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広島大学 院試 過去問 解答例

広島大 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2025年度 一般A 院試 解答例・解説

広島大学 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2025年度 一般Aの院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全3問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 線形代数:逆行列・連立方程式と多項式空間上の線形写像

方針

(A) は教科書通りの余因子展開,あるいは行基本変形で逆行列を求めるだけ。連立方程式は x=A1b\boldsymbol{x}=A^{-1}\boldsymbol{b} で機械的に出る。(B) は「点での値」を取る作用素 φ\varphi を基底 {1,x,x2}\{1,x,x^2\} に対する行列 BB で表すのが基本。φ\varphi の固有値は固有値の集合だけで定まり,「点で評価する」写像なので Lagrange 補間との関係で λ=2,±i\lambda=2,\,\pm i という綺麗な値が出る。(4) では固有ベクトル展開で φn\varphi^n の挙動を可視化し,「絶対値 >1>1 の固有値成分があれば発散,1\le 1 なら有界」という標準形分析に持ち込む。

典型ミス

  • (A) で detA\det A の符号を間違えると A1A^{-1} がそっくりそのまま符号反転してしまう。連立方程式の検算(Ax=bA\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b} を直接代入)を必ず行う。
  • (B)(2) で「φ\varphi は基底をどこへ送るか」を計算し列ベクトルとして並べる順序を間違いやすい。BB の第 jj 列は基底 jj 番目の像の係数。
  • (B)(4) で「有界」を「収束」と取り違えると λ<1|\lambda|<1 までしか取れず,λ=1|\lambda|=1 の成分を落としてしまう。今回は i=i=1|i|=|-i|=1 で「振動するが有界」という固有値が含まれるのが鍵。
  • (4) で「実係数多項式の基底」を求める際,vi,vi\boldsymbol{v}_i,\boldsymbol{v}_{-i} をそのまま並べてしまうと係数が虚数になる。和と差を取り C\mathbb C 基底のまま実係数化するのが正解。

試験で書くべきポイント

  • (A):detA\det AA1A^{-1} の最終形を明示し,連立方程式は A1bA^{-1}\boldsymbol{b} で求める旨を 1 行で示す。
  • (B)(2):φ(1),φ(x),φ(x2)\varphi(1),\varphi(x),\varphi(x^2) の計算過程を残し,BB の各列の意味を明示する。
  • (B)(3):特性多項式 (λ2)(λ2+1)-(\lambda-2)(\lambda^2+1) への因数分解を出し,固有値と固有ベクトルを対応関係込みで書く。φ\varphi の固有値・固有ベクトル(多項式表示)も忘れずに書く。
  • (B)(4):φn(f)=c22nv2+\varphi^n(f)=c_2 2^n\boldsymbol{v}_2+\cdots の展開式を立てる→2n|2^n|\to\infty から c2=0c_2=0 が必要十分→残る成分は in=1|i^n|=1 で有界,と論証する。実係数基底は {x,1x2}\{x,1-x^2\} で十分。
完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 解析:関数列の一様収束と多変数関数の極値

方針

(A) は「導関数の一様収束+11 点での値の収束」から「関数自身の収束」へ持ち上げる古典的設定である。 (1)(2) は基本定理 fn(x)=fn(b)+bxfn(t)dtf_n(x)=f_n(b)+\int_b^x f_n'(t)dt に従って,端点項と積分項を別々に扱う。 II が「広義」(コンパクト集合上一様)と書いてあるのは,II 自体が無限区間でも構わないからである。 (3) は端点情報がないと関数族はいくらでも上下にずらせる,ということを定数列で示す。 (B) は最大・最小の存在をまず無限遠での減衰から保証し,臨界点を連立で解く標準パターン。 偏微分の因数分解 1x2+y21-x^2+y^21+x23y21+x^2-3y^2 が現れた段階で連立から x2=2,y2=1x^2=2,y^2=1 が綺麗に出る。

典型ミス

  • (A)(1) で「II 上で一様収束」と即答するのは誤り。I=RI=\mathbb Raa が大きくずれると xa|x-a| が爆発し, ax\int_a^x の一様評価が利かない。コンパクト集合に制限すべきこと(広義一様収束)に注意。
  • (A)(2) を「{fn}\{f_n\} 全体が収束する」と勘違いしないこと。問題文は「収束する部分関数列が取れる」と 書いている。Bolzano--Weierstrass で 1 点での収束部分列を取り出すのが鍵。
  • (A)(3) で「導関数が一様収束しているから関数も収束する」と短絡しないこと。fn=nf_n=n という 最も簡単な反例で十分。
  • (B) で最大・最小の存在を述べずにいきなり臨界点の値を答えると不十分。R2\mathbb R^2 は非コンパクト なので,無限遠での減衰の議論を必ず添える。
  • ケース A(x=0x=0)の値 00 を見落とすと「最大値が候補と一致するか」の比較が甘くなる。

試験で書くべきポイント

  • (A)(1):コンパクト集合 KI×IK\subset I\times I を取り,それを覆う閉区間 LIL\subset IsupLfng=Mn0\sup_L|f_n'-g|=M_n\to 0 と評価。xa|x-a|diam(L)\mathrm{diam}(L) で抑えて結論。
  • (A)(2):Bolzano--Weierstrass による {fnk(b)}\{f_{n_k}(b)\} の収束部分列の取り出し,基本定理による表示,極限関数 F=c+bxgF=c+\int_b^x gC1C^1 である理由(gg が連続)を順に書く。
  • (A)(3):反例 fn(x)=nf_n(x)=n を提示し,fn0f_n'\equiv 0 が一様収束する一方で fn(x)f_n(x)\to\infty であることを 2 行で示す。
  • (B)(1):商の微分の途中経過を残し,因数分解した最終形を書く。
  • (B)(2):(i) 無限遠で f0f\to 0 なので最大・最小は有界閉領域上で達成される,(ii) 臨界点条件を場合分け,(iii) 値を比較して結論,の三段構えで論述する。
完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 第3問 (I)/(II) 選択

方針

(I):Z\mathbb Z は離散位相,Q\mathbb Q は孤立点を持たない位相,という違いを開集合の言葉で記述するのが筋。 (A) は「Hausdorff 性で点列の極限が一意化される」ことの教科書的議論で,(3) の反例には密着位相をいれた小さな空間を持って来るのが定番。 (B) は (1)(2) で「孤立点を持つかどうか」という性質を具体的に確認し,(3) で同相は孤立点の存在を保つことを使う。

(II):要となるのは確率積分変換 Ui=F(Xi)U(0,1)U_i=F(X_i)\sim \mathrm U(0,1) により問題を U(0,1)\mathrm U(0,1) の i.i.d.\ 列の問題に帰着させる発想。 そうすると ϕ(Xi,Xi+1)=1XiXi+1\phi(X_i,X_{i+1})=\mathbf 1_{X_i\le X_{i+1}}Bernoulli(1/2)\mathrm{Bernoulli}(1/2) 列となり, 隣接組のみが共分散を生む短距離相関構造が見える。P(X1X2X3)=1/6P(X_1\le X_2\le X_3)=1/6 から共分散 1/12-1/12 を出すのが鍵。

典型ミス

(I):

  • (A)(1) で R\mathbb R の通常位相のような Hausdorff の例を挙げてしまうと反例にならない。粗い位相(密着・有限補集合など)が必要。
  • (A)(3) で「全射だから像の Hausdorff 性が遺伝する」と書くのは誤り。位相を粗くすればいくらでも崩れる。
  • (B)(3) を「ZQ\mathbb Z\subset\mathbb Q に部分集合関係があるから〜」のような誤った包含議論で書かない。同相は集合論的でなく位相的不変量を比べる。

(II):

  • (1) で「単に確率積分変換」と一行で済ませず,「狭義単調増加かつ連続なので F1F^{-1}(0,1)(0,1) で取れる」事実を書くこと。
  • (4) で X2X_2 を共有しているからといって独立と勘違いしないこと。X2X_2 が両方の ϕ\phi に効くため,相関が出る。
  • (5) で「すべての対が独立」として n1/4n\cdot 1/4 で終わってしまうと致命的に減点。隣接の共分散項 1/12-1/12 を必ず計上する。
  • 共分散の係数で 22 をかけ忘れる(ij=2i<j\sum_{i\neq j}=2\sum_{i<j})のは頻発するミス。

試験で書くべきポイント

(I):

  • (A)(1):密着位相など具体的な反例位相空間を提示し,「xn=ax_n=a がどの開集合を見ても全項が含まれる」ことを示す。
  • (A)(2):背理法・互いに素な開近傍の取り方・N=max(N1,N2)N=\max(N_1,N_2) の三段論法を明示する。
  • (A)(3):「X=RX=\mathbb RY={a,b}Y=\{a,b\}(密着位相)」と具体的に書き,連続性と全射性を確認した上で YY が Hausdorff でないことを述べる。
  • (B)(1)(2):部分空間位相の定義「ZU\mathbb Z\cap UQU\mathbb Q\cap UUUR\mathbb R の開集合)」を明示。
  • (B)(3):「Z\mathbb Z{a}\{a\} が開」を相手の像 {h(a)}\{h(a)\} に運び,Q\mathbb Q では開でないことに矛盾,という流れを書く。

(II):

  • (1):FF が狭義単調増加かつ連続なので F1 ⁣:(0,1)RF^{-1}\colon (0,1)\to\mathbb R が定義可能。P(F(X1)u)=uP(F(X_1)\le u)=u を示す。
  • (2):「連続分布なので P(X1=X2)=0P(X_1=X_2)=0」と「対称性」を 2 行明示。
  • (3):ϕ(X1,X2)Bernoulli(1/2)\phi(X_1,X_2)\sim\mathrm{Bernoulli}(1/2) と書き,平均 1/21/2,分散 1/41/4 の根拠を簡潔に書く。
  • (4):E[ϕ(X1,X2)ϕ(X2,X3)]=P(X1X2X3)=1/6E[\phi(X_1,X_2)\phi(X_2,X_3)]=P(X_1\le X_2\le X_3)=1/6 を経由する計算を残す。
  • (5):ij=1|i-j|=1ij2|i-j|\ge 2 で場合分けし,前者が 1/12-1/12,後者が独立で 00Var=Var+2i<jCov\mathrm{Var}=\sum\mathrm{Var}+2\sum_{i<j}\mathrm{Cov} の式を使い,σn2=(n+2)/12\sigma_n^2=(n+2)/12 までまとめる。
完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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