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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)

全7問。微分積分・解析2問・位相・幾何1問。テーマタグは5件(線形空間・基底・重積分と極座標・留数定理)。

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解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき7問)
問題本文
非収録

東大 専門科目A 2026年度 院試 過去問の出題内容(全7問)

この7問の分野は微分積分・解析2問・位相・幾何1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析円板上の重積分—あり
第2問—像と核の直和分解落としやすい点あり
第3問微分積分・解析べき級数とタウバー型定理—あり
第4問—Euler作用素と多項式性—あり
第5問—Lotka--Volterra型方程式採点上の注意あり
第6問—Fourier積分と正定値行列—あり
第7問位相・幾何コンパクト性とファイバーの濃度採点上の注意あり

この年度の解説には検算3件・採点上の注意2件が付いています。

2026年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に5テーマが出ています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 7問 → 2026年度 7問
2025年度のページを見る

第1問 — 円板上の重積分

方針

最小値の切り替わりは x2+y2=1x^2+y^2=1 で起こる。積分領域は半径 3\sqrt3 の円板なので,内側の円板と外側の環に分けると角度積分が一気に簡単になる。

検算

内側の寄与は π/16\pi/16,外側の寄与は π/64\pi/64 である。外側では 2−r22-r^2 が途中で符号を変えるため,単純に正の量だけを積分しているわけではない点に注意する。

解答

分母は r2=x2+y2r^2=x^2+y^2 だけで決まるので,極座標 x=rcos⁡θ,y=rsin⁡θ x=r\cos\theta,\qquad y=r\sin\theta を用いる。比較すべき二つの量は x2≤1−y2⟺x2+y2≤1 x^2 \le 1-y^2 \quad\Longleftrightarrow\quad x^2+y^2\le 1 である。したがって,円板 r≤3r\le \sqrt3 のうち 0≤r≤10\le r\le 1 では最小値は x2x^2,1≤r≤31\le r\le \sqrt3 では最小値は 1−y21-y^2 である。

よって I=∫01∫02πr2cos⁡2θ(1+r2)3r dθdr+∫13∫02π1−r2sin⁡2θ(1+r2)3r dθdr. I =\int_0^1\int_0^{2\pi} \frac{r^2\cos^2\theta}{(1+r^2)^3}r\,d\theta dr +\int_1^{\sqrt3}\int_0^{2\pi} \frac{1-r^2\sin^2\theta}{(1+r^2)^3}r\,d\theta dr . ここで ∫02πcos⁡2θ dθ=∫02πsin⁡2θ dθ=π \int_0^{2\pi}\cos^2\theta\,d\theta =\int_0^{2\pi}\sin^2\theta\,d\theta=\pi であるから I=π{∫01r3(1+r2)3 dr+∫13r(2−r2)(1+r2)3 dr}. I=\pi\left\{\int_0^1 \frac{r^3}{(1+r^2)^3}\,dr +\int_1^{\sqrt3}\frac{r(2-r^2)}{(1+r^2)^3}\,dr\right\}. 第一の積分は u=1+r2u=1+r^2 により ∫01r3(1+r2)3 dr=12∫12u−1u3 du=[−12u+14u2]12=116. \int_0^1 \frac{r^3}{(1+r^2)^3}\,dr =\frac12\int_1^2\frac{u-1}{u^3}\,du =\left[-\frac1{2u}+\frac1{4u^2}\right]_1^2 =\frac1{16}. 第二の積分も同じ置換で ∫13r(2−r2)(1+r2)3 dr=12∫243−uu3 du=[12u−34u2]24=164. \int_1^{\sqrt3}\frac{r(2-r^2)}{(1+r^2)^3}\,dr =\frac12\int_2^4\frac{3-u}{u^3}\,du =\left[\frac1{2u}-\frac3{4u^2}\right]_2^4 =\frac1{64}. したがって I=π(116+164)=5π64. I=\pi\left(\frac1{16}+\frac1{64}\right)=\frac{5\pi}{64}.

最終答

I=5π64\displaystyle I=\frac{5\pi}{64}.

第2問 — 像と核の直和分解

方針

直和条件は,単に次元が合うだけでは不十分である。まず dim⁡Im⁡A+dim⁡ker⁡B=4\dim\operatorname{Im}A+\dim\ker B=4 から a=2a=2 を強制し,その後で Im⁡A∩ker⁡B={0}\operatorname{Im}A\cap\ker B=\{0\} を確認する。

落としやすい点

ker⁡B\ker B の次元は bb に依存しない。BB の行に一次関係が多いため階数が常に 22 であることを先に見抜くと,場合分けが大幅に減る。

像と核の直和分解の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — べき級数とタウバー型定理

方針

これは Abel 極限から通常の級数和を戻すタウバー型の議論である。仮定 kck→0k c_k\to0 は,境界 x→1x\to1 に近づけるときの誤差を制御するために使う。

検算

xn=1−1/nx_n=1-1/n を選ぶと,前半の誤差は Cesàro 平均になり,後半の誤差は ∑xnk/k\sum x_n^k/k で抑えられる。この二つが同時に消えることが証明の核心である。

べき級数とタウバー型定理の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — Euler作用素と多項式性

方針

D=zddzD=z\frac{d}{dz} は単項式 zkz^k に対して D(zk)=kzkD(z^k)=kz^k と作用する。つまり単項式基底では対角作用素であり,有限次元性は Taylor 係数の添字 kk を有限個に制限する条件になる。

注意

通常の微分作用素 ddz\frac{d}{dz} だけなら指数関数が反例になる。ここでは Euler 作用素 zddzz\frac{d}{dz} であることが本質である。

Euler作用素と多項式性の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — Lotka--Volterra型方程式

方針

この系では保存量 FF を見つけることが中心である。保存量のレベル集合が軌道を閉じ込め,平衡点 (3,2)(3,2) と初期点のエネルギー差が極限非存在の証明に効く。

採点上の注意

極限非存在を示す部分では,「保存量が一定だから振動する」とだけ書くと不十分である。極限が存在すれば自律系の平衡点にならざるを得ない,という一段を明示すると答案として堅い。

Lotka--Volterra型方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — Fourier積分と正定値行列

方針

核 e−∣s∣e^{-|s|} は (x2+1)−1(x^2+1)^{-1} の Fourier 変換として表せる。正定値性は,二次形式を非負重み付きの絶対値二乗積分に変形することで示す。

検算

t=0t=0 の値が π\pi になること,また tt の符号で閉じる半平面を変えることが符号ミス防止に有効である。

Fourier積分と正定値行列の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — コンパクト性とファイバーの濃度

方針

第一問はコンパクト性で点列を収束させるだけでよい。第二問は「ファイバーの点が突然増えるなら,極限で二点が衝突する」ことを使い,局所単射性に反することを示す。

採点上の注意

第二問では Xn+1X^{n+1} のコンパクト性を使って,n+1n+1 個の点を同時に収束させるのが重要である。一点ずつ部分列を取るだけでは,衝突を確実に取り出す議論が弱くなる。

コンパクト性とファイバーの濃度の途中式・最終答をPDFで見る

東大 専門科目A 院試 過去問の収録20年度

  • 2026年度(このページ・全7問)

    円板上の重積分 / 像と核の直和分解 / べき級数とタウバー型定理

  • 2025年度(全7問)

    広義積分と漸近展開 / 射影された線形写像 / 反復正弦と log-sum-exp

  • 2024年度(全7問)

    巡回型行列 / 斉次関数の臨界点 / 負内積ベクトル族

  • 2023年度(全7問)

    交互成分行列 / 細い領域の二重積分 / 外積表現と対角化

  • 2022年度(全7問)

    線型写像の対角化 / 極座標による重積分 / ディリクレ積分

  • 2020年度(全7問)

    上三角行列の対角化条件 / 極座標領域上の対数積分 / 半円と補間二次関数の面積漸近

  • 2019年度(全7問)

    関数の極限と展開 / 直交行列と上三角分解 / 冪零行列の可換行列

  • 2018年度(全7問)

    平均値の極限 / 二次多項式空間上の線形変換 / 極座標と平面領域の積分

  • 2017年度(全7問)

    多項式空間の線形変換 / 反復正弦と級数 / 原点での連続性と全微分可能性

  • 2016年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    核空間と直和分解 / 奇数冪積分と一様収束 / 二乗根をもつ実行列

  • 2015年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    剰余で定まる線形写像 / 円板上の平均値 / 同相写像の軌道空間

  • 2014年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    線形写像と正定値性 / 乗法的Cauchy方程式 / 距離関数の微分

  • 2013年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    ハウスホルダー変換と回転 / 調和級数と奇偶部分和 / 交代形式への合同変換

  • 2012年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    交換子と対角化可能性 / 二変数関数の最大値 / フーリエ積分

  • 2011年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    対角化可能性と相似条件 / 特異積分の極限 / コンパクト開位相の基本閉性

  • 2010年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    階数低下と零固有値 / コーシー型核の積分と畳み込み / 有界列空間と収束列の閉性

  • 2007年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    広義固有空間と交換関係 / 偏微分可能性と極座標積分 / コンパクト集合の直積近傍

  • 2006年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    行基本変形と列空間 / 余弦積分と一様収束 / 双対空間と直和分解

  • 2005年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    実対称行列の固有条件 / 平坦関数と積分剰余 / 単調関数が誘導する距離

  • 2004年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    行列ノルムとスペクトル半径 / 同次性と極座標表示 / グラフ距離とコンパクト性