東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 物質理工学院 材料系 材料系 B日程筆答専門試験 2025年度 院試 解答例・解説
東京科学大学 物質理工学院 材料系 材料系 B日程筆答専門試験 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全13問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — I-1 数学
熱方程式
境界条件 から空間固有関数は に限られる。初期条件が第1固有関数そのものなので,Fourier 係数は ,それ以外は 0 である。
典型ミス
は と が相似であることを表す。したがって固有値は共通であり, の Jordan ブロックから の非対角成分が になる。
第2問 — I-2 力学
摩擦の向き
接触点の速度 の符号を先に調べると,摩擦の向きが決まる。撃力が重心より高い位置に入るため,初期には回転が強すぎ,摩擦は並進を助け回転を弱める。
試験で書くべきポイント
並進方程式,重心まわりの回転方程式,純転がり条件 の三つを別々に書く。慣性モーメント を入れ忘れると係数が全てずれる。
第3問 — I-3 物理化学
混合エントロピーの微分
全物質量が に変わるため,単に「二成分が等モルで最大」とはならない。物質量を入れた を直接微分するのが安全である。
典型ミス
分圧で を落とすと の分母が誤る。ミカエリス・メンテン式では と の和が一定であり, を にそのまま置き換えない。
第4問 — I-4 有機化学1
HCl 付加の分岐
求電子付加で最初にできる二級カルボカチオンは,捕捉されれば ,ヒドリド移動で第三級カルボカチオンに変われば になる。 の条件は,第三級炭素をもつことを確認するための手掛かりである。
典型ミス
ヒドロホウ素化を Markovnikov 付加として扱うと (1)-1 が逆になる。IR ではカルボン酸の広い O--H と C=O を別々に読み,C=O 吸収を三重結合としない。
第5問 — I-5 金属物理学
ステレオ投影の検算
図の記号だけに頼らず,面法線との内積で垂直条件を確認すると読み違いを減らせる。すべり系の計算でも,面法線・すべり方向・引張方向をすべて単位ベクトル化してから Schmid 因子を作る。
典型ミス
の 12 系と Taylor 条件の 5 系を混同しやすい。分解せん断応力では,面法線との角 とすべり方向との角 の両方が必要である。
第6問 — I-6 無機固体物性学
岩塩型の数え方
面心立方の格子点数は 4,八面体空隙も単位胞あたり 4 である。密度計算では nm を cm に直してから体積を三乗する。
典型ミス
半径比 は八面体空隙の下限であり,四面体空隙の値と取り違えない。TiO の金属性は単なる「Ti が金属元素だから」ではなく,Ti 3d バンドの部分占有で説明する。
第7問 — I-7 高分子化学
HDPE と LDPE
HDPE は分岐が少ないため密に充填して結晶化しやすい。透明性は結晶散乱のため下がり,強度・融点は上がる。
典型ミス
フェノール樹脂では「酸性=ノボラック,塩基性=レゾール」を構造差とセットで書く。開始剤は,過酸化物・アゾ化合物をラジカル,有機金属・強塩基をアニオン,酸/Lewis 酸をカチオンに分ける。
第8問 — II-1 電磁気学
磁場方向の決め方
正電荷なので がそのまま力の向きである。負電荷の場合は向きが反転するため,電荷の符号を必ず確認する。
典型ミス
加速は「ギャップ通過ごと」ではなく 1 周あたり 2 回である。 を半径から求める場合, の と を落とさない。
第9問 — II-2 熱力学
符号規約
この問題では「外界からなされた仕事」が正である。通常の「気体がした仕事」を正にする約束と逆なので,断熱圧縮の仕事は正になる。
典型ミス
COP の温度は摂氏ではなく絶対温度で入れる。 だけを見て としない。
第10問 — II-3 量子力学
指数の符号
は の角運動量固有関数である。 としないよう, と の積を丁寧に計算する。
典型ミス
障壁内の波数は実数ではなく減衰定数 である。透過率は振幅 ではなく確率流の比であり,本問では左右のポテンシャルが同じなので と一致する。
第11問 — II-4 有機化学2
1,2-付加と1,4-付加
有機リチウムは硬い求核剤としてカルボニル炭素へ 1,2-付加しやすい。一方,Gilman 試薬は共役エノンの 位へ 1,4-付加し,プロトン化後に置換シクロヘキサノンを与える。
典型ミス
シクロペンタジエンは 炭素で共役が途切れるため芳香族ではない。Friedel--Crafts では配向性だけでなく,反応条件下で基質が Lewis 酸と錯形成して失活するかも見る。
第12問 — II-5 金属組織学
てこの規則
求めたい相の分率は反対側の線分を分子に置く。全体組成 が 側の に近いほど 相が多くなるので, は直感とも合う。
典型ミス
共析反応は全て固相の反応であり,共晶反応と書かない。相律は本問が一定圧力下であるため ではなく を用いる。
第13問 — II-6 無機化学
Ellingham 図の読み方
還元剤が酸素を奪えるかは,還元剤の酸化反応の 線が金属酸化物生成線より下にあるかで判断する。直線の傾きは なので,CO 生成のように気体分子数が増える反応は負の傾きになる。
典型ミス
酸化還元電位は還元電位として与えられているため,酸化側に使うときは符号を反転する。Ellingham 図の計算では J と kJ をそろえてから温度を求める。