東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 物質理工学院 材料系 材料系 B日程筆答専門試験 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全13問)
全13問。化学4問・電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問。テーマタグは5件(固有値・固有ベクトル・剛体の回転運動・結晶構造)。2024年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・結晶構造・転位。
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東京科学大 材料系 B日程筆答専門試験 2025年度 院試 過去問の出題内容(全13問)
この13問の分野は化学4問・電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問・物性物理1問・量子力学1問・力学1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | — | I-1 数学 | 熱方程式 | あり |
| 第2問 | 力学 | I-2 力学 | 摩擦の向き | あり |
| 第3問 | 化学 | I-3 物理化学 | 混合エントロピーの微分 | あり |
| 第4問 | 化学 | I-4 有機化学1 | HCl 付加の分岐 | あり |
| 第5問 | — | I-5 金属物理学 | ステレオ投影の検算 | あり |
| 第6問 | 物性物理 | I-6 無機固体物性学 | 岩塩型の数え方 | あり |
| 第7問 | — | I-7 高分子化学 | HDPE と LDPE | あり |
| 第8問 | 電磁気学・回路 | II-1 電磁気学 | 磁場方向の決め方 | あり |
| 第9問 | 熱・統計力学 | II-2 熱力学 | 符号規約 | あり |
| 第10問 | 量子力学 | II-3 量子力学 | 指数の符号 | あり |
| 第11問 | 化学 | II-4 有機化学2 | 1,2-付加と1,4-付加 | あり |
| 第12問 | — | II-5 金属組織学 | てこの規則 | あり |
| 第13問 | 化学 | II-6 無機化学 | Ellingham 図の読み方 | あり |
この年度の解説には典型ミス12件・試験で書くべきポイント1件が付いています。
2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は6問に5テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第1・10問 | 25大学・544問 | |
| 剛体の回転運動 | 第2問 | 16大学・103問 | |
| 結晶構造 | 第6問 | 9大学・44問 | |
| 転位 | 第5問 | 7大学・42問 | |
| 状態図・相変態 | 第12問 | 9大学・24問 |
前年度(2024年度)との違い
- 大問数
- 2024年度 12問 → 2025年度 13問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・結晶構造・転位・状態図・相変態
- 2025年度で新しく出たテーマ
- 剛体の回転運動
第1問 — I-1 数学
熱方程式
境界条件 から空間固有関数は に限られる。初期条件が第1固有関数そのものなので,Fourier 係数は ,それ以外は 0 である。
典型ミス
は と が相似であることを表す。したがって固有値は共通であり, の Jordan ブロックから の非対角成分が になる。
解答
- 熱方程式を変数分離で解く。 とおくと であり, より固有関数は したがって一般解は 初期条件が第1固有関数だけなので
- に対し, を解くと 関係式 は と同値である。列を比較すると を得る。 の最大固有値は で,対応する固有ベクトルは と取れる。また なので,Jordan ブロックの公式より
最終答
,,,。
第2問 — I-2 力学
摩擦の向き
接触点の速度 の符号を先に調べると,摩擦の向きが決まる。撃力が重心より高い位置に入るため,初期には回転が強すぎ,摩擦は並進を助け回転を弱める。
試験で書くべきポイント
並進方程式,重心まわりの回転方程式,純転がり条件 の三つを別々に書く。慣性モーメント を入れ忘れると係数が全てずれる。
第3問 — I-3 物理化学
混合エントロピーの微分
全物質量が に変わるため,単に「二成分が等モルで最大」とはならない。物質量を入れた を直接微分するのが安全である。
典型ミス
分圧で を落とすと の分母が誤る。ミカエリス・メンテン式では と の和が一定であり, を にそのまま置き換えない。
第4問 — I-4 有機化学1
HCl 付加の分岐
求電子付加で最初にできる二級カルボカチオンは,捕捉されれば ,ヒドリド移動で第三級カルボカチオンに変われば になる。 の条件は,第三級炭素をもつことを確認するための手掛かりである。
典型ミス
ヒドロホウ素化を Markovnikov 付加として扱うと (1)-1 が逆になる。IR ではカルボン酸の広い O--H と C=O を別々に読み,C=O 吸収を三重結合としない。
第5問 — I-5 金属物理学
ステレオ投影の検算
図の記号だけに頼らず,面法線との内積で垂直条件を確認すると読み違いを減らせる。すべり系の計算でも,面法線・すべり方向・引張方向をすべて単位ベクトル化してから Schmid 因子を作る。
典型ミス
の 12 系と Taylor 条件の 5 系を混同しやすい。分解せん断応力では,面法線との角 とすべり方向との角 の両方が必要である。
第6問 — I-6 無機固体物性学
岩塩型の数え方
面心立方の格子点数は 4,八面体空隙も単位胞あたり 4 である。密度計算では nm を cm に直してから体積を三乗する。
典型ミス
半径比 は八面体空隙の下限であり,四面体空隙の値と取り違えない。TiO の金属性は単なる「Ti が金属元素だから」ではなく,Ti 3d バンドの部分占有で説明する。
第7問 — I-7 高分子化学
HDPE と LDPE
HDPE は分岐が少ないため密に充填して結晶化しやすい。透明性は結晶散乱のため下がり,強度・融点は上がる。
典型ミス
フェノール樹脂では「酸性=ノボラック,塩基性=レゾール」を構造差とセットで書く。開始剤は,過酸化物・アゾ化合物をラジカル,有機金属・強塩基をアニオン,酸/Lewis 酸をカチオンに分ける。
第8問 — II-1 電磁気学
磁場方向の決め方
正電荷なので がそのまま力の向きである。負電荷の場合は向きが反転するため,電荷の符号を必ず確認する。
典型ミス
加速は「ギャップ通過ごと」ではなく 1 周あたり 2 回である。 を半径から求める場合, の と を落とさない。
第9問 — II-2 熱力学
符号規約
この問題では「外界からなされた仕事」が正である。通常の「気体がした仕事」を正にする約束と逆なので,断熱圧縮の仕事は正になる。
典型ミス
COP の温度は摂氏ではなく絶対温度で入れる。 だけを見て としない。
第10問 — II-3 量子力学
指数の符号
は の角運動量固有関数である。 としないよう, と の積を丁寧に計算する。
典型ミス
障壁内の波数は実数ではなく減衰定数 である。透過率は振幅 ではなく確率流の比であり,本問では左右のポテンシャルが同じなので と一致する。
第11問 — II-4 有機化学2
1,2-付加と1,4-付加
有機リチウムは硬い求核剤としてカルボニル炭素へ 1,2-付加しやすい。一方,Gilman 試薬は共役エノンの 位へ 1,4-付加し,プロトン化後に置換シクロヘキサノンを与える。
典型ミス
シクロペンタジエンは 炭素で共役が途切れるため芳香族ではない。Friedel--Crafts では配向性だけでなく,反応条件下で基質が Lewis 酸と錯形成して失活するかも見る。
第12問 — II-5 金属組織学
てこの規則
求めたい相の分率は反対側の線分を分子に置く。全体組成 が 側の に近いほど 相が多くなるので, は直感とも合う。
典型ミス
共析反応は全て固相の反応であり,共晶反応と書かない。相律は本問が一定圧力下であるため ではなく を用いる。
第13問 — II-6 無機化学
Ellingham 図の読み方
還元剤が酸素を奪えるかは,還元剤の酸化反応の 線が金属酸化物生成線より下にあるかで判断する。直線の傾きは なので,CO 生成のように気体分子数が増える反応は負の傾きになる。
典型ミス
酸化還元電位は還元電位として与えられているため,酸化側に使うときは符号を反転する。Ellingham 図の計算では J と kJ をそろえてから温度を求める。
東京科学大 材料系 B日程筆答専門試験 院試 過去問の収録5年度
2025年度(このページ・全13問)
I-1 数学 / I-2 力学 / I-3 物理化学
I-1 数学 / I-2 基礎物理学 / I-3 物理化学
I-1 数学 / I-2 基礎物理学 / I-3 物理化学
I-1 数学 / I-2 力学 / I-3 有機化学1
I-1 数学 / I-2 力学 / I-3 有機化学1