東京大学 院試 過去問 解答例
東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2022年度 院試 解答例・解説
東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全7問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 線型写像の対角化
方針
三次元の多項式空間では,まず基底を固定して行列に直すのが最短である。 上三角行列になるので固有値は対角成分からすぐ読める。
採点上の注意
同時対角化では「それぞれ対角化可能」だけでは足りない。必ず可換性を確認する。 今回は可換性の条件が で,この条件と を合わせると の対角化可能性も自動的に従う。
第2問 — 極座標による重積分
方針
被積分関数が だけで決まるので,領域の不等式を極座標で読む。 条件 は で となり,角度ごとに下限が決まる。
検算
積分領域は単位円板全体より小さいので,答えは より小さい正数になる。実際 は約 で,量の大きさとしても自然である。
第3問 — ディリクレ積分
方針
はそのままでは見慣れないが,部分積分で 型に落ちる。実数 の符号を吸収するため,最終形は絶対値で書く。
典型ミス
と暗黙に仮定すると符号を落とす。ディリクレ積分は なので, を前に掛けると になる。
第4問 — 連立微分方程式の極限
方針
この系は の単調性と の単調性を見ると極限の存在が分かる。 保存量に近い関係式は,時間で積分するよりも を作る方が自然である。
検算
の式は と微分しても確かめられる。最後の不等式では, の境界ケースを落とさないことが重要である。
第5問 — 特殊な距離空間
方針
この距離空間は,各縦線が横軸の高さ でつながった木のように振る舞う。 ただし原点を除くと, の上下半直線は他の部分から切り離される。
コンパクト性の見方
では,単位球が高さ の点を無限に多くの縦線から拾う。 異なる縦線上の高さ の点どうしは,横方向にいくら近くても距離が少なくとも ある。 ここが通常のユークリッド距離との決定的な違いである。
第6問 — 対称行列の固有値評価
方針
は必ず半正定値である。そこへ正定値対角行列 を足すので, 正則性は正定値性から即座に出る。固有値評価はレイリー商とミニマックス原理で押さえる。
整数条件の使い所
が相異なる整数であることは,隣り合う固有値の間隔が少なくとも であることを意味する。 一方 によるずれは各固有値について 以上 以下に収まる。 この二つを合わせると, の重なりが排除できる。
第7問 — 関数列と関数項級数
方針
第一問は指数 が に近づく問題であり,端点 を含むので連続性を の二変数で見ると安全である。
一様収束で見るべき点
各点収束は を固定すれば指数的減衰で済む。一方,一様収束では を に近づけてよいので,一般項の上限が に張り付く。 級数の一様収束を調べるときは,まず一般項が一様に へ行くかを確認すると早い。