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東京大学 院試 過去問 解答例

東大 数理科学研究科 数理科学専攻 専門科目A 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)

全7問。位相・幾何1問・線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは5件(固有値・固有ベクトル・線形空間・基底・重積分と極座標)。2022年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・一様収束。

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解説7問と大問1問の途中式・最終答(全7問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき7問)
問題本文
非収録

東大 専門科目A 2023年度 院試 過去問の出題内容(全7問)

この7問の分野は位相・幾何1問・線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数交互成分行列—あり
第2問微分積分・解析細い領域の二重積分—あり
第3問—外積表現と対角化—あり
第4問位相・幾何等長変換族のコンパクト性—あり
第5問—高速振動積分—あり
第6問—留数計算—あり
第7問—境界値問題—あり

この年度の解説には検算3件・典型ミス3件・試験で書くべきポイント1件が付いています。

2023年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は5問に5テーマが出ています。

前年度(2022年度)との違い

大問数
2022年度 7問 → 2023年度 7問
2023年度で新しく出たテーマ
線形空間・基底・留数定理
2022年度のページを見る

第1問 — 交互成分行列

方針

行列の成分を1つずつ追うより,奇数成分ベクトルと偶数成分ベクトルに分けると2次元問題に落ちる。

検算

dim⁡ker⁡A=2n−2\dim\ker A=2n-2 と rank⁡A=2\operatorname{rank}A=2 が階数・退化次数の関係と一致している。

解答

(1) 奇数番目成分だけが 11 のベクトルを u=(1,0,1,0,…,1,0)T u=(1,0,1,0,\ldots,1,0)^T 偶数番目成分だけが 11 のベクトルを v=(0,1,0,1,…,0,1)T v=(0,1,0,1,\ldots,0,1)^T とおく。行列 AA の各行は,奇数行なら xuT+yvTxu^T+yv^T,偶数行なら yuT+xvTyu^T+xv^T である。x≠yx\ne y なので,行空間は uT,vTu^T,v^T の張る2次元空間である。従って rank⁡A=2. \operatorname{rank}A=2.

(2) 核は uTξ=0,vTξ=0 u^T\xi=0,\qquad v^T\xi=0 で与えられる。よって一つの基底は e2k−1−e1(k=2,…,n),e2k−e2(k=2,…,n) e_{2k-1}-e_1\quad (k=2,\ldots,n),\qquad e_{2k}-e_2\quad (k=2,\ldots,n) である。

(3) 像の2次元部分空間 ⟨u,v⟩\langle u,v\rangle 上では Au=n(xu+yv),Av=n(yu+xv) A u=n(xu+yv),\qquad A v=n(yu+xv) である。従ってこの部分空間上の表現行列は n(xyyx) n\begin{pmatrix}x&y\\ y&x\end{pmatrix} であり,固有値は n(x+y)n(x+y) と n(x−y)n(x-y) である。残りの 2n−22n-2 次元は核であるから ΦA(t)=t2n−2{t−n(x+y)}{t−n(x−y)}. \Phi_A(t)=t^{2n-2}\{t-n(x+y)\}\{t-n(x-y)\}.

最終答

(1) rank⁡A=2\operatorname{rank}A=2。(2) 核の基底は e2k−1−e1, e2k−e2 (k=2,…,n)e_{2k-1}-e_1,\ e_{2k}-e_2\ (k=2,\ldots,n)。(3) ΦA(t)=t2n−2(t−n(x+y))(t−n(x−y))\Phi_A(t)=t^{2n-2}(t-n(x+y))(t-n(x-y))。

第2問 — 細い領域の二重積分

方針

角度が π/R2\pi/R^2 という非常に細い領域なので,yy は一様に 00 へ近づく。面積の細さと半径方向の R2R^2 スケールが打ち消し合い,有限値 π/2\pi/2 が残る。

典型ミス

cos⁡y\cos y を単に 11 に置き換えるだけではなく,領域全体で y→0y\to0 が一様であることを確認する必要がある。

細い領域の二重積分の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 外積表現と対角化

方針

外積は「一次独立な rr 本のベクトル」を検出する。核があれば外積にも核が生じる。対角化可能性については,Jordan ブロックの冪零部分が外積表現にも残ることを見る。

試験で書くべきポイント

第2小問では ff が同型なので固有値が0でない。この点を書いておくと,外積表現上で Jordan 成分が消えない理由が明確になる。

外積表現と対角化の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 等長変換族のコンパクト性

方針

これは Arzela--Ascoli 型の問題である。像の有界性と等長性による一様連続性が揃っているため,稠密集合上の対角線論法が使える。

典型ミス

各点ごとの収束部分列は点 xx に依存してよい。第2小問では全ての点で同時に働く1つの部分列が必要なので,可算稠密集合を使う。

等長変換族のコンパクト性の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 高速振動積分

方針

平均0の周期関数をそのまま積分せず,原始関数 gtg_t を使って部分積分する。高速振動の寄与は平均0により1次で消える。

検算

∣gt∣≤t|g_t|\le t だけからでも I(t)=O(t)I(t)=O(t) は分かるが,極限値を出すには gt/tg_t/t の平均が0であることまで使う。

高速振動積分の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 留数計算

方針

sin⁡πz\sin\pi z を分母に持つ有理型関数は,整数点で (−1)n(-1)^n を生む典型的な留数計算である。追加の極 ±a/2\pm a/2 の留数を忘れない。

典型ミス

n=0n=0 の整数極も全留数和に含まれる。これを落とすと 1/(2a2)1/(2a^2) の項がずれる。

留数計算の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 境界値問題

方針

まず x=−y′x=-y' で変数を減らし,z′′+z=0z''+z=0 を導く。境界条件で zz が決まれば,残りは共振項を持つ2階線形方程式である。

検算

z=cos⁡tz=\cos t なら z′(2π)=0z'(2\pi)=0,また得られた yy は y(2π)=0y(2\pi)=0,x=−y′x=-y' は x(0)=0x(0)=0 を満たす。

境界値問題の途中式・最終答をPDFで見る

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  • 2026年度(全7問)

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  • 2024年度(全7問)

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  • 2023年度(このページ・全7問)

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  • 2013年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2012年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2011年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2010年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2007年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

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  • 2006年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    行基本変形と列空間 / 余弦積分と一様収束 / 双対空間と直和分解

  • 2005年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    実対称行列の固有条件 / 平坦関数と積分剰余 / 単調関数が誘導する距離

  • 2004年度(全7問)解答・最終答まで全文公開

    行列ノルムとスペクトル半径 / 同次性と極座標表示 / グラフ距離とコンパクト性