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千葉大学 院試 過去問 解答例

千葉大 融合理工学府 数学情報科学専攻 数学・情報数理学コース 専門科目(A0・A問題・B問題) 2024年度 院試 解答例・解説

千葉大学 融合理工学府 数学情報科学専攻 数学・情報数理学コース 専門科目(A0・A問題・B問題) 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全18問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — A0 写像の個数と全射の存在

方針

有限集合からの写像数は基本公式 nmn^m、単射数は順列で n(n1)(nm+1)n(n-1)\cdots(n-m+1) と覚えておく。 全射の存否は集合の濃度の比較に帰着する。N\mathbb{N} からの全射が存在することと、像が高々可算濃度であることは同値である。

典型ミス

(2) で「全単射」を作ると主張だけ書いて構成を省くと点が来ない。 ペア化関数や 2N2^{\mathbb{N}} の非可算性を、対角線論法など具体的に示す方が安全である。

試験で書くべきポイント

M(N,B)M(\mathbb{N},B) の元はビット列 (g(0),g(1),){b1,b2}N(g(0),g(1),\dots)\in\{b_1,b_2\}^{\mathbb{N}} と一対一対応する点を明記すれば、(3) は古典的対角線論法に直結する。

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2 — A1 行列式・直交行列の固有値

方針

直交行列の固有値は単位円上、実係数性から共役対と実 ±1\pm1 の組み合わせ、という三段構えで考えるのが定石。 (2) は内積の双線形性とエルミート随伴の考え方を使う。

典型ミス

(4) で「det=1\det=-1 なら 1-1 が固有値」を直感的に書いて終わらないこと。 共役複素対の積 =1=1 を独立に処理し、実固有値の符号構成だけが行列式の符号を決めることを丁寧に書く。

試験で書くべきポイント

(3) では AA=AA=IA^{\top}\overline{A}=A^{\top}A=IAA の実数性に強く依存している点を明示すると論理が明確になる。

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3 — A2 ラグランジュ未定乗数法

方針

f\nabla fg\nabla g のどちらが拘束面の正則性を担保するかを必ず確認する。 拘束曲線が非有界の場合、極値の存在は単調性や端点極限から判定する。

典型ミス

(2) で x=0,y=0x=0,y=0 ケースを忘れる、または x=yx=y の場合だけで完結させる例が多い。 ラグランジュ条件は連立方程式として漏れなく場合分けする。

試験で書くべきポイント

(3) では「CC は非有界で ff は無限大に発散」を明確に述べないと、(21/3,21/3)(2^{-1/3},2^{-1/3}) を最大点と誤判定する誘惑がある。t±t\to\pm\inftyff\to\infty を一文添えるとよい。

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4 — A3 位相空間論:連続写像と閉集合

方針

(\star) を満たす位相のうち最も粗いものは、写像 F=(f,g):R2R2F=(f,g):\mathbb{R}^{2}\to\mathbb{R}^{2} による始位相である。閉集合の問題は「(\star) を満たす任意の O\mathcal{O} で閉」と「ある O\mathcal{O} で閉でない」の区別が要点で、最粗位相で閉ならばより細かい任意の O\mathcal{O} でも閉、という単調性を使う。

典型ミス

(2) で「商位相」と曖昧に書く解答が見受けられるが、FF は同値関係を必要としない単なる連続化のための始位相で十分である。(3) では B={y=x2}B=\{y=x^{2}\}ggff のレベル集合と短絡しない。g(x,y)=x2+y2g(x,y)=x^{2}+y^{2} のレベル集合は円であり BB ではない。FF の像から再構成する点が肝。

試験で書くべきポイント

(2) では「F(1,0)=F(1,0)F(1,0)=F(-1,0) より、O\mathcal{O} ではこの二点を分離する開集合対が無い」と一文で書ききる。(3) では B=F1(Δ)B=F^{-1}(\Delta) と等式で結び、Δ\Delta が通常位相で閉であることを連続関数のゼロ集合として示すと論理が綺麗に閉じる。

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5 — A4 二項分布の再生性と標本平均

方針

二項分布の再生性は確率母関数(あるいは積率母関数・特性関数)の積で示すのが標準。標本平均の分布は「総和が二項に従い、それを NN で割った」と書き下せば、確率関数も期待値・分散も即座に得られる。(3) は古典的なポアソン極限であり、母関数の極限から系統的に導ける。

典型ミス

(2) で X\overline{X} を「連続分布」と扱ってしまうのは誤り。X\overline{X} は離散分布であり、NXN\overline{X} を二項分布として表記するのが自然。(3) で「ポアソン極限定理」と名前だけ書いて済ますと減点される。母関数または直接計算で (Nnk)(m/n)k(1m/n)NnkeNm(Nm)k/k!\binom{Nn}{k}(m/n)^{k}(1-m/n)^{Nn-k}\to e^{-Nm}(Nm)^{k}/k! の収束を提示すること。

試験で書くべきポイント

再生性を確率母関数で記述すると、(1) の証明と (3) のポアソン極限が同一の枠組みで処理でき、行数を節約できる。(2) の期待値・分散は「標本平均は母平均と同じ期待値、分散は母分散の 1/N1/N 倍」という一般原則の確認なので、二項という具体例での数値 np, np(1p)/Nnp,\ np(1-p)/N を明確に書く。

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6 — A5 擬似コード:ヨセフス問題類似

方針

このコードは Josephus 問題で「22 人飛ばして次を消す」(k=2k=2 型)に相当する。Josephus の標準的な漸化式は J(2n)=2J(n)J(2n)=2J(n)J(2n+1)=2J(n)+2J(2n+1)=2J(n)+2 であり、本問の ff と完全に一致する。最初の周回で奇数位置がすべて消えることを観察し、残った偶数位置を再ラベルして nn 個の同型問題に帰着させるのが定石。

典型ミス

(2) で奇数の場合、最初の nn 周回で消える位置と「次に消される位置」の境界処理を誤りやすい。pos の遷移を「直前に消した位置」と「次に 22 個目として消す位置」の対で追うと混乱が少ない。インデックスを 00 始まりにしている(コード通り)か 11 始まりにしているか、最後まで一貫させること。

試験で書くべきポイント

(1) は表で消去順を列挙して残存位置を示す方が、再現性が高く採点しやすい。(2) は再ラベル j2jj'\leftrightarrow 2j または 2j+22j+2 を明示し、開始 pos の同期を一文添える。(3) は奇数漸化式を反復するだけで一行半で示せ、f(2k1)=2k2f(2^{k}-1)=2^{k}-2 は古典的結論として覚えておく価値がある。

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7 — B1 完全列と長完全列

方針

6 項完全列 AfAgBhAfAgBhA\xrightarrow{f}A\xrightarrow{g}B\xrightarrow{h}A\xrightarrow{f}A\xrightarrow{g}B\xrightarrow{h}\cdots を 3 周期で見ると φ=gh\varphi=g\circ hBB 上で 2 乗 0 なる準同型になり、コホモロジー D=Kerφ/ImφD=\operatorname{Ker}\varphi/\operatorname{Im}\varphi が定義される。C=Imf=KergC=\operatorname{Im} f=\operatorname{Ker} g との間に snake-lemma 風の同型対応が走る、というのが背景の構造。

典型ミス

GGHH を定義する時、代表元の取り方に依らないこと(well-defined 性)の確認を省略しがちである。 特に (3) では bKerφb\in\operatorname{Ker}\varphi という条件と「h(b)Kerg=Ch(b)\in\operatorname{Ker} g=C」の両方を使うので、どちらの Ker\operatorname{Ker} が必要かを明示する。

試験で書くべきポイント

6 つの包含関係 ImFKerG\operatorname{Im} F\subseteq\operatorname{Ker} G などをそれぞれ「Im=Ker\operatorname{Im}=\operatorname{Ker} を一つ使う」と決めて、使う関係を明示する。 Imf=Kerg\operatorname{Im} f=\operatorname{Ker} gImg=Kerh\operatorname{Im} g=\operatorname{Ker} hImh=Kerf\operatorname{Im} h=\operatorname{Ker} f のうちどれを引用したかを答案上で明確にすると採点者に伝わる。

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8 — B2 多項式の係数イデアル

方針

ガウスの補題の精密版である Dedekind--Mertens 型補題が背景。 (2) は素イデアル PP を「最小添字」で取り出し ci0+j0ai0bj0(modP)c_{i_0+j_0}\equiv a_{i_0}b_{j_0}\pmod P と評価する古典的議論。 (3) は (2) を用いて根基への包含を示し、有限生成性で冪へ昇格させる。

典型ミス

(3) で I(fg)I(fg)I(fg)\sqrt{I(fg)} を混同しないこと。I(f)I(g)I(fg)I(f)\cdot I(g)\subseteq I(fg) は一般には成り立たない((1) は逆向き)が、(4) のような特殊な RR では I(f)I(g)=(su,sv,tu,tv)I(f)\cdot I(g)=(su,sv,tu,tv)I(fg)=(su,sv+tu,tv)I(fg)=(su,sv+tu,tv) を比べると sv,tusv,tu が同居する分だけ I(f)I(g)I(f)\cdot I(g) の方が真に大きい。

試験で書くべきポイント

(4) では「r=1r=1 では駄目」「r=2r=2 で十分」の両方を書く。前者は svI(fg)sv\notin I(fg) または tuI(fg)tu\notin I(fg) を多重次数で説明し、後者は I(f)I(g)I(f)I(g) の生成元の積 9 個を一つずつ I(fg)I(fg) の元として表示するのが最も確実である。

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9 — B3 微分形式とド・ラームコホモロジー

方針

ω=α+β\omega=\alpha+\betaR2{0}\mathbb R^2\setminus\{0\} 上の角度 1 形式 dθd\theta の表示そのもの(極座標 (r,θ)(r,\theta)ω=dθ\omega=d\theta)。 極座標で θ\theta は大域的には定義できないが、dθd\theta は大域的によく定まる閉 1 形式となる。これが HdR1(R2{0})RH^{1}_{\mathrm{dR}}(\mathbb R^2\setminus\{0\})\cong\mathbb R の生成元。

典型ミス

(1) で d(Pdx+Qdy)=(xQyP)dxdyd(P\,dx+Q\,dy)=(\partial_x Q-\partial_y P)\,dx\wedge dy の符号を間違える。 特に α\alphadxdx 成分なので dαd\alpha には yP-\partial_y P が現れる点に注意。 また (3) で「ω\omega が局所的に dθd\theta と書ける」ことだけから ω\omega を完全と誤判定しないこと。θ\thetaMM 上では一価でない。

試験で書くべきポイント

(3) は次の論法でほぼ満点。ω\omega の閉性を明示計算で示し、S1ω=2π0\int_{S^1}\omega=2\pi\ne 0 を使い「もし ω=df\omega=df ならストークスの定理より S1S^1 上の積分は 0」、ゆえに矛盾。 背景として MS1M\simeq S^1 のホモトピー同値と de Rham の定理から HdR1(M)H1(S1;R)RH^{1}_{\mathrm{dR}}(M)\cong H^{1}(S^1;\mathbb R)\cong\mathbb R という事実に触れると採点者に意図が伝わりやすい。

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10 — B4 商位相空間のホモロジー

方針

Σk\Sigma_{k}S1S^{1} 上の円周束(メビウス的な貼り方)と見ると、CW 構造 00 胞体 1111 胞体 22a,ba,b)、22 胞体 11FF)が標準的に取れる。境界準同型の係数は貼り合わせの巻き数 kk で決まり、2(F)=(1k)a\partial_{2}(F)=(1-k)a となる。

典型ミス

(1) で「R\mathbb{R} 係数」を見落とし整係数で答える、あるいは逆に整係数の答えをそのまま R\mathbb{R} 係数に持ち込む。係数環で 2233 が単元かどうかでねじれが消える点を意識する必要がある。 (2) で「ホモロジーが等しい\Rightarrow同相」と勘違いしないこと。同相でないことの証明には「ホモトピー不変量がずれる」を主張する。

試験で書くべきポイント

CW 分解を明示し、22 胞体の境界が「a+b(±a)b=(1)aa+b-(\pm a)-b=(1\mp\cdots)a」と書ける計算過程を一行で示すと採点者に通じる。R\mathbb{R} 係数なら H1H_{1} は階数だけで、整係数ならねじれを書く。同相不可は「H1H_{1} は位相不変量」を一言添えて整係数で比較する。

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11 — B5 複素関数論:留数積分

方針

01/(1+xq)dx\int_{0}^{\infty}1/(1+x^{q})\,dx 型の広義積分は、扇形領域 0<argz<2π/q0<\arg z<2\pi/q を取る留数計算が定石。被積分関数を zp/(1+zq)z^{p}/(1+z^{q}) に拡張しておくと、実軸上の積分と斜辺上の積分の比例関係から実積分が決まる。

典型ミス

円弧上で積分が消える評価で pp の範囲(本問の (1) 設定では 1<p<2-1<p<2)を確認しないと、答えだけ書いて部分点を失う。Γ2\Gamma_{2} 上で dz=ei2π/3dxdz=e^{i2\pi/3}dx に伴って向きが反転する点(RrR\to rrRr\to R に直す際の符号反転)を取り違えやすい。

試験で書くべきポイント

留数を z0p/3z02=z0p2/3z_{0}^{p}/3z_{0}^{2}=z_{0}^{p-2}/3 と簡単化、扇形の中心角は 2π/q2\pi/q で実積分との結合に 1ei(p+1)2π/q1-e^{i(p+1)2\pi/q} が現れる、最終形は π/[qsin((p+1)π/q)]\pi/[q\sin((p+1)\pi/q)] と書く、の三点を押さえる。

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12 — B6 連立常微分方程式・極限集合

方針

(x˙,y˙)(\dot x,\dot y) を極座標へ変換すると r˙=r(1r2), θ˙=1\dot r=r(1-r^{2}),\ \dot\theta=1 と分離する。これは「単位円が安定極限閉軌道(リミットサイクル)である」という典型的な平面動力系。L(P)L(P)ω\omega 極限集合の定義式で、解の長期挙動を集合として捉える問いである。

典型ミス

(2) で r˙\dot r の方程式だけ書いて θ˙\dot\theta を計算し忘れる。u=r2u=r^{2} と置く工夫を取らずに r˙/r=1r2\dot r/r=1-r^{2} を直接積分しようとして手間取る。 (3) で P=(0,0)P=(0,0) の場合(平衡点)を場合分けせず S1S^{1} と答える、または L(P)L(P) を「軌道の閉包」と取り違えて PP 自身や軌道の螺旋部を含める答案。L(P)L(P)tt\to\infty における集積点の集合(ω\omega 極限)。

試験で書くべきポイント

r˙=r(1r2)\dot r=r(1-r^{2})θ˙=1\dot\theta=1 の二式を最初に出すと以降が機械的に進む。(2) の解は r2=1/(1+e2t)r^{2}=1/(1+e^{-2t}) とコンパクトに書く。(3) では「r1r\to 1θ=t+θ0\theta=t+\theta_{0}2π2\pi ずつ稠密に巡回」を明記して L(P)=S1L(P)=S^{1} を結論付ける。

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13 — B7 関数空間のノルムと有界線形写像

方針

ノルム f=01xfdx\|f\|=\int_0^1 x|f|\,dx は重み xx ゆえ 00 近傍の値を見えにくくする。線形汎関数 gg(x)f(x)dxg\mapsto\int g(x)f(x)\,dx の有界性は、被積分核 g(x)g(x) と重み xx の比 g(x)/xg(x)/xLL^\infty かどうかで決まる。sinπx/xπ\sin\pi x/x\le\pi は有界、x/x=x1/2\sqrt{x}/x=x^{-1/2} は非有界、これが (4)(5) の差を生む。

典型ミス

(1) で「f=0f0\|f\|=0\Rightarrow f\equiv0」を連続性に触れず示すと不十分。重み xxx=0x=0 で消えるので、f(0)f(0) の処理に連続性が必要である。(3) で「hn\|h_n\| が有界だから収束」と誤推理しないこと。コーシー列であるかどうかが鍵。

試験で書くべきポイント

有界線形汎関数 Λ(f)=01K(x)f(x)dx\Lambda(f)=\int_0^1 K(x)f(x)\,dx のノルムは supx(0,1]K(x)/x\sup_{x\in(0,1]}|K(x)|/x で与えられる、という一般原理を念頭に置けば (4)(5) は機械的に判定できる。

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14 — B8 中心極限定理と特性関数

方針

中心極限定理の標準的証明は「特性関数→et2/2e^{-t^2/2}→ Lévy の連続性定理(本問では仮定として与えられる)→法則収束」の三段階である。YiY_i を標準化して平均 00、分散 11 にすると Taylor 展開の係数が見やすくなる。

典型ミス

特性関数の Taylor 展開で o(t2)o(t^2) を確実に書くこと。o(t2)o(t^2)E[Y12]<E[Y_1^2]<\infty から従う事実で、より強い oo 表記には E[Y13]<E[|Y_1|^3]<\infty などが要る。log(1+w)=ww2/2+\log(1+w)=w-w^2/2+\cdots の展開で w2w^2 の項が O(1/n2)O(1/n^2) と消えることを確認すれば十分。

試験で書くべきポイント

標準化 Yi=(Xiμ)/σY_i=(X_i-\mu)/\sigma と独立性 \Rightarrow 特性関数の積、の二点を明記する。Taylor 展開の係数 1, 0, 1/21,\ 0,\ -1/2φZn(t)=φY(t/n)n\varphi_{Z_n}(t)=\varphi_Y(t/\sqrt n)^n の同値式は計算の中核なので、丁寧に書く。

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15 — B9 線形回帰と最尤推定

方針

正規線形モデルの最尤推定は最小二乗法と一致し、β^=(XX)1XY\widehat{\beta}=(X^{\top}X)^{-1}X^{\top}Y。これさえ覚えていれば (1)(2) は直ちに出る。(3) 以降はすべて「YY の線形変換は正規分布、平均と分散だけを計算すればよい」の機械的適用である。H=X(XX)1XH=X(X^{\top}X)^{-1}X^{\top} はハット行列(射影)で IHI-H は誤差空間への射影、両者の直交性 (IH)H=O(I-H)H=O が (5) の核心。

典型ミス

sx2s_x^2 を「(xixˉ)2\sum(x_i-\bar x)^2nn で割らない)」と取るか「1n(xixˉ)2\tfrac1n\sum(x_i-\bar x)^2」と取るかで分散の係数が変わる。本問の指定は sx2=1n(xixˉ)2s_x^2=\tfrac1n\sum(x_i-\bar x)^2 と読めるのでこれに従う。共分散ゼロから独立を結論するには「同時正規」が必要—単に共分散ゼロでは独立と言えない点に注意。

試験で書くべきポイント

(2) では正規方程式 XXβ=XYX^{\top}X\beta=X^{\top}Y を経由して導く流れ、(3) では β^\widehat{\beta}YY のアフィン変換であること、(5) では (IH)X=O(I-H)X=O と「同時正規+共分散00\Rightarrow独立」を明示することが採点上の要点。

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16 — B10 平方剰余・素因数分解の還元

方針

(1) は Z/pZ\mathbb{Z}/p\mathbb{Z} が体である事実から二次方程式の根の個数が 2\le 2 である点を押さえ、p3(mod4)p\equiv 3\pmod 4 では (p+1)/4(p+1)/4 が整数となる点とオイラーの規準 a(p1)/21a^{(p-1)/2}\equiv 1 を組合せる。 (2) は CRT で 1 個の平方根が法 p,qp,q の符号 4 通りに対応することを書けば良い。 (3) は y=x2y=x^2 の 4 平方根のうち ±x\pm x でないものから gcd\gcd で因数を取り出すという RSA 因数分解攻撃の典型構成。

典型ミス

(1) で pp が奇であることを使わずに x0≢x0x_0\not\equiv -x_0 を主張すること。 (3) で「成功確率 1/2\ge 1/2」の根拠を書かずに済ませる答案。xx の事前分布が 4 平方根上一様であることを明示する必要がある。

試験で書くべきポイント

(3) ではアルゴリズムの構成、gcd\gcdpp または qq を返す仕組み、成功確率の評価、反復回数の期待値、を順に書くと採点者に意図が伝わりやすい。 xxxix_i について pxxip\mid x-x_i かつ qxxiq\nmid x-x_i を中国剰余定理の言葉で説明できると満点に近い。

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17 — B11 オートマトンと正規言語

方針

(1a) は典型的な反復補題、(1b) は中点推測 PDA。 (2)(3) のキーは「anbma^{n}b^{m} (nmn\le m) は (ab)nbmn(ab)^{n}b^{m-n} と分解できる」点。これにより各ブロックが正規言語の * で書け、外側 * を被せると正規が閉じる。

典型ミス

(2) で「{anbmnm}\{a^{n}b^{m}\mid n\le m\} は非正規(anbna^{n}b^{n} を含む)」だけ書いて「だから LL' も非正規」と早合点する。LL^{*}LL より厳密に大きい言語に拡がりうる点を見落とすミスである。 (1a) で反復補題の語選択を誤り、ポンプして再び LL に戻ってしまう例を作って矛盾が出ない答案も多い。

試験で書くべきポイント

(2) では (ab)nbmn(ab)^{n}b^{m-n} という分解が決定打。これを書けば R(abb)R\subseteq (ab\mid b)^{*} は明らかで、逆向きも (abb)(ab\mid b)^{*} の語が a?b?a^{?}b^{?}#a#b\#a\le\#b を満たすことを言えば良い。 (3) は (2) の議論を 2 種類組合せて閉包を取るだけで結論が出る。

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18 — B12 OCaml/Scheme で prefix・map・prefixes

方針

OCaml はパターンマッチで再帰関数を書くのが定石。3 問とも「リストを 1 度しか辿らない」を強調しており、これは末尾以外を見ずに x :: xs 分解だけで進めること、List.length など全走査関数を呼ばないこと、を意味する。 (3) で結果リストの順序を「短い順」にする工夫が要点で、内部関数で蓄積(accumulator)を持つのが標準。

典型ミス

(1) で if List.length items1 > List.length items2 then false ... のように長さで先に判定する答案。items を二重に辿るので採点減点される。 (2) で List.map を呼んでしまう。問題文で禁止されている。 (3) で各ステップ List.rev acc を呼んで逆転を繰り返し O(n2)O(n^2) になる、あるいは acc を辿り直してしまう実装。

試験で書くべきポイント

match 句のパターンを 3 つ [], \_::\_; [], x::xs, y::ys のように網羅的に書くこと、&&\&\&|| の短絡性を理由として「2 度辿らない」を主張すること、(3) では「acc を最後に 1 度だけ反転」「last を持ち回す」の 2 つの工夫を明示することが採点上有利である。 Scheme で書く場合は (define (prefix l1 l2) (cond ((null? l1) \#t) ((null? l2) \#f) ((equal? (car l1) (car l2)) (prefix (cdr l1) (cdr l2))) (else \#f))) のように cond で同じロジックを書ける。

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