東京大学 院試 過去問 解答例
東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2018年度 院試 解答例・解説
東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2018年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全7問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 平均値の極限
方針
(1) は有限区間の寄与が で消えることを見る。 (2) は「平均が に近づくなら,無限遠で に近い値を何度も取るはず」という 直観を背理法で定式化する。
典型ミス
(2) で を要求してしまうと強すぎる。必要なのは であり,各段階で を満たす点を選べば十分である。
第2問 — 二次多項式空間上の線形変換
方針
抽象的な変換に見えるが,二次以下の多項式空間なので基底に作用させれば終わる。 重根の候補を絞った後, を機械的に「重根だから不可」と判断しないことが重要である。
採点上の注意
特性多項式の convention は で統一した。 を使う場合は全体に符号が付くが,固有値と対角化可能性は同じである。
第3問 — 極座標と平面領域の積分
方針
極座標化した後, の上限が三乗根で出る。積分では だけが現れるため, 三乗根を直接積分する必要はない。
典型ミス
の符号を見落とすと角度範囲を広く取りすぎる。 本問では と右辺の非負性を同時に使い,結局 に絞る。
第4問 — 臨界点と可算性
方針
同じ値を取る点が一点に集まれば,平均値の定理でその近くに臨界点が発生する。 これが仮定と衝突する,という構造である。
採点上の注意
「可算」を示すには,各ファイバーが閉区間上で有限であることを使うのが安全である。 単に「孤立点だけだから可算」と書く場合は,第二可算性などの根拠を補う必要がある。
第5問 — 行列の可換環
方針
最小多項式が実数上で既約な二次式に割り切れるため, は複素構造を与える。 可換な実行列を数える問題は,複素線形変換を数える問題に変わる。
典型ミス
複素次元 をそのまま答えると半分になる。求められているのは の部分空間としての実次元なので,最後に 倍する。
第6問 — 一次線形微分方程式の極限
方針
係数 の積分が発散するのは のときだけである。 では積分因子が になり,外側の が効く。 では積分因子が有限値に収束するため,右辺 の可積分性がそのまま条件になる。
検算
では減衰係数の総量が有限なのに入力 の総量は無限である。 したがって解が有限値に落ち着くことはできない,という直観と一致する。
第7問 — 三乗 sinc 積分
方針
は区間の特性関数のフーリエ変換として扱える。 三乗積分は三重畳み込みの原点値に変換すると,折れ線関数の面積計算だけになる。
典型ミス
変換の規約によって の位置が変わる。ここでは [数式], [数式] の規約を使っている。