東京科学大学 院試 過去問 解答例
東京科学大 工学院 システム制御系 システム制御系 数学 2023年4月入学追試験 院試 解答例・解説
東京科学大学 工学院 システム制御系 システム制御系 数学 2023年4月入学追試験の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 追試験:微積分・複素写像・体積
方針
問1(1)は平方根を直接微分してもよいが,対数微分を使うと分数と平方根の処理が短くなる。 問1(3)は上半平面を保つ実係数分数線形変換の基本公式で,符号は行列式 だけで決まる。
検算
曲線の長さでは,速さが となる。これは端点 で尖点の速度が 0 になることと一致する。体積は が大きくなるほど放物面の高さが低くなるので, に比例する形は自然である。
典型ミス
である。今回は区間が なので絶対値を外せるが, 別の区間では符号確認が必要である。分数線形変換では分母の絶対値二乗を忘れると,条件を誤って 以外にも依存させてしまう。
試験で書くべきポイント
問1(3)は まで導けば,必要十分条件はただちに読める。問2は円板対称性を使うと,二重積分を一度だけ計算すればよい。
第2問 — 追試験:行列・連立一次方程式・最小二乗
方針
問1は,すでに対角化行列 が与えられている問題である。 を求めれば, は対角成分を 乗するだけでよい。問2は,存在条件では係数行列の正則性だけでなく, 特異な場合の整合性を調べる。
検算
問1(2)で を代入すると に戻る。これは計算した の強い確認になる。
典型ミス
だからといって,ただちに「解なし」とは限らない。 ではランクが落ちるが, 右辺も同じ1次元の列空間に入るため解は存在する。一方, では右辺が列空間に入らない。
試験で書くべきポイント
最小二乗では正規方程式 を導出し,列フルランクの仮定から が正則であることを添える。 この一文がないと,逆行列を使える理由が不足する。
第3問 — 追試験:統計量と仮説検定
方針
問1では「不偏分散」と「最尤推定による分散」を区別する。 不偏分散は で割り,正規分布の分散の最尤推定値は で割る。 問2は母分散未知の平均の検定なので,標準正規ではなく 分布を使う。
検算
偏差の和は であり,標本平均の計算と整合する。検定統計量の絶対値は臨界値に近いが,両側5\%ではわずかに届かない。
典型ミス
有意水準 の両側検定で を使うのは誤りである。 両側検定では左右に ずつ割り振るため,表の 列を使う。 一方,あらかじめ「低く出るか」だけを調べる片側検定を設定していれば判断は変わる。
試験で書くべきポイント
結論は「棄却しない」で止めず,何を棄却しなかったのかを言葉で書く。 本問では「センサHが正しくないとはいえない」が正確であり,「正しいと断定できる」ではない。
第4問 — 追試験:ラプラス方程式とフーリエ級数
方針
左右の境界が で0なので, 方向は正弦関数になる。 上辺 でも0になるため, 方向は と取ると境界条件を自動的に満たす。
検算
得られた解では で , で となる。 また では正弦級数が に一致するように を選んでいる。 したがって4辺の境界条件をすべて満たす。
典型ミス
を としてしまうと,下辺 で0になり,指定された境界値を表せない。 上辺を0にするためには を入れるのが自然である。
試験で書くべきポイント
問1の証明では, や を個別に排除してもよいが,部分積分を使うと一行で が出る。境界項が消える理由として を明記することが大切である。