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広島大学 院試 過去問 解答例

広島大 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2023年度 一般B 院試 解答例・解説

広島大学 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 2023年度 一般Bの院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全3問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 線形代数:べき零行列と逆行列・対角化と極限

方針

(A) はべき零行列の逆行列。鍵となる恒等式は等比級数の和の行列版 (EA)k=0mAk=EAm+1(E-A)\sum_{k=0}^{m}A^{k}=E-A^{m+1} で,(1) はそのまま。 (2) は AA の多項式 BB の逆を求める問題で,A5=OA^{5}=O より多項式環を modx5\bmod\, x^{5} で扱い,未知係数法で逆元の係数を決めるのが見通しが良い。 (3) は具体的な厳密上三角行列で,A5=OA^{5}=O と (2) の結果を活かす。 (B) は3次行列の特性多項式から固有値を求め,対角化可能性と固有値の絶対値で CnvC^{n}\boldsymbol{v} の収束条件を決める。

典型ミス

(A)(2) では (E+A)(E+A) を掛けて簡約しようとして詰まりがち。多項式の逆元の未知係数法が最も短く確実。 (A)(3) では AkA^{k} の各成分の計算ミスが起こりやすい。厳密上三角行列の冪は対角線がさらに右上にずれることを使うと楽。 (B)(2) では特性多項式の符号誤りが頻発。慎重に展開して (λ1)(λ2+1)(\lambda-1)(\lambda^{2}+1) という綺麗な形を得る。 (B)(3) では「対角化可能だから収束する」と早合点しないこと。固有値の絶対値が1の場合は振動する。

試験で書くべきポイント

(A)(1) では (EA)Ak=EAm+1(E-A)\sum A^{k}=E-A^{m+1} の式を必ず書き,両側の積で逆行列であることを示す。 (A)(2) では A5=OA^{5}=O の使い方を明示し,係数比較の各方程式を書き出す。 (A)(3) では AkA^{k} (k=2,3,4k=2,3,4) を陽に書き,最終行列の成分計算を詳細に。 (B)(2) では特性多項式 λ3λ2+λ1=(λ1)(λ2+1)\lambda^{3}-\lambda^{2}+\lambda-1=(\lambda-1)(\lambda^{2}+1) の因数分解を必ず示す。 (B)(3) では i=1|i|=1 で振動することを明示し,固有値1の固有空間に属することが必要十分と論理的に結論づける。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 多変数関数の連続・偏微分・重積分

方針

(1) は具体的な差を取れば一様収束のオーダーが見える定型問題。 (2) は積分を初等関数で表したうえでテイラー展開(あるいはロピタル)を使う典型。 (3) は商の微分と原点での定義通りの計算の組合せ。 (4) は C2C^{2} 性の判定で,極座標により方向依存性を見るのが鍵。 (5) は被積分関数を x2x4x2+y2x^{2}-\dfrac{x^{4}}{x^{2}+y^{2}} と分けるか,yy について先に積分して arctan\arctan を出し,部分積分と arctan(1/y)=π/2arctany\arctan(1/y)=\pi/2-\arctan y で帰着する。

典型ミス

(1) で「各点収束」だけを示して終えるのは不可。sup\sup の評価まで書く。 (3) で原点での偏微分を「公式に代入したら0」と扱うのは不可。定義に戻って極限で計算する。 (4) で「fxy(0,0)f_{xy}(0,0) が存在するから C2C^{2}」と早合点しないこと。連続性が必要。極座標で方向依存性を示す。 (5) で「対称性で x4/(x2+y2)=y4/(x2+y2)\int x^{4}/(x^{2}+y^{2})=\int y^{4}/(x^{2}+y^{2})」だけでは閉じた値が出ず行き詰まる。yy について先に積分して arctan\arctan を出すのが定石。

試験で書くべきポイント

(1) は gn(x)x2M4/n2|g_{n}(x)-x^{2}|\le M^{4}/n^{2} という xx に依存しない上界を明示。 (2) は 01/n=1narctan1n\int_{0}^{1/n}=\dfrac{1}{n}-\arctan\dfrac{1}{n} の計算を必ず示す。 (3) は原点と原点以外で場合分けし,原点では極限の計算を書く。 (4) は fxy=8x3y3/(x2+y2)3f_{xy}=8x^{3}y^{3}/(x^{2}+y^{2})^{3} を求めたうえで,極座標表現 sin3(2θ)\sin^{3}(2\theta) により方向依存性を強調する。 (5) は arctan(1/y)=π/2arctany\arctan(1/y)=\pi/2-\arctan y と部分積分の使い方を丁寧に書く。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 第3問 (I)/(II) 選択

方針

(I) は閉性・コンパクト性・連結性の判定問題。閉性は連続写像の逆像,コンパクト性は (a) ハイネ・ボレルか (b) 閉 \subset コンパクト の議論,連結性は連結成分への分解と「共通点をもつ連結集合の和は連結」が中心道具。 (II) は幾何分布の典型問題。特性関数は等比級数,期待値の和表示は項の入れ替え,無記憶性は条件付き確率の定義通り。検定は片側で,棄却域が有意水準とちょうど一致するように設計されている。

典型ミス

(I)(2):「閉だからコンパクト」と短絡しないこと。R2\mathbb{R}^{2} の閉集合でも有界でなければコンパクトでない。φ(E)\varphi(E)S0S_{0} で考えるが,同相写像の像のコンパクト性は元のコンパクト性と同値。 (I)(5):「2つの枝が連結でないから AA も連結でない」と早合点しないこと。閉包の操作で (0,0,1)(0,0,1) が両枝の極限点となり繋がる。φ\varphi が具体的にステレオ射影だと知らなくても,コンパクト性から「xnφ(xn)(0,0,1)|x_{n}|\to\infty\Rightarrow\varphi(x_{n})\to(0,0,1)」を一般に証明できる。 (II)(2):等比級数の収束条件 (1p)eit<1|(1-p)e^{it}|<1 を確認しないと厳密でない。 (II)(5):H1:1/p>2H_{1}:1/p>2p<1/2p<1/2XX が大きい方への片側であることを論理的に説明すること。 (II)(6):検出力の定義を取り違えない。「対立仮説のもとで棄却する確率」。

試験で書くべきポイント

(I)(1) は連続写像の逆像で1行。 (I)(2) は EE の有界性の否定例((n,1/n)E(n,1/n)\in E)を具体的に挙げる。 (I)(3) は「閉 \subset コンパクト \Rightarrow コンパクト」を明示。 (I)(4) は E+,EE_{+},E_{-} への分割を具体的に書く。 (I)(5) は補題「xnφ(xn)(0,0,1)|x_{n}|\to\infty\Rightarrow\varphi(x_{n})\to(0,0,1)」を SS のコンパクト性と φ1\varphi^{-1} の連続性から導いた上で,2つの枝が共通点 (0,0,1)(0,0,1) で繋がることを示す。

(II)(2) は等比級数の収束条件を明示。 (II)(3) は総和の交換を Tonelli または各項非負と書く。 (II)(4) は P(X>k)=(1p)kP(X>k)=(1-p)^{k} を最初に求める。 (II)(5) は「H1:p<1/2H_{1}:p<1/2 より棄却域は {Xc}\{X\ge c\}」「P(X5)=(1/2)4=1/16P(X\ge 5)=(1/2)^{4}=1/16」と論理を明確に書き,c=5c=5 を導出。 (II)(6) は数値 256/625256/625 も最後に出しておく。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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