広島大学 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2026年度 一般Aの院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全3問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 行列式・逆行列・固有値・ジョルダン標準形・可換子
方針
(A) は標準的な行列式・逆行列の計算で,行基本変形を丁寧に書けばよい。逆行列は拡大行列法でも余因子展開でもよいが, では拡大行列の方が見通しが良い。 (B)(1)(2) は固有値・固有ベクトル・ジョルダン標準形の典型例。 という特性多項式と幾何的重複度1から, ジョルダンブロックが必須となる。 (B)(3) は可換子(centralizer)の次元計算。 の最小多項式が次数3(特性多項式)であることから, が1次独立だとわかる。
典型ミス
(A) で行の入れ替えに伴う符号変化を忘れて としてしまうミス。 (B)(2) でジョルダン標準形を構成する際,()の方向を逆にして (一般化固有ベクトル)と取ってしまい, の右上の の位置がずれるミス。 (B)(3) で「 が に属し,1次独立だから基底だ」とだけ書いて済ませ, の確認を怠るのが最大の落とし穴。 の次元を独立に計算することが必要。
試験で書くべきポイント
- 特性多項式は 。代数的重複度と幾何的重複度の差から ジョルダン構造を確定する。
- は具体的に書き, の検算を1行でも添える。
- (B)(3) では, の元数が3次元であることを, ジョルダン標準形に移して直接計算するか,あるいは可換子写像 の核として階数公式を用いる。
第2問 — 一様連続性・関数項級数・広義重積分
方針
(A) は一様連続性の典型問題。 が 1-Lipschitz であることを示すのが最も短い証明で, そこから合成関数 も自動的に一様連続になる(コンパクト像 で が一様連続であることが鍵)。 (3) は「絶対値の合成」が片側微分の不一致を生むことを使う。 (B) は冪級数の一様収束 Taylor 展開で になることの古典的な証明。 (C) は広義重積分の収束判定で, を固定して で先に積分した後, について 近傍と無限大近傍の両方を評価する。
典型ミス
- (A)(1) で を の場合だけ書いて 場合分けの残り( と の混合)を忘れる。
- (A)(2) で の 全体での一様連続性を仮定してしまう( は連続としか 書かれていない)。「 がコンパクトだから が一様連続」と コンパクト性を経由するのが正しい。
- (B)(2) で剰余項の評価を曖昧にする。Taylor の剰余項のラグランジュ形を 使って を厳密に示す。
- (C) で と の両端の評価を片方しか行わない。 が変動するため, 両端の評価を別々に行うのが安全。
試験で書くべきポイント
- 一様連続性の定義( に注意して全称量化を明示)。
- Heine--Cantor の定理(コンパクト上の連続関数は一様連続)の利用を明記。
- Weierstrass の M-判定法は「 の選択」と「」を分けて書く。
- 広義積分は,被積分関数が非負だから単調収束で,上界の存在を示せばよいと一言加える。
第3問 — 第3問 (I)/(II) 選択
方針
(I):(A) は距離空間の最も基本的な開球の性質と Hausdorff 性。三角不等式が
すべての肝で, の半分を取って分離する古典的議論。
(B) は連続写像によるコンパクト性・連結性の保存で,どちらも逆像で開集合を
引き戻して被覆を有限化(または分解を持ち上げる)する型。
(II):(1)(3) は二次元正規の周辺・条件付き分布の標準計算。
(2) は が符号関数で, では独立であることから対称性で示せる。
(4) は から問題が一気にスカラー値の偶数次モーメントに帰着。
(5) は により定数項 が分離され,残った和の期待値・分散を
という鍵となる量で表す。
典型ミス
(I):(A)(2) で「 に対し 」と
明示しないまま「十分小さな半径」と書いて済ますと減点対象。
(B)(2) で「 が連結 が空でない開集合と空集合のみで分割される」と
混同するミス。直積の連結成分は という分割である点を意識する。
(II):(2) で「 なので
分布は と同じ」と曖昧に書く。 と の
独立性を明示し,CDF の計算を経由するのが安全。
(5) で を と思い込んで にしてしまうと
となり, の項を取り損なう。回帰式 から
を導く流れを必ず書く。
試験で書くべきポイント
(I):
- Hausdorff の定義(任意の異なる2点が disjoint な開近傍を持つ)を明示。
- 連続写像の像のコンパクト性は,逆像経由で被覆 有限被覆 像の被覆と ステップを踏む。
- 連結性の保存は対偶(連結でない も連結でない)が定石。
(II):
- (3) で平方完成した後の ガウス積分の値 を明示。
- (4) で をはっきり書く。
- (5) で ,, の3つを順番に提示し, 最後に独立性から分散を 倍する流れを書く。