九州大学 院試 過去問 解答例
九大 理学府 地球惑星科学専門科目 2021年度 院試 解答例・解説
九州大学 理学府 地球惑星科学専門科目 2021年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全8問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 地質学
方針
問1は用語の穴埋めだけでなく,モール円の軸の意味を確認して答える。モール円の左右端は剪断応力が 0 の面で,主応力に対応する。図1では破壊曲線に接しているか,また接点が低い垂直応力側かを読む。
柱状図の読み方
問2は,複数地点の柱状図に共通する連続を探す。B の「粗粒砂岩--黒色頁岩--石灰岩--シルト岩--砂岩泥岩互層」と,A・C の「石灰岩--シルト岩--砂岩泥岩互層--凝灰岩」を重ねると,全体の上下関係が決まる。
典型ミス
フルード数をレイノルズ数と混同しない。レイノルズ数は粘性と慣性の比,フルード数は流速と重力波速度の比である。また,石油トラップでは「貯留岩がある」だけでは不足で,帽岩と構造的高まりをセットで述べる。
第2問 — 古環境学・古生物学
方針
Vermeij の議論では,単に「新しい動物が出た」と書くのではなく,捕食者の能力向上と被食者の防御・逃避戦略の共進化として説明する。
年代
図中のアは中生代と新生代の境界である。古い文献では 65 Ma と書かれることもあるが,現在の標準的な年代値は約 66 Ma である。
典型ミス
「水管を持つ内生二枚貝」は,単なる二枚貝名ではなく生活様式を答える選択肢である。捕食圧の増大に対して堆積物中へ潜るという文脈と結びつける。
第3問 — 岩石学・鉱物学
方針
問1の回転対称は結晶学的制限の標準問題である。回転後の 2 点を結ぶ距離が元の格子周期 の整数倍でなければならない,という一点から示せる。
相図
Fo--SiO2 系では,MgSiO3 組成の En が包晶的に振る舞う。包晶点と共晶点を混同しないことが重要である。 は包晶反応, はシリカ側の初晶と共晶反応を読む。
典型ミス
ミラー指数では切片をそのまま並べない。切片を格子定数で規格化し,逆数をとって整数化する。また,てこの原理では相の量は反対側の距離に比例する。
第4問 — 化学
方針
酸塩基反応は原子数と電荷の保存をまず確認する。放射壊変は減少過程なので,微分方程式の符号は負である。
アイソクロン
Rb--Sr 年代測定では,同じ岩石中の複数鉱物が同じ初生 Sr 同位体比を共有することを利用する。横軸を Rb/Sr,縦軸を Sr/Sr とした直線の傾きから年代が出る。
典型ミス
半減期の指数を で割るため,答えは 年の桁になる。問2-(5)の傾きは 0.7 ではなく 0.007 である。
第5問 — 熱力学
方針
ギブズ自由エネルギーは自然変数が であるため, を起点にすると全設問がつながる。
相転移
1 次転移では は連続だが傾きが不連続で,エントロピーが跳ぶ。2 次転移では は連続で, や熱膨張率のような二階微分量が不連続になる。
典型ミス
カルノーサイクルの は放出熱の大きさとして正に扱う。符号つき熱量で書く場合は,効率式に入れる前に「大きさ」へ直す。
第6問 — 力学
方針
問1は単振動の標準形,問2は線積分と保存力,問3は万有引力ポテンシャルとエネルギー保存で解く。
保存力
問2では経路 C1 と C2 の仕事が等しいことからも保存力であることが分かる。位置エネルギーは力の仕事の符号を反転した量なので, となる。
典型ミス
最高到達距離 は地表からの高さではなく,地球中心からの距離である。高さを聞かれた場合だけ を答える。
第7問 — 電磁気学
方針
問1は円筒対称性からガウスの法則を使う。問2は磁束の時間変化を見る。問3は一様磁化をソレノイド状の表面電流として解釈する。
符号
誘導起電力の符号は,コイルの法線方向をどう選ぶかで変わる。ここでは 向きを正として とした。大きさだけなら でよい。
典型ミス
一様磁化では なので,体積電流は流れない。側面の表面電流を忘れない。
第8問 — 物理数学
方針
複素べきは対数の枝,行列は固有方程式,一階線形微分方程式は積分因子,方向微分は勾配との内積で処理する。
フーリエ級数
は周期 の奇関数なので だけが残る。 は周期 なので, が基底になる点に注意する。
典型ミス
問4では座標の第1成分と係数の記号がどちらも で書かれている。点 を代入してから条件式を立てる。