東京大学 院試 過去問 解答例
東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)
全7問。微分積分・解析3問・位相・幾何1問・線形代数1問。テーマタグは4件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・正定値行列)。2020年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・一様収束。
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- 解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき7問)
- 問題本文
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東大 専門科目A 2022年度 院試 過去問の出題内容(全7問)
この7問の分野は微分積分・解析3問・位相・幾何1問・線形代数1問・微分方程式1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | — | 線型写像の対角化 | 採点上の注意 | あり |
| 第2問 | 微分積分・解析 | 極座標による重積分 | — | あり |
| 第3問 | 微分積分・解析 | ディリクレ積分 | — | あり |
| 第4問 | 微分方程式 | 連立微分方程式の極限 | — | あり |
| 第5問 | 位相・幾何 | 特殊な距離空間 | コンパクト性の見方 | あり |
| 第6問 | 線形代数 | 対称行列の固有値評価 | 整数条件の使い所 | あり |
| 第7問 | 微分積分・解析 | 関数列と関数項級数 | 一様収束で見るべき点 | あり |
この年度の解説には検算2件・採点上の注意1件・典型ミス1件が付いています。
2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は4問に4テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第1・6問 | 25大学・544問 | |
| 重積分と極座標 | 第2問 | 23大学・142問 | |
| 正定値行列 | 第6問 | 17大学・70問 | |
| 一様収束 | 第7問 | 14大学・63問 |
前年度(2020年度)との違い
- 大問数
- 2020年度 7問 → 2022年度 7問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・一様収束
第1問 — 線型写像の対角化
方針
三次元の多項式空間では,まず基底を固定して行列に直すのが最短である。 上三角行列になるので固有値は対角成分からすぐ読める。
採点上の注意
同時対角化では「それぞれ対角化可能」だけでは足りない。必ず可換性を確認する。 今回は可換性の条件が で,この条件と を合わせると の対角化可能性も自動的に従う。
解答
基底 で を表す。問題で定められた作用を各基底元に適用すると である。
(1) の固有値は である。 ならばこれらは相異なるので, は実数体上で対角化可能である。
一方 のとき は零でない冪零行列である。冪零行列が対角化可能なら対角成分はすべて で, 行列そのものが零行列でなければならないので,これは対角化可能でない。 したがって条件は である。
(2) 同時に対角化できるなら,二つの線型写像は可換でなければならない。 直接計算すると よって可換性は と同値である。
さらに同時対角化可能なら 自身も対角化可能であるから, より が必要である。 逆に ならば であり, はそれぞれ相異なる固有値をもつので対角化可能である。 また上の計算から可換である。対角化可能な可換族は同時に対角化できるから,この条件は十分でもある。
最終答
%
- が対角化可能であるための必要十分条件は .
- が同時対角化可能であるための必要十分条件は
第2問 — 極座標による重積分
方針
被積分関数が だけで決まるので,領域の不等式を極座標で読む。 条件 は で となり,角度ごとに下限が決まる。
検算
積分領域は単位円板全体より小さいので,答えは より小さい正数になる。実際 は約 で,量の大きさとしても自然である。
第3問 — ディリクレ積分
方針
はそのままでは見慣れないが,部分積分で 型に落ちる。実数 の符号を吸収するため,最終形は絶対値で書く。
典型ミス
と暗黙に仮定すると符号を落とす。ディリクレ積分は なので, を前に掛けると になる。
第4問 — 連立微分方程式の極限
方針
この系は の単調性と の単調性を見ると極限の存在が分かる。 保存量に近い関係式は,時間で積分するよりも を作る方が自然である。
検算
の式は と微分しても確かめられる。最後の不等式では, の境界ケースを落とさないことが重要である。
第5問 — 特殊な距離空間
方針
この距離空間は,各縦線が横軸の高さ でつながった木のように振る舞う。 ただし原点を除くと, の上下半直線は他の部分から切り離される。
コンパクト性の見方
では,単位球が高さ の点を無限に多くの縦線から拾う。 異なる縦線上の高さ の点どうしは,横方向にいくら近くても距離が少なくとも ある。 ここが通常のユークリッド距離との決定的な違いである。
第6問 — 対称行列の固有値評価
方針
は必ず半正定値である。そこへ正定値対角行列 を足すので, 正則性は正定値性から即座に出る。固有値評価はレイリー商とミニマックス原理で押さえる。
整数条件の使い所
が相異なる整数であることは,隣り合う固有値の間隔が少なくとも であることを意味する。 一方 によるずれは各固有値について 以上 以下に収まる。 この二つを合わせると, の重なりが排除できる。
第7問 — 関数列と関数項級数
方針
第一問は指数 が に近づく問題であり,端点 を含むので連続性を の二変数で見ると安全である。
一様収束で見るべき点
各点収束は を固定すれば指数的減衰で済む。一方,一様収束では を に近づけてよいので,一般項の上限が に張り付く。 級数の一様収束を調べるときは,まず一般項が一様に へ行くかを確認すると早い。
東大 専門科目A 院試 過去問の収録20年度
円板上の重積分 / 像と核の直和分解 / べき級数とタウバー型定理
広義積分と漸近展開 / 射影された線形写像 / 反復正弦と log-sum-exp
巡回型行列 / 斉次関数の臨界点 / 負内積ベクトル族
交互成分行列 / 細い領域の二重積分 / 外積表現と対角化
2022年度(このページ・全7問)
線型写像の対角化 / 極座標による重積分 / ディリクレ積分
上三角行列の対角化条件 / 極座標領域上の対数積分 / 半円と補間二次関数の面積漸近
関数の極限と展開 / 直交行列と上三角分解 / 冪零行列の可換行列
平均値の極限 / 二次多項式空間上の線形変換 / 極座標と平面領域の積分
多項式空間の線形変換 / 反復正弦と級数 / 原点での連続性と全微分可能性
2016年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
核空間と直和分解 / 奇数冪積分と一様収束 / 二乗根をもつ実行列
2015年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
剰余で定まる線形写像 / 円板上の平均値 / 同相写像の軌道空間
2014年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
線形写像と正定値性 / 乗法的Cauchy方程式 / 距離関数の微分
2013年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
ハウスホルダー変換と回転 / 調和級数と奇偶部分和 / 交代形式への合同変換
2012年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
交換子と対角化可能性 / 二変数関数の最大値 / フーリエ積分
2011年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
対角化可能性と相似条件 / 特異積分の極限 / コンパクト開位相の基本閉性
2010年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
階数低下と零固有値 / コーシー型核の積分と畳み込み / 有界列空間と収束列の閉性
2007年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
広義固有空間と交換関係 / 偏微分可能性と極座標積分 / コンパクト集合の直積近傍
2006年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
行基本変形と列空間 / 余弦積分と一様収束 / 双対空間と直和分解
2005年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
実対称行列の固有条件 / 平坦関数と積分剰余 / 単調関数が誘導する距離
2004年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
行列ノルムとスペクトル半径 / 同次性と極座標表示 / グラフ距離とコンパクト性