九州大学 院試 過去問 解答例
九大 理学府 地球惑星科学専門科目 2025年度 院試 解答例・解説
九州大学 理学府 地球惑星科学専門科目 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全8問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 地質学
方針
地形・構造の選択問題は,地形名だけでなく形成場を対応させると安定する。 河川では流路形態,台湾ではプレート境界,断層では面と線構造を結び付ける。
採点の置き所
ポイントバーは「蛇行内側」「側方付加」「上方細粒化」をそろえる。 断層センスは条線だけでなく非対称なステップやドラッグ褶曲を併記すると説明答案として強い。
典型ミス
herringbone structure は潮汐流の反転を示す構造であり,氾濫原の代表痕跡ではない。 rudstone と ooid も炭酸塩堆積環境の語で,ここでは選ばない。
第2問 — 古環境学・古生物学
方針
同位体問題では定義式,標準物質,温度換算を分ける。 進化の問題では,説の内容とその批判を「観察されたパターン」と「記録の偏り」に分けて説明する。
採点の置き所
PDBを単なる略語で終えず,炭酸塩同位体比の標準スケールであると書く。 断続平衡説は「急速に進化する」だけでなく「長い停滞」を含めることが必要である。
典型ミス
が大きいことを単純に温暖化と書かない。 この設問の式では, が大きくなると温度は下がる。
第3問 — 岩石学・鉱物学
方針
晶系は軸長と軸角を表で覚える。 相図は,液がリキダス面を下り,共融線,最後に共融点へ進む流れで説明する。
採点の置き所
三成分共融図では「最初にできる液」と「冷却時に最初に出る結晶」を混同しない。 加熱時の初生液は共融点,冷却時の初晶は全体組成があるリキダス面で決まる。
典型ミス
輝石の劈開を「四面体が弱いから」と書くのは逆である。 四面体内・鎖内は強く,鎖間の陽イオン結合側が相対的に弱い。
第4問 — 化学
方針
同位体と溶解度積はいずれも数値を丁寧に扱う問題である。 半減期は「何半減期前か」,溶解度積は「溶けたときのイオン濃度比」をまず置く。
採点の置き所
は3半減期前なので8倍だが,割合で問われているため分母の全K量もわずかに変わる。 近似で としてよい。
典型ミス
共通イオン効果では だが, は十分小さいため と近似する。 純水中の と混同しない。
第5問 — 熱力学
方針
Joule-Thomson過程は等エンタルピー過程である。 熱力学ポテンシャルの自然変数を使い,偏微分を順に置き換えると長い式も崩れない。
採点の置き所
の符号は,膨張で であることと合わせて判断する。 冷却なら なので である。
典型ミス
の式に圧力 は不要である。 選択肢にある記号をすべて使う必要はない。
第6問 — 力学
方針
中心力では角運動量と力学的エネルギーの2つが保存する。 半円筒面の問題では,極座標の基底と抗力の向きを最初に決めると符号ミスが減る。
採点の置き所
設問(4)の は,先に角運動量保存で を消去してからエネルギー式へ代入する。 半円筒面の抗力はベクトルなら 方向であることも書く。
典型ミス
最低点での抗力を単に としない。 曲率運動に必要な向心加速度の分だけ抗力が大きくなる。
第7問 — 電磁気学
方針
静電場はガウスの法則,磁場はアンペールの法則で領域ごとに解く。 移動導体棒では,電場そのものと,磁気力を含む起電力を区別する。
採点の置き所
球殻・円筒ともに外側領域で場が0になる理由を書く。 内外の電荷または電流を同時に包むと総量が打ち消すためである。
典型ミス
誘導起電力の単位として weber/ampere を選ばない。 これはインダクタンスの単位ヘンリーであり,起電力の単位ではない。
第8問 — 物理数学
方針
複素対数は多価性を落とさない。 行列累乗は対角化して に帰着し,フーリエ級数は周期 なので基本角周波数が になる。
採点の置き所
ベクトル解析の恒等式は,丸暗記だけでなく成分表示の1行を示すと証明になる。 フーリエ係数では積分区間が だけである点を使う。
典型ミス
問5で , を使うと周期が になってしまう。 周期 では , を使う。