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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 物質理工学院 材料系 材料系 B日程筆答専門試験 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全12問)

全12問。化学4問・熱・統計力学1問・物性物理1問。テーマタグは8件(転位・固有値・固有ベクトル・調和振動子)。2022年度と共通のテーマは転位・固有値・固有ベクトル・調和振動子。

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解説12問/全12問(3,111字)
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途中式と最終答(最終答つき12問)
問題本文
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東京科学大 材料系 B日程筆答専門試験 2023年度 院試 過去問の出題内容(全12問)

この12問の分野は化学4問・熱・統計力学1問・物性物理1問・量子力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
1I-1 数学フーリエ変換の確認 / 行列問題の考え方あり
2I-2 基礎物理学鏡像法で半分になる量 / 復元力の由来あり
3化学I-3 物理化学符号に注意 / 安定性の比較あり
4化学I-4 有機化学1フェノール反応の流れ / IR の読み方あり
5I-5 金属物理学ステレオ投影の答案 / 双晶境界の影響あり
6化学I-6 無機化学錯体の異性体 / 緩衝液の計算あり
7熱・統計力学II-1 熱力学自由膨張の要点 / 統計的解釈あり
8量子力学II-2 量子力学連続の式 / 固有ベクトルの位相あり
9化学II-3 有機化学2立体化学の追跡 / 反応系列の見分けあり
10II-4 金属組織学てこの規則 / 格子定数の変化あり
11物性物理II-5 無機固体物性学構造の座標 / 熱伝導率の比較あり
12II-6 高分子科学モノマーの電子効果 / 重合様式の区別あり

2023年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は10問に8テーマが出ています。

前年度(2022年度)との違い

大問数
2022年度 16問 → 2023年度 12
2023年度で新しく出たテーマ
状態図・相変態熱力学第一・第二法則
2022年度のページを見る

1 — I-1 数学

フーリエ変換の確認

この変換は湯川ポテンシャルの標準的な三次元フーリエ変換である。角度積分を先に行うと 1/r1/r の特異性は r2drr^2\,dr と相殺され,残る積分は一次元のラプラス型積分になる。k=0k=0 の場合も極限をとれば 4π/λ24\pi/\lambda^2 となり,同じ式で表せる。

行列問題の考え方

線形変換は基底ベクトルの像を指定すれば一意に決まる。ここでは v1,v2,v3v_1,v_2,v_3 が一次独立なので,標準基底で直接連立方程式を解くより,A=WV1A=WV^{-1} と置くのが最短である。

I-1 数学の途中式・最終答をPDFで見る

2 — I-2 基礎物理学

鏡像法で半分になる量

力は鏡像電荷とのクーロン力そのものとして計算できる。一方,エネルギーを「実電荷と鏡像電荷の相互作用エネルギー」としてそのまま書くと係数を誤りやすい。この問題は力を積分する指定なので,U=q2/(16πε0r)U=-q^2/(16\pi\varepsilon_0r) が直接得られる。

復元力の由来

重力を無視しても,導体面に近づくと静電エネルギーが下がるため,θ=0\theta=0 の位置へ引き戻す有効ポテンシャルが生じる。小振幅では単振動になり,角振動数は qq に比例し,mml3l^3 の平方根に反比例する。

I-2 基礎物理学の途中式・最終答をPDFで見る

3 — I-3 物理化学

符号に注意

本問では β<0\beta<0 と指定されている。そのため「α+2β\alpha+2\beta」は「αβ\alpha-\beta」より低い。数式の大小を判断するとき,β\beta を正の量のように扱わないことが重要である。

安定性の比較

H3+\mathrm{H_3^+} は電子が 2 個なので,最低分子軌道だけを二重占有する。正三角形では三つの結合性相互作用が対称に混ざり,最低軌道の安定化が直線形より大きい。これが正三角形構造を選ぶ理由である。

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4 — I-4 有機化学1

フェノール反応の流れ

クメンの自動酸化と酸分解はフェノール製造の代表反応であり,クメンヒドロペルオキシドからフェノールとアセトンが生じる。フェノールのアゾカップリングは pp 位が主で,アリルエーテルは加熱により Claisen 転位を起こして oo-アリルフェノールを与える。

IR の読み方

ニトリルの CNC\equiv N 伸縮は 2200 cm12200\ {\mathrm{cm}^{-1}} 付近,カルボン酸の OHO-H は水素結合で非常に広い。気相では分子間水素結合が弱くなるため,酸の OHO-H 吸収は固体・液体より鋭くなる。

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5 — I-5 金属物理学

ステレオ投影の答案

方位記号は符号の読み違いで失点しやすい。答案では,図から読んだ極が互いに直交することを内積で確認しておくとよい。たとえば [110][1ˉ11]=0[110]\cdot[\bar111]=0[110][11ˉ2]=0[110]\cdot[1\bar12]=0 である。

双晶境界の影響

整合双晶境界は高角粒界ではあるが,結晶学的対応が強い特殊粒界である。初期降伏近傍では,すべり系の幾何学が応力-ひずみ応答を大きく支配するため,対称なすべりが可能なら境界の障害効果は小さく見える。

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6 — I-6 無機化学

錯体の異性体

八面体錯体では「隣り合う」位置が cis,「正反対」の位置が trans である。三つの同種配位子では,三角形の一面を占める配置が fac,子午線状に並んで trans 対を含む配置が mer である。

緩衝液の計算

弱酸と共役塩基を同時に含むため,厳密な解離平衡を二次方程式で解くより Henderson-Hasselbalch 式を使うのが自然である。等量混合では濃度が半分になるが,比は 0.100/0.050=20.100/0.050=2 と保たれる。

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7 — II-1 熱力学

自由膨張の要点

自由膨張は不可逆だが,エントロピー変化は状態量なので可逆経路で計算できる。断熱自由膨張と似ているが,本問では水槽に浸しているため「熱が出入りしそう」と考えやすい。しかし理想気体で初終温度が同じなら ΔU=0\Delta U=0,剛体容器で仕事もないため,結局 q=0q=0 である。

統計的解釈

体積が増えると各分子が入れる小体積の数が増える。微視的状態数の比が {(VA+VB)/VA}NA\{(V_A+V_B)/V_A\}^{N_A} となり,その対数が巨視的な混合・膨張エントロピーに対応する。

II-1 熱力学の途中式・最終答をPDFで見る

8 — II-2 量子力学

連続の式

確率保存はポテンシャルが実数であることに依存する。虚数ポテンシャルがあると確率の生成・消滅項が残るため,この導出では V=VV=V^* を明示して相殺するのが答案上重要である。

固有ベクトルの位相

量子状態の全体位相は任意なので,σy\sigma_y の固有ベクトルは同値な書き方が複数ある。固有値の大小条件と規格化が満たされていれば正解である。

II-2 量子力学の途中式・最終答をPDFで見る

9 — II-3 有機化学2

立体化学の追跡

TsCl はアルコール酸素をトシル化するだけなので,炭素-酸素結合は切れず配置保持である。PBr3_3 はアルコールから臭化物を作る段階で SN2S_N2 反転,シアン化物置換も SN2S_N2 反転である。反転回数を数えると B と D の関係がすぐ判定できる。

反応系列の見分け

酸塩化物からアシルアジドを経る系列は Curtius 転位で炭素数が一つ減った一級アミンを与える。Wolff-Kishner 還元はカルボニルをメチレンへ,Wittig 反応はカルボニルをアルケンへ変換する,という機能変換で整理すると混乱しにくい。

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10 — II-4 金属組織学

てこの規則

二相域で相量比を求めるときは,自分が求めたい相とは反対側のタイライン長を対応させる。共晶直下の全相量と,共晶反応で新たに生じた相量は別物なので,(a)(b)(c) で使う全組成を取り違えないことが重要である。

格子定数の変化

測っているのは合金全体の平均格子定数ではなく,α\alpha 相の格子定数である。二相域に入ると相の組成は相境界で決まり,全体組成を変えても相量が変わるだけなので,α\alpha 相の格子定数は固溶限で頭打ちになる。

II-4 金属組織学の途中式・最終答をPDFで見る

11 — II-5 無機固体物性学

構造の座標

セン亜鉛鉱型は,面心立方格子の四面体間隙の半分を占有する構造である。座標 (0,0,0)(0,0,0)(1/4,1/4,1/4)(1/4,1/4,1/4) を使うと,最近接距離が体対角線の 1/41/4 とすぐ分かる。

熱伝導率の比較

Si のような結晶ではフォノンの平均自由行程が長く,熱をよく運ぶ。結晶化 SiO2_2 では構造が複雑になって散乱が増え,シリカガラスでは非晶質構造によりさらに散乱が強くなるため,熱伝導率は順に低下する。

II-5 無機固体物性学の途中式・最終答をPDFで見る

12 — II-6 高分子科学

モノマーの電子効果

アニオン重合では生長末端がカルバニオンなので,シアノ基やエステル基のような電子求引基があるほど進行しやすい。逆にビニルエーテルは電子供与性のアルコキシ基によりカチオンを安定化するため,カチオン重合向きである。

重合様式の区別

連鎖重合は活性中心が次々にモノマーを取り込む形式で,開環重合も連鎖的に進む場合がある。逐次重合は官能基同士が段階的に反応する形式で,低分子が脱離すれば重縮合,脱離しなければ重付加と分類する。

II-6 高分子科学の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 材料系 B日程筆答専門試験 院試 過去問の収録5年度