広島大学 院試 過去問 解答例
広島大 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2024年度 一般B 院試 過去問 解答例・解説(全3問)
全3問。確率・統計1問・線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは4件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・正定値行列)。2023年度 一般Bと共通のテーマは固有値・固有ベクトル。
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収録4年度分の解答PDF:広島大学 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学(¥3,200・紙面見本あり)
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- 解説3問と大問1問の途中式・最終答(全3問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき3問)
- 問題本文
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広島大 数学 2024年度 一般B 院試 過去問の出題内容(全3問)
この3問の分野は確率・統計1問・線形代数1問・微分積分・解析1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 線形代数 | 交代行列・対称行列と内積 | — | あり |
| 第2問 | 微分積分・解析 | x log sin x の解析と級数 | — | あり |
| 第3問 | 確率・統計 | 位相 / 確率 | 方針 ((I)) / 方針 ((II)) | あり |
この年度の解説には試験で書くべきポイント3件・典型ミス3件が付いています。
2024年度 一般Bの出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は2問に4テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第1問 | 25大学・544問 | |
| 線形空間・基底 | 第1問 | 21大学・152問 | |
| 正定値行列 | 第1問 | 17大学・70問 | |
| 波動関数 | 第3問 | 15大学・36問 |
前年度(2023年度 一般B)との違い
- 大問数
- 2023年度 一般B 3問 → 2024年度 一般B 3問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル
第1問 — 線形代数:交代行列・対称行列と内積
方針
(A) は順を追って, の像と核 の次元 への作用 その固有値,と進める設計。(4) は を表現行列に書いて固有多項式 を作るのが王道で, の同型を使うと がすぐに見える。(B) は が成分内積 に一致することを把握すれば,対称・交代分解と次元公式で機械的に処理できる。
典型ミス
(A)(1) では「実交代行列の像と核は直交する」を直接根拠にせず, という一般則を用いて から核が一致することを書く。可解条件 だけ書いて一般解(特殊解+核)を書き忘れる答案も多いので注意。(A)(4) で「交代行列だから固有値は純虚数または 」とだけ述べて打ち切るのは根拠不足。固有多項式を計算するか,または「 実交代行列 について 」を用いる。(B)(2) では「対称行列の直交補空間は交代行列」と断言せず,包含 を示してから次元一致で等号を出す論法を使う。
試験で書くべきポイント
- (A)(1):可解条件 を導く根拠( の特徴付け)と特殊解+核の和としての一般解。
- (A)(2):,必要なら基底 を明示。
- (A)(3): を で直接計算。
- (A)(4):基底 における の 表現行列が交代行列となること,固有多項式 ,実固有値 。
- (B)(1):双線形・対称・正定値の三条件をすべて記述。とくに正定値性で と成分計算。
- (B)(2): の対称・交代分解と を示し,次元公式で を結論。。
第2問 — 微分積分:x log sin x の解析と級数
方針
(1) は単純な微分。(2) は の標準極限と の組み合わせで処理する。(3) は の存在を中間値の定理で示すのが王道で,両端の挙動 を確認した上で,途中に となる点を一つ示せばよい。(4) は連続拡張+ハイネ・カントール,(5) は から への評価,(6) はライプニッツの判定法(極限ゼロと最終的な単調性)が標準解。
典型ミス
(2) で と の積を「」のまま扱うのは不可。 に帰着させる。(3) は「 が連続で両端の符号が違う」とだけ書いて済ませる答案があるが, で (負ではない)なので両端の符号変化だけでは中間値の定理が直接適用できない。 や などの中間点で正値をとる事実を示すこと。(4) は「コンパクト集合上の連続関数は一様連続」を引くために,定義域 がコンパクトでない点に気付かないとつまずく。 で値 に連続拡張できることを (2) で示しているのを使う。(5) で から と漸近評価で済ませず,きちんと不等式 を立てる。(6) で の単調性を「 は減少」だけで片付けると誤差項の評価が抜ける。 の微分の符号で論じるか,あるいは の漸近展開で書く。
試験で書くべきポイント
- (1):.
- (2): と の二つに分けて極限値 。
- (3):(または 等)と の連続性,中間値の定理。
- (4): で値 に連続拡張,コンパクト集合 上の連続関数は一様連続。
- (5): と の発散(積分判定法)。級数は に発散。
- (6): と最終的に単調減少( の微分が原点近傍で正)から,ライプニッツの判定法で収束。
解答
では なので は 級である。積の法則と合成関数の微分により
(2) 右極限での挙動を分解する:
第一項:(標準的な極限)。
第二項: で なので ,したがって 。
以上より 。
(3) となる の存在は 上で連続である。両端での挙動を調べる。
. ,。よって 。
. なので 。 なので 。よって 。
中間値の定理を使うために, となる点を一つ示す。 をとると より ,, より 。すなわち (厳密には かつ , から かつ ,故に では足りないので別途丁寧な評価が必要だが, より ,かつ となるので が示せる。)
したがって は 上で連続で,ある点で値が より小さく( で なので十分小さい で ), で となる。中間値の定理より となる が存在して 。
(4) の 上での一様連続性(2) より なので, を と定めると は閉区間 上で連続である。
閉区間(コンパクト集合)上で連続な実数値関数は一様連続である(ハイネ・カントールの定理)。よって は 上で一様連続。一様連続性は部分集合への制限で保たれるので, も 上で一様連続である。
(5) 級数 の収束・発散は,十分大きい ()で より負である。級数の項を符号反転して として,正項級数 の発散を示せばよい。
で なので ,すなわち 。 を代入して
ところで は発散する。実際, は で単調減少なので,積分判定法より
比較判定法により は発散,したがって は に発散する。
(6) 級数 の収束・発散ライプニッツの判定法(交代級数判定法)を適用する。()として,
(i) . (2) より なので 。
(ii) は十分大きい で単調減少. 関数 について では , なので 。さらに の連続性より,ある が存在して で ,すなわち は 上で狭義単調増加。
となるのは のときであり,このとき が小さくなるほど( が大きいほど) は小さくなる。すなわち で は について狭義単調減少である。
(i),(ii) よりライプニッツの判定法から は収束する。
最終答
.
.
存在する. の連続性と から中間値の定理により となる がとれる.
は 上で一様連続.( で なので で値 をとる連続拡張ができ,閉区間 上の連続関数となる。コンパクト集合上の連続関数は一様連続。)
は に発散する.( かつ が発散.)
は収束する(条件収束).
第3問 — 第3問 (I)/(II) 選択:位相 / 確率
方針 ((I))
(A) は二点集合の有限位相を網羅するだけなので落としたくない。同値関係の証明は同相の定義(連続全単射+逆写像連続)から自動的に従う。商集合は,自己同相の個数が高々 個しかない点と,開集合の個数が同相不変量である点を使うと簡単に分類できる。(B) は が「2次元では中身を持たない」(内部空集合)ことから開集合でないことを, の境界点が の閉包に入る一方 には属さない点から閉でないことを示す。
方針 ((II))
(A) は変数変換 と畳み込み計算が中心。鍵は の畳み込み結果 と の分布関数の二乗 の微分が一致すること。(B) は Wald の等式と ランダム個数の和の分散公式(複合分布の分散)を,全分散の公式 で導く標準演習。 が または しかとらないので,全確率公式で直接和に展開してもよい。
典型ミス
(I):(A)(3) で と を「同じ点 上だから同相」と誤認するミスが多い。位相構造そのものが違うので同相ではない。(B)(1) で の閉性を「コンパクト集合は閉」だけで片付けると証明としては弱い(コンパクト性の証明が要る)。連続関数の零点集合として書く方法が短い。
(II):(A)(2) で の場合の処理を忘れると密度関数の定義域が狂う。 で を明示する。(A)(3) は「 の和の密度」と「 の密度」を別々に計算して比較する手順が必要で, と がそれぞれ別の指数分布に従う点(パラメータ と )を取り違えないこと。(B)(2) で「 が 」だけでなく「 と が独立」が本質的に効くことを明示。これがないと が言えない。
試験で書くべきポイント
- (I)(A)(1): の位相は 個,それぞれ列挙。
- (I)(A)(2):反射律(恒等),対称律(逆写像),推移律(合成)の三つを同相の定義から確認。
- (I)(A)(3): は 元,。開集合の個数(同相不変量)で区別。
- (I)(B)(1): は閉だが開でない。 はどちらでもない。境界点 の議論。
- (I)(B)(2): から相対位相で開。
- (II)(A)(1):。
- (II)(A)(2):。
- (II)(A)(3):両者の密度が で一致。
- (II)(B)(1):。
- (II)(B)(2):全分散の公式または条件付き期待値の和で, を使う。
広島大 数学 院試 過去問の収録4年度
行列式・逆行列・固有値・ジョルダン標準形・可換子 / 一様連続性・関数項級数・広義重積分 / 第3問 (I)/(II) 選択
線形代数:逆行列・連立方程式と多項式空間上の線形写像 / 解析:関数列の一様収束と多変数関数の極値 / 第3問 (I)/(II) 選択
2024年度 一般B(このページ・全3問)
線形代数:交代行列・対称行列と内積 / 微分積分:x log sin x の解析と級数 / 第3問 (I)/(II) 選択:位相 / 確率
線形代数:べき零行列と逆行列・対角化と極限 / 多変数関数の連続・偏微分・重積分 / 第3問 (I)/(II) 選択