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東京科学大学 院試 過去問 解答例

東京科学大 工学院 システム制御系 システム制御系 数学 2022年4月入学追試験 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。微分方程式1問。テーマタグは5件(留数定理・テイラー展開・最尤推定)。2021年度と共通のテーマは留数定理・テイラー展開。

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

東京科学大 システム制御系 数学 2022年4月入学追試験 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—極限・複素積分・面積と体積—あり
第2問—行列と微分写像—あり
第3問—ベイズ推定と最尤推定—あり
第4問微分方程式級数解による微分方程式—あり

この年度の解説には検算4件・典型ミス4件が付いています。

2022年4月入学追試験の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に5テーマが出ています。

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 4問 → 2022年4月入学追試験 4問
両年度に出たテーマ
留数定理・テイラー展開
2022年4月入学追試験で新しく出たテーマ
最尤推定・微分方程式の級数解法・ベイズ推定
2021年度のページを見る

第1問 — 極限・複素積分・面積と体積

方針

極限は分子の主項が 2(a+b)x2(a+b)x,分母の主項が 2x2x であることを読む問題である。 複素積分は,積分路の内部に入る極とその位数を先に確認する。面積では曲線が xx 軸をまたぐため, 符号付き積分ではなく絶対値で処理する。

検算

問1で a=b=0a=b=0 とすると差は常に0で,答 a+b=0a+b=0 と一致する。 問3の面積は,log⁡t\log t を使うと [−1,0] の寄与が 1,[0,2] の寄与が 4 [-1,0]\ \text{の寄与が}\ 1,\qquad [0,2]\ \text{の寄与が}\ 4 と分かれる。体積の被積分関数は二乗なので,曲線が下側にある区間も正に寄与する。

典型ミス

面積を ∫e−1e22log⁡tt dt \int_{e^{-1}}^{e^2}\frac{2\log t}{t}\,\mathrm dt としてしまうと,負の部分と正の部分が打ち消し合う。面積では t=1t=1 で必ず分割する。 また,2位の極では関数値ではなく導関数が留数になる。

極限・複素積分・面積と体積の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 行列と微分写像

方針

問1の行列は,問3の基底変換行列そのものである。標準的な基底 {sin⁡t,cos⁡t,sin⁡3t,cos⁡3t}\{\sin t,\cos t,\sin3t,\cos3t\} から {sin⁡t,cos⁡t,sin⁡3t,cos⁡3t}\{\sin t,\cos t,\sin^3t,\cos^3t\} への変換を意識すると,全体が一つにつながる。

検算

問3(3)の第3列は (sin⁡3t)′=3cos⁡t−3cos⁡3t (\sin^3t)'=3\cos t-3\cos^3t なので,列ベクトルは (0,3,0,−3)T(0,3,0,-3)^T である。行列の第3列がこれになっていることを確認すれば, 行と列の取り違えを発見しやすい。

典型ミス

sin⁡3t\sin^3t と sin⁡3t\sin3t は別の関数である。三倍角公式を使うとき, sin⁡3t=3sin⁡t−sin⁡3t4 \sin^3t=\frac{3\sin t-\sin3t}{4} の符号を逆にしないことが重要である。行列表示では「列が各基底ベクトルの像」を表す点も確認する。

解答

問1

与えられた行列は T=(103/400103/400−1/400001/4) T= \begin{pmatrix} 1&0&3/4&0\\ 0&1&0&3/4\\ 0&0&-1/4&0\\ 0&0&0&1/4 \end{pmatrix} である。上三角形なので,後ろの成分から解くと逆行列をすぐ読める。 実際,y=Txy=Tx とすると y3=−14x3,y4=14x4, y_3=-\frac14x_3,\qquad y_4=\frac14x_4, したがって x3=−4y3,x4=4y4. x_3=-4y_3,\qquad x_4=4y_4. さらに y1=x1+34x3,y2=x2+34x4 y_1=x_1+\frac34x_3,\qquad y_2=x_2+\frac34x_4 より x1=y1+3y3,x2=y2−3y4. x_1=y_1+3y_3,\qquad x_2=y_2-3y_4. よって T−1=(1030010−300−400004). T^{-1}= \begin{pmatrix} 1&0&3&0\\ 0&1&0&-3\\ 0&0&-4&0\\ 0&0&0&4 \end{pmatrix}.

問2

f(t)=a1sin⁡t+a2cos⁡t+a3sin⁡3t+a4cos⁡3t f(t)=a_1\sin t+a_2\cos t+a_3\sin3t+a_4\cos3t を微分すると f′(t)=a1cos⁡t−a2sin⁡t+3a3cos⁡3t−3a4sin⁡3t. f'(t) = a_1\cos t-a_2\sin t+3a_3\cos3t-3a_4\sin3t. したがって b1=−a2,b2=a1,b3=−3a4,b4=3a3. b_1=-a_2,\qquad b_2=a_1,\qquad b_3=-3a_4,\qquad b_4=3a_3. 基底 {sin⁡t,cos⁡t,sin⁡3t,cos⁡3t}\{\sin t,\cos t,\sin3t,\cos3t\} に関する行列表示は N=(0−1001000000−30030). N= \begin{pmatrix} 0&-1&0&0\\ 1&0&0&0\\ 0&0&0&-3\\ 0&0&3&0 \end{pmatrix}.

問3(1)

三倍角公式 sin⁡3t=3sin⁡t−4sin⁡3t,cos⁡3t=4cos⁡3t−3cos⁡t \sin3t=3\sin t-4\sin^3t,\qquad \cos3t=4\cos^3t-3\cos t を変形すると sin⁡3t=34sin⁡t−14sin⁡3t,cos⁡3t=34cos⁡t+14cos⁡3t. \sin^3t=\frac34\sin t-\frac14\sin3t,\qquad \cos^3t=\frac34\cos t+\frac14\cos3t. したがって (c1,c2,c3,c4)=(34,0,−14,0),(d1,d2,d3,d4)=(0,34,0,14). (c_1,c_2,c_3,c_4)=\left(\frac34,0,-\frac14,0\right), \qquad (d_1,d_2,d_3,d_4)=\left(0,\frac34,0,\frac14\right).

問3(2)

上の式を逆向きに読むと sin⁡3t=3sin⁡t−4sin⁡3t,cos⁡3t=4cos⁡3t−3cos⁡t. \sin3t=3\sin t-4\sin^3t,\qquad \cos3t=4\cos^3t-3\cos t. したがって,もとの基底に含まれる sin⁡3t,cos⁡3t\sin3t,\cos3t も sin⁡t,cos⁡t,sin⁡3t,cos⁡3t\sin t,\cos t,\sin^3t,\cos^3t の線形結合で表せる。 よって XX の任意の要素は,この新しい4つの関数の線形結合で表せる。

問3(3)

基底 B={sin⁡t,cos⁡t,sin⁡3t,cos⁡3t} B=\{\sin t,\cos t,\sin^3t,\cos^3t\} で各基底ベクトルを微分し,また BB で表す。 ddtsin⁡t=cos⁡t,ddtcos⁡t=−sin⁡t. \frac{\mathrm d}{\mathrm dt}\sin t=\cos t,\qquad \frac{\mathrm d}{\mathrm dt}\cos t=-\sin t. また ddtsin⁡3t=3cos⁡t−3cos⁡3t4=3cos⁡t−3cos⁡3t, \frac{\mathrm d}{\mathrm dt}\sin^3t = \frac{3\cos t-3\cos3t}{4} = 3\cos t-3\cos^3t, ddtcos⁡3t=−3sin⁡t−3sin⁡3t4=−3sin⁡t+3sin⁡3t. \frac{\mathrm d}{\mathrm dt}\cos^3t = \frac{-3\sin t-3\sin3t}{4} = -3\sin t+3\sin^3t. これを列に並べると,求める行列は (0−10−31030000300−30). \begin{pmatrix} 0&-1&0&-3\\ 1&0&3&0\\ 0&0&0&3\\ 0&0&-3&0 \end{pmatrix}.

最終答

% T−1=(1030010−300−400004),N=(0−1001000000−30030),(c1,c2,c3,c4)=(34,0,−14,0),(d1,d2,d3,d4)=(0,34,0,14),[D]B=(0−10−31030000300−30). \begin{gathered} T^{-1}= \begin{pmatrix} 1&0&3&0\\ 0&1&0&-3\\ 0&0&-4&0\\ 0&0&0&4 \end{pmatrix},\\ N= \begin{pmatrix} 0&-1&0&0\\ 1&0&0&0\\ 0&0&0&-3\\ 0&0&3&0 \end{pmatrix},\\ (c_1,c_2,c_3,c_4)=\left(\frac34,0,-\frac14,0\right),\quad (d_1,d_2,d_3,d_4)=\left(0,\frac34,0,\frac14\right),\\ [D]_B= \begin{pmatrix} 0&-1&0&-3\\ 1&0&3&0\\ 0&0&0&3\\ 0&0&-3&0 \end{pmatrix}. \end{gathered}

第3問 — ベイズ推定と最尤推定

方針

問1と問2はいずれもベイズの公式である。問3では,標準正規誤差なので「尤度最大化」は 残差平方和の最小化に変わる。事前情報を使う場合は,正規分布の指数部を足し合わせればよい。

検算

最尤推定では,1回目と2回目の測定だけなら x1=−5, x2=7x_1=-5,\ x_2=7 となる。 しかし3回目の測定は x1+x2x_1+x_2 が1に近いことを要求するため, 推定値は (−5,7)(-5,7) から少し動く。実際に −163+203=43 -\frac{16}{3}+\frac{20}{3}=\frac43 となり,3回目の測定にも寄っている。

典型ミス

問3(3)では,分散2の正規分布なので事前分布の指数部は −(x1−x2−1)24 -\frac{(x_1-x_2-1)^2}{4} である。分散を標準偏差と取り違えて,係数を誤らないようにする。 また,事後確率最大化では尤度と事前確率を掛けるため,対数を取ると二乗項が足し合わされる。

ベイズ推定と最尤推定の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 級数解による微分方程式

方針

級数解では,u′′u'' の添字をそろえてから係数比較する。偶数項と奇数項は互いに混ざらないので, c0c_0 から始まる列と c1c_1 から始まる列を別々に追えばよい。

検算

偶数側では n=2n=2 の係数が 2(n−2)=0 2(n-2)=0 となるため,c4c_4 以降がすべて0になる。これは7次近似に t4,t6t^4,t^6 の項が現れないことの確認になる。

典型ミス

漸化式の添字を cn+1c_{n+1} としてしまうと,偶数項と奇数項が混ざってしまう。 本問では2階微分のため,係数比較後の関係は cn+2c_{n+2} と cnc_n の間に出る。

級数解による微分方程式の途中式・最終答をPDFで見る

東京科学大 システム制御系 数学 院試 過去問の収録6年度

  • 2025年度(全4問)

    ベクトル解析・極値・フーリエ変換 / 線形代数・最小二乗 / 多項分布・検定・KLダイバージェンス

  • 2024年度(全4問)

    微積分・複素積分 / 線形代数 / 多変量正規分布

  • 2023年度(全4問)

    ベクトル解析 / 線形代数と二次形式 / 確率と最小二乗法

  • 2023年4月入学追試験(全4問)

    追試験:微積分・複素写像・体積 / 追試験:行列・連立一次方程式・最小二乗 / 追試験:統計量と仮説検定

  • 2022年4月入学追試験(このページ・全4問)

    極限・複素積分・面積と体積 / 行列と微分写像 / ベイズ推定と最尤推定

  • 2021年度(全4問)

    本試験:極限・複素積分・二項級数 / 本試験:固有値・Jordan標準形・行列指数 / 本試験:確率分布・モーメント母関数