広島大学 院試 過去問 解答例
広島大 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2025年度 一般A 院試 過去問 解答例・解説(全3問)
全3問。線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは2件(固有値・固有ベクトル・一様収束)。2024年度 一般Bと共通のテーマは固有値・固有ベクトル。
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- 解説3問と大問1問の途中式・最終答(全3問)
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- 途中式と最終答(最終答つき3問)
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広島大 数学 2025年度 一般A 院試 過去問の出題内容(全3問)
この3問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。
この年度の解説には試験で書くべきポイント3件・典型ミス3件が付いています。
2025年度 一般Aの出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は2問に2テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第1問 | 25大学・544問 | |
| 一様収束 | 第2問 | 14大学・63問 |
前年度(2024年度 一般B)との違い
- 大問数
- 2024年度 一般B 3問 → 2025年度 一般A 3問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル
- 2025年度 一般Aで新しく出たテーマ
- 一様収束
第1問 — 線形代数:逆行列・連立方程式と多項式空間上の線形写像
方針
(A) は教科書通りの余因子展開,あるいは行基本変形で逆行列を求めるだけ。連立方程式は で機械的に出る。(B) は「点での値」を取る作用素 を基底 に対する行列 で表すのが基本。 の固有値は固有値の集合だけで定まり,「点で評価する」写像なので Lagrange 補間との関係で という綺麗な値が出る。(4) では固有ベクトル展開で の挙動を可視化し,「絶対値 の固有値成分があれば発散, なら有界」という標準形分析に持ち込む。
典型ミス
- (A) で の符号を間違えると がそっくりそのまま符号反転してしまう。連立方程式の検算( を直接代入)を必ず行う。
- (B)(2) で「 は基底をどこへ送るか」を計算し列ベクトルとして並べる順序を間違いやすい。 の第 列は基底 番目の像の係数。
- (B)(4) で「有界」を「収束」と取り違えると までしか取れず, の成分を落としてしまう。今回は で「振動するが有界」という固有値が含まれるのが鍵。
- (4) で「実係数多項式の基底」を求める際, をそのまま並べてしまうと係数が虚数になる。和と差を取り 基底のまま実係数化するのが正解。
試験で書くべきポイント
- (A): と の最終形を明示し,連立方程式は で求める旨を 1 行で示す。
- (B)(2): の計算過程を残し, の各列の意味を明示する。
- (B)(3):特性多項式 への因数分解を出し,固有値と固有ベクトルを対応関係込みで書く。 の固有値・固有ベクトル(多項式表示)も忘れずに書く。
- (B)(4): の展開式を立てる→ から が必要十分→残る成分は で有界,と論証する。実係数基底は で十分。
解答
逆行列。 の行列式は,第1行展開で となる。よって は正則であり,余因子行列の転置から を計算する。
各 余因子 は次の通り: 余因子行列の転置 は となるので, の対角成分が ,非対角成分が であることは直接代入で確認できる。
連立方程式の解。 , の解は なので 代入で確かに となる。
(B) 多項式空間上の線形写像 (1) の線形性任意の と に対して であるから,定義より よって は 上の線形写像である。
(2) 表現行列基底 それぞれの像を計算する: したがって表現行列は
(3) および の固有値・固有ベクトル特性多項式は,第2行で展開して よって固有値は である。
の固有ベクトル。 より 。 , となるので, ととれば 。
の固有ベクトル。 第2行から 。第1行に代入して 。 ととれば 。
の固有ベクトル。 ( は実行列なので複素共役で得られる)。
の固有値・固有ベクトル。 基底同型 により の固有値も ,対応する固有ベクトル(多項式)は たとえば は, なので 。確かに固有値 に対応する。
(4) 反復が有界となる多項式の集合任意の は固有ベクトル で展開できる: は固有ベクトルに対して固有値倍で作用するので, 回適用すると は線形独立なので,対応する基底変換は同型写像であり, のノルムにおいて ここで を用いた。 よって が有界 である。
したがって となる。これは で 上張られる集合だから,明らかに の 線形部分空間である(和とスカラー倍で閉じる)。
実係数多項式による基底。 を組み合わせて実係数になる多項式を作る: 逆に とは書きにくいので直接: これより は を 上張る。 さらに と は線形独立(次数を見れば明らか)なので,これは の 上の基底である。 構成要素はいずれも実係数多項式である。
なお をこの基底に制限した行列は,, より となり,これは 回転(位数 )であり実際に が有界となることが確認できる。
最終答
,連立方程式の解は 。
(1) 線形性を示した。 (2) 。
の固有値は 。固有ベクトルはそれぞれ 。 の固有値も同じ で,固有ベクトル(多項式)は 。
は の 線形部分空間であり,実係数多項式から成る一組の基底は である。
第2問 — 解析:関数列の一様収束と多変数関数の極値
方針
(A) は「導関数の一様収束+ 点での値の収束」から「関数自身の収束」へ持ち上げる古典的設定である。 (1)(2) は基本定理 に従って,端点項と積分項を別々に扱う。 が「広義」(コンパクト集合上一様)と書いてあるのは, 自体が無限区間でも構わないからである。 (3) は端点情報がないと関数族はいくらでも上下にずらせる,ということを定数列で示す。 (B) は最大・最小の存在をまず無限遠での減衰から保証し,臨界点を連立で解く標準パターン。 偏微分の因数分解 と が現れた段階で連立から が綺麗に出る。
典型ミス
- (A)(1) で「 上で一様収束」と即答するのは誤り。 で が大きくずれると が爆発し, の一様評価が利かない。コンパクト集合に制限すべきこと(広義一様収束)に注意。
- (A)(2) を「 全体が収束する」と勘違いしないこと。問題文は「収束する部分関数列が取れる」と 書いている。Bolzano--Weierstrass で 1 点での収束部分列を取り出すのが鍵。
- (A)(3) で「導関数が一様収束しているから関数も収束する」と短絡しないこと。 という 最も簡単な反例で十分。
- (B) で最大・最小の存在を述べずにいきなり臨界点の値を答えると不十分。 は非コンパクト なので,無限遠での減衰の議論を必ず添える。
- ケース A()の値 を見落とすと「最大値が候補と一致するか」の比較が甘くなる。
試験で書くべきポイント
- (A)(1):コンパクト集合 を取り,それを覆う閉区間 で と評価。 を で抑えて結論。
- (A)(2):Bolzano--Weierstrass による の収束部分列の取り出し,基本定理による表示,極限関数 が である理由( が連続)を順に書く。
- (A)(3):反例 を提示し, が一様収束する一方で であることを 2 行で示す。
- (B)(1):商の微分の途中経過を残し,因数分解した最終形を書く。
- (B)(2):(i) 無限遠で なので最大・最小は有界閉領域上で達成される,(ii) 臨界点条件を場合分け,(iii) 値を比較して結論,の三段構えで論述する。
第3問 — 第3問 (I)/(II) 選択
方針
(I): は離散位相, は孤立点を持たない位相,という違いを開集合の言葉で記述するのが筋。 (A) は「Hausdorff 性で点列の極限が一意化される」ことの教科書的議論で,(3) の反例には密着位相をいれた小さな空間を持って来るのが定番。 (B) は (1)(2) で「孤立点を持つかどうか」という性質を具体的に確認し,(3) で同相は孤立点の存在を保つことを使う。
(II):要となるのは確率積分変換 により問題を の i.i.d.\ 列の問題に帰着させる発想。 そうすると は 列となり, 隣接組のみが共分散を生む短距離相関構造が見える。 から共分散 を出すのが鍵。
典型ミス
(I):
- (A)(1) で の通常位相のような Hausdorff の例を挙げてしまうと反例にならない。粗い位相(密着・有限補集合など)が必要。
- (A)(3) で「全射だから像の Hausdorff 性が遺伝する」と書くのは誤り。位相を粗くすればいくらでも崩れる。
- (B)(3) を「 に部分集合関係があるから〜」のような誤った包含議論で書かない。同相は集合論的でなく位相的不変量を比べる。
(II):
- (1) で「単に確率積分変換」と一行で済ませず,「狭義単調増加かつ連続なので が で取れる」事実を書くこと。
- (4) で を共有しているからといって独立と勘違いしないこと。 が両方の に効くため,相関が出る。
- (5) で「すべての対が独立」として で終わってしまうと致命的に減点。隣接の共分散項 を必ず計上する。
- 共分散の係数で をかけ忘れる()のは頻発するミス。
試験で書くべきポイント
(I):
- (A)(1):密着位相など具体的な反例位相空間を提示し,「 がどの開集合を見ても全項が含まれる」ことを示す。
- (A)(2):背理法・互いに素な開近傍の取り方・ の三段論法を明示する。
- (A)(3):「,(密着位相)」と具体的に書き,連続性と全射性を確認した上で が Hausdorff でないことを述べる。
- (B)(1)(2):部分空間位相の定義「,( は の開集合)」を明示。
- (B)(3):「 で が開」を相手の像 に運び, では開でないことに矛盾,という流れを書く。
(II):
- (1): が狭義単調増加かつ連続なので が定義可能。 を示す。
- (2):「連続分布なので 」と「対称性」を 2 行明示。
- (3): と書き,平均 ,分散 の根拠を簡潔に書く。
- (4): を経由する計算を残す。
- (5): と で場合分けし,前者が ,後者が独立で 。 の式を使い, までまとめる。
広島大 数学 院試 過去問の収録4年度
行列式・逆行列・固有値・ジョルダン標準形・可換子 / 一様連続性・関数項級数・広義重積分 / 第3問 (I)/(II) 選択
2025年度 一般A(このページ・全3問)
線形代数:逆行列・連立方程式と多項式空間上の線形写像 / 解析:関数列の一様収束と多変数関数の極値 / 第3問 (I)/(II) 選択
線形代数:交代行列・対称行列と内積 / 微分積分:x log sin x の解析と級数 / 第3問 (I)/(II) 選択:位相 / 確率
線形代数:べき零行列と逆行列・対角化と極限 / 多変数関数の連続・偏微分・重積分 / 第3問 (I)/(II) 選択