東京大学 院試 過去問 解答例
東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2026年度 院試 解答例・解説
東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2026年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全7問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 円板上の重積分
方針
最小値の切り替わりは で起こる。積分領域は半径 の円板なので,内側の円板と外側の環に分けると角度積分が一気に簡単になる。
検算
内側の寄与は ,外側の寄与は である。外側では が途中で符号を変えるため,単純に正の量だけを積分しているわけではない点に注意する。
第2問 — 像と核の直和分解
方針
直和条件は,単に次元が合うだけでは不十分である。まず から を強制し,その後で を確認する。
落としやすい点
の次元は に依存しない。 の行に一次関係が多いため階数が常に であることを先に見抜くと,場合分けが大幅に減る。
第3問 — べき級数とタウバー型定理
方針
これは Abel 極限から通常の級数和を戻すタウバー型の議論である。仮定 は,境界 に近づけるときの誤差を制御するために使う。
検算
を選ぶと,前半の誤差は Cesàro 平均になり,後半の誤差は で抑えられる。この二つが同時に消えることが証明の核心である。
第4問 — Euler作用素と多項式性
方針
は単項式 に対して と作用する。つまり単項式基底では対角作用素であり,有限次元性は Taylor 係数の添字 を有限個に制限する条件になる。
注意
通常の微分作用素 だけなら指数関数が反例になる。ここでは Euler 作用素 であることが本質である。
第5問 — Lotka--Volterra型方程式
方針
この系では保存量 を見つけることが中心である。保存量のレベル集合が軌道を閉じ込め,平衡点 と初期点のエネルギー差が極限非存在の証明に効く。
採点上の注意
極限非存在を示す部分では,「保存量が一定だから振動する」とだけ書くと不十分である。極限が存在すれば自律系の平衡点にならざるを得ない,という一段を明示すると答案として堅い。
第6問 — Fourier積分と正定値行列
方針
核 は の Fourier 変換として表せる。正定値性は,二次形式を非負重み付きの絶対値二乗積分に変形することで示す。
検算
の値が になること,また の符号で閉じる半平面を変えることが符号ミス防止に有効である。
第7問 — コンパクト性とファイバーの濃度
方針
第一問はコンパクト性で点列を収束させるだけでよい。第二問は「ファイバーの点が突然増えるなら,極限で二点が衝突する」ことを使い,局所単射性に反することを示す。
採点上の注意
第二問では のコンパクト性を使って, 個の点を同時に収束させるのが重要である。一点ずつ部分列を取るだけでは,衝突を確実に取り出す議論が弱くなる。