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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 システム制御系 システム制御系 数学 2023年4月入学追試験 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは4件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・フーリエ級数)。2022年4月入学追試験と共通のテーマは最尤推定。

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

東京科学大 システム制御系 数学 2023年4月入学追試験 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—追試験:微積分・複素写像・体積—あり
第2問線形代数行列・連立一次方程式・最小二乗—あり
第3問—追試験:統計量と仮説検定—あり
第4問微分積分・解析ラプラス方程式とフーリエ級数—あり

この年度の解説には検算4件・試験で書くべきポイント4件・典型ミス4件が付いています。

2023年4月入学追試験の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に4テーマが出ています。

前年度(2022年4月入学追試験)との違い

大問数
2022年4月入学追試験 4問 → 2023年4月入学追試験 4問
両年度に出たテーマ
最尤推定
2023年4月入学追試験で新しく出たテーマ
固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・フーリエ級数
2022年4月入学追試験のページを見る

第1問 — 追試験:微積分・複素写像・体積

方針

問1(1)は平方根を直接微分してもよいが,対数微分を使うと分数と平方根の処理が短くなる。 問1(3)は上半平面を保つ実係数分数線形変換の基本公式で,符号は行列式 ad−bcad-bc だけで決まる。

検算

曲線の長さでは,速さが 2asin⁡(θ/2)2a\sin(\theta/2) となる。これは端点 θ=0,2π\theta=0,2\pi で尖点の速度が 0 になることと一致する。体積は a,ba,b が大きくなるほど放物面の高さが低くなるので, 1/a2+1/b21/a^2+1/b^2 に比例する形は自然である。

典型ミス

2−2cos⁡θ=2∣sin⁡(θ/2)∣\sqrt{2-2\cos\theta}=2|\sin(\theta/2)| である。今回は区間が 0≤θ≤2π0\leq\theta\leq2\pi なので絶対値を外せるが, 別の区間では符号確認が必要である。分数線形変換では分母の絶対値二乗を忘れると,条件を誤って ad−bcad-bc 以外にも依存させてしまう。

試験で書くべきポイント

問1(3)は Im⁡az+bcz+d=(ad−bc)Im⁡z∣cz+d∣2 \operatorname{Im}\frac{az+b}{cz+d} = \frac{(ad-bc)\operatorname{Im}z}{|cz+d|^2} まで導けば,必要十分条件はただちに読める。問2は円板対称性を使うと,二重積分を一度だけ計算すればよい。

解答

問1(1)

y2=1−x1+x y^2=\frac{1-\sqrt{x}}{1+\sqrt{x}} とおく。実関数としては 0<x<10<x<1 で微分を考える。両辺の対数を取って微分すると, 2y′y=ddx{log⁡(1−x)−log⁡(1+x)}. 2\frac{y'}{y} = \frac{\mathrm d}{\mathrm dx} \{\log(1-\sqrt{x})-\log(1+\sqrt{x})\}. ddxx=1/(2x)\frac{\mathrm d}{\mathrm dx}\sqrt{x}=1/(2\sqrt{x}) より, 2y′y=−12x(1−x)−12x(1+x)=−1x(1−x). 2\frac{y'}{y} = -\frac{1}{2\sqrt{x}(1-\sqrt{x})} -\frac{1}{2\sqrt{x}(1+\sqrt{x})} = -\frac{1}{\sqrt{x}(1-x)}. したがって y′=−y2x(1−x)=−12x(1+x)3/2(1−x)1/2. y' = -\frac{y}{2\sqrt{x}(1-x)} = -\frac{1}{2\sqrt{x}(1+\sqrt{x})^{3/2}(1-\sqrt{x})^{1/2}}.

問1(2)

媒介変数表示された曲線の長さは L=∫02π(dxdθ)2+(dydθ)2 dθ L=\int_0^{2\pi} \sqrt{\left(\frac{\mathrm dx}{\mathrm d\theta}\right)^2+ \left(\frac{\mathrm dy}{\mathrm d\theta}\right)^2} \,\mathrm d\theta である。ここで dxdθ=a(1−cos⁡θ),dydθ=asin⁡θ. \frac{\mathrm dx}{\mathrm d\theta}=a(1-\cos\theta),\qquad \frac{\mathrm dy}{\mathrm d\theta}=a\sin\theta. よって速さは a(1−cos⁡θ)2+sin⁡2θ=a2−2cos⁡θ=2asin⁡θ2 a\sqrt{(1-\cos\theta)^2+\sin^2\theta} =a\sqrt{2-2\cos\theta} =2a\sin\frac{\theta}{2} である。最後の等号では 0≤θ≤2π0\leq\theta\leq2\pi で sin⁡(θ/2)≥0\sin(\theta/2)\geq0 を用いた。 したがって L=2a∫02πsin⁡θ2 dθ=8a. L=2a\int_0^{2\pi}\sin\frac{\theta}{2}\,\mathrm d\theta =8a.

問1(3)

z=x+iyz=x+iy とし,y=Im⁡z>0y=\operatorname{Im}z>0 とおく。実数係数の分数線形変換について Im⁡az+bcz+d=Im⁡(az+b)(cz‾+d)∣cz+d∣2. \operatorname{Im}\frac{az+b}{cz+d} = \operatorname{Im} \frac{(az+b)(c\overline z+d)}{|cz+d|^2}. 分子の虚部だけを取り出すと Im⁡{(az+b)(cz‾+d)}=(ad−bc)y. \operatorname{Im}\{(az+b)(c\overline z+d)\} =(ad-bc)y. したがって Im⁡az+bcz+d=(ad−bc)Im⁡z∣cz+d∣2. \operatorname{Im}\frac{az+b}{cz+d} = \frac{(ad-bc)\operatorname{Im}z}{|cz+d|^2}. 仮定より Im⁡z>0\operatorname{Im}z>0,∣cz+d∣2>0|cz+d|^2>0 なので,求める必要十分条件は ad−bc>0 ad-bc>0 である。

問2

高さは z=x2a2+y2b2 z=\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2} であり,底面は半径 cc の円板である。よって体積は V=∬x2+y2≤c2(x2a2+y2b2) dx dy. V= \iint_{x^2+y^2\leq c^2} \left(\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}\right)\,\mathrm dx\,\mathrm dy. 円板の対称性より ∬x2+y2≤c2x2 dx dy=∬x2+y2≤c2y2 dx dy=12∬x2+y2≤c2(x2+y2) dx dy. \iint_{x^2+y^2\leq c^2}x^2\,\mathrm dx\,\mathrm dy = \iint_{x^2+y^2\leq c^2}y^2\,\mathrm dx\,\mathrm dy = \frac12\iint_{x^2+y^2\leq c^2}(x^2+y^2)\,\mathrm dx\,\mathrm dy. 極座標で ∬x2+y2≤c2(x2+y2) dx dy=∫02π∫0cr2r dr dθ=πc42. \iint_{x^2+y^2\leq c^2}(x^2+y^2)\,\mathrm dx\,\mathrm dy = \int_0^{2\pi}\int_0^c r^2 r\,\mathrm dr\,\mathrm d\theta = \frac{\pi c^4}{2}. したがって ∬x2 dx dy=∬y2 dx dy=πc44 \iint x^2\,\mathrm dx\,\mathrm dy = \iint y^2\,\mathrm dx\,\mathrm dy = \frac{\pi c^4}{4} であり, V=πc44(1a2+1b2). V=\frac{\pi c^4}{4}\left(\frac{1}{a^2}+\frac{1}{b^2}\right).

最終答

% 問1(1) dydx=−y2x(1−x)=−12x(1+x)3/2(1−x)1/2,問1(2) L=8a,問1(3) ad−bc>0,問2 V=πc44(1a2+1b2). \begin{gathered} \text{問1(1)}\ \frac{\mathrm dy}{\mathrm dx} =-\frac{y}{2\sqrt{x}(1-x)} =-\frac{1}{2\sqrt{x}(1+\sqrt{x})^{3/2}(1-\sqrt{x})^{1/2}},\\ \text{問1(2)}\ L=8a,\qquad \text{問1(3)}\ ad-bc>0,\\ \text{問2}\ V=\frac{\pi c^4}{4}\left(\frac1{a^2}+\frac1{b^2}\right). \end{gathered}

第2問 — 追試験:行列・連立一次方程式・最小二乗

方針

問1は,すでに対角化行列 PP が与えられている問題である。P−1APP^{-1}AP を求めれば, AnA^n は対角成分を nn 乗するだけでよい。問2は,存在条件では係数行列の正則性だけでなく, 特異な場合の整合性を調べる。

検算

問1(2)で n=1n=1 を代入すると (−1−5−1240−4−80) \begin{pmatrix} -1&-5&-1\\ 2&4&0\\ -4&-8&0 \end{pmatrix} に戻る。これは計算した AnA^n の強い確認になる。

典型ミス

det⁡W=0\det W=0 だからといって,ただちに「解なし」とは限らない。a=−1a=-1 ではランクが落ちるが, 右辺も同じ1次元の列空間に入るため解は存在する。一方,a=1a=1 では右辺が列空間に入らない。

試験で書くべきポイント

最小二乗では正規方程式 WTWx=WTbW^TWx=W^Tb を導出し,列フルランクの仮定から WTWW^TW が正則であることを添える。 この一文がないと,逆行列を使える理由が不足する。

追試験:行列・連立一次方程式・最小二乗の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 追試験:統計量と仮説検定

方針

問1では「不偏分散」と「最尤推定による分散」を区別する。 不偏分散は n−1n-1 で割り,正規分布の分散の最尤推定値は nn で割る。 問2は母分散未知の平均の検定なので,標準正規ではなく tt 分布を使う。

検算

偏差の和は 2+5−9+13−11=0 2+5-9+13-11=0 であり,標本平均の計算と整合する。検定統計量の絶対値は臨界値に近いが,両側5\%ではわずかに届かない。

典型ミス

有意水準 0.050.05 の両側検定で t4,0.05=2.132t_{4,0.05}=2.132 を使うのは誤りである。 両側検定では左右に 0.0250.025 ずつ割り振るため,表の 0.0250.025 列を使う。 一方,あらかじめ「低く出るか」だけを調べる片側検定を設定していれば判断は変わる。

試験で書くべきポイント

結論は「棄却しない」で止めず,何を棄却しなかったのかを言葉で書く。 本問では「センサHが正しくないとはいえない」が正確であり,「正しいと断定できる」ではない。

追試験:統計量と仮説検定の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 追試験:ラプラス方程式とフーリエ級数

方針

左右の境界が x=0,2x=0,2 で0なので,xx 方向は正弦関数になる。 上辺 y=3y=3 でも0になるため,yy 方向は sinh⁡{α(3−y)}\sinh\{\alpha(3-y)\} と取ると境界条件を自動的に満たす。

検算

得られた解では x=0,2x=0,2 で sin⁡(nπx/2)=0\sin(n\pi x/2)=0,y=3y=3 で sinh⁡0=0\sinh0=0 となる。 また y=0y=0 では正弦級数が f(x)f(x) に一致するように CnC_n を選んでいる。 したがって4辺の境界条件をすべて満たす。

典型ミス

hn(y)h_n(y) を sinh⁡(nπy/2)\sinh(n\pi y/2) としてしまうと,下辺 y=0y=0 で0になり,指定された境界値を表せない。 上辺を0にするためには 3−y3-y を入れるのが自然である。

試験で書くべきポイント

問1の証明では,λ=0\lambda=0 や λ>0\lambda>0 を個別に排除してもよいが,部分積分を使うと一行で λ=−∫02(g′)2 dx∫02g2 dx<0 \lambda=-\frac{\int_0^2(g')^2\,\mathrm dx}{\int_0^2g^2\,\mathrm dx}<0 が出る。境界項が消える理由として g(0)=g(2)=0g(0)=g(2)=0 を明記することが大切である。

追試験:ラプラス方程式とフーリエ級数の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 システム制御系 数学 院試 過去問の収録6年度

  • 2025年度(全4問)

    ベクトル解析・極値・フーリエ変換 / 線形代数・最小二乗 / 多項分布・検定・KLダイバージェンス

  • 2024年度(全4問)

    微積分・複素積分 / 線形代数 / 多変量正規分布

  • 2023年度(全4問)

    ベクトル解析 / 線形代数と二次形式 / 確率と最小二乗法

  • 2023年4月入学追試験(このページ・全4問)

    追試験:微積分・複素写像・体積 / 追試験:行列・連立一次方程式・最小二乗 / 追試験:統計量と仮説検定

  • 2022年4月入学追試験(全4問)

    極限・複素積分・面積と体積 / 行列と微分写像 / ベイズ推定と最尤推定

  • 2021年度(全4問)

    本試験:極限・複素積分・二項級数 / 本試験:固有値・Jordan標準形・行列指数 / 本試験:確率分布・モーメント母関数