東京大学 院試 過去問 解答例
東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2018年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)
全7問。微分積分・解析3問・線形代数1問・微分方程式1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・フーリエ変換・特性関数)。2017年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル。
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- 解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき7問)
- 問題本文
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東大 専門科目A 2018年度 院試 過去問の出題内容(全7問)
この7問の分野は微分積分・解析3問・線形代数1問・微分方程式1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 微分積分・解析 | 平均値の極限 | — | あり |
| 第2問 | — | 二次多項式空間上の線形変換 | 採点上の注意 | あり |
| 第3問 | 微分積分・解析 | 極座標と平面領域の積分 | — | あり |
| 第4問 | — | 臨界点と可算性 | 採点上の注意 | あり |
| 第5問 | 線形代数 | 行列の可換環 | — | あり |
| 第6問 | 微分方程式 | 一次線形微分方程式の極限 | — | あり |
| 第7問 | 微分積分・解析 | 三乗 sinc 積分 | — | あり |
この年度の解説には典型ミス4件・採点上の注意2件・検算1件が付いています。
2018年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は2問に3テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第2問 | 25大学・544問 | |
| フーリエ変換 | 第7問 | 14大学・91問 | |
| 特性関数 | 第7問 | 6大学・12問 |
前年度(2017年度)との違い
- 大問数
- 2017年度 7問 → 2018年度 7問
- 両年度に出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル
第1問 — 平均値の極限
方針
(1) は有限区間の寄与が で消えることを見る。 (2) は「平均が に近づくなら,無限遠で に近い値を何度も取るはず」という 直観を背理法で定式化する。
典型ミス
(2) で を要求してしまうと強すぎる。必要なのは であり,各段階で を満たす点を選べば十分である。
第2問 — 二次多項式空間上の線形変換
方針
抽象的な変換に見えるが,二次以下の多項式空間なので基底に作用させれば終わる。 重根の候補を絞った後, を機械的に「重根だから不可」と判断しないことが重要である。
採点上の注意
特性多項式の convention は で統一した。 を使う場合は全体に符号が付くが,固有値と対角化可能性は同じである。
解答
基底を とする。合成変換 について である。したがって表現行列は である。
(1) よって
(2) 対角化可能性は重根が出る場合だけを調べればよい。二次因子の判別式は である。また,二次因子に を代入すると である。 したがって重根が起こる可能性は だけである。
の場合
であるが, はそれぞれ固有値 に属する一次独立な固有ベクトルである。 よって では対角化可能である。
の場合
このとき である。 では の零空間は で表され,一次元である。 でも零空間は で表され,一次元である。三次元空間で固有空間が一次元しかないため, では対角化できない。
最終答
%
- .
- が対角化不能となるのは .
第3問 — 極座標と平面領域の積分
方針
極座標化した後, の上限が三乗根で出る。積分では だけが現れるため, 三乗根を直接積分する必要はない。
典型ミス
の符号を見落とすと角度範囲を広く取りすぎる。 本問では と右辺の非負性を同時に使い,結局 に絞る。
第4問 — 臨界点と可算性
方針
同じ値を取る点が一点に集まれば,平均値の定理でその近くに臨界点が発生する。 これが仮定と衝突する,という構造である。
採点上の注意
「可算」を示すには,各ファイバーが閉区間上で有限であることを使うのが安全である。 単に「孤立点だけだから可算」と書く場合は,第二可算性などの根拠を補う必要がある。
第5問 — 行列の可換環
方針
最小多項式が実数上で既約な二次式に割り切れるため, は複素構造を与える。 可換な実行列を数える問題は,複素線形変換を数える問題に変わる。
典型ミス
複素次元 をそのまま答えると半分になる。求められているのは の部分空間としての実次元なので,最後に 倍する。
第6問 — 一次線形微分方程式の極限
方針
係数 の積分が発散するのは のときだけである。 では積分因子が になり,外側の が効く。 では積分因子が有限値に収束するため,右辺 の可積分性がそのまま条件になる。
検算
では減衰係数の総量が有限なのに入力 の総量は無限である。 したがって解が有限値に落ち着くことはできない,という直観と一致する。
第7問 — 三乗 sinc 積分
方針
は区間の特性関数のフーリエ変換として扱える。 三乗積分は三重畳み込みの原点値に変換すると,折れ線関数の面積計算だけになる。
典型ミス
変換の規約によって の位置が変わる。ここでは [数式], [数式] の規約を使っている。
東大 専門科目A 院試 過去問の収録20年度
円板上の重積分 / 像と核の直和分解 / べき級数とタウバー型定理
広義積分と漸近展開 / 射影された線形写像 / 反復正弦と log-sum-exp
巡回型行列 / 斉次関数の臨界点 / 負内積ベクトル族
交互成分行列 / 細い領域の二重積分 / 外積表現と対角化
線型写像の対角化 / 極座標による重積分 / ディリクレ積分
上三角行列の対角化条件 / 極座標領域上の対数積分 / 半円と補間二次関数の面積漸近
関数の極限と展開 / 直交行列と上三角分解 / 冪零行列の可換行列
2018年度(このページ・全7問)
平均値の極限 / 二次多項式空間上の線形変換 / 極座標と平面領域の積分
多項式空間の線形変換 / 反復正弦と級数 / 原点での連続性と全微分可能性
2016年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
核空間と直和分解 / 奇数冪積分と一様収束 / 二乗根をもつ実行列
2015年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
剰余で定まる線形写像 / 円板上の平均値 / 同相写像の軌道空間
2014年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
線形写像と正定値性 / 乗法的Cauchy方程式 / 距離関数の微分
2013年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
ハウスホルダー変換と回転 / 調和級数と奇偶部分和 / 交代形式への合同変換
2012年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
交換子と対角化可能性 / 二変数関数の最大値 / フーリエ積分
2011年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
対角化可能性と相似条件 / 特異積分の極限 / コンパクト開位相の基本閉性
2010年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
階数低下と零固有値 / コーシー型核の積分と畳み込み / 有界列空間と収束列の閉性
2007年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
広義固有空間と交換関係 / 偏微分可能性と極座標積分 / コンパクト集合の直積近傍
2006年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
行基本変形と列空間 / 余弦積分と一様収束 / 双対空間と直和分解
2005年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
実対称行列の固有条件 / 平坦関数と積分剰余 / 単調関数が誘導する距離
2004年度(全7問)解答・最終答まで全文公開
行列ノルムとスペクトル半径 / 同次性と極座標表示 / グラフ距離とコンパクト性