東京大学 院試 過去問 解答例
東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2023年度 院試 解答例・解説
東京大学 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全7問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 交互成分行列
方針
行列の成分を1つずつ追うより,奇数成分ベクトルと偶数成分ベクトルに分けると2次元問題に落ちる。
検算
と が階数・退化次数の関係と一致している。
第2問 — 細い領域の二重積分
方針
角度が という非常に細い領域なので, は一様に へ近づく。面積の細さと半径方向の スケールが打ち消し合い,有限値 が残る。
典型ミス
を単に に置き換えるだけではなく,領域全体で が一様であることを確認する必要がある。
第3問 — 外積表現と対角化
方針
外積は「一次独立な 本のベクトル」を検出する。核があれば外積にも核が生じる。対角化可能性については,Jordan ブロックの冪零部分が外積表現にも残ることを見る。
試験で書くべきポイント
第2小問では が同型なので固有値が0でない。この点を書いておくと,外積表現上で Jordan 成分が消えない理由が明確になる。
第4問 — 等長変換族のコンパクト性
方針
これは Arzela--Ascoli 型の問題である。像の有界性と等長性による一様連続性が揃っているため,稠密集合上の対角線論法が使える。
典型ミス
各点ごとの収束部分列は点 に依存してよい。第2小問では全ての点で同時に働く1つの部分列が必要なので,可算稠密集合を使う。
第5問 — 高速振動積分
方針
平均0の周期関数をそのまま積分せず,原始関数 を使って部分積分する。高速振動の寄与は平均0により1次で消える。
検算
だけからでも は分かるが,極限値を出すには の平均が0であることまで使う。
第6問 — 留数計算
方針
を分母に持つ有理型関数は,整数点で を生む典型的な留数計算である。追加の極 の留数を忘れない。
典型ミス
の整数極も全留数和に含まれる。これを落とすと の項がずれる。
第7問 — 境界値問題
方針
まず で変数を減らし, を導く。境界条件で が決まれば,残りは共振項を持つ2階線形方程式である。
検算
なら ,また得られた は , は を満たす。