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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)

全7問。微分積分・解析2問・位相・幾何1問。テーマタグは1件(一様収束)。

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解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき7問)
問題本文
非収録

東大 専門科目A 2025年度 院試 過去問の出題内容(全7問)

この7問の分野は微分積分・解析2問・位相・幾何1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析広義積分と漸近展開—あり
第2問—射影された線形写像—あり
第3問—反復正弦と log-sum-exp—あり
第4問—対称双線形写像の普遍性—あり
第5問位相・幾何コンパクト集合を保つ全単射—あり
第6問微分積分・解析Schwarz積分と有理型関数—あり
第7問—Riccati 方程式—あり

この年度の解説には典型ミス3件・検算2件・試験で書くべきポイント2件が付いています。

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は1問に1テーマが出ています。

テーマこの年度全体の出題実績他大学の直近出題
一様収束第3問14大学・63問

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 7問 → 2025年度 7問
2025年度で新しく出たテーマ
一様収束
2024年度のページを見る

第1問 — 広義積分と漸近展開

方針

非絶対収束の積分なので,形式的に (x+y)−1(x+y)^{-1} をべき展開してはいけない。部分積分で振動を利用し,余りを Dirichlet の判定法で評価するのが安全である。

検算

先頭項は ∫0∞sin⁡y dy\int_0^\infty \sin y\,dy を Abel 的に見た値 11 に対応して 1/x1/x になる。次に現れる有限な寄与は −2/x3-2/x^3 であり,1/x21/x^2 項が消えることが答の特徴である。

解答

(1) 各 x≥1x\ge 1 に対して f(x)=∫0∞sin⁡yx+y dy f(x)=\int_0^\infty \frac{\sin y}{x+y}\,dy とおく。まず g(y)=(x+y)−1g(y)=(x+y)^{-1} は単調に 00 へ減少し,∫0Ysin⁡y dy\int_0^Y\sin y\,dy は有界であるから,Dirichlet の判定法によりこの広義積分は収束する。

(2) 次に部分積分を用いる。端点で cos⁡y/(x+y)→0\cos y/(x+y)\to 0 であるから f(x)=1x−∫0∞cos⁡y(x+y)2 dy. f(x)=\frac1x-\int_0^\infty \frac{\cos y}{(x+y)^2}\,dy . さらに ∫0∞cos⁡y(x+y)2 dy=2∫0∞sin⁡y(x+y)3 dy \int_0^\infty \frac{\cos y}{(x+y)^2}\,dy =2\int_0^\infty \frac{\sin y}{(x+y)^3}\,dy であり,もう一度部分積分すると ∫0∞sin⁡y(x+y)3 dy=1x3−3∫0∞cos⁡y(x+y)4 dy. \int_0^\infty \frac{\sin y}{(x+y)^3}\,dy =\frac1{x^3}-3\int_0^\infty \frac{\cos y}{(x+y)^4}\,dy . したがって f(x)=1x−2x3+6∫0∞cos⁡y(x+y)4 dy. f(x)=\frac1x-\frac2{x^3} +6\int_0^\infty \frac{\cos y}{(x+y)^4}\,dy . 最後の積分は Dirichlet の評価により O(x−4)O(x^{-4}) である。よって x3(f(x)−1x)⟶−2. x^3\left(f(x)-\frac1x\right)\longrightarrow -2 .

最終答

(1) 広義積分は収束する。(2) a0=0, a1=1, a2=0a_0=0,\ a_1=1,\ a_2=0,極限値は −2-2。

第2問 — 射影された線形写像

方針

4次元のまま射影行列を書くよりも,V=z⊥V=z^\perp を (u,v,w,−w)(u,v,w,-w) で座標化する方が計算量が少ない。

典型ミス

判別式が 00 の場合を「実根だから可」としてはいけない。この行列は companion 型で,重根を持つと最小多項式にも重根が残るため,対角化条件から外れる。

射影された線形写像の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 反復正弦と log-sum-exp

方針

前半は「全ての xx」を見る必要があるが,1回 sin⁡\sin を通すと値域が [−1,1][-1,1] に入る。後半は log-sum-exp の標準評価で,誤差が log⁡3/n\log3/n 以下に一様に抑えられる。

試験で書くべきポイント

点ごとの極限だけで終えると一様収束の判定にならない。上限評価を明示し,その上限が定義域全体で共通であることを書く。

反復正弦と log-sum-expの途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 対称双線形写像の普遍性

方針

これは「条件を満たす対称双線形写像」を表現する普遍対象を作る問題である。条件は V′×V′V'\times V' 上で消えることに言い換えられ,あとは対称テンソルの商を取ればよい。

典型ミス

V⊗VV\otimes V をそのまま使うと,対称性を二重に管理する必要が出る。最初から Sym⁡2V\operatorname{Sym}^2V を使うと,双線形かつ対称という条件が自動的に入る。

対称双線形写像の普遍性の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — コンパクト集合を保つ全単射

方針

第1小問は「コンパクト集合が有限集合しかない」位相を作ると簡単である。補可算位相は一点集合が開でないため,離散位相への恒等写像は連続でない。

試験で書くべきポイント

距離空間の場合は列コンパクト性を使う。非連続性から悪い収束列を作り,その像の収束先の逆像を取り除いたコンパクト集合を作るのが矛盾の核心である。

コンパクト集合を保つ全単射の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — Schwarz積分と有理型関数

方針

積分核の虚部がすでに与えられているので,境界関数を Poisson 核で表せばよい。実部が Poisson 積分,虚部が共役 Poisson 積分になっている。

検算

z=0z=0 では核の虚部が 00 なので v(0)=0v(0)=0。上の f(0)=1/2f(0)=1/2 は実数であり,確かに虚部は 00 である。

Schwarz積分と有理型関数の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — Riccati 方程式

方針

1−x1-x が特解になっていることを見抜くと Riccati 方程式が Bernoulli 型に落ちる。u=1/wu=1/w の線形化まで書ければ,あとは積分因子の計算である。

典型ミス

一般解を書いた後,分母が正の領域で消える場合を無視してはいけない。問題は「正の実数全体」で定義された解を扱っているため,爆発するパラメータは除外する必要がある。

Riccati 方程式の途中式・最終答をPDFで見る

東大 専門科目A 院試 過去問の収録20年度

  • 2026年度(全7問)

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  • 2025年度(このページ・全7問)

    広義積分と漸近展開 / 射影された線形写像 / 反復正弦と log-sum-exp

  • 2024年度(全7問)

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  • 2016年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2015年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    剰余で定まる線形写像 / 円板上の平均値 / 同相写像の軌道空間

  • 2014年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    線形写像と正定値性 / 乗法的Cauchy方程式 / 距離関数の微分

  • 2013年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    ハウスホルダー変換と回転 / 調和級数と奇偶部分和 / 交代形式への合同変換

  • 2012年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    交換子と対角化可能性 / 二変数関数の最大値 / フーリエ積分

  • 2011年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    対角化可能性と相似条件 / 特異積分の極限 / コンパクト開位相の基本閉性

  • 2010年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    階数低下と零固有値 / コーシー型核の積分と畳み込み / 有界列空間と収束列の閉性

  • 2007年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2006年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    行基本変形と列空間 / 余弦積分と一様収束 / 双対空間と直和分解

  • 2005年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    実対称行列の固有条件 / 平坦関数と積分剰余 / 単調関数が誘導する距離

  • 2004年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    行列ノルムとスペクトル半径 / 同次性と極座標表示 / グラフ距離とコンパクト性