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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2018年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)

全7問。微分積分・解析3問・線形代数1問・微分方程式1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・フーリエ変換・特性関数)。2017年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル。

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解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき7問)
問題本文
非収録

東大 専門科目A 2018年度 院試 過去問の出題内容(全7問)

この7問の分野は微分積分・解析3問・線形代数1問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析平均値の極限—あり
第2問—二次多項式空間上の線形変換採点上の注意あり
第3問微分積分・解析極座標と平面領域の積分—あり
第4問—臨界点と可算性採点上の注意あり
第5問線形代数行列の可換環—あり
第6問微分方程式一次線形微分方程式の極限—あり
第7問微分積分・解析三乗 sinc 積分—あり

この年度の解説には典型ミス4件・採点上の注意2件・検算1件が付いています。

2018年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は2問に3テーマが出ています。

前年度(2017年度)との違い

大問数
2017年度 7問 → 2018年度 7問
両年度に出たテーマ
固有値・固有ベクトル
2018年度で新しく出たテーマ
フーリエ変換・特性関数
2017年度のページを見る

第1問 — 平均値の極限

方針

(1) は有限区間の寄与が 1/a1/a で消えることを見る。 (2) は「平均が AA に近づくなら,無限遠で AA に近い値を何度も取るはず」という 直観を背理法で定式化する。

典型ミス

(2) で f(xn)=Af(x_n)=A を要求してしまうと強すぎる。必要なのは f(xn)→Af(x_n)\to A であり,各段階で ∣f(xn)−A∣<1/n|f(x_n)-A|<1/n を満たす点を選べば十分である。

平均値の極限の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 二次多項式空間上の線形変換

方針

抽象的な変換に見えるが,二次以下の多項式空間なので基底に作用させれば終わる。 重根の候補を絞った後,a=0a=0 を機械的に「重根だから不可」と判断しないことが重要である。

採点上の注意

特性多項式の convention は det⁡(λI−M)\det(\lambda I-M) で統一した。 det⁡(M−λI)\det(M-\lambda I) を使う場合は全体に符号が付くが,固有値と対角化可能性は同じである。

解答

基底を (1,x,x2)(1,x,x^2) とする。合成変換 U=S∘TU=S\circ T について U(1)=x2,U(x)=ax2−x,U(x2)=a2x2−2ax+1 U(1)=x^2,\qquad U(x)=a x^2-x,\qquad U(x^2)=a^2x^2-2ax+1 である。したがって表現行列は M=(0010−1−2a1aa2) M= \begin{pmatrix} 0&0&1\\ 0&-1&-2a\\ 1&a&a^2 \end{pmatrix} である。

(1) よって χU(λ)=det⁡(λI−M)=det⁡(λ0−10λ+12a−1−aλ−a2)=λ3+(1−a2)λ2+(a2−1)λ−1=(λ−1){λ2+(2−a2)λ+1}. \begin{aligned} \chi_U(\lambda) &=\det(\lambda I-M) \\ &=\det \begin{pmatrix} \lambda&0&-1\\ 0&\lambda+1&2a\\ -1&-a&\lambda-a^2 \end{pmatrix} \\ &=\lambda^3+(1-a^2)\lambda^2+(a^2-1)\lambda-1 \\ &=(\lambda-1)\{\lambda^2+(2-a^2)\lambda+1\}. \end{aligned}

(2) 対角化可能性は重根が出る場合だけを調べればよい。二次因子の判別式は (2−a2)2−4=a2(a2−4) (2-a^2)^2-4=a^2(a^2-4) である。また,二次因子に λ=1\lambda=1 を代入すると 4−a24-a^2 である。 したがって重根が起こる可能性は a=0,a=2,a=−2 a=0,\quad a=2,\quad a=-2 だけである。

a=0a=0 の場合

χU(λ)=(λ−1)(λ+1)2 \chi_U(\lambda)=(\lambda-1)(\lambda+1)^2 であるが, 1+x2,1−x2,x 1+x^2,\qquad 1-x^2,\qquad x はそれぞれ固有値 1,−1,−11,-1,-1 に属する一次独立な固有ベクトルである。 よって a=0a=0 では対角化可能である。

a=±2a=\pm2 の場合

このとき χU(λ)=(λ−1)3 \chi_U(\lambda)=(\lambda-1)^3 である。a=2a=2 では M−IM-I の零空間は (u,v,w)=(u,−2u,u) (u,v,w)=(u,-2u,u) で表され,一次元である。a=−2a=-2 でも零空間は (u,v,w)=(u,2u,u) (u,v,w)=(u,2u,u) で表され,一次元である。三次元空間で固有空間が一次元しかないため, a=±2a=\pm2 では対角化できない。

最終答

%

  1. χU(λ)=(λ−1){λ2+(2−a2)λ+1}\displaystyle \chi_U(\lambda)=(\lambda-1)\{\lambda^2+(2-a^2)\lambda+1\}.
  2. UU が対角化不能となるのは a=±2a=\pm2.

第3問 — 極座標と平面領域の積分

方針

極座標化した後,rr の上限が三乗根で出る。積分では g(θ)3g(\theta)^3 だけが現れるため, 三乗根を直接積分する必要はない。

典型ミス

cos⁡θ−sin⁡θ\cos\theta-\sin\theta の符号を見落とすと角度範囲を広く取りすぎる。 本問では x≥0x\ge0 と右辺の非負性を同時に使い,結局 0≤θ≤π/40\le\theta\le\pi/4 に絞る。

極座標と平面領域の積分の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 臨界点と可算性

方針

同じ値を取る点が一点に集まれば,平均値の定理でその近くに臨界点が発生する。 これが仮定と衝突する,という構造である。

採点上の注意

「可算」を示すには,各ファイバーが閉区間上で有限であることを使うのが安全である。 単に「孤立点だけだから可算」と書く場合は,第二可算性などの根拠を補う必要がある。

臨界点と可算性の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 行列の可換環

方針

最小多項式が実数上で既約な二次式に割り切れるため,A−I4A-I_4 は複素構造を与える。 可換な実行列を数える問題は,複素線形変換を数える問題に変わる。

典型ミス

複素次元 44 をそのまま答えると半分になる。求められているのは M4(R)M_4(\R) の部分空間としての実次元なので,最後に 22 倍する。

行列の可換環の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 一次線形微分方程式の極限

方針

係数 t−nt^{-n} の積分が発散するのは n=1n=1 のときだけである。 n=1n=1 では積分因子が tt になり,外側の 1/t1/t が効く。 n≥2n\ge2 では積分因子が有限値に収束するため,右辺 t−mt^{-m} の可積分性がそのまま条件になる。

検算

n≥2, m=1n\ge2,\ m=1 では減衰係数の総量が有限なのに入力 1/t1/t の総量は無限である。 したがって解が有限値に落ち着くことはできない,という直観と一致する。

一次線形微分方程式の極限の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 三乗 sinc 積分

方針

sin⁡x/x\sin x/x は区間の特性関数のフーリエ変換として扱える。 三乗積分は三重畳み込みの原点値に変換すると,折れ線関数の面積計算だけになる。

典型ミス

変換の規約によって 2π2\pi の位置が変わる。ここでは [数式], [数式] の規約を使っている。

三乗 sinc 積分の途中式・最終答をPDFで見る

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