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東京都立大学 院試 過去問 解答例

都立大 理学研究科 物理学専攻 物理 2016年度 冬季 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。数学1問・電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問。

最終更新:

収録19年度分の解答PDF:東京都立大学 理学研究科 物理学専攻 物理(¥3,200・紙面見本あり)

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解説5問・解答5問・最終答5問(全5問)
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2016年度 冬季は解答・最終答まで全文公開
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都立大 物理 2016年度 冬季 院試 過去問の出題内容(全5問)

この5問の分野は数学1問・電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問・量子力学1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学母関数・行列の固有値・本質的特異点まわりの積分別解と検算(漸化式)あり
第2問力学バネにつながれた物体への衝突と、二軸に拘束された棒の運動答案で書くべき点あり
第3問電磁気学・回路一様帯電球の電場と電位、回転する帯電球の磁束密度—あり
第4問量子力学無限に高い球形井戸とスピン1の粒子答案で書くべき点あり
第5問熱・統計力学3準位系のミクロカノニカル解析と、一般の分散関係をもつ自由粒子答案で書くべき点 / この設問が試していることあり

この年度の解説には検算5件・失点しやすい点5件が付いています。

前年度(2016年度 夏季)との違い

大問数
2016年度 夏季 5問 → 2016年度 冬季 5問
2016年度 夏季のページを見る

第1問 — 数学:母関数・行列の固有値・本質的特異点まわりの積分

別解と検算(漸化式)

定義で x→x+1x\to x+1 とすると左辺が ete^t 倍になることと、母関数の両辺に et+1e^t+1 を掛けた式とを合わせると Ek(x+1)+Ek(x)=2xkE_k(x+1)+E_k(x)=2x^k を得る。EkE_k が最高次係数1の kk 次多項式であることを使って k=0,1,2k=0,1,2 の係数を比較しても同じ答えが出るし、逆に求めた多項式を代入すれば検算になる。k=2k=2 では {(x+1)2−(x+1)}+{x2−x}=2x2\{(x+1)^2-(x+1)\}+\{x^2-x\}=2x^2 で一致する。

失点しやすい点

母関数の展開係数は Ek(x)/k!E_k(x)/k! であって Ek(x)E_k(x) ではない。k!k! を掛け忘れると E2(x)=(x2−x)/2E_2(x)=(x^2-x)/2 という誤答になる。また 2/(et+1)2/(e^t+1) の t2t^2 の係数はちょうど0なので、u2u^2 の項を落とすと E2E_2 に余分な1次項が残る。

設問2 3次行列の実固有値と規格化固有ベクトル

検算

固有値の和はトレースに、積は行列式に等しい。3根の和 7+3−3=77+3-3=7 は tr A=7\mathrm{tr}\,A=7 と、積 −63-63 は det⁡A=1⋅9−2⋅6+4⋅(−15)=−63\det A=1\cdot9-2\cdot6+4\cdot(-15)=-63 と一致し、固有ベクトルも A(4,2,5)T=(28,14,35)T=7(4,2,5)TA(4,2,5)^{\mathrm T}=(28,14,35)^{\mathrm T}=7(4,2,5)^{\mathrm T} で確かめられる。

失点しやすい点

AA は対称行列ではないので固有ベクトルは一般に直交せず、直交性を仮定して成分を決めると誤る。「実固有値をすべて」という問い方は複素固有値の可能性を含意するので、3次式が実数の範囲で1次式3つに分解することを示して初めて答えたことになる。規格化条件を満たす解は符号の分だけ2つある。

設問3 本質的特異点をもつ関数の周回積分

方針

どちらの被積分関数も z=0z=0 が極ではなく本質的特異点なので、極の位数による微分の留数公式は使えない。ローラン展開を書き下して z−1z^{-1} の係数を読むという定義に立ち返れるかを見る設問である。

検算

3-2) はベル数 BkB_k を使うと独立に確かめられる。w=1/zw=1/z とすると母関数 exp⁡(ew−1)=∑kBkwk/k!\exp(e^w-1)=\sum_kB_kw^k/k! から exp⁡(ew)=e∑kBkwk/k!\exp(e^w)=e\sum_kB_kw^k/k! であり、w1w^1 の係数は eB1=eeB_1=e となって上で求めた値と一致する。

失点しやすい点

1/(2πi)1/(2\pi i) が前に付いているので答えは留数そのものであり、2πi2\pi i を再度掛ける誤りが多い。3-2) で exp⁡[exp⁡(1/z)]≃1+exp⁡(1/z)\exp[\exp(1/z)]\simeq1+\exp(1/z) と打ち切ると留数が1になってしまう。

解答

母関数の左辺を tt について展開し、tk/k!t^k/k! の係数を読む。まず xx を含まない分数部分を展開する。 et+1=2+t+t22+O(t3) e^t+1=2+t+\frac{t^2}{2}+O(t^3) であるから 2et+1=11+u,u=t2+t24+O(t3) \frac{2}{e^t+1} =\frac{1}{1+u},\qquad u=\frac{t}{2}+\frac{t^2}{4}+O(t^3) とおける。1/(1+u)=1−u+u2−⋯1/(1+u)=1-u+u^2-\cdots を用い、u2=t2/4+O(t3)u^2=t^2/4+O(t^3) に注意すると 2et+1=1−(t2+t24)+t24+O(t3)=1−t2+0⋅t2+O(t3). \frac{2}{e^t+1} =1-\left(\frac{t}{2}+\frac{t^2}{4}\right)+\frac{t^2}{4}+O(t^3) =1-\frac{t}{2}+0\cdot t^2+O(t^3). 一方 ext=1+xt+x22t2+O(t3) e^{xt}=1+xt+\frac{x^2}{2}t^2+O(t^3) であるから、両者の積は 2extet+1=1+(x−12)t+(x22−x2)t2+O(t3) \frac{2e^{xt}}{e^t+1} =1+\left(x-\frac{1}{2}\right)t +\left(\frac{x^2}{2}-\frac{x}{2}\right)t^2+O(t^3) となる。定義より Ek(x)E_k(x) は tkt^k の係数に k!k! を掛けたものなので E0(x)=0!⋅1=1,E1(x)=1!(x−12)=x−12, E_0(x)=0!\cdot 1=1,\qquad E_1(x)=1!\left(x-\frac{1}{2}\right)=x-\frac{1}{2}, E2(x)=2!(x22−x2)=x2−x. E_2(x)=2!\left(\frac{x^2}{2}-\frac{x}{2}\right)=x^2-x .

固有方程式は det⁡(A−λI)=0\det(A-\lambda I)=0 である。第3行で余因子展開すると、 det⁡(A−λI)=5∣243−λ0∣+(3−λ)∣1−λ223−λ∣ \det(A-\lambda I) =5\begin{vmatrix}2&4\\3-\lambda&0\end{vmatrix} +(3-\lambda)\begin{vmatrix}1-\lambda&2\\2&3-\lambda\end{vmatrix} であり、 ∣243−λ0∣=−4(3−λ),∣1−λ223−λ∣=(1−λ)(3−λ)−4 \begin{vmatrix}2&4\\3-\lambda&0\end{vmatrix}=-4(3-\lambda), \qquad \begin{vmatrix}1-\lambda&2\\2&3-\lambda\end{vmatrix}=(1-\lambda)(3-\lambda)-4 だから det⁡(A−λI)=(3−λ){−20+(1−λ)(3−λ)−4}=(3−λ)(λ2−4λ−21). \det(A-\lambda I) =(3-\lambda)\bigl\{-20+(1-\lambda)(3-\lambda)-4\bigr\} =(3-\lambda)\bigl(\lambda^2-4\lambda-21\bigr). λ2−4λ−21=(λ−7)(λ+3)\lambda^2-4\lambda-21=(\lambda-7)(\lambda+3) と因数分解できるので det⁡(A−λI)=−(λ−3)(λ−7)(λ+3)=0. \det(A-\lambda I)=-(\lambda-3)(\lambda-7)(\lambda+3)=0 . よって固有値は λ=7, 3, −3\lambda=7,\ 3,\ -3 の3つで、いずれも実数であり λ≠0\lambda\ne0 を満たす。

最大の実固有値は λ=7\lambda=7 である。(A−7I)X⃗=0⃗(A-7I)\vec{X}=\vec{0} は −6x1+2x2+4x3=0,2x1−4x2=0,5x1−4x3=0 -6x_1+2x_2+4x_3=0,\qquad 2x_1-4x_2=0,\qquad 5x_1-4x_3=0 である。第2式から x1=2x2x_1=2x_2、第3式から x3=54x1=52x2x_3=\tfrac54x_1=\tfrac52x_2 を得る。これを第1式に代入すると (−12+2+10)x2=0(-12+2+10)x_2=0 となって恒等的に成り立つので、A−7IA-7I の階数は2であり固有空間は1次元である。x2=2x_2=2 と取れば X⃗∝(4, 2, 5)\vec{X}\propto(4,\,2,\,5) であり、 42+22+52=45=35 \sqrt{4^2+2^2+5^2}=\sqrt{45}=3\sqrt5 だから、規格化条件を満たす固有ベクトルは X⃗=±135(425) \vec{X}=\pm\frac{1}{3\sqrt5}\begin{pmatrix}4\\2\\5\end{pmatrix} である(規格化だけでは全体の符号は決まらない)。

exp⁡(1/z)\exp(1/z) は z=0z=0 を除く全平面で正則で、0<∣z∣<∞0<|z|<\infty において exp⁡ ⁣[1z]=∑n=0∞1n! z−n \exp\!\left[\frac{1}{z}\right] =\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!}\,z^{-n} とローラン展開される。負べきが無限に続くので z=0z=0 は本質的特異点であり、これが積分路 CC の内部にある唯一の特異点である。留数は z−1z^{-1} の係数だから Res⁡z=0exp⁡ ⁣[1z]=11!=1. \operatorname*{Res}_{z=0}\exp\!\left[\frac1z\right]=\frac{1}{1!}=1 . 留数定理より 12πi∮Cexp⁡ ⁣[1z]dz=1. \frac{1}{2\pi i}\oint_C\exp\!\left[\frac1z\right]dz=1 .

外側の指数関数をべき級数に展開すると、z≠0z\ne0 で exp⁡ ⁣[exp⁡1z]=∑m=0∞1m!exp⁡ ⁣[mz]=∑m=0∞1m!∑n=0∞mnn! z−n \exp\!\left[\exp\frac1z\right] =\sum_{m=0}^{\infty}\frac{1}{m!}\exp\!\left[\frac{m}{z}\right] =\sum_{m=0}^{\infty}\frac{1}{m!}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{m^n}{n!}\,z^{-n} となる。この二重級数は ∑m∑nmn∣z∣−n/(m! n!)=∑mem/∣z∣/m!=exp⁡[e1/∣z∣]<∞\sum_m\sum_n m^n|z|^{-n}/(m!\,n!)=\sum_m e^{m/|z|}/m!=\exp[e^{1/|z|}]<\infty より絶対収束するので、和の順序を入れ替えて z−nz^{-n} ごとにまとめてよい。z−1z^{-1} の係数は ∑m=0∞1m!⋅m11!=∑m=1∞1(m−1)!=e \sum_{m=0}^{\infty}\frac{1}{m!}\cdot\frac{m^1}{1!} =\sum_{m=1}^{\infty}\frac{1}{(m-1)!} =e である。したがって 12πi∮Cexp⁡ ⁣[exp⁡1z]dz=e. \frac{1}{2\pi i}\oint_C\exp\!\left[\exp\frac1z\right]dz=e .

最終答

E0(x)=1,E1(x)=x−12,E2(x)=x2−xE_0(x)=1,\quad E_1(x)=x-\dfrac{1}{2},\quad E_2(x)=x^2-x

第2問 — 力学:バネにつながれた物体への衝突と、二軸に拘束された棒の運動

方針

衝突は瞬間的なのでバネの力積を無視でき、直後の速度は運動量保存(と反発係数)だけで決まる。その速度を初期条件として、あとは単振動あるいは減衰振動の初期値問題を解けばよい。1-5) は「解の型」を問う設問で、特性方程式の判別式の符号がそのまま答えになる。

検算

1-3) で mA=mBm_{\mathrm A}=m_{\mathrm B} とすると vA=v, vB=0v_{\mathrm A}=v,\ v_{\mathrm B}=0 で等質量弾性衝突の速度交換に、mA≫mBm_{\mathrm A}\gg m_{\mathrm B} では vA→0, vB→−vv_{\mathrm A}\to0,\ v_{\mathrm B}\to-v で壁での跳ね返りに近づく。1-2) の比は mA→0m_{\mathrm A}\to0 で1、mA→∞m_{\mathrm A}\to\infty で無限大となり、非弾性衝突の直観と合う。

失点しやすい点

1-1) と 1-4) で単振動の角振動数に使う質量を取り違えやすい。非弾性衝突では合体後の質量 mA+mBm_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}、弾性衝突ではAだけの質量 mAm_{\mathrm A} である。また 1-4) の mA/mB=2m_{\mathrm A}/m_{\mathrm B}=2 の場合、Bはバネにつながれていないので単振動ではなく等速直線運動であることに注意する。

答案で書くべき点

1-5) は、負の側へ入らないことと、充分時間後に単調に原点へ近づくことの2条件から、減衰振動を排除して過減衰(臨界減衰を含む)に絞る、という論理を明示する。判別式 λ2−4mAk≥0\lambda^2-4m_{\mathrm A}k\ge0 を書くだけでなく、減衰振動なら必ず x<0x<0 を通ることを一言添えると完全である。

設問2 二軸に拘束された棒の運動

方針

両端が2本の軸から離れないという拘束のため、自由度は φ\varphi の1つだけである。まず両端と重心の座標を φ\varphi で書き、そこから UU、KK、運動方程式を順に作るのが最短で、2-4) 以降の計算もすべてこの座標表示に帰着する。

検算

2-3) は K=12(13ML2)φ˙2K=\tfrac12(\tfrac13ML^2)\dot{\varphi}^2 と書き直せる。ML2/3ML^2/3 は棒の端を通る軸まわりの慣性モーメントで、重心が半径 L/2L/2 の円周上を動くという性質と整合する。2-5) はラグランジアン Lag=K−UL_{\text{ag}}=K-U からも 13ML2φ¨=−MgL2sin⁡φ\tfrac13ML^2\ddot{\varphi}=-\tfrac{MgL}{2}\sin\varphi として同じ式が出る。2-7) で g→0g\to0 とすると φ→ω0t\varphi\to\omega_0t の等角速度回転になり、重力がなければ棒が減速しないことと合う。

失点しやすい点

2-1) で問われるのは中点を通る軸のまわりなので ML2/12ML^2/12 である。端まわりの ML2/3ML^2/3 と取り違えると 2-3) で二重に数えることになる。また 2-3) で重心運動の寄与 12M(x˙2+z˙2)\tfrac12M(\dot{x}^2+\dot{z}^2) を落とすと係数が 1/241/24 になる。2-2) では φ=0\varphi=0 で U=0U=0 という指定があるので、MgzMgz をそのまま書かず定数のずらしを明示する。

答案で書くべき点

2-4) はトルクの符号が採点対象になる。φ\varphi の正の向き(時計回り)と yy 軸の向き(紙面の奥)の関係を一言書いてから、各抗力の作用点の重心からの変位を明示すること。2-5) では φ˙2\dot{\varphi}^2 の項が三角関数の組合せでちょうど消えることを式で示すと、代入の正しさが伝わる。

解答

以下、バネが自然長のときの物体Aの位置を原点にとり、壁に向かう向きを xx 軸の正とする。物体Bはこの向きに速さ vv で進んで t=0t=0 にAへ衝突する。Aはバネにつながれているので、変位 xx に対して復元力 −kx-kx を受ける。

完全非弾性衝突ではAとBは合体して一体となる。衝突は瞬間的でバネの力積は無視できるから、運動量保存より mBv=(mA+mB)vA⟹vA=mBmA+mB v. m_{\mathrm B}v=(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})v_{\mathrm A} \quad\Longrightarrow\quad v_{\mathrm A}=\frac{m_{\mathrm B}}{m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}}\,v . 衝突後は質量 mA+mBm_{\mathrm A}+m_{\mathrm B} の物体がバネにつながれた単振動をする。 (mA+mB)x¨A=−kxA,ω1≡kmA+mB (m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})\ddot{x}_{\mathrm A}=-kx_{\mathrm A}, \qquad \omega_1\equiv\sqrt{\frac{k}{m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}}} であり、初期条件は xA(0)=0x_{\mathrm A}(0)=0、x˙A(0)=vA\dot{x}_{\mathrm A}(0)=v_{\mathrm A} だから xA(t)=vAω1sin⁡ω1t=mBvk(mA+mB)sin⁡ ⁣(kmA+mB  t)(t≥0). x_{\mathrm A}(t)=\frac{v_{\mathrm A}}{\omega_1}\sin\omega_1t =\frac{m_{\mathrm B}v}{\sqrt{k(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})}} \sin\!\left(\sqrt{\frac{k}{m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}}}\;t\right) \qquad(t\ge0).

衝突前は K前=12mBv2, K_{\text{前}}=\frac12m_{\mathrm B}v^2 , 衝突直後は K後=12(mA+mB)vA 2=mB 2v22(mA+mB) K_{\text{後}}=\frac12(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})v_{\mathrm A}^{\,2} =\frac{m_{\mathrm B}^{\,2}v^2}{2(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})} である。したがって K前K後=mA+mBmB. \frac{K_{\text{前}}}{K_{\text{後}}} =\frac{m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}}{m_{\mathrm B}} .

運動量保存と反発係数1(相対速度の符号反転)を連立する。 mBv=mAvA+mBvB,vA−vB=v. m_{\mathrm B}v=m_{\mathrm A}v_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}v_{\mathrm B}, \qquad v_{\mathrm A}-v_{\mathrm B}=v . 第2式から vB=vA−vv_{\mathrm B}=v_{\mathrm A}-v を第1式へ代入すると (mA+mB)vA=2mBv(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})v_{\mathrm A}=2m_{\mathrm B}v となるので vA=2mBmA+mB v,vB=mB−mAmA+mB v. v_{\mathrm A}=\frac{2m_{\mathrm B}}{m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}}\,v, \qquad v_{\mathrm B}=\frac{m_{\mathrm B}-m_{\mathrm A}}{m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}}\,v .

mA/mB=2m_{\mathrm A}/m_{\mathrm B}=2 すなわち mB=mA/2m_{\mathrm B}=m_{\mathrm A}/2 では vA=2v3,vB=−v3 v_{\mathrm A}=\frac{2v}{3},\qquad v_{\mathrm B}=-\frac{v}{3} である。Aはバネにつながれているので角振動数 ω≡k/mA\omega\equiv\sqrt{k/m_{\mathrm A}} の単振動をし、Bはバネから離れて等速直線運動をする。ともに t=0t=0 に原点にあるから xA(t)=2v3mAksin⁡ ⁣(kmA  t),xB(t)=−v3 t. x_{\mathrm A}(t)=\frac{2v}{3}\sqrt{\frac{m_{\mathrm A}}{k}} \sin\!\left(\sqrt{\frac{k}{m_{\mathrm A}}}\;t\right), \qquad x_{\mathrm B}(t)=-\frac{v}{3}\,t . この2式が有効なのは xA>xBx_{\mathrm A}>x_{\mathrm B} の間である。s=ωts=\omega t とおくと xA−xB=(v/3ω)(2sin⁡s+s)x_{\mathrm A}-x_{\mathrm B}=(v/3\omega)(2\sin s+s) で、2sin⁡s+s2\sin s+s の s>0s>0 での最小値は s=4π/3s=4\pi/3 のときの 4π/3−3≃2.5>04\pi/3-\sqrt3\simeq2.5>0 だから、この質量比では再衝突は起こらず任意の t>0t>0 で成り立つ。

mA/mB=1m_{\mathrm A}/m_{\mathrm B}=1 では 1-3) より vA=vv_{\mathrm A}=v、vB=0v_{\mathrm B}=0 となり、Bは原点に静止したまま残る。Aは xA(t)=vωsin⁡ωt,ω=kmA x_{\mathrm A}(t)=\frac{v}{\omega}\sin\omega t, \qquad \omega=\sqrt{\frac{k}{m_{\mathrm A}}} にしたがい、ωt=π\omega t=\pi で再び原点に戻る。よって2回目の衝突までの時間は t=πω=πmAk. t=\frac{\pi}{\omega}=\pi\sqrt{\frac{m_{\mathrm A}}{k}} .

mA=mBm_{\mathrm A}=m_{\mathrm B} なので衝突直後のAの速度は vv で、位置は x=0x=0 である。抵抗 −λx˙-\lambda\dot{x} を加えた運動方程式は mAx¨+λx˙+kx=0. m_{\mathrm A}\ddot{x}+\lambda\dot{x}+kx=0 . x∝estx\propto e^{st} とおくと特性方程式は mAs2+λs+k=0m_{\mathrm A}s^2+\lambda s+k=0 で、 s=−λ±λ2−4mAk2mA. s=\frac{-\lambda\pm\sqrt{\lambda^2-4m_{\mathrm A}k}}{2m_{\mathrm A}} . λ2<4mAk\lambda^2<4m_{\mathrm A}k(減衰振動)では x=(v/ωd)e−λt/(2mA)sin⁡ωdtx=(v/\omega_{\mathrm d})e^{-\lambda t/(2m_{\mathrm A})}\sin\omega_{\mathrm d}t、 ωd=4mAk−λ2/(2mA)\omega_{\mathrm d}=\sqrt{4m_{\mathrm A}k-\lambda^2}/(2m_{\mathrm A}) となり、t=π/ωdt=\pi/\omega_{\mathrm d} で必ず x<0x<0 に入るので不適である。 λ2>4mAk\lambda^2>4m_{\mathrm A}k(過減衰)では s1>s2s_1>s_2 がともに負の実数で x(t)=v(es1t−es2t)/(s1−s2)>0 (t>0)x(t)=v\left(e^{s_1t}-e^{s_2t}\right)/(s_1-s_2)>0\ (t>0) となり、正の側から指数関数的に x=0x=0 へ近づく。 λ2=4mAk\lambda^2=4m_{\mathrm A}k(臨界減衰)でも x=vte−λt/(2mA)>0x=vte^{-\lambda t/(2m_{\mathrm A})}>0 で同じである。したがって条件は λ≥2mAk \lambda\ge2\sqrt{m_{\mathrm A}k} である(原点への近づき方の記述を過減衰に限って読むなら不等号は狭義になる)。

棒の一端は xx 軸上、他端は zz 軸上にあり、棒が zz 軸となす角を φ\varphi(紙面上で時計回りを正)とする。両端の座標はそれぞれ (Lsin⁡φ, 0)(L\sin\varphi,\,0) と (0, −Lcos⁡φ)(0,\,-L\cos\varphi) であり、重心は x=L2sin⁡φ,z=−L2cos⁡φ x=\frac{L}{2}\sin\varphi,\qquad z=-\frac{L}{2}\cos\varphi である。x2+z2=L2/4x^2+z^2=L^2/4 なので、重心は原点を中心とする半径 L/2L/2 の円周上を動く。

線密度 M/LM/L の棒について、中点からの距離を ss として I=∫−L/2L/2MLs2 ds=ML⋅L312=ML212. I=\int_{-L/2}^{L/2}\frac{M}{L}s^2\,ds =\frac{M}{L}\cdot\frac{L^3}{12} =\frac{ML^2}{12}.

重力は zz 軸の負の向きなので U=Mgz+const.U=Mgz+\text{const.} である。φ=0\varphi=0 で U=0U=0 となるよう定数を選ぶと U(φ)=Mg(−L2cos⁡φ)−Mg(−L2)=MgL2(1−cos⁡φ). U(\varphi)=Mg\left(-\frac{L}{2}\cos\varphi\right)-Mg\left(-\frac{L}{2}\right) =\frac{MgL}{2}\bigl(1-\cos\varphi\bigr).

重心速度は x˙=L2φ˙cos⁡φ,z˙=L2φ˙sin⁡φ⟹x˙2+z˙2=L24φ˙2. \dot{x}=\frac{L}{2}\dot{\varphi}\cos\varphi,\qquad \dot{z}=\frac{L}{2}\dot{\varphi}\sin\varphi \quad\Longrightarrow\quad \dot{x}^2+\dot{z}^2=\frac{L^2}{4}\dot{\varphi}^2 . 重心運動と重心まわりの回転に分けると K=12M⋅L24φ˙2+12⋅ML212φ˙2=(18+124)ML2φ˙2=16ML2φ˙2. K=\frac12M\cdot\frac{L^2}{4}\dot{\varphi}^2 +\frac12\cdot\frac{ML^2}{12}\dot{\varphi}^2 =\left(\frac18+\frac1{24}\right)ML^2\dot{\varphi}^2 =\frac{1}{6}ML^2\dot{\varphi}^2 .

重心運動については、xx 方向に働く力は zz 軸からの抗力 DxD_x だけ、zz 方向に働く力は xx 軸からの抗力 DzD_z と重力だから Mx¨=Dx,Mz¨=Dz−Mg. M\ddot{x}=D_x,\qquad M\ddot{z}=D_z-Mg . 回転については、yy 軸が紙面の奥向きで (x,y,z)(x,y,z) が右手系であることから、紙面上の時計回りは +y+y まわりの回転にあたり、角速度は φ˙\dot{\varphi} の yy 成分である。重心から Δr⃗\Delta\vec{r} だけ離れた点に xx--zz 面内の力 F⃗\vec{F} が働くとき、重心まわりのトルクの yy 成分は Ny=ΔrzFx−ΔrxFzN_y=\Delta r_zF_x-\Delta r_xF_z である。抗力 Dzz^D_z\hat{z} の作用点は (Lsin⁡φ,0)(L\sin\varphi,0) で Δr⃗=(L2sin⁡φ, 0, L2cos⁡φ)\Delta\vec{r}=(\tfrac{L}{2}\sin\varphi,\,0,\,\tfrac{L}{2}\cos\varphi)、抗力 Dxx^D_x\hat{x} の作用点は (0,−Lcos⁡φ)(0,-L\cos\varphi) で Δr⃗=(−L2sin⁡φ, 0, −L2cos⁡φ)\Delta\vec{r}=(-\tfrac{L}{2}\sin\varphi,\,0,\,-\tfrac{L}{2}\cos\varphi) だから ML212φ¨=−L2Dzsin⁡φ−L2Dxcos⁡φ. \frac{ML^2}{12}\ddot{\varphi} =-\frac{L}{2}D_z\sin\varphi-\frac{L}{2}D_x\cos\varphi . 重力は重心に働くのでトルクを生まない。

重心の式を φ\varphi で書き直すと Dx=Mx¨=ML2(φ¨cos⁡φ−φ˙2sin⁡φ), D_x=M\ddot{x}=\frac{ML}{2}\bigl(\ddot{\varphi}\cos\varphi-\dot{\varphi}^2\sin\varphi\bigr), Dz=Mg+Mz¨=Mg+ML2(φ¨sin⁡φ+φ˙2cos⁡φ). D_z=Mg+M\ddot{z}=Mg+\frac{ML}{2}\bigl(\ddot{\varphi}\sin\varphi+\dot{\varphi}^2\cos\varphi\bigr). これらを 2-4) の回転の式に代入すると、φ˙2\dot{\varphi}^2 の項は sin⁡φcos⁡φ−cos⁡φsin⁡φ=0\sin\varphi\cos\varphi-\cos\varphi\sin\varphi=0 で消え、φ¨\ddot{\varphi} の項は sin⁡2φ+cos⁡2φ=1\sin^2\varphi+\cos^2\varphi=1 にまとまるので ML212φ¨=−MgL2sin⁡φ−ML24φ¨ \frac{ML^2}{12}\ddot{\varphi} =-\frac{MgL}{2}\sin\varphi-\frac{ML^2}{4}\ddot{\varphi} となる。移項して ML2/12+ML2/4=ML2/3ML^2/12+ML^2/4=ML^2/3 を使えば ML23φ¨=−MgL2sin⁡φ⟹φ¨+3g2Lsin⁡φ=0. \frac{ML^2}{3}\ddot{\varphi}=-\frac{MgL}{2}\sin\varphi \quad\Longrightarrow\quad \ddot{\varphi}+\frac{3g}{2L}\sin\varphi=0 .

2-2), 2-3) より E=K+U=16ML2φ˙2+MgL2(1−cos⁡φ) E=K+U=\frac{1}{6}ML^2\dot{\varphi}^2+\frac{MgL}{2}(1-\cos\varphi) である。時間微分すると dEdt=13ML2φ˙φ¨+MgL2φ˙sin⁡φ=13ML2φ˙(φ¨+3g2Lsin⁡φ)=0 \frac{dE}{dt} =\frac13ML^2\dot{\varphi}\ddot{\varphi}+\frac{MgL}{2}\dot{\varphi}\sin\varphi =\frac13ML^2\dot{\varphi}\left(\ddot{\varphi}+\frac{3g}{2L}\sin\varphi\right)=0 となり、2-5) の微分方程式から括弧の中が恒等的に0だから EE は保存する。

∣φ∣≪1|\varphi|\ll1 では sin⁡φ≃φ\sin\varphi\simeq\varphi として φ¨=−Ω2φ,Ω≡3g2L \ddot{\varphi}=-\Omega^2\varphi,\qquad \Omega\equiv\sqrt{\frac{3g}{2L}} となる。初期条件 φ(0)=0, φ˙(0)=ω0\varphi(0)=0,\ \dot{\varphi}(0)=\omega_0 を満たす解は φ(t)=ω0Ωsin⁡Ωt=ω02L3g  sin⁡ ⁣(3g2L  t). \varphi(t)=\frac{\omega_0}{\Omega}\sin\Omega t =\omega_0\sqrt{\frac{2L}{3g}}\; \sin\!\left(\sqrt{\frac{3g}{2L}}\;t\right). 振幅が ω0/Ω\omega_0/\Omega なので、この近似が正当なのは ω0≪3g/(2L)\omega_0\ll\sqrt{3g/(2L)} のときである。

最終答

1-1) vA=mBvmA+mBv_{\mathrm A}=\dfrac{m_{\mathrm B}v}{m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}}、xA=mBvk(mA+mB)sin⁡ω1tx_{\mathrm A}=\dfrac{m_{\mathrm B}v}{\sqrt{k(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})}}\sin\omega_1t。1-2) K前:K後=(mA+mB):mBK_{\text{前}}:K_{\text{後}}=(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}):m_{\mathrm B}。1-3) vA=2mBvmA+mB, vB=(mB−mA)vmA+mBv_{\mathrm A}=\dfrac{2m_{\mathrm B}v}{m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}},\ v_{\mathrm B}=\dfrac{(m_{\mathrm B}-m_{\mathrm A})v}{m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}}。1-4) xA=2v3mA/ksin⁡(k/mA t)x_{\mathrm A}=\frac{2v}{3}\sqrt{m_{\mathrm A}/k}\sin(\sqrt{k/m_{\mathrm A}}\,t)、xB=−vt/3x_{\mathrm B}=-vt/3、再衝突は t=πmA/kt=\pi\sqrt{m_{\mathrm A}/k}。1-5) λ≥2mAk\lambda\ge2\sqrt{m_{\mathrm A}k}

第3問 — 電磁気学:一様帯電球の電場と電位、回転する帯電球の磁束密度

検算

全電荷を Q=43πa3ρQ=\tfrac43\pi a^3\rho と書くと V(a)=Q/(4πε0a)V(a)=Q/(4\pi\varepsilon_0a)、V(0)=3Q/(8πε0a)V(0)=3Q/(8\pi\varepsilon_0a) で、一様帯電球の既知の値に一致する。比 V(0)/V(a)=3/2V(0)/V(a)=3/2 は覚えておくと速い。1-3) の角振動数は、一様な正電荷の背景中での振動なので金属中の電子のプラズマ振動と同じ形である。

失点しやすい点

1-2) で V(0)=∫0∞E drV(0)=\int_0^\infty E\,dr を計算するとき、積分区間を 0<r<a0<r<a と r>ar>a に分けず外部の式だけで積分すると発散する。1-3) は理由まで求められているので、単振動という結論だけでなく、電場が rr に比例するから復元力になる、という一行が要る。

設問2 回転する帯電球がつくる磁束密度

方針

2-2)〜2-5) は「1点の電流密度 →\rightarrow 1点の寄与 →\rightarrow 対称な2点の合成 →\rightarrow 全体の積分」という誘導である。合成の段で横向き成分が消えることを確かめておけば最後は zz 成分だけを扱えばよい。ビオ・サバールの法則を体積分布に使えるか、対称性から消える成分を先に見抜けるかを見る設問である。

検算

得られた BB は z−3z^{-3} に比例し、2-1) の双極子場という結論と整合する。一様に帯電した球が回転するときの磁気モーメントは m=15Qωa2=15⋅43πa3ρ⋅ωa2=4πρωa5/15m=\tfrac15Q\omega a^2=\tfrac15\cdot\tfrac43\pi a^3\rho\cdot\omega a^2=4\pi\rho\omega a^5/15 であり、双極子の軸上の場 B=μ0⋅2m/(4πz3)B=\mu_0\cdot2m/(4\pi z^3) に代入すると 2μ0ρωa5/(15z3)2\mu_0\rho\omega a^5/(15z^3) となって上の結果に一致する。

失点しやすい点

2-3) の外積では yy 成分がもともと0である。2-4) で「合成ベクトル」を片方の2倍と答えるのは誤りで、消えるのが xx 成分、2倍になるのが zz 成分である。2-5) では ∣r⃗−r⃗′∣3≃z3|\vec{r}-\vec{r}'|^3\simeq z^3 が z≫az\gg a の仮定によることを明記する。

解答

電荷分布は球対称なので電場は動径方向を向き、大きさは rr だけの関数である。半径 rr の同心球面にガウスの法則を適用する。

r≤ar\le a では球面内部の電荷が ρ⋅43πr3\rho\cdot\tfrac43\pi r^3 だから E(r)⋅4πr2=1ε0ρ43πr3⟹E(r)=ρr3ε0. E(r)\cdot4\pi r^2=\frac{1}{\varepsilon_0}\rho\frac{4}{3}\pi r^3 \quad\Longrightarrow\quad E(r)=\frac{\rho r}{3\varepsilon_0}. r>ar>a では内部の電荷が全電荷 Q=ρ⋅43πa3Q=\rho\cdot\tfrac43\pi a^3 なので E(r)⋅4πr2=1ε0ρ43πa3⟹E(r)=ρa33ε0r2. E(r)\cdot4\pi r^2=\frac{1}{\varepsilon_0}\rho\frac{4}{3}\pi a^3 \quad\Longrightarrow\quad E(r)=\frac{\rho a^3}{3\varepsilon_0r^2}. ρ>0\rho>0 なのでどちらも外向きである。r=ar=a で両者は ρa/(3ε0)\rho a/(3\varepsilon_0) となって連続につながる。

無限遠を基準にすると、r≥ar\ge a では点電荷 QQ と同じ電位になるので V(r)=∫r∞ρa33ε0r′2dr′=ρa33ε0r,V(a)=ρa23ε0. V(r)=\int_r^{\infty}\frac{\rho a^3}{3\varepsilon_0r'^2}dr' =\frac{\rho a^3}{3\varepsilon_0 r}, \qquad V(a)=\frac{\rho a^2}{3\varepsilon_0}. 中心の電位は、そこから球面まで内部の電場を積分した分だけ高い。 V(0)=V(a)+∫0aE(r) dr=ρa23ε0+∫0aρr3ε0dr=ρa23ε0+ρa26ε0=ρa22ε0. V(0)=V(a)+\int_0^aE(r)\,dr =\frac{\rho a^2}{3\varepsilon_0}+\int_0^a\frac{\rho r}{3\varepsilon_0}dr =\frac{\rho a^2}{3\varepsilon_0}+\frac{\rho a^2}{6\varepsilon_0} =\frac{\rho a^2}{2\varepsilon_0}.

球内では電場が中心からの距離に比例して外向きに働くので、電荷 e<0e<0 の点電荷が受ける力は F⃗=eE⃗=eρ3ε0r⃗=−∣e∣ρ3ε0r⃗ \vec{F}=e\vec{E}=\frac{e\rho}{3\varepsilon_0}\vec{r} =-\frac{|e|\rho}{3\varepsilon_0}\vec{r} となり、大きさが変位に比例して中心を向く復元力である。よって運動方程式は mr⃗¨=−(∣e∣ρ/3ε0)r⃗m\ddot{\vec{r}}=-(|e|\rho/3\varepsilon_0)\vec{r} で、点電荷は初期位置と中心について対称な点との間を、中心を通る直線上で単振動する。角振動数は ω=∣e∣ρ3ε0m \omega=\sqrt{\frac{|e|\rho}{3\varepsilon_0m}} で、初期位置によらない。

球全体の電流は閉じた円電流の重ね合わせであり、磁気単極子は存在しないので多重極展開の最低次は磁気双極子である。したがって遠方では双極子場だけが残り、大きさは B∝1r3 B\propto\frac{1}{r^3} にしたがって減衰する。

角速度ベクトルは ω⃗=ωz^\vec{\omega}=\omega\hat{z} だから、その点の速度は v⃗=ω⃗×r⃗=ωz^×xx^=ωx y^. \vec{v}=\vec{\omega}\times\vec{r} =\omega\hat{z}\times x\hat{x}=\omega x\,\hat{y}. よって j⃗=ρv⃗=ρωx y^=(0, ρωx, 0). \vec{j}=\rho\vec{v}=\rho\omega x\,\hat{y} =(0,\ \rho\omega x,\ 0).

r⃗′=(x,0,0)\vec{r}'=(x,0,0)、r⃗=(0,0,z)\vec{r}=(0,0,z) なので r⃗−r⃗′=(−x,0,z)\vec{r}-\vec{r}'=(-x,0,z)、∣r⃗−r⃗′∣=x2+z2|\vec{r}-\vec{r}'|=\sqrt{x^2+z^2} である。外積は j⃗(r⃗′)×(r⃗−r⃗′)=∣x^y^z^0ρωx0−x0z∣=(ρωxz, 0, ρωx2). \vec{j}(\vec{r}')\times(\vec{r}-\vec{r}') =\begin{vmatrix} \hat{x}&\hat{y}&\hat{z}\\ 0&\rho\omega x&0\\ -x&0&z \end{vmatrix} =\bigl(\rho\omega xz,\ 0,\ \rho\omega x^2\bigr). したがって ΔB⃗+=μ04πρωx(x2+z2)3/2(z, 0, x) ΔV′. \Delta\vec{B}_{+} =\frac{\mu_0}{4\pi}\frac{\rho\omega x}{(x^2+z^2)^{3/2}} \bigl(z,\ 0,\ x\bigr)\,\Delta V' .

r⃗′=(−x,0,0)\vec{r}'=(-x,0,0) では速度の向きが反転して j⃗=(0,−ρωx,0)\vec{j}=(0,-\rho\omega x,0) となり、r⃗−r⃗′=(x,0,z)\vec{r}-\vec{r}'=(x,0,z) だから j⃗×(r⃗−r⃗′)=∣x^y^z^0−ρωx0x0z∣=(−ρωxz, 0, ρωx2), \vec{j}\times(\vec{r}-\vec{r}') =\begin{vmatrix} \hat{x}&\hat{y}&\hat{z}\\ 0&-\rho\omega x&0\\ x&0&z \end{vmatrix} =\bigl(-\rho\omega xz,\ 0,\ \rho\omega x^2\bigr), ΔB⃗−=μ04πρωx(x2+z2)3/2(−z, 0, x) ΔV′. \Delta\vec{B}_{-} =\frac{\mu_0}{4\pi}\frac{\rho\omega x}{(x^2+z^2)^{3/2}} \bigl(-z,\ 0,\ x\bigr)\,\Delta V' . 距離が等しいので分母は共通で、xx 成分がちょうど打ち消し合う。合成すると ΔB⃗++ΔB⃗−=μ0ρωx22π(x2+z2)3/2 ΔV′  z^. \Delta\vec{B}_{+}+\Delta\vec{B}_{-} =\frac{\mu_0\rho\omega x^2}{2\pi(x^2+z^2)^{3/2}}\,\Delta V'\;\hat{z}.

2-4) が示すように、zz 軸に関して対称な2つの体積要素からは zz 成分だけが残る。電流分布も観測点も zz 軸まわりの回転に対して不変なので、この打ち消しは球内のどの対称な組についても成り立ち、全積分では x,yx,y 成分が消えて B⃗=Bzz^\vec{B}=B_z\hat{z} となる。

一般の点 r⃗′=(x′,y′,z′)\vec{r}'=(x',y',z') では j⃗=ρω(−y′, x′, 0)\vec{j}=\rho\omega(-y',\,x',\,0) であり、 r⃗−r⃗′=(−x′, −y′, z−z′)\vec{r}-\vec{r}'=(-x',\,-y',\,z-z') だから [j⃗×(r⃗−r⃗′)]z=jx(r⃗−r⃗′)y−jy(r⃗−r⃗′)x=ρω(x′2+y′2). \bigl[\vec{j}\times(\vec{r}-\vec{r}')\bigr]_z =j_x(\vec{r}-\vec{r}')_y-j_y(\vec{r}-\vec{r}')_x =\rho\omega\bigl(x'^2+y'^2\bigr). z≫az\gg a では球内のすべての点について ∣r⃗−r⃗′∣≃z|\vec{r}-\vec{r}'|\simeq z と置いてよいので Bz≃μ0ρω4πz3∫(x′2+y′2)dV′. B_z\simeq\frac{\mu_0\rho\omega}{4\pi z^3}\int\bigl(x'^2+y'^2\bigr)dV' . 極座標 (r′,θ,ϕ)(r',\theta,\phi) をとると x′2+y′2=r′2sin⁡2θx'^2+y'^2=r'^2\sin^2\theta、dV′=r′2sin⁡θ dr′dθ dϕdV'=r'^2\sin\theta\,dr'd\theta\,d\phi だから ∫(x′2+y′2)dV′=2π∫0ar′4dr′∫0πsin⁡3θ dθ=2π⋅a55⋅43=8πa515. \int\bigl(x'^2+y'^2\bigr)dV' =2\pi\int_0^ar'^4dr'\int_0^{\pi}\sin^3\theta\,d\theta =2\pi\cdot\frac{a^5}{5}\cdot\frac{4}{3} =\frac{8\pi a^5}{15}. よって B⃗=μ0ρω4πz3⋅8πa515 z^=2μ0ρωa515 z3 z^. \vec{B}=\frac{\mu_0\rho\omega}{4\pi z^3}\cdot\frac{8\pi a^5}{15}\,\hat{z} =\frac{2\mu_0\rho\omega a^5}{15\,z^3}\,\hat{z}.

最終答

E=ρr3ε0 (r≤a)E=\dfrac{\rho r}{3\varepsilon_0}\ (r\le a)、E=ρa33ε0r2 (r>a)E=\dfrac{\rho a^3}{3\varepsilon_0r^2}\ (r>a)。V(a)=ρa23ε0V(a)=\dfrac{\rho a^2}{3\varepsilon_0}、V(0)=ρa22ε0V(0)=\dfrac{\rho a^2}{2\varepsilon_0}。点電荷は中心を通る直線上を角振動数 ∣e∣ρ/(3ε0m)\sqrt{|e|\rho/(3\varepsilon_0m)} で単振動する。

第4問 — 量子力学:無限に高い球形井戸とスピン1の粒子

方針

R=χ/rR=\chi/r と置き換えると動径方程式が1次元の井戸型問題そのものになる、というのが誘導の要点である。1次元との違いは境界条件で、r=0r=0 は「壁」ではないのに χ(0)=0\chi(0)=0 を課す。これは R=χ/rR=\chi/r が原点で有限であるための条件であって、無限に高い壁のためではない。

検算

∫0a(2/a)sin⁡2(nπr/a)dr=1\int_0^a(2/a)\sin^2(n\pi r/a)dr=1 なので σ(r)\sigma(r) は正しく規格化されている。 En,0=n2π2ℏ2/(2ma2)E_{n,0}=n^2\pi^2\hbar^2/(2ma^2) が1次元の幅 aa の無限井戸と同じ式になるのは、χ\chi の方程式と境界条件 χ(0)=χ(a)=0\chi(0)=\chi(a)=0 が1次元と同型だからで、一致して正しい。1-4) は次元でも確かめられる。[ℏ2/(mB)]=(J s)2/(kg⋅J/m3)=m5[\hbar^2/(mB)]=(\mathrm{J\,s})^2/(\mathrm{kg\cdot J/m^3})=\mathrm{m^5} なので、その 1/51/5 乗は長さである。

失点しやすい点

1-2) の規格化で dV=4πr2drdV=4\pi r^2dr の r2r^2 と ∣R∣2=∣χ∣2/r2|R|^2=|\chi|^2/r^2 の r−2r^{-2} が相殺することを見落とし、 ∫sin⁡2\int\sin^2 ではなく ∫r−2sin⁡2\int r^{-2}\sin^2 を計算しようとする誤りが多い。1-3) は節の位置が読み取れる図が求められているので、内部の節 r=a/3, 2a/3r=a/3,\ 2a/3 を必ず書き込む。端の r=0r=0 と r=ar=a も0である。

設問2 スピン1の粒子と一様磁場

検算

2-6) の確率は他の2つと合わせて1になるはずである。同様に計算すると ∣p⃗x  †χ⃗(t)∣2=cos⁡4ωt2,∣o⃗x  †χ⃗(t)∣2=sin⁡2ωt2 \bigl|\vec{p}_x^{\;\dagger}\vec{\chi}(t)\bigr|^2=\cos^4\frac{\omega t}{2}, \qquad \bigl|\vec{o}_x^{\;\dagger}\vec{\chi}(t)\bigr|^2=\frac{\sin^2\omega t}{2} (o⃗x=12(1,0,−1)T\vec{o}_x=\tfrac{1}{\sqrt2}(1,0,-1)^{\mathrm T} は s^x\hat{s}_x の固有値0の状態)となり、 sin⁡2ωt=4sin⁡2(ωt/2)cos⁡2(ωt/2)\sin^2\omega t=4\sin^2(\omega t/2)\cos^2(\omega t/2) を使えば3つの和は (cos⁡2ωt2+sin⁡2ωt2)2=1\bigl(\cos^2\tfrac{\omega t}{2}+\sin^2\tfrac{\omega t}{2}\bigr)^2=1 になる。t=0t=0 で反転確率0、ωt=π\omega t=\pi で1となり、周期 2πℏ/(μB)2\pi\hbar/(\mu B) の歳差運動という描像と合う。

方針

2-3) 以降はすべて「s^z\hat{s}_z の固有基底で書く」だけで進む。磁場が zz 方向なので H^\hat{H} は最初から対角であり、時間発展は各成分に位相因子が付くだけである。難しく見える 2-6) も、初期状態を s^z\hat{s}_z 基底で展開し、位相を付け、n⃗x\vec{n}_x と内積を取る、という3手で終わる。

失点しやすい点

2-2) の規格化定数を 1/21/\sqrt2 や 1/31/\sqrt3 と誤りやすい。中央成分が 2\sqrt2 なのでノルムの2乗は 1+2+1=41+2+1=4 であり、規格化因子は 1/21/2 である。この係数を間違えると 2-4) の確率が 1/4,1/2,1/41/4,1/2,1/4 にならず、和が1にならないのですぐ気づける。2-5) では iℏc˙1=−μBc1i\hbar\dot{c}_1=-\mu Bc_1 を解いた指数の符号を落としやすい。c1c_1 の位相は e+iωte^{+i\omega t}、c3c_3 は e−iωte^{-i\omega t} である。

答案で書くべき点

2-4) は1回だけの測定と多数回の測定を区別して書くことが求められている。1回では確率的に3つの固有値のどれか1つだけが得られ、確率は測定を繰り返したときの頻度として現れる、という射影測定の解釈を一文で述べてから数値を出すとよい。

解答

L^2\hat{L}^2 の固有値は ℏ2ℓ(ℓ+1)\hbar^2\ell(\ell+1) である。したがって A=ℏ2ℓ(ℓ+1). A=\hbar^2\ell(\ell+1).

ℓ=0\ell=0 では A=0A=0 であり、r<ar<a で V=0V=0 だから、Rn,0=χn(r)/rR_{n,0}=\chi_n(r)/r と置くと動径方程式は −ℏ22m1rd2χndr2=En,0χnr⟹d2χndr2+k2χn=0,k2≡2mEn,0ℏ2 -\frac{\hbar^2}{2m}\frac{1}{r}\frac{d^2\chi_n}{dr^2} =E_{n,0}\frac{\chi_n}{r} \quad\Longrightarrow\quad \frac{d^2\chi_n}{dr^2}+k^2\chi_n=0, \qquad k^2\equiv\frac{2mE_{n,0}}{\hbar^2} という自由粒子と同じ形になる。境界条件は2つある。原点で Rn,0=χn/rR_{n,0}=\chi_n/r が発散しないためには χn(0)=0\chi_n(0)=0、壁が無限に高いので r≥ar\ge a で波動関数が0であり連続性から χn(a)=0\chi_n(a)=0 である。 χn(0)=0\chi_n(0)=0 より χn=Csin⁡kr\chi_n=C\sin kr の形に限られ、χn(a)=0\chi_n(a)=0 より ka=nπ(n=1,2,… )⟹En,0=ℏ2k22m=n2π2ℏ22ma2. ka=n\pi\quad(n=1,2,\dots) \quad\Longrightarrow\quad E_{n,0}=\frac{\hbar^2k^2}{2m}=\frac{n^2\pi^2\hbar^2}{2ma^2}. 規格化条件は、角度依存性がないので dV=4πr2drdV=4\pi r^2dr として ∫0a∣χnr∣24πr2 dr=4πC2∫0asin⁡2nπra dr=4πC2⋅a2=2πaC2=1 \int_0^a\left|\frac{\chi_n}{r}\right|^2 4\pi r^2\,dr =4\pi C^2\int_0^a\sin^2\frac{n\pi r}{a}\,dr =4\pi C^2\cdot\frac{a}{2}=2\pi aC^2=1 より C=1/2πaC=1/\sqrt{2\pi a} である。よって Rn,0(r)=12πa 1rsin⁡nπra(0≤r≤a). R_{n,0}(r)=\frac{1}{\sqrt{2\pi a}}\,\frac{1}{r}\sin\frac{n\pi r}{a} \qquad(0\le r\le a).

半径 rr から r+drr+dr の球殻に粒子が存在する確率は σ(r)dr=∣Rn,0∣2 4πr2dr=4πC2sin⁡2nπra dr⟹σ(r)=2asin⁡2nπra. \sigma(r)dr=|R_{n,0}|^2\,4\pi r^2dr=4\pi C^2\sin^2\frac{n\pi r}{a}\,dr \quad\Longrightarrow\quad \sigma(r)=\frac{2}{a}\sin^2\frac{n\pi r}{a}. n=3n=3 では σ(r)=(2/a)sin⁡2(3πr/a)\sigma(r)=(2/a)\sin^2(3\pi r/a) となり、r=0, a/3, 2a/3, ar=0,\ a/3,\ 2a/3,\ a で0、 r=a/6, a/2, 5a/6r=a/6,\ a/2,\ 5a/6 で最大値 2/a2/a をとる。

基底状態は ℓ=0, n=1\ell=0,\ n=1 なので、半径 rr の井戸に粒子が1つあるときの全系のエネルギーは、井戸を広げるのに要したエネルギー B×(体積)B\times(\text{体積}) を加えて Etot(r)=π2ℏ22mr2+43πBr3 E_{\text{tot}}(r)=\frac{\pi^2\hbar^2}{2mr^2}+\frac{4}{3}\pi Br^3 である。極値条件は dEtotdr=−π2ℏ2mr3+4πBr2=0⟹r5=πℏ24mB \frac{dE_{\text{tot}}}{dr}=-\frac{\pi^2\hbar^2}{mr^3}+4\pi Br^2=0 \quad\Longrightarrow\quad r^5=\frac{\pi\hbar^2}{4mB} だから r0=(πℏ24mB)1/5. r_0=\left(\frac{\pi\hbar^2}{4mB}\right)^{1/5}. 2階微分は 3π2ℏ2/(mr4)+8πBr>03\pi^2\hbar^2/(mr^4)+8\pi Br>0 なのでこれは極小であり、r→0r\to0 と r→∞r\to\infty でともに Etot→∞E_{\text{tot}}\to\infty だから最小値を与える。

交換関係 [s^z,s^x]=is^y[\hat{s}_z,\hat{s}_x]=i\hat{s}_y を使って s^y=−i[s^z,s^x]\hat{s}_y=-i[\hat{s}_z,\hat{s}_x] を計算する。 s^zs^x=12(0100000−10),s^xs^z=12(00010−1000) \hat{s}_z\hat{s}_x=\frac{1}{\sqrt2} \begin{pmatrix}0&1&0\\0&0&0\\0&-1&0\end{pmatrix}, \qquad \hat{s}_x\hat{s}_z=\frac{1}{\sqrt2} \begin{pmatrix}0&0&0\\1&0&-1\\0&0&0\end{pmatrix} より [s^z,s^x]=12(010−1010−10),s^y=12(0−i0i0−i0i0). [\hat{s}_z,\hat{s}_x]=\frac{1}{\sqrt2} \begin{pmatrix}0&1&0\\-1&0&1\\0&-1&0\end{pmatrix}, \qquad \hat{s}_y=\frac{1}{\sqrt2} \begin{pmatrix}0&-i&0\\ i&0&-i\\ 0&i&0\end{pmatrix}.

s^x(v1,v2,v3)T=λ(v1,v2,v3)T\hat{s}_x(v_1,v_2,v_3)^{\mathrm T}=\lambda(v_1,v_2,v_3)^{\mathrm T} は成分で書くと v22=λv1,v1+v32=λv2,v22=λv3. \frac{v_2}{\sqrt2}=\lambda v_1,\qquad \frac{v_1+v_3}{\sqrt2}=\lambda v_2,\qquad \frac{v_2}{\sqrt2}=\lambda v_3 . λ=+1\lambda=+1 では v1=v3=v2/2v_1=v_3=v_2/\sqrt2 で、第2式も自動的に満たされる。v1=1v_1=1 と取れば (1,2,1)(1,\sqrt2,1) で、ノルムは 1+2+1=2\sqrt{1+2+1}=2 だから p⃗x=12(121). \vec{p}_x=\frac12\begin{pmatrix}1\\ \sqrt2\\ 1\end{pmatrix}. λ=−1\lambda=-1 では v1=v3=−v2/2v_1=v_3=-v_2/\sqrt2 で、同様に n⃗x=12(1−21). \vec{n}_x=\frac12\begin{pmatrix}1\\ -\sqrt2\\ 1\end{pmatrix}. 両者は直交する(p⃗x⋅n⃗x=(1−2+1)/4=0\vec{p}_x\cdot\vec{n}_x=(1-2+1)/4=0)。

B⃗=(0,0,B)\vec{B}=(0,0,B) なので H^=−μB⃗⋅s⃗^=−μBs^z=−μB(10000000−1) \hat{H}=-\mu\vec{B}\cdot\hat{\vec{s}}=-\mu B\hat{s}_z =-\mu B\begin{pmatrix}1&0&0\\0&0&0\\0&0&-1\end{pmatrix} であり、すでに対角である。固有値と固有状態は E1=−μB: (100),E2=0: (010),E3=+μB: (001). E_1=-\mu B:\ \begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}, \qquad E_2=0:\ \begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}, \qquad E_3=+\mu B:\ \begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}.

p⃗x\vec{p}_x は H^\hat{H} の固有状態ではなく、3つの固有状態の重ね合わせ p⃗x=12(100)+22(010)+12(001) \vec{p}_x=\frac12\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix} +\frac{\sqrt2}{2}\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix} +\frac12\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix} である。1回の測定で得られる値は固有値 −μB, 0, +μB-\mu B,\ 0,\ +\mu B のいずれか1つに限られ、どれが出るかは事前には決まらない。測定を多数回繰り返したときの相対頻度は展開係数の絶対値の2乗で与えられ、 P(−μB)=∣12∣2=14,P(0)=∣22∣2=12,P(+μB)=14. P(-\mu B)=\left|\frac12\right|^2=\frac14,\quad P(0)=\left|\frac{\sqrt2}{2}\right|^2=\frac12,\quad P(+\mu B)=\frac14 . 和は1で、期待値は (−μB)(1/4)+0+(μB)(1/4)=0(-\mu B)(1/4)+0+(\mu B)(1/4)=0 である。

H^\hat{H} が対角なので、シュレーディンガー方程式は成分ごとに分離する。 iℏc˙1=−μBc1,iℏc˙2=0,iℏc˙3=+μBc3. i\hbar\dot{c}_1=-\mu Bc_1,\qquad i\hbar\dot{c}_2=0,\qquad i\hbar\dot{c}_3=+\mu Bc_3 . ω≡μB/ℏ\omega\equiv\mu B/\hbar とおくと、初期条件 ci(0)=cic_i(0)=c_i のもとで χ⃗(t)=(c1eiωtc2c3e−iωt),ω=μBℏ. \vec{\chi}(t)= \begin{pmatrix} c_1e^{i\omega t}\\ c_2\\ c_3e^{-i\omega t} \end{pmatrix}, \qquad \omega=\frac{\mu B}{\hbar}.

χ⃗(0)=p⃗x\vec{\chi}(0)=\vec{p}_x すなわち (c1,c2,c3)=12(1,2,1)(c_1,c_2,c_3)=\tfrac12(1,\sqrt2,1) だから χ⃗(t)=12(eiωt2e−iωt). \vec{\chi}(t)=\frac12 \begin{pmatrix}e^{i\omega t}\\ \sqrt2\\ e^{-i\omega t}\end{pmatrix}. スピンの反転とは xx 方向のスピンが −1-1 の状態 n⃗x\vec{n}_x にあることだから、求める確率は n⃗x  †χ⃗(t)=12⋅12(eiωt−2⋅2+e−iωt)=14(2cos⁡ωt−2)=−1−cos⁡ωt2=−sin⁡2ωt2 \vec{n}_x^{\;\dagger}\vec{\chi}(t) =\frac12\cdot\frac12\bigl(e^{i\omega t}-\sqrt2\cdot\sqrt2+e^{-i\omega t}\bigr) =\frac{1}{4}\bigl(2\cos\omega t-2\bigr) =-\frac{1-\cos\omega t}{2} =-\sin^2\frac{\omega t}{2} より P反転(t)=∣n⃗x  †χ⃗(t)∣2=sin⁡4ωt2=sin⁡4 ⁣(μBt2ℏ). P_{\text{反転}}(t)=\bigl|\vec{n}_x^{\;\dagger}\vec{\chi}(t)\bigr|^2 =\sin^4\frac{\omega t}{2} =\sin^4\!\left(\frac{\mu Bt}{2\hbar}\right).

最終答

A=ℏ2ℓ(ℓ+1)A=\hbar^2\ell(\ell+1)、En,0=n2π2ℏ22ma2E_{n,0}=\dfrac{n^2\pi^2\hbar^2}{2ma^2}、Rn,0=12πasin⁡(nπr/a)rR_{n,0}=\dfrac{1}{\sqrt{2\pi a}}\dfrac{\sin(n\pi r/a)}{r}、σ(r)=2asin⁡2nπra\sigma(r)=\dfrac{2}{a}\sin^2\dfrac{n\pi r}{a}、r0=(πℏ24mB)1/5r_0=\left(\dfrac{\pi\hbar^2}{4mB}\right)^{1/5}

第5問 — 統計力学:3準位系のミクロカノニカル解析と、一般の分散関係をもつ自由粒子

方針

ミクロカノニカルの筋書きどおり、状態数を数え、対数を取り、拘束条件(粒子数とエネルギー)のもとで最大化する。1-5) の n22=n1n3n_2^2=n_1n_3 は等比数列の条件であり、この時点で分布がボルツマン型 ni∝e−βεin_i\propto e^{-\beta\varepsilon_i} であることがほぼ決まっている。あとは温度の定義 1/T=∂S/∂E1/T=\partial S/\partial E が公比を e−βΔe^{-\beta\Delta} に固定する。

検算

高温極限 βΔ→0\beta\Delta\to0 では ϵˉ→−2βΔ/3→0\bar\epsilon\to-2\beta\Delta/3\to0 で3準位が等確率に近づき、低温極限 βΔ→∞\beta\Delta\to\infty では ϵˉ→−1\bar\epsilon\to-1 で全粒子が最低準位 −Δ-\Delta に落ちる。1-5) で ϵ=0\epsilon=0 とすると 2n2=1−n22n_2=1-n_2 すなわち n2=1/3n_2=1/3 となり、無限温度で等確率という描像とも一致する。

失点しやすい点

1-6) で「n2n_2 も ϵ\epsilon に依存するのに偏微分でよいのか」という点を飛ばすと論理が抜ける。最大条件 ∂S/∂n2=0\partial S/\partial n_2=0 が成り立っているので、n2n_2 を通した寄与が消えることを一言書く。また 1-3) でスターリングの −N-N と +∑iNi+\sum_iN_i の相殺を書かないと、余分な定数が残った式になる。

答案で書くべき点

1-4) は導出そのものが問われるので、N1,N3N_1,N_3 を ϵ,n2\epsilon,n_2 で表す段と、Nilog⁡NiN_i\log N_i から Nlog⁡NN\log N が相殺して −N∑nilog⁡ni-N\sum n_i\log n_i になる段の2つを式で示す。この2段を書けば残りは代入だけである。

設問2 一般の分散関係をもつ dd 次元自由粒子

方針

2-2) 以降はすべて「累積状態数 N(E)∝Ed/n\mathcal{N}(E)\propto E^{d/n} を微分する」という一手に帰着する。2-4) は変数変換で β\beta のべきを数えるだけ、2-5) は分子と分母のべきの比を取るだけで、定数 cc や CdC_d は最後に消えるから dd 次元球の体積の具体形は要らない。

検算

非相対論的自由粒子 n=2, d=3n=2,\ d=3 では ϵ0=3ϵF/5\epsilon_0=3\epsilon_{\mathrm F}/5 となり、よく知られた結果に一致する。光子気体 n=1, d=3n=1,\ d=3(化学ポテンシャル0のボース粒子)では α=3\alpha=3 で、光子数密度が T3T^3 に比例するという事実と合う。 2-1) は具体例でも確かめられる。n=2n=2 では A=ℏ2/(2m)A=\hbar^2/(2m) で、 [ℏ2/m]=J2s2/kg=kg m4s−2=ML4T−2[\hbar^2/m]=\mathrm{J^2s^2/kg}=\mathrm{kg\,m^4s^{-2}}=\mathrm{ML^4T^{-2}} となり、n+2=4n+2=4 と一致する。

失点しやすい点

2-2) で (2π)3(2\pi)^3 を (2π)2(2\pi)^2 や h3h^3 と書き分ける段で係数を落としやすい。波数空間で数えるときの1状態あたりの体積は (2π)d/V(2\pi)^d/V であり、運動量空間の hd/Vh^d/V とは ℏ\hbar の分だけ異なる。2-4) では β\beta のべきを数えるとき、変数変換で出る 1/β1/\beta(dEdE 由来)を忘れると α\alpha が (d−n)/n(d-n)/n になってしまう。

この設問が試していること

状態密度がべき則になるという事実の暗記ではなく、分散関係と空間次元から指数を導けるかを見ている。α=d/n\alpha=d/n も ϵ0=dϵF/(d+n)\epsilon_0=d\epsilon_{\mathrm F}/(d+n) も既知の3次元非相対論的な結果の一般化なので、n=2,d=3n=2,d=3 を入れて確かめる習慣があれば誤りはその場で気づける。

解答

ボルツマンの関係式より S=kBlog⁡W. S=k_{\mathrm B}\log W .

NN 個の区別できる粒子を、状態1に N1N_1 個、状態2に N2N_2 個、状態3に N3N_3 個振り分ける場合の数だから W=N!N1! N2! N3!,N1+N2+N3=N. W=\frac{N!}{N_1!\,N_2!\,N_3!}, \qquad N_1+N_2+N_3=N .

log⁡W=log⁡N!−∑ilog⁡Ni!\log W=\log N!-\sum_i\log N_i! にスターリングの公式を用いると log⁡W≃(Nlog⁡N−N)−∑i=13(Nilog⁡Ni−Ni)=Nlog⁡N−∑i=13Nilog⁡Ni \log W\simeq(N\log N-N)-\sum_{i=1}^{3}\bigl(N_i\log N_i-N_i\bigr) =N\log N-\sum_{i=1}^{3}N_i\log N_i となる(∑iNi=N\sum_iN_i=N より −N-N と +∑iNi+\sum_iN_i が相殺する)。したがって S=kB(Nlog⁡N−N1log⁡N1−N2log⁡N2−N3log⁡N3). S=k_{\mathrm B}\left(N\log N-N_1\log N_1-N_2\log N_2-N_3\log N_3\right).

全エネルギーは E=N1Δ+N2⋅0+N3(−Δ)=(N1−N3)ΔE=N_1\Delta+N_2\cdot0+N_3(-\Delta)=(N_1-N_3)\Delta で、これが NϵΔN\epsilon\Delta に等しいから N1−N3=ϵN,N1+N3=N−N2=(1−n2)N. N_1-N_3=\epsilon N,\qquad N_1+N_3=N-N_2=(1-n_2)N . 辺々を足し引きして N1=1+ϵ−n22N,N3=1−ϵ−n22N,N2=n2N. N_1=\frac{1+\epsilon-n_2}{2}N,\qquad N_3=\frac{1-\epsilon-n_2}{2}N,\qquad N_2=n_2N . 一方、ni≡Ni/Nn_i\equiv N_i/N と書くと 1-3) の括弧の中は Nlog⁡N−∑iNni(log⁡N+log⁡ni)=Nlog⁡N−Nlog⁡N−N∑inilog⁡ni=−N∑inilog⁡ni N\log N-\sum_iNn_i\bigl(\log N+\log n_i\bigr) =N\log N-N\log N-N\sum_in_i\log n_i =-N\sum_in_i\log n_i となる(∑ini=1\sum_in_i=1 を用いた)。よって S=−kBN∑i=13nilog⁡ni S=-k_{\mathrm B}N\sum_{i=1}^{3}n_i\log n_i であり、上で求めた n1,n2,n3n_1,n_2,n_3 を代入すれば S=−kBN[1+ϵ−n22log⁡1+ϵ−n22+n2log⁡n2+1−ϵ−n22log⁡1−ϵ−n22] S=-k_{\mathrm B}N\left[ \frac{1+\epsilon-n_2}{2}\log\frac{1+\epsilon-n_2}{2} +n_2\log n_2 +\frac{1-\epsilon-n_2}{2}\log\frac{1-\epsilon-n_2}{2}\right] となって、求める形が得られる。

a=n1, b=n2, c=n3a=n_1,\ b=n_2,\ c=n_3 と略記する。N,ϵN,\epsilon を固定して n2n_2 だけを動かすと ∂a∂n2=−12,∂b∂n2=1,∂c∂n2=−12 \frac{\partial a}{\partial n_2}=-\frac12,\qquad \frac{\partial b}{\partial n_2}=1,\qquad \frac{\partial c}{\partial n_2}=-\frac12 である。S/(−kBN)=alog⁡a+blog⁡b+clog⁡cS/(-k_{\mathrm B}N)=a\log a+b\log b+c\log c を n2n_2 で微分すると −1kBN∂S∂n2=−log⁡a+12+(log⁡b+1)−log⁡c+12=log⁡b−12log⁡(ac) -\frac{1}{k_{\mathrm B}N}\frac{\partial S}{\partial n_2} =-\frac{\log a+1}{2}+(\log b+1)-\frac{\log c+1}{2} =\log b-\frac12\log(ac) となる。SS が最大のときこれが0だから b2=ac⟺n22=(1−n2)+ϵ2⋅(1−n2)−ϵ2=(1−n2)2−ϵ24, b^2=ac \quad\Longleftrightarrow\quad n_2^2=\frac{(1-n_2)+\epsilon}{2}\cdot\frac{(1-n_2)-\epsilon}{2} =\frac{(1-n_2)^2-\epsilon^2}{4}, すなわち (2n2)2=(1−n2)2−ϵ2. (2n_2)^2=(1-n_2)^2-\epsilon^2 .

温度は 1/T=∂S/∂E1/T=\partial S/\partial E で定義される。E=NϵΔE=N\epsilon\Delta であり、平衡では n2n_2 が 1-5) の条件で決まっていて ∂S/∂n2=0\partial S/\partial n_2=0 だから、n2n_2 を通した寄与は落ちて 1T=1NΔ(∂S∂ϵ)n2 \frac{1}{T}=\frac{1}{N\Delta}\left(\frac{\partial S}{\partial\epsilon}\right)_{n_2} としてよい。∂a/∂ϵ=1/2, ∂c/∂ϵ=−1/2, ∂b/∂ϵ=0\partial a/\partial\epsilon=1/2,\ \partial c/\partial\epsilon=-1/2,\ \partial b/\partial\epsilon=0 なので (∂S∂ϵ)n2=−kBN[log⁡a+12−log⁡c+12]=−kBN2log⁡ac \left(\frac{\partial S}{\partial\epsilon}\right)_{n_2} =-k_{\mathrm B}N\left[\frac{\log a+1}{2}-\frac{\log c+1}{2}\right] =-\frac{k_{\mathrm B}N}{2}\log\frac{a}{c} となり、 1T=−kB2Δlog⁡n1n3⟹n1n3=e−2βΔ. \frac{1}{T}=-\frac{k_{\mathrm B}}{2\Delta}\log\frac{n_1}{n_3} \quad\Longrightarrow\quad \frac{n_1}{n_3}=e^{-2\beta\Delta}. 1-5) の n22=n1n3n_2^2=n_1n_3 と合わせると、C>0C>0 を用いて n1=Ce−βΔ,n2=C,n3=CeβΔ n_1=Ce^{-\beta\Delta},\qquad n_2=C,\qquad n_3=Ce^{\beta\Delta} と書ける(各準位のエネルギー Δ,0,−Δ\Delta,0,-\Delta に対するボルツマン因子である)。規格化 ∑ini=1\sum_in_i=1 より C(e−βΔ+1+eβΔ)=1⟹C=11+2cosh⁡(βΔ). C\bigl(e^{-\beta\Delta}+1+e^{\beta\Delta}\bigr)=1 \quad\Longrightarrow\quad C=\frac{1}{1+2\cosh(\beta\Delta)} . したがって平衡状態の平均エネルギーは ϵˉ=n1−n3=C(e−βΔ−eβΔ)=−2sinh⁡(βΔ)1+2cosh⁡(βΔ). \bar\epsilon=n_1-n_3=C\bigl(e^{-\beta\Delta}-e^{\beta\Delta}\bigr) =-\frac{2\sinh(\beta\Delta)}{1+2\cosh(\beta\Delta)} .

E=A∣k⃗∣nE=A|\vec{k}|^n で、エネルギーの次元は [E]=ML2T−2[E]=\mathrm{ML^2T^{-2}}、波数の次元は [k]=L−1[k]=\mathrm{L^{-1}} である。よって [A]=[E][k]n=ML2T−2⋅Ln=ML n+2T−2. [A]=\frac{[E]}{[k]^n}=\mathrm{ML^2T^{-2}}\cdot\mathrm{L}^{n} =\mathrm{ML}^{\,n+2}\mathrm{T^{-2}} .

波数の大きさが kk 以下の状態数は、単位体積あたり 1(2π)3⋅43πk3=k36π2 \frac{1}{(2\pi)^3}\cdot\frac{4}{3}\pi k^3=\frac{k^3}{6\pi^2} である。E=Ak2E=Ak^2 より k=(E/A)1/2k=(E/A)^{1/2} だから、エネルギーが EE 以下の状態数は N(E)=16π2(EA)3/2. \mathcal{N}(E)=\frac{1}{6\pi^2}\left(\frac{E}{A}\right)^{3/2}. これを EE で微分して ρ(E)=dNdE=16π2⋅32⋅E1/2A3/2=E4π2A3/2. \rho(E)=\frac{d\mathcal{N}}{dE} =\frac{1}{6\pi^2}\cdot\frac{3}{2}\cdot\frac{E^{1/2}}{A^{3/2}} =\frac{\sqrt{E}}{4\pi^2A^{3/2}} .

dd 次元では、半径 kk の球の体積を CdkdC_dk^d(CdC_d は dd だけで決まる定数)として、単位体積あたりの状態数は N(E)=Cd(2π)dkd=Cd(2π)d(EA)d/n∝Ed/n \mathcal{N}(E)=\frac{C_d}{(2\pi)^d}k^d =\frac{C_d}{(2\pi)^d}\left(\frac{E}{A}\right)^{d/n}\propto E^{d/n} である。したがって ρ(E)=dNdE∝Ed/n−1=E(d−n)/n. \rho(E)=\frac{d\mathcal{N}}{dE}\propto E^{d/n-1}=E^{(d-n)/n}. (n=2,d=3n=2,d=3 では指数が 1/21/2 となり 2-2) と一致する。)

μ=0\mu=0 のボース分布を用いると、単位体積あたりの粒子数は ρ(E)=cE(d−n)/n\rho(E)=cE^{(d-n)/n} として NV=∫0∞ρ(E)eβE−1 dE=c∫0∞E(d−n)/neβE−1 dE. \frac{N}{V}=\int_0^{\infty}\frac{\rho(E)}{e^{\beta E}-1}\,dE =c\int_0^{\infty}\frac{E^{(d-n)/n}}{e^{\beta E}-1}\,dE . u=βEu=\beta E と変数変換すると E=u/β, dE=du/βE=u/\beta,\ dE=du/\beta だから NV=c β−d−nn−1∫0∞u(d−n)/neu−1 du=c I β−d/n=c I (kBT)d/n, \frac{N}{V} =c\,\beta^{-\frac{d-n}{n}-1}\int_0^{\infty}\frac{u^{(d-n)/n}}{e^u-1}\,du =c\,I\,\beta^{-d/n} =c\,I\,(k_{\mathrm B}T)^{d/n}, ここで I=∫0∞u(d−n)/n(eu−1)−1duI=\int_0^{\infty}u^{(d-n)/n}(e^u-1)^{-1}du は温度によらない定数である(u→0u\to0 で被積分関数は u(d−2n)/nu^{(d-2n)/n} のように振る舞うので、収束するには d>nd>n が必要である)。よって N∝TαN\propto T^{\alpha} で α=dn. \alpha=\frac{d}{n}.

T=0T=0 ではフェルミ分布が階段関数になり、E≤ϵFE\le\epsilon_{\mathrm F} の状態がすべて占有される。単位体積あたりの粒子数とエネルギーは NV=∫0ϵFcEd−nndE=cnd ϵF d/n,UV=∫0ϵFcEd−nn+1dE=cnd+n ϵF (d+n)/n \frac{N}{V}=\int_0^{\epsilon_{\mathrm F}}cE^{\frac{d-n}{n}}dE =\frac{cn}{d}\,\epsilon_{\mathrm F}^{\,d/n}, \qquad \frac{U}{V}=\int_0^{\epsilon_{\mathrm F}}cE^{\frac{d-n}{n}+1}dE =\frac{cn}{d+n}\,\epsilon_{\mathrm F}^{\,(d+n)/n} である。したがって一粒子あたりの平均エネルギーは ϵ0=UN=cn ϵF (d+n)/n/(d+n)cn ϵF d/n/d=dd+n ϵF. \epsilon_0=\frac{U}{N} =\frac{cn\,\epsilon_{\mathrm F}^{\,(d+n)/n}/(d+n)} {cn\,\epsilon_{\mathrm F}^{\,d/n}/d} =\frac{d}{d+n}\,\epsilon_{\mathrm F}.

最終答

S=kBlog⁡WS=k_{\mathrm B}\log W、W=N!N1!N2!N3!W=\dfrac{N!}{N_1!N_2!N_3!}、S=kB(Nlog⁡N−∑iNilog⁡Ni)S=k_{\mathrm B}\bigl(N\log N-\sum_iN_i\log N_i\bigr)。最大条件は (2n2)2=(1−n2)2−ϵ2(2n_2)^2=(1-n_2)^2-\epsilon^2、平衡では ϵˉ=−2sinh⁡(βΔ)1+2cosh⁡(βΔ)\bar\epsilon=-\dfrac{2\sinh(\beta\Delta)}{1+2\cosh(\beta\Delta)}

都立大 物理 院試 過去問の収録19年度

  • 2026年冬季(全4問)

    解析力学 / 電磁気学 / 量子力学

  • 2026年夏季(全4問)

    力学 / 電磁気学 / 量子力学

  • 2025年冬季(全5問)

    線形代数・微積分 / 強制振動 / 電磁気

  • 2025年夏季(全5問)

    複素積分 / ばね振動と波動 / 電磁気

  • 2024年冬季(全5問)

    数学 / 剛体の転がり / 静電ポテンシャル

  • 2024年夏季(全5問)

    偏微分方程式・留数積分 / 力学 / 電磁気学

  • 2023年度 冬季(全5問)

    数学:固有値問題・行列の指数関数・不定積分 / 力学:一様棒の物理振り子と回転軸の移動 / 電磁気学:直交電磁場中の荷電粒子とサイクロイド運動

  • 2023年度 夏季(全5問)

    数学:演算子の指数関数と留数定理による実積分 / 力学:ばねで連結された2質点と中空円板の制動 / 電磁気学:電流間の力・電磁波の横波性・点電荷系の遠方展開

  • 2022年度 冬季(全5問)

    数学:実対称行列の直交対角化と留数定理による実積分 / 力学:円板の物理振り子と周期を最小にする支点 / 電磁気学:点電荷の電場と接地導体面の鏡像法

  • 2022年度 夏季(全5問)

    数学:ベクトル解析・複素積分・行列の対角化と偏微分方程式 / 力学:単振り子と巻取り軸つき円板の落下 / 電磁気学:3点電荷の釣り合い・電流回路の磁場・RC回路の過渡応答

  • 2021年度 冬季(全5問)

    数学:複素数の方程式 \sin z=2 と実対称行列の指数関数 / 力学:あらい斜面上を転がる円柱と滑りから転がりへの移行 / 電磁気学:平行板コンデンサの電荷配置と各領域の電場

  • 2019年度 冬季(全5問)

    数学:固有値・ベクトル解析・フーリエ余弦級数 / 力学:一様密度球の重力場と質点の運動 / 電磁気学:同軸ケーブルの静電容量と自己インダクタンス

  • 2019年度 夏季(全5問)

    数学:ラゲール多項式とパウリ行列の指数関数 / 力学:斜面を転がり落ちる剛体球 / 電磁気学:一様帯電球の静電エネルギーと円電流にはたらく力

  • 2018年度 冬季(全5問)

    数学:極座標変換によるガウス積分と拡散方程式の変数分離 / 力学:完全非弾性衝突後の単振動と斜面を転がる剛体 / 電磁気学:電気双極子と鏡像法、円電流と磁気双極子

  • 2018年度 夏季(全5問)

    数学:留数定理による定積分とパウリ行列の指数関数 / 力学:有効ポテンシャルによる円軌道の安定性と、強制振動・臨界減衰 / 電磁気学:一様磁場を出入りするループの落下と、球対称電荷分布の静電場

  • 2017年度 冬季(全5問)

    数学:複素積分と巡回行列の指数関数 / 力学:3質点・4ばね系の基準振動 / 電磁気学:導体球殻の静電場と円柱電流の磁場

  • 2017年度 夏季(全5問)

    数学:母関数・行列の固有値・定積分・微分方程式 / 力学:剛体の制動回転と円すい面上の質点 / 電磁気学:帯電円環板の静電場とRLC共振回路

  • 2016年度 冬季(このページ・全5問)解答・最終答まで全文公開

    数学:母関数・行列の固有値・本質的特異点まわりの積分 / 力学:バネにつながれた物体への衝突と、二軸に拘束された棒の運動 / 電磁気学:一様帯電球の電場と電位、回転する帯電球の磁束密度

  • 2016年度 夏季(全5問)解答・最終答まで全文公開

    数学:母関数・行列指数関数・境界値問題 / 力学:連結ばね・斜面の摩擦・滑車の回転 / 電磁気学:変位電流と共焦点回転楕円体導体