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千葉大学 院試 過去問 解答例

千葉大 融合理工学府 数学情報科学専攻 数学・情報数理学コース 専門科目(A0・A問題・B問題) 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全18問)

全18問。代数2問・位相・幾何1問・線形代数1問。テーマタグは6件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・正定値行列)。2021年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・群論・環論。

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解説18問と大問1問の途中式・最終答(全18問)
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途中式と最終答(最終答つき18問)
問題本文
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千葉大 専門科目(A0・A問題・B問題) 2022年度 院試 過去問の出題内容(全18問)

この18問の分野は代数2問・位相・幾何1問・線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—A0 写像の像・逆像と濃度の比較—あり
第2問線形代数A1 双線形形式の Gram 行列と正定値性—あり
第3問微分積分・解析A2 級数の収束 (隣接差・絶対収束・対数交代級数)—あり
第4問位相・幾何A3 位相空間の生成と区間のコンパクト性—あり
第5問—A4 順序統計量の分布と共分散—あり
第6問—A5 Pascal による全順列生成プログラム—あり
第7問代数B1 置換群と対角群、Sylow 部分群—あり
第8問代数B2 唯一の素イデアルを持つ環の冪零イデアル—あり
第9問—B3 Monge グラフの Gauss 曲率と Gauss 写像—あり
第10問—B4 ホップ絡み目補空間とホモロジー—あり
第11問—B5 半円弧上の複素積分と実積分—あり
第12問—B6 線形 ODE の解、軌道の同値関係と相図—あり
第13問—B7 数列空間のノルム性、完備性と双対表現—あり
第14問—B8 i.i.d. ランダムウォーク、停止時刻と Wald の等式—あり
第15問—B9 ベルヌーイ分布の最尤推定と Fisher 情報量—あり
第16問—B10 有限体の原始元によるグラフ—あり
第17問—B11 NFA、ポンピング補題、shuffle 言語の非正則性—あり
第18問—B12 Scheme によるリスト生成、再帰の停止性—あり

この年度の解説には試験で書くべきポイント18件・典型ミス18件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は6問に6テーマが出ています。

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 18問 → 2022年度 18問
2022年度で新しく出たテーマ
正定値行列・一様収束
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第1問 — A0 写像の像・逆像と濃度の比較

方針

像と逆像の性質を確認する典型問題。A⊂f−1(f(A))A\subset f^{-1}(f(A)) と f(f−1(B))⊂Bf(f^{-1}(B))\subset B(一般に等号は成立しない)の方向を念頭に置く。 (II) は Cantor の定理。論法は対角線論法であることを必ず明記する。

典型ミス

(a) で ⊂\subset と ⊃\supset のどちらが偽かを取り違える例が多い。一般的に成り立つ包含関係 A1∪A2⊂f−1(f(A1)∪f(A2))A_1\cup A_2\subset f^{-1}(f(A_1)\cup f(A_2)) は逆向きであることに注意。 (d) で「単射の逆写像は像でしか定義できない」点を見落とすと議論が破綻する。

試験で書くべきポイント

(II)(2) は「もし全単射が存在したら」と背理法を立て、DD を定義し、F(d)=DF(d)=D なる dd について d∈D⇔d∉Dd\in D\Leftrightarrow d\notin D の矛盾を導出する流れを丁寧に書く。

A0 写像の像・逆像と濃度の比較の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — A1 双線形形式の Gram 行列と正定値性

方針

Gram 行列 A=((vi,vj))A=((v_i,v_j)) を扱う典型問題。座標表示 v=∑cjvjv=\sum c_j v_j で (v,w)=c⊤Ad(v,w)=c^{\top}A d と表せることを最初に確認すれば見通しがよい。 正定値の判定はシルヴェスタの主小行列式判定法、対角化は Gram--Schmidt が定石。

典型ミス

(2) で「実対称ゆえ固有値は実」を言わずに正定値性だけで議論すると、固有ベクトルが複素のとき詰まる。 (4) で wiw_i を求めるだけで (wi,wj)(w_i,w_j) の値を提示し忘れがち。対角成分まで書くこと。

試験で書くべきポイント

(1) は「AA の核 ⇒\Rightarrow (,)(,) の右核」を双線形性 (vi,∑cjvj)=∑cjaij(v_i,\sum c_j v_j)=\sum c_j a_{ij} で結びつける。 (3) は nn が整数であることを忘れず、2<2\sqrt 2<2 より n=2n=2 が最小と明記する。

A1 双線形形式の Gram 行列と正定値性の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — A2 級数の収束 (隣接差・絶対収束・対数交代級数)

方針

(1) は「等差級数の差」が δ\delta 以上なので ana_n はおよそ等差列、∑1/an2\sum 1/a_n^2 は ∑1/n2\sum 1/n^2 と比較可能。 (2) は ℓ2\ell^2 ノルムと 1/n∈ℓ21/n\in\ell^2 の Cauchy--Schwarz が定石。 (3) は Hn/(log⁡n)2∼1/log⁡n→0H_n/(\log n)^2\sim 1/\log n\to 0 で交代級数の Leibniz 判定。

典型ミス

(1) で「ana_n が正である」を仮定して比較してしまうと、初期に a1<0a_1<0 のケースを見落とす。 有限項を除いて議論する点に触れる。 (3) では cnc_n の単調減少性を「明らか」と片付けがち。 Hn∼log⁡nH_n\sim\log n を使った漸近評価まで書くと安全。

試験で書くべきポイント

(2) は絶対収束を示すので ∑∣bn∣/n\sum |b_n|/n が有限であることを論じる。 ∑bn2\sum b_n^2 と ∑1/n2\sum 1/n^2 の積(Cauchy--Schwarz)でひとことで処理。 (3) は調和数 HnH_n を「log⁡n+γ+O(1/n)\log n+\gamma+O(1/n)」と漸近展開しておくと、(i)(ii) の評価が見通せる。

解答

  1. a1a_1 は固定値で、漸化式 an+1≥an+δa_{n+1}\ge a_n+\delta を繰り返すと an+1≥a1+nδa_{n+1}\ge a_1+n\delta。an→∞a_n\to\infty で、十分大きい nn について an>0a_n>0。 ana_n のうち負のものの個数は有限個(高々 ⌈(−a1)/δ⌉+1\lceil(-a_1)/\delta\rceil+1 個程度)なので、その有限項を除いた残りで議論すれば十分。 ある N0N_0 があって n≥N0n\ge N_0 ならば an≥δ(n−N0)+aN0≥δ(n−N0)a_n\ge\delta(n-N_0)+a_{N_0}\ge \delta(n-N_0) (取り直して aN0≥0a_{N_0}\ge 0 としてよい)。 よって n≥N0+1n\ge N_0+1 で an2≥δ2(n−N0)2,1an2≤1δ2(n−N0)2. a_n^2\ge \delta^2(n-N_0)^2,\quad \frac{1}{a_n^2}\le\frac{1}{\delta^2(n-N_0)^2}. ∑n≥N0+11(n−N0)2=∑k=1∞1k2<∞\sum_{n\ge N_0+1}\dfrac{1}{(n-N_0)^2}=\sum_{k=1}^{\infty}\dfrac{1}{k^2}<\infty は収束するので、 比較判定法より ∑n=1∞an−2\sum_{n=1}^{\infty}a_n^{-2} は収束する。
  2. Cauchy--Schwarz の不等式(数列版)より、有限和に対して ∑n=1N∣bn∣n=∑n=1N∣bn∣⋅1n≤(∑n=1Nbn2)1/2(∑n=1N1n2)1/2. \sum_{n=1}^{N}\frac{|b_n|}{n}=\sum_{n=1}^{N}|b_n|\cdot\frac{1}{n} \le \Bigl(\sum_{n=1}^{N}b_n^2\Bigr)^{1/2}\Bigl(\sum_{n=1}^{N}\frac{1}{n^2}\Bigr)^{1/2}. 仮定より ∑bn2\sum b_n^2 は収束、また ∑1/n2\sum 1/n^2 も収束。したがって右辺は NN について有界であり、 左辺は単調増加かつ有界、つまり ∑n=1∞∣bn∣n<∞\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{|b_n|}{n}<\infty。 よって ∑bn/n\sum b_n/n は絶対収束する。
  3. 部分和を Hn=∑k=1n1kH_n=\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k} とおき、cn=Hn(log⁡n)2c_n=\dfrac{H_n}{(\log n)^2} (n≥2n\ge 2) と書く。 示すべきは ∑n=2∞(−1)ncn\sum_{n=2}^{\infty}(-1)^n c_n の収束。 Leibniz の交代級数判定法を適用するために (i) cn→0c_n\to 0、(ii) cnc_n が(十分大きい nn で)単調減少、を示す。 (i) Hn=log⁡n+γ+o(1)H_n=\log n+\gamma+o(1) (Euler--Mascheroni)。よって cn=log⁡n+γ+o(1)(log⁡n)2=1log⁡n+γ+o(1)(log⁡n)2→0c_n=\dfrac{\log n+\gamma+o(1)}{(\log n)^2}=\dfrac{1}{\log n}+\dfrac{\gamma+o(1)}{(\log n)^2}\to 0 (n→∞n\to\infty)。 (ii) 単調減少性の検証。g(x)=H(x)(log⁡x)2g(x)=\dfrac{H(x)}{(\log x)^2} (連続版、H(x)=∫1x1tdt+γ+⋯H(x)=\int_1^x\frac{1}{t}dt+\gamma+\cdots の近似 log⁡x+γ\log x+\gamma) を取れば g′(x)=1/x⋅(log⁡x)2−(log⁡x+γ)⋅2log⁡x/x(log⁡x)4=log⁡x−2log⁡x−2γx(log⁡x)3=−log⁡x−2γx(log⁡x)3<0g'(x)=\dfrac{1/x\cdot(\log x)^2-(\log x+\gamma)\cdot 2\log x/x}{(\log x)^4} =\dfrac{\log x-2\log x-2\gamma}{x(\log x)^3}=\dfrac{-\log x-2\gamma}{x(\log x)^3}<0(xx 大)。 従って十分大きい nn で cnc_n は単調減少。 (i)(ii) より Leibniz の判定法から ∑n=2∞(−1)ncn\sum_{n=2}^{\infty}(-1)^n c_n は収束する。

最終答

(1) an≥a1+(n−1)δa_n\ge a_1+(n-1)\delta より ∣an∣→∞|a_n|\to\infty かつ ∣an∣=O(n)|a_n|=O(n)、∑1/an2≤const∑1/n2<∞\sum 1/a_n^2\le\mathrm{const}\sum 1/n^2<\infty。(2) Cauchy--Schwarz で ∑∣bn∣/n≤(∑bn2)1/2(∑1/n2)1/2<∞\sum |b_n|/n\le(\sum b_n^2)^{1/2}(\sum 1/n^2)^{1/2}<\infty、絶対収束。(3) Leibniz の判定。cn=Hn/(log⁡n)2c_n=H_n/(\log n)^2 は n→∞n\to\infty で 00 に単調減少。

第4問 — A3 位相空間の生成と区間のコンパクト性

方針

(1) は「準開基 {1},{2,3},{3,4}\{1\},\{2,3\},\{3,4\} から生成される最小の位相」を反例の母体にする。 有限交わりと任意和で何が作れるかを書き出すのが定石。 (2) は「下方無限を含む集合のみが開」という変則位相を扱う。コンパクト性は端点 11 を覆えるかで分かれる。

典型ミス

(1)(iv) で「単射 ⇒\Rightarrow 連続」と勘違いする例が多い。連続性は逆像が開かどうかであって写像の単射性とは無関係。 (2)(ii) で「(0,1](0,1] は普通の位相で非コンパクト」と短絡する答案。位相が変わればコンパクト性も変わる。

試験で書くべきポイント

(1) は「O\mathcal{O} として最小のものを取る」と一文添えて、反例位相の構成を明示する。 (2)(i) は U~\widetilde{\mathcal{U}} を構成的に列挙し、(ii) は端点 11 を含めるには a>1a>1 なる (−∞,a)(-\infty,a) が必要、その単一被覆で済むことを明記する。

A3 位相空間の生成と区間のコンパクト性の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — A4 順序統計量の分布と共分散

方針

順序統計量の基本: FY(y)=1−(1−F)n, FZ(z)=FnF_Y(y)=1-(1-F)^n,\ F_Z(z)=F^n。同時密度は n=3n=3 で fY,Z(y,z)=6(z−y)f_{Y,Z}(y,z)=6(z-y) (0<y<z<10<y<z<1) となる。 共分散は E[YZ]E[YZ] の二重積分で計算。

典型ミス

(2) で fYf_Y と fZf_Z を取り違える、あるいは符号忘れ。fY(y)f_Y(y) は yy が小さいほど大きい(=3(1−y)2=3(1-y)^2)、fZf_Z は zz が大きいほど大きい(=3z2=3z^2)。 (4) で Y,ZY,Z を独立と勘違いして Cov=0\mathrm{Cov}=0 と書く例。Y≤ZY\le Z なので独立ではない。

試験で書くべきポイント

(3) は (s−r)3(s-r)^3 の形で 0<r<s<10<r<s<1 の範囲を明示する。 (4) は同時密度 6(z−y)6(z-y) を導出してから E[YZ]E[YZ] の積分を計算する流れで論理を明確化する。

A4 順序統計量の分布と共分散の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — A5 Pascal による全順列生成プログラム

方針

q(i)q(i) を「p[1..i]p[1..i] を全部並び替えて q(0)q(0) を呼び出す再帰関数」と読み解くのが本筋。 ループ内の「交換 →\to 再帰 →\to 元に戻す」が再帰的並び替えアルゴリズム(Heap 法)の典型。

典型ミス

(1) で出力順を勘違いする。for k:=i downto 1 なので、kk は大きい方から小さい方へ動くこと、また k=ik=i のときは交換しても変化しない(p[i]p[i] と p[i]p[i] の交換)ことに注意。 (2) で「すべての並び替えが出る」だけで終わらせず、重複なくと pp が元に戻ることを帰納法で示す。

試験で書くべきポイント

帰納法仮定 P(m)P(m) を「q(m)q(m) は p[1..m]p[1..m] のすべての並び替えを生成し、終了時 pp を元に戻す」と二条件で書く。 基本ステップ m=0m=0、帰納ステップで「ループ内の各 kk で p[m]p[m] に位置 kk の元が来る →\to 残りを q(m−1)q(m-1) で全並び替え →\to 元に戻す」を明確に書く。

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第7問 — B1 置換群と対角群、Sylow 部分群

方針

H1H_1 は S3S_3 の置換行列実現、H2H_2 は (Z/3)3(\mathbb{Z}/3)^3 の対角埋め込み。HH は半直積 H2⋊S3H_2\rtimes S_3。 正規性は「置換による共役で対角成分が並び替わるだけ」で示せる。 Sylow 3 部分群は H2H_2 と「33 巡回 (1 2 3)(1\,2\,3)」を組み合わせる。

典型ミス

(2) で ω\omega が原始 33 乗根である(位数 33)ことを使い忘れて ∣H2∣|H_2| を間違える。 (5) で ∣H∣=162|H|=162 の Sylow 3 部分群の位数を 2727 と誤る(162=2⋅81162=2\cdot 81 ゆえ 8181)。

試験で書くべきポイント

(3) は具体的に σD(a,b,c)σ−1=D(aσ−1(1),… )\sigma D(a,b,c)\sigma^{-1}=D(a_{\sigma^{-1}(1)},\dots) を書き、H2H_2 に留まることを明示。 (5) は 81=3481=3^4 と H2H_2 (位数 2727) を見て、追加の 33 を「3 巡回置換」から取る、という発想を述べる。

B1 置換群と対角群、Sylow 部分群の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — B2 唯一の素イデアルを持つ環の冪零イデアル

方針

冪零イデアル NN は任意の可換環で素イデアルの共通部分((0)\sqrt{(0)})に等しい。 本問は素イデアルが一つのため N=pN=\mathfrak{p} と直結する。 (2) は局所環の判定(極大が一つ ⇔\Leftrightarrow 局所環)と単元判定の組合せ。

典型ミス

(1) で (x+y)m+n(x+y)^{m+n} の二項展開を使わず適当に処理する。 (3) で p⊂N\mathfrak{p}\subset N の証明を「素ゆえ xn=0⇒x∈px^n=0\Rightarrow x\in\mathfrak{p}」と取り違える(これは逆方向)。 正しくは x∈px\in\mathfrak{p} のときに xn=0x^n=0 を導く必要があり、S={xn}S=\{x^n\} の局所化と素イデアルの存在性で示す。

試験で書くべきポイント

(2) は「素 ⇒\Rightarrow 極大」の理由(p\mathfrak{p} は唯一だから)と「局所環の単元判定」を段階的に書く。 (3) は (0)=⋂q\sqrt{(0)}=\bigcap\mathfrak{q} の事実を引用し、RR の素イデアルが p\mathfrak{p} のみであることに帰着する。

B2 唯一の素イデアルを持つ環の冪零イデアルの途中式・最終答をPDFで見る

第9問 — B3 Monge グラフの Gauss 曲率と Gauss 写像

方針

Monge グラフの曲率公式 K=(fxxfyy−fxy2)/(1+fx2+fy2)2K=(f_{xx}f_{yy}-f_{xy}^2)/(1+f_x^2+f_y^2)^2 は記憶しておく。 原点では fx=fy=0f_x=f_y=0 なので K(0)=fxx(0)fyy(0)−fxy(0)2K(0)=f_{xx}(0)f_{yy}(0)-f_{xy}(0)^2 と簡潔。 Gauss 写像 e=n∘pe=n\circ p について、de=−S∘dpde=-S\circ dp(Weingarten)と det⁡S=K\det S=K は基本。

典型ミス

(1) で KK を「det⁡dn/det⁡dp\det dn/\det dp」と書いて、px×pyp_x\times p_y の向きを混同し符号間違いをする。 nn の向きを zz 成分が正と固定していることを忘れない。

試験で書くべきポイント

(3) は 22 次元線形変換でのベクトル積の挙動 S(u)×S(v)=det⁡S⋅(u×v)S(u)\times S(v)=\det S\cdot(u\times v) を理由とともに書く。 原点で第一基本形式が単位行列に近いことから、(2) の計算が単純化されることに触れると論理が明快。

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第10問 — B4 ホップ絡み目補空間とホモロジー

方針

S3S^3 内の Hopf 絡み目補空間が torus にホモトピー同値という基本事実を、半径補正による強変形レトラクトで具体的に示す。 (4)(4) は NN が KK 上にあることに気づくのが鍵。Alexander 双対性または「開ソリッドトーラス −- 一点」の幾何的考察で計算可能。

典型ミス

(1)(2) で「z≠0z\ne 0 かつ w≠0w\ne 0」の条件を使い忘れる。 ホモトピーが well-defined であるために分母が零でないことを確認すること。 (4) で NN が KK 上にあることを見落とすと、J∪{N}J\cup\{N\} を「絡み目に点を付け足す」と誤解する。

試験で書くべきポイント

(1)(2) の強変形レトラクトは、目的の部分集合上で恒等となる連続族 FtF_t を明示する。 (4) は J∪{N}≃S1⊔{∗}J\cup\{N\}\simeq S^1\sqcup\{*\} を確認した後 Alexander 双対 H~q(S3−X)≅H~2−q(X)\tilde H_q(S^3-X)\cong\tilde H^{2-q}(X) を引用するのが最短。

B4 ホップ絡み目補空間とホモロジーの途中式・最終答をPDFで見る

第11問 — B5 半円弧上の複素積分と実積分

方針

sin⁡x/x\sin x/x の Dirichlet 積分を求める古典的な複素積分問題。 半円輪郭で eiz/ze^{iz}/z を積分し、(1) で小円積分、(2) で大円積分の処理を確立してから (3) で組み立てる。

典型ミス

(2) で Jordan の不等式 sin⁡θ≥2θ/π\sin\theta\ge 2\theta/\pi を使わず、∣eireiθ∣≤1|e^{ire^{i\theta}}|\le 1 で済ませて π\pi になり →0\to 0 を示せない例が多い。 sin⁡θ\sin\theta の下からの線形近似を必ず使う。

試験で書くべきポイント

(3) で eiz/ze^{iz}/z の輪郭が「閉曲線で内部に特異点なし」(z=0z=0 は除外する小半円があるため)と明記する。 ∫−R−εeix/xdx\int_{-R}^{-\varepsilon}e^{ix}/x dx を −∫εRe−ix/xdx-\int_\varepsilon^R e^{-ix}/x dx に置換する計算を丁寧に書く。 最終的に sin⁡x/x\sin x/x が偶関数より 2∫0∞2\int_0^\infty として π/2\pi/2 を得る論理を示す。

B5 半円弧上の複素積分と実積分の途中式・最終答をPDFで見る

第12問 — B6 線形 ODE の解、軌道の同値関係と相図

方針

2×22\times 2 線形系の固有値・固有ベクトル分解。 鞍点(λ1>0>λ2\lambda_1>0>\lambda_2)では安定多様体・不安定多様体の 44 つの半直線と、44 象限の一般軌道があり、計 99 個の同値類。

典型ミス

(2) で「軌跡同士が交わらない」事実(解の一意性)を使わずに同値関係を示そうとして詰まる。 線形 ODE では大域解が一意で、軌跡同士は disjoint または完全一致のいずれか。

試験で書くべきポイント

(3) は鞍点の相図を「v1v_1 の方向に発散、v2v_2 の方向に収束」と図示し、安定・不安定多様体の 44 半直線と原点・44 象限の一般軌道で計 99 個の同値類があることを明示する。 代表系は各クラスから一点ずつ取ればよい。

B6 線形 ODE の解、軌道の同値関係と相図の途中式・最終答をPDFで見る

第13問 — B7 数列空間のノルム性、完備性と双対表現

方針

(2) ℓ1\ell^1 の完備性は古典的: 各点極限を取って Fatou の補題で評価する。 (3) 有限台空間 YY 上の有界線形汎関数(sup⁡\sup ノルムで評価)を、ℓ1\ell^1 ベクトル gg で双対的に表現する。 これは (c0)∗=ℓ1(c_0)^*=\ell^1 の特殊な場合(YY は c0c_0 の稠密部分空間)。

典型ミス

(2) で「各点極限が ℓ1\ell^1 に属する」だけ示してノルム収束を示し忘れる。 (3) で gg の ℓ1\ell^1 性を有限和の 選択的符号付き合成 f=∑αjenjf=\sum\alpha_j e_{n_j} で示す技巧を見落とす。 任意有限部分和の上界 ≤1\le 1 を強調する。

試験で書くべきポイント

(3) では Φ\Phi の有界性条件 ∣Φ(f)∣≤∥f∥∞|\Phi(f)|\le\|f\|_\infty(ℓ∞\ell^\infty ノルム)を使うので、sup⁡n∣f(n)∣\sup_n|f(n)| と書く。 g∈ℓ1g\in\ell^1 を、有限部分和に対する Φ\Phi の値で評価して下から押さえる手法は典型的。

B7 数列空間のノルム性、完備性と双対表現の途中式・最終答をPDFで見る

第14問 — B8 i.i.d. ランダムウォーク、停止時刻と Wald の等式

方針

有界増分の i.i.d. ランダムウォークの基本問題。 (1)(2) は条件付き期待値の独立性公理から自動。 (4) は μ≠0\mu\ne 0 と大数の強法則がポイント、ドリフトがあるので必ず境界を越える。 (5) は Wald の等式(E(T)<∞E(T)<\infty と一様可積分性)で Optional Stopping を適用。

典型ミス

(4) で μ=0\mu=0 のケースの扱いを混乱しがち。本問は μ≠0\mu\ne 0 を仮定しているのでドリフト →\to 必ず無限へ。 (5) で「T<∞T<\infty a.s.」だけでは Optional Stopping は使えず、E(T)<∞E(T)<\infty と一様可積分性を確認する必要がある。

試験で書くべきポイント

(5) は T∧nT\wedge n で停止し、n→∞n\to\infty の極限を取って収束定理を使う流れ。 増分が有界 (∣X∣≤C|X|\le C) なので ∣ST∧n∣≤M+C|S_{T\wedge n}|\le M+C で一様有界、有界収束定理が使えると明示する。

B8 i.i.d. ランダムウォーク、停止時刻と Wald の等式の途中式・最終答をPDFで見る

第15問 — B9 ベルヌーイ分布の最尤推定と Fisher 情報量

方針

ベルヌーイの最尤推定の標準問題。 p^=Xˉ\widehat p=\bar X は不偏・一致・有効すべての性質を持つ理想的な推定量。 Fisher 情報量は I1(p)=1/[p(1−p)]I_1(p)=1/[p(1-p)] を覚えておく(または導出 log⁡f\log f の二階微分の期待値で計算)。

典型ミス

(5) の符号: I(p)=−E[∂2log⁡f/∂p2]I(p)=-E[\partial^2\log f/\partial p^2] でマイナスを忘れない。 あるいは I(p)=E[(∂log⁡f/∂p)2]I(p)=E[(\partial\log f/\partial p)^2] と書いて計算しても同じ。

試験で書くべきポイント

(6) では「分散 == CRB ⇒\Rightarrow 有効」の論理を明示する。 ベルヌーイの場合、Xˉ\bar X はちょうど効率 11 で達成する典型例(指数分布族の MLE は一般に有効)。

B9 ベルヌーイ分布の最尤推定と Fisher 情報量の途中式・最終答をPDFで見る

第16問 — B10 有限体の原始元によるグラフ

方針

有限体の原始元の特定が肝。 Z/11Z\mathbb{Z}/11\mathbb{Z} では (Z/11)×≅Z/10(\mathbb{Z}/11)^\times\cong\mathbb{Z}/10、原始元は φ(10)=4\varphi(10)=4 個。 F2[X]/(X4+X+1)\mathbb{F}_2[X]/(X^4+X+1) は F16\mathbb{F}_{16} で原始元は φ(15)=8\varphi(15)=8 個。

典型ミス

原始元を「00 や 11 でない元」と勘違いする例。 原始元は乗法群の生成元(位数最大の元)であり、定義は乗法群の位数に等しい位数を持つ元。

試験で書くべきポイント

原始元を一つ見つけてから gcd⁡(k,n)=1\gcd(k, n)=1 の指数すべてで列挙するのが定石。 1111 では 22 を、F16\mathbb{F}_{16} では α=X mod (X4+X+1)\alpha=X\bmod(X^4+X+1) を最初の原始元として取る。 グラフの図は頂点を円形に並べて辺を矢印で結べばよい。

B10 有限体の原始元によるグラフの途中式・最終答をPDFで見る

第17問 — B11 NFA、ポンピング補題、shuffle 言語の非正則性

方針

NFA は最小限の状態で構成。受容状態の選び方で ϵ\epsilon や ana^n の扱いを工夫する。 ポンピング補題の典型適用: apbpa^p b^p を取って yy が aa のみとなる分解で矛盾を出す。 shuffle 操作は正則性を保たないことの古典的反例 (ab)∗→{anbn}(ab)^*\to\{a^nb^n\} 風(shuffle((ab)∗)\mathrm{shuffle}((ab)^*) は a,ba,b 同数語)。

典型ミス

(1) で ϵ∈L1\epsilon\in L_1 を含めるかどうかの確認。n=m=0n=m=0 で ϵ=a0(ab)0\epsilon=a^0(ab)^0 なので ϵ∈L1\epsilon\in L_1、q0q_0 も受容状態にする。 (3) で「shuffle が正則性を保つ」と勘違い。#a=#b\#_a=\#_b の制約は文脈自由(anbna^nb^n と同様)であり正則ではない。

試験で書くべきポイント

(1) は状態遷移を表で書くか、状態と矢印で図示。状態 33 で十分。 (2)(3) は「∣xy∣≤p|xy|\le p より yy は aa のみ」を明示し、i=0i=0 で矛盾を導く流れ。 (3) は具体的な L=(ab)∗L=(ab)^* を選び、shuffle(L)\mathrm{shuffle}(L) が {a,b}\{a,b\} の同数語と一致することを示す。

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第18問 — B12 Scheme によるリスト生成、再帰の停止性

方針

s1 の意味を「x 以降の整数のうち v に含まれないものを nn 個並べる」と読み解くのが鍵。 s2 はこれを直接的に再帰で実現する形。 停止性は「nn は単調非増加で、nn が変わらない再帰は x が v 内に居るときのみ、x は単調増加」がポイント。

典型ミス

(1) で (s0 (+ 4 3) 1) の長さを 44 と勘違い(正しくは 77)。 (2) で「x∈v\in v のとき nn を減らす」と書いてしまう答案。nn はそのまま、x だけ進める。

試験で書くべきポイント

(3) は構造帰納で「n=0n=0 は基底、n≥1n\ge 1 で x∈v\in v と x∉v\notin v のケース分け」。 (4) は「nn を減らす再帰の回数は nn 自身に上から押さえられ、nn を減らさない再帰の連続回数は ∣v∣|v| に押さえられる」点を述べる。

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千葉大 専門科目(A0・A問題・B問題) 院試 過去問の収録6年度

  • 2026年度(全18問)

    A0 写像の合成と安定像 / A1 行列のジョルダン標準形と可換化 / A2 微分可能性と導関数の中間値性

  • 2025年度(全17問)

    A0 写像・像・逆像 / A1 多項式空間の線形写像 / A2 極限と逆写像定理

  • 2024年度(全18問)

    A0 写像の個数と全射の存在 / A1 行列式・直交行列の固有値 / A2 ラグランジュ未定乗数法

  • 2023年度(全18問)

    A0 整数の部分集合と有限補集合条件 / A1 ケイリー・ハミルトンと可換行列 / A2 一様連続性と関数列

  • 2022年度(このページ・全18問)

    A0 写像の像・逆像と濃度の比較 / A1 双線形形式の Gram 行列と正定値性 / A2 級数の収束 (隣接差・絶対収束・対数交代級数)

  • 2021年度(全18問)

    A0 写像の全射性に関する同値条件 / A1 双対空間と双対写像の階数 / A2 マクローリン展開と無限積の収束