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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 システム制御系 システム制御系 数学 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは6件(固有値・固有ベクトル・留数定理・正定値行列)。2023年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・正定値行列・二次形式。

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収録6年度分の解答PDF:東京科学大学 工学院 システム制御系 システム制御系 数学(¥3,200・紙面見本あり)

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

東京科学大 システム制御系 数学 2024年度 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—微積分・複素積分—あり
第2問線形代数——あり
第3問—多変量正規分布平方完成の確認あり
第4問微分積分・解析拡散方程式とラプラス変換符号の検算 / ラプラス変換での注意あり

この年度の解説には試験で書くべきポイント4件・典型ミス3件・検算2件が付いています。

2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に6テーマが出ています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 4問 → 2024年度 4問
2024年度で新しく出たテーマ
留数定理・ラプラス変換・拡散方程式
2023年度のページを見る

第1問 — 微積分・複素積分

方針

問2はまず停留点をすべて出し,その後で極値かどうかを判定する。停留点を列挙する段階と 極大・極小の分類を混ぜると,鞍点を誤って極値に含めやすい。

検算

問3の答えが実数になることは自然である。内部の極 ii での留数が i/3i/3 なので, 2πi2\pi i を掛けると負の実数になる。符号を間違えた場合は,分母の導関数 3iz23iz^2 に z=iz=i を代入して −3i-3i になる点を確認するとよい。

典型ミス

極座標の面積で ∫r dθ\int r\,d\theta としてしまう誤りが多い。面積素片は扇形の面積から 12r2 dθ\frac12 r^2\,d\theta であり,r=1+sin⁡θr=1+\sin\theta が非負であることも確認してから 0≤θ≤2π0\le\theta\le 2\pi をそのまま積分する。

試験で書くべきポイント

問2ではヘッセ行列の正定値・負定値・不定の判定を明記する。問3では積分路内にある極を 距離で確認してから留数を計算すると,外側の極まで足してしまう失点を防げる。

解答

問1

x=e−tx=e^{-t} とおくと,x→+0x\to +0 は t→∞t\to \infty に対応し, x2log⁡ex=e−2t(−t)=−te−2t x^2\log_e x=e^{-2t}(-t)=-t e^{-2t} である。指数関数の減衰は一次式の増大より速いので, lim⁡x→+0x2log⁡ex=0 \lim_{x\to +0}x^2\log_e x=0 である。なお,値は負側から 00 に近づく。

問2

停留点を求める。偏微分は fx=2x2−2x+2y2=2(x2−x+y2),fy=−2y+4xy=2y(2x−1). f_x=2x^2-2x+2y^2=2(x^2-x+y^2),\qquad f_y=-2y+4xy=2y(2x-1). fy=0f_y=0 より y=0y=0 または x=1/2x=1/2 である。 y=0⇒x(x−1)=0,x=12⇒y2−14=0. y=0\Rightarrow x(x-1)=0,\qquad x=\frac12\Rightarrow y^2-\frac14=0. したがって停留点は (0,0),(1,0),(12,12),(12,−12) (0,0),\quad (1,0),\quad \left(\frac12,\frac12\right),\quad \left(\frac12,-\frac12\right) である。

ヘッセ行列は H=(4x−24y4y4x−2) H= \begin{pmatrix} 4x-2 & 4y\\ 4y & 4x-2 \end{pmatrix} である。(0,0)(0,0) では H(0,0)=(−200−2) H(0,0)= \begin{pmatrix} -2&0\\ 0&-2 \end{pmatrix} となり負定値なので極大点である。(1,0)(1,0) では H(1,0)=(2002) H(1,0)= \begin{pmatrix} 2&0\\ 0&2 \end{pmatrix} となり正定値なので極小点である。

一方, H(12,12)=(0220),H(12,−12)=(0−2−20) H\left(\frac12,\frac12\right)= \begin{pmatrix} 0&2\\ 2&0 \end{pmatrix},\qquad H\left(\frac12,-\frac12\right)= \begin{pmatrix} 0&-2\\ -2&0 \end{pmatrix} はいずれも正負の固有値をもつので鞍点であり,極値をとらない。 よって極値をとる点は (0,0)(0,0) と (1,0)(1,0) のみで, f(0,0)=0,f(1,0)=−13 f(0,0)=0,\qquad f(1,0)=-\frac13 である。

問3

被積分関数の極は iz3−1=0⟺z3=−i iz^3-1=0\quad\Longleftrightarrow\quad z^3=-i を満たす点である。3つの根は e−iπ/6,i,e7iπ/6. e^{-i\pi/6},\qquad i,\qquad e^{7i\pi/6}. 積分路は中心 ii,半径 11 の円であるから,内部にある極は z=iz=i だけである。 実際,残り2つの極は中心 ii からの距離が 3\sqrt{3} であり,円の外側にある。

z=iz=i は単純極なので留数は Res⁡z=i1iz3−1=1(iz3−1)′∣z=i=13iz2∣z=i=1−3i=i3. \operatorname*{Res}_{z=i}\frac{1}{iz^3-1} =\frac{1}{(iz^3-1)'|_{z=i}} =\frac{1}{3iz^2|_{z=i}} =\frac{1}{-3i} =\frac{i}{3}. したがって留数定理より ∮C1iz3−1 dz=2πi⋅i3=−2π3. \oint_C\frac{1}{iz^3-1}\,dz =2\pi i\cdot \frac{i}{3} =-\frac{2\pi}{3}.

問4

極座標で表された閉曲線の面積は S=12∫02πr2 dθ S=\frac12\int_0^{2\pi}r^2\,d\theta で求められる。ここでは S=12∫02π(1+sin⁡θ)2 dθ=12∫02π(1+2sin⁡θ+sin⁡2θ) dθ. S=\frac12\int_0^{2\pi}(1+\sin\theta)^2\,d\theta =\frac12\int_0^{2\pi} \left(1+2\sin\theta+\sin^2\theta\right)\,d\theta. ∫02π1 dθ=2π,∫02πsin⁡θ dθ=0,∫02πsin⁡2θ dθ=π \int_0^{2\pi}1\,d\theta=2\pi,\qquad \int_0^{2\pi}\sin\theta\,d\theta=0,\qquad \int_0^{2\pi}\sin^2\theta\,d\theta=\pi より, S=12(2π+π)=3π2. S=\frac12(2\pi+\pi)=\frac{3\pi}{2}.

最終答

% 問1:00。問2:(0,0)(0,0) は極大点,(1,0)(1,0) は極小点。 (12,±12)\left(\frac12,\pm\frac12\right) は停留点だが極値ではない。 問3:−2π/3-2\pi/3。問4:3π/23\pi/2。

第2問 — 線形代数

方針

問1は A(ATA)−1ATA(A^TA)^{-1}A^T を直接かけてもよいが,これは列空間への直交射影である。 列空間が y=zy=z で表される平面だと分かれば,射影は第2成分と第3成分の平均を取るだけになる。

検算

ATA=(3111),(ATA)−1=12(1−1−13) A^TA= \begin{pmatrix} 3&1\\ 1&1 \end{pmatrix},\qquad (A^TA)^{-1} =\frac12 \begin{pmatrix} 1&-1\\ -1&3 \end{pmatrix} であり,実際に掛けると A(ATA)−1AT=(10001/21/201/21/2) A(A^TA)^{-1}A^T= \begin{pmatrix} 1&0&0\\ 0&1/2&1/2\\ 0&1/2&1/2 \end{pmatrix} となる。射影行列なので P2=PP^2=P,tr⁡P=2\operatorname{tr}P=2 も確認できる。

典型ミス

Vandermonde 行列式では符号がずれやすい。列の順序が a,b,c,da,b,c,d で,行が 1,x,x2,x31,x,x^2,x^3 の順なら ∏i<j(xj−xi) \prod_{i<j}(x_j-x_i) である。例えば a=0,b=1,c=2,d=3a=0,b=1,c=2,d=3 とおくと答えは正になるので,符号の簡単な検算になる。

試験で書くべきポイント

射影行列であることを使う場合は,「どの部分空間への射影か」を明示する。固有値だけを 記すより,列空間の次元が 22 であることと直交補空間が1次元であることを書けば, 代数的重複も自然に説明できる。

線形代数の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 多変量正規分布

方針

指数部が −12-\frac12 倍の平方完成になっているので,多変量正規分布として読むのが最短である。 二次の係数から精度行列 Λ\Lambda を作り,共分散行列は Λ−1\Lambda^{-1} とする。

平方完成の確認

Λμ=(1,−3)T\Lambda\mu=(1,-\sqrt{3})^T であり,μ=(1,−3)T\mu=(1,-\sqrt{3})^T でもある。このため μTΛμ=1+3=4 \mu^T\Lambda\mu=1+3=4 となり,定数項がちょうど合う。もしここで定数が余る場合は,正規化定数 CC に 指数因子が追加されるので,必ず確認する。

典型ミス

交差項 43xy4\sqrt{3}xy から λ12=43\lambda_{12}=4\sqrt{3} としてしまうと,全体が崩れる。 対称行列の二次形式では交差項は 2λ12xy2\lambda_{12}xy である。

試験で書くべきポイント

問4では「無相関」だけでは一般の分布で独立とは限らないが,本問は同時密度が正規分布である。 したがって共分散行列を対角化すれば独立化できる,という一言を書くと論理が締まる。

多変量正規分布の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 拡散方程式とラプラス変換

方針

問1は「流れの向き」と「保存則」の2点で決まる。密度勾配が正なら右に行くほど密度が高いので, 物質は左向きに流れる。このため J=−DuxJ=-D u_x という負号が付く。

符号の検算

保存則は 増加率=流入−流出 \text{増加率}=\text{流入}-\text{流出} である。したがって ut=Jxu_t=J_x ではなく ut=−Jxu_t=-J_x になる。 この負号と J=−DuxJ=-D u_x の負号が合わさって,拡散方程式の右辺は +Duxx+D u_{xx} になる。右辺が −Duxx-D u_{xx} になると高周波成分が増幅する逆拡散になり, 物理的にも不自然である。

ラプラス変換での注意

L[ut]=sU−u(x,0)\mathcal{L}[u_t]=sU-u(x,0) の初期値項を落とすと,右辺の非同次項が消えてしまう。 本問では初期値が 1+sin⁡x1+\sin x なので,常微分方程式の右辺に −1−sin⁡x-1-\sin x が残る。

試験で書くべきポイント

問2(2)では同次解を一度書いたうえで,全空間の有界な拡散解を考えるため指数的に発散する項を 採らない,と説明すると答案として丁寧である。最後に ut=Duxxu_t=D u_{xx} と初期条件を代入確認すれば, 逆変換の係数ミスも見つけやすい。

拡散方程式とラプラス変換の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 システム制御系 数学 院試 過去問の収録6年度

  • 2025年度(全4問)

    ベクトル解析・極値・フーリエ変換 / 線形代数・最小二乗 / 多項分布・検定・KLダイバージェンス

  • 2024年度(このページ・全4問)

    微積分・複素積分 / 線形代数 / 多変量正規分布

  • 2023年度(全4問)

    ベクトル解析 / 線形代数と二次形式 / 確率と最小二乗法

  • 2023年4月入学追試験(全4問)

    追試験:微積分・複素写像・体積 / 追試験:行列・連立一次方程式・最小二乗 / 追試験:統計量と仮説検定

  • 2022年4月入学追試験(全4問)

    極限・複素積分・面積と体積 / 行列と微分写像 / ベイズ推定と最尤推定

  • 2021年度(全4問)

    本試験:極限・複素積分・二項級数 / 本試験:固有値・Jordan標準形・行列指数 / 本試験:確率分布・モーメント母関数