東京大学 院試 過去問 解答例
東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2019年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)
全7問。微分積分・解析3問・線形代数2問。
最終更新:
収録20年度分の解答PDF:東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A(¥3,200・紙面見本あり)
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- 解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき7問)
- 問題本文
- 非収録
東大 専門科目A 2019年度 院試 過去問の出題内容(全7問)
この7問の分野は微分積分・解析3問・線形代数2問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 微分積分・解析 | 関数の極限と展開 | — | あり |
| 第2問 | 線形代数 | 直交行列と上三角分解 | — | あり |
| 第3問 | 線形代数 | 冪零行列の可換行列 | 採点上の注意 | あり |
| 第4問 | — | 商空間と点列 | — | あり |
| 第5問 | — | 第一象限の零点数 | — | あり |
| 第6問 | 微分積分・解析 | 平均型積分方程式 | 一意性の要点 | あり |
| 第7問 | 微分積分・解析 | 畳み込みの導関数と一様可積分性 | — | あり |
この年度の解説には検算2件・典型ミス2件・採点上の注意1件が付いています。
前年度(2018年度)との違い
- 大問数
- 2018年度 7問 → 2019年度 7問
第1問 — 関数の極限と展開
方針
を先に展開し,最後に平方根の展開を使う。平方根の外側だけを ロピタル型で処理すると,二次係数の計算で手間が増える。
検算
だから,平方根を取った一次係数はその半分の になる。符号が正になる解答は, の一次補正を取り違えている。
解答
とおく。 では であり, の近くで (1) したがって だから である。
(2) さらに を に適用すると, よって, と定めた延長について となるので, は で微分可能である。
(3) また上の展開より となるには でなければならず,この値で十分である。
最終答
%
- .
- は で微分可能であり,.
- .
第2問 — 直交行列と上三角分解
方針
これは 分解で の対角成分を正の対角行列 に分けるだけである。 と分解すれば, の対角成分は自動的にすべて になる。
検算
の対角成分は 最後の直交成分の長さであり,いずれも正である。
第3問 — 冪零行列の可換行列
方針
冪零指数がちょうど であることから, は一つの巡回ベクトルを持つ。 その基底で見れば, と可換な行列は の像だけで決まり,結局 の多項式になる。
採点上の注意
(2) では が と可換であることを先に示すのが重要である。 からただちに多項式表示を仮定すると,論理が一段抜ける。
第4問 — 商空間と点列
方針
閉包と点列閉包がずれる例である。右端の同一視点 は の閉包に入り, それらが に近づく。しかし,各高さで右端にどれだけ近づく必要があるかを 近傍ごとに細かく変えられるため,単一の点列では追いつけない。
第5問 — 第一象限の零点数
方針
第一象限の個数なので,四分円の偏角原理を使う。虚軸上の像 が上半平面を単調に横切ることを見れば,境界の寄与がすぐ決まる。
典型ミス
大円弧の寄与を としてしまうと,六次の効果を落としている。 主項 により偏角は六倍される。
第6問 — 平均型積分方程式
方針
(1) は平均値と元の関数が一致する方程式であり, を微分すると定数解に落ちる。 (2) は初期値が明示されていないが, の極限を取ると初期値も方程式から一意に決まる。
一意性の要点
非負条件により をリプシッツ定数 で評価できる。 平均を取る形の積分方程式なので,区間 上の最大値 に対して が出る。ここまで書けば,存在を仮定した一意性の証明として十分である。
第7問 — 畳み込みの導関数と一様可積分性
方針
畳み込みを区間積分として書き直し,端点微分で を出す。 条件は二種類の発散の競合で決まる。無限遠では なので , 近傍では なので が必要である。
典型ミス
二つの項を別々に全実数で評価すると,無限遠での打ち消しを失う。 遠方では必ず としてまとめてから評価する。
東大 専門科目A 院試 過去問の収録20年度
円板上の重積分 / 像と核の直和分解 / べき級数とタウバー型定理
広義積分と漸近展開 / 射影された線形写像 / 反復正弦と log-sum-exp
巡回型行列 / 斉次関数の臨界点 / 負内積ベクトル族
交互成分行列 / 細い領域の二重積分 / 外積表現と対角化
線型写像の対角化 / 極座標による重積分 / ディリクレ積分
上三角行列の対角化条件 / 極座標領域上の対数積分 / 半円と補間二次関数の面積漸近
2019年度(このページ・全7問)
関数の極限と展開 / 直交行列と上三角分解 / 冪零行列の可換行列
平均値の極限 / 二次多項式空間上の線形変換 / 極座標と平面領域の積分
多項式空間の線形変換 / 反復正弦と級数 / 原点での連続性と全微分可能性
2016年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
核空間と直和分解 / 奇数冪積分と一様収束 / 二乗根をもつ実行列
2015年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
剰余で定まる線形写像 / 円板上の平均値 / 同相写像の軌道空間
2014年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
線形写像と正定値性 / 乗法的Cauchy方程式 / 距離関数の微分
2013年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
ハウスホルダー変換と回転 / 調和級数と奇偶部分和 / 交代形式への合同変換
2012年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
交換子と対角化可能性 / 二変数関数の最大値 / フーリエ積分
2011年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
対角化可能性と相似条件 / 特異積分の極限 / コンパクト開位相の基本閉性
2010年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
階数低下と零固有値 / コーシー型核の積分と畳み込み / 有界列空間と収束列の閉性
2007年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
広義固有空間と交換関係 / 偏微分可能性と極座標積分 / コンパクト集合の直積近傍
2006年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
行基本変形と列空間 / 余弦積分と一様収束 / 双対空間と直和分解
2005年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
実対称行列の固有条件 / 平坦関数と積分剰余 / 単調関数が誘導する距離
2004年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
行列ノルムとスペクトル半径 / 同次性と極座標表示 / グラフ距離とコンパクト性