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広島大学 院試 過去問 解答例

広島大 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2024年度 一般B 院試 解答例・解説

広島大学 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2024年度 一般Bの院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全3問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 線形代数:交代行列・対称行列と内積

方針

(A) は順を追って,XX の像と核 \to VV の次元 \to VV への作用 \to その固有値,と進める設計。(4) は ff を表現行列に書いて固有多項式 λ(λ2+x2)=0\lambda(\lambda^2+|x|^2)=0 を作るのが王道で,so(3)(R3,×)\mathfrak{so}(3)\cong(\mathbb R^3,\times) の同型を使うと x2=14|x|^2=14 がすぐに見える。(B) は [ ⁣[A,B] ⁣]=tr(t ⁣AB)[\![A,B]\!]=\operatorname{tr}({}^{t}\!A B) が成分内積 aijbij\sum a_{ij}b_{ij} に一致することを把握すれば,対称・交代分解と次元公式で機械的に処理できる。

典型ミス

(A)(1) では「実交代行列の像と核は直交する」を直接根拠にせず,ImX=(Kert ⁣X)\operatorname{Im}X=(\operatorname{Ker}{}^{t}\!X)^{\perp} という一般則を用いて t ⁣X=X{}^{t}\!X=-X から核が一致することを書く。可解条件 a=7a=-7 だけ書いて一般解(特殊解+核)を書き忘れる答案も多いので注意。(A)(4) で「交代行列だから固有値は純虚数または 00」とだけ述べて打ち切るのは根拠不足。固有多項式を計算するか,または「3×33\times 3 実交代行列 MM について det(λIM)=λ3+12tr(t ⁣MM)λ\det(\lambda I-M)=\lambda^3+\frac{1}{2}\operatorname{tr}({}^{t}\!M M)\,\lambda」を用いる。(B)(2) では「対称行列の直交補空間は交代行列」と断言せず,包含 VnWV_n\subseteq W^{\perp} を示してから次元一致で等号を出す論法を使う。

試験で書くべきポイント

  • (A)(1):可解条件 a=7a=-7 を導く根拠((1,2,a)tImX(1,2,a)^{t}\in\operatorname{Im}X の特徴付け)と特殊解+核の和としての一般解。
  • (A)(2):dimV=3\dim V=3,必要なら基底 E1,E2,E3E_1,E_2,E_3 を明示。
  • (A)(3):t(AXXA)=(AXXA){}^{t}(AX-XA)=-(AX-XA)t(PQ)=t ⁣Qt ⁣P{}^{t}(PQ)={}^{t}\!Q\,{}^{t}\!P で直接計算。
  • (A)(4):基底 E1,E2,E3E_1,E_2,E_3 における ff3×33\times 3 表現行列が交代行列となること,固有多項式 λ(λ2+14)=0\lambda(\lambda^2+14)=0,実固有値 00
  • (B)(1):双線形・対称・正定値の三条件をすべて記述。とくに正定値性で tr(t ⁣AA)=aij2\operatorname{tr}({}^{t}\!A A)=\sum a_{ij}^2 と成分計算。
  • (B)(2):Mn=WVnM_n=W\oplus V_n の対称・交代分解と VnWV_n\subseteq W^{\perp} を示し,次元公式で W=VnW^{\perp}=V_n を結論。dimW=n(n1)/2\dim W^{\perp}=n(n-1)/2
完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 微分積分:x log sin x の解析と級数

方針

(1) は単純な微分。(2) は xlogx0x\log x\to 0 の標準極限と sinx/x1\sin x/x\to 1 の組み合わせで処理する。(3) は f(x)=0f'(x)=0 の存在を中間値の定理で示すのが王道で,両端の挙動 f(+0)=, f(π/20)=0f'(+0)=-\infty,\ f'(\pi/2-0)=0 を確認した上で,途中に f>0f'>0 となる点を一つ示せばよい。(4) は連続拡張+ハイネ・カントール,(5) は sinxx\sin x\le x から f(1/n)(logn)/n|f(1/n)|\ge(\log n)/n への評価,(6) はライプニッツの判定法(極限ゼロと最終的な単調性)が標準解。

典型ミス

(2) で log(sinx)\log(\sin x)\to-\inftyx0x\to 0 の積を「00\cdot\infty」のまま扱うのは不可。xlogx0x\log x\to 0 に帰着させる。(3) は「ff' が連続で両端の符号が違う」とだけ書いて済ませる答案があるが,xπ/2x\to\pi/2f0f'\to 0(負ではない)なので両端の符号変化だけでは中間値の定理が直接適用できない。f(1)>0f'(1)>0f(π/4)>0f'(\pi/4)>0 などの中間点で正値をとる事実を示すこと。(4) は「コンパクト集合上の連続関数は一様連続」を引くために,定義域 (0,π/2](0,\pi/2] がコンパクトでない点に気付かないとつまずく。x=0x=0 で値 00 に連続拡張できることを (2) で示しているのを使う。(5) で sin(1/n)1/n\sin(1/n)\sim 1/n から logsin(1/n)logn\log\sin(1/n)\sim-\log n と漸近評価で済ませず,きちんと不等式 sinxx\sin x\le x を立てる。(6) で ana_n の単調性を「logn/n\log n/n は減少」だけで片付けると誤差項の評価が抜ける。h(x)=f(x)h(x)=-f(x) の微分の符号で論じるか,あるいは an=(logn)/n+O(1/n3)a_n=(\log n)/n+O(1/n^3) の漸近展開で書く。

試験で書くべきポイント

  • (1):f(x)=log(sinx)+xcotxf'(x)=\log(\sin x)+x\cot x
  • (2):xlogx0x\log x\to 0xlog(sinx/x)0x\log(\sin x/x)\to 0 の二つに分けて極限値 00
  • (3):f(+0)=, f(1)>0f'(+0)=-\infty,\ f'(1)>0(または f(π/3)>0f'(\pi/3)>0 等)と ff' の連続性,中間値の定理。
  • (4):x=0x=0 で値 00 に連続拡張,コンパクト集合 [0,π2][0,\tfrac{\pi}{2}] 上の連続関数は一様連続。
  • (5):f(1/n)(logn)/n|f(1/n)|\ge(\log n)/n(logn)/n\sum(\log n)/n の発散(積分判定法)。級数は -\infty に発散。
  • (6):an=f(1/n)0a_n=|f(1/n)|\to 0 と最終的に単調減少(h(x)=f(x)h(x)=-f(x) の微分が原点近傍で正)から,ライプニッツの判定法で収束。
完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 第3問 (I)/(II) 選択:位相 / 確率

方針 ((I))

(A) は二点集合の有限位相を網羅するだけなので落としたくない。同値関係の証明は同相の定義(連続全単射+逆写像連続)から自動的に従う。商集合は,自己同相の個数が高々 2!=22!=2 個しかない点と,開集合の個数が同相不変量である点を使うと簡単に分類できる。(B) は S1S^1 が「2次元では中身を持たない」(内部空集合)ことから開集合でないことを,x2=0x_2=0 の境界点が SU1S^1_U の閉包に入る一方 SU1S^1_U には属さない点から閉でないことを示す。

方針 ((II))

(A) は変数変換 fX/2(y)=2fX(2y)f_{X/2}(y)=2 f_X(2y) と畳み込み計算が中心。鍵は X+Y/2X+Y/2 の畳み込み結果 2ez2e2z2e^{-z}-2e^{-2z}max(X,Y)\max(X,Y) の分布関数の二乗 (1ez)2(1-e^{-z})^2 の微分が一致すること。(B) は Wald の等式ランダム個数の和の分散公式(複合分布の分散)を,全分散の公式 Var(S)=EVar(SN)+VarE(SN)\mathrm{Var}(S)=\mathrm E\mathrm{Var}(S|N)+\mathrm{Var}\mathrm E(S|N) で導く標準演習。NN11 または 22 しかとらないので,全確率公式で直接和に展開してもよい。

典型ミス

(I):(A)(3) で O1\mathcal O_1O4\mathcal O_4 を「同じ点 XX 上だから同相」と誤認するミスが多い。位相構造そのものが違うので同相ではない。(B)(1) で S1S^1 の閉性を「コンパクト集合は閉」だけで片付けると証明としては弱い(コンパクト性の証明が要る)。連続関数の零点集合として書く方法が短い。
(II):(A)(2) で X<0X<0 の場合の処理を忘れると密度関数の定義域が狂う。y0y\le 000 を明示する。(A)(3) は「X+Y/2X+Y/2 の和の密度」と「max(X,Y)\max(X,Y) の密度」を別々に計算して比較する手順が必要で,XXY/2Y/2 がそれぞれ別の指数分布に従う点(パラメータ 1122)を取り違えないこと。(B)(2) で「XkX_ki.i.d.i.i.d.」だけでなく「NNXkX_k が独立」が本質的に効くことを明示。これがないと E(SN=n)=nE(X1)\mathrm E(S\mid N=n)=n\mathrm E(X_1) が言えない。

試験で書くべきポイント

  • (I)(A)(1):X={a,b}X=\{a,b\} の位相は 44 個,それぞれ列挙。
  • (I)(A)(2):反射律(恒等),対称律(逆写像),推移律(合成)の三つを同相の定義から確認。
  • (I)(A)(3):Y/Y/\sim33 元,{[O1],[O2]=[O3],[O4]}\{[\mathcal O_1],[\mathcal O_2]=[\mathcal O_3],[\mathcal O_4]\}。開集合の個数(同相不変量)で区別。
  • (I)(B)(1):S1S^1 は閉だが開でない。SU1S^1_U はどちらでもない。境界点 (±1,0)(\pm 1,0) の議論。
  • (I)(B)(2):SU1=S1{x2>0}S^1_U=S^1\cap\{x_2>0\} から相対位相で開。
  • (II)(A)(1):0exdx=1\int_0^{\infty}e^{-x}dx=1
  • (II)(A)(2):fX/2(y)=2e2y (y>0)f_{X/2}(y)=2e^{-2y}\ (y>0)
  • (II)(A)(3):両者の密度が 2ez2e2z (z>0)2e^{-z}-2e^{-2z}\ (z>0) で一致。
  • (II)(B)(1):E(N)=2θ, Var(N)=θ(1θ)\mathrm E(N)=2-\theta,\ \mathrm{Var}(N)=\theta(1-\theta)
  • (II)(B)(2):全分散の公式または条件付き期待値の和で,E(SN)=NE(X1), Var(SN)=NVar(X1)\mathrm E(S\mid N)=N\mathrm E(X_1),\ \mathrm{Var}(S\mid N)=N\mathrm{Var}(X_1) を使う。
完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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