九州大学 院試 過去問 解答例
九大 理学府 地球惑星科学専門科目 2022年度 院試 解答例・解説
九州大学 理学府 地球惑星科学専門科目 2022年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全8問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 地質学
方針
地質図問題は,境界線の連続方向で走向を読み,等高線との交差から傾斜方向を決める。 選択肢は読図の根拠を一言添えると答案の説得力が上がる。
採点の置き所
断層運動方向は条線と非対称構造の併用を書く。 炭酸塩粒子の生物名は,有孔虫と円石藻のように石灰質殻をもつものを選ぶ。
典型ミス
ヘリンボーン構造やウェーブリップルを一方向流の代表として選ばない。 これらは流向反転や振動流に関係する。
第2問 — 古環境学・古生物学
方針
分類階級は「種・属・科・目・綱・門・界」の順序を固定する。 3ドメインは,図中のメタン菌や好塩菌を古細菌の手がかりにする。
採点の置き所
PETM は温暖化だけでなく,炭素同位体比の負異常と底生有孔虫の変化を結び付ける。 生層序は化石の産出範囲や初出現・最終出現を基準に説明する。
典型ミス
印象化石と生痕化石を混同しない。 印象化石は形の型,生痕化石は行動の痕跡である。
第3問 — 岩石学・鉱物学
方針
2成分共融系では,共融点,液相線,全岩組成を分けて読む。 閉鎖系と,生じたメルトを取り除く開放系では最終的に残る固相が異なる。
採点の置き所
アノーサイトの重量パーセントは酸化物表示に直して計算する。 四面体席の Al 数は長石骨格の Si+Al=4 から判断する。
典型ミス
分別融解の最終温度を閉鎖系の液相線温度 1498 ℃としてしまわない。 メルト除去を続けると残留固相はアノーサイト端成分へ向かう。
第4問 — 化学
方針
溶解度は格子エネルギーと水和,さらに Ag 塩では分極・共有結合性を分けて考える。 HF/KF は共通イオン効果により Henderson 型の近似で処理できる。
採点の置き所
C 年代差は を指数壊変式に入れる。 較正試料として樹木年輪を挙げると標準的である。
典型ミス
AgCl の難溶性を LiF と同じ半径効果だけで説明しない。 銀塩では Ag とハロゲン化物イオンの分極性・共有結合性が重要である。
第5問 — 熱力学
方針
サイクル1はカルノーサイクル,サイクル2は等温2本と定積2本のサイクルとして扱う。 定積加熱で入る追加熱が効率を下げる点が比較の核心である。
採点の置き所
相転移中の は一定, は傾き の直線になる。 クラペイロン式では と を使い,必要なら に直す。
典型ミス
サイクル2をカルノーサイクルとみなさない。 定積過程では熱の出入りがあるが,その熱はすべて仕事へ変わるわけではない。
第6問 — 力学
方針
曲面問題は原点まわりの と をそのまま計算する。 バンジーは,ロープが緩む自由落下区間と,ばねとして働く区間を分ける。
採点の置き所
最大伸びは であり,橋から水面までの重力ポテンシャル減少は である。 ロープが自然長より短い区間ではばね力が働かない。
典型ミス
バンジーの運動方程式をジャンプ開始直後から としない。 ばね力が働くのは自然長を超えてからである。
第7問 — 電磁気学
方針
Maxwell 方程式は符号まで正確に書く。 線電荷の力は単位長さあたりの力として扱うと無限長の発散を避けられる。
採点の置き所
3本の線電荷のつり合いでは,3本目が2本の間にあり負電荷であることを先に判断する。 ベクトルポテンシャルから磁場を出すときは を使う。
典型ミス
サイクロトロン周期に速度を残さない。 非相対論的な一様磁場中の周期は速さに依存せず, である。
第8問 — 物理数学
方針
ベクトル解析は成分表示で確実に計算する。 2次形式は対称行列なので,直交固有ベクトルで対角化できる。
採点の置き所
固有ベクトルは規格化まで行う。 微分方程式の特解は右辺が一次式なので,一次式を仮定すればよい。
典型ミス
の符号を逆にしない。 である。