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岡山大学 院試 過去問 解答例

岡山大 環境生命自然科学研究科 数理科学コース 数学 2025年第2回募集 院試 解答例・解説

岡山大学 環境生命自然科学研究科 数理科学コース 数学 2025年第2回募集の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全7問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。

続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — A-1:4次行列の固有値

固有多項式の見方

この行列では第3行が第1行の 1-1 倍、第4行が第2行と同じであるため、 最初にランクが高々2であることを使うと計算量が大きく減る。直接4次行列式を 展開するより、λ2\lambda^2 が因子であること、trA\operatorname{tr}A、主小行列式 の和を組み合わせる方が安全である。 ただし det(AλI)\det(A-\lambda I) で計算した場合は全体の符号と係数の符号が変わる。 最終的に使う多項式が det(λIA)\det(\lambda I-A)det(AλI)\det(A-\lambda I) かを答案内で そろえておくと、後半の因数分解との食い違いを防げる。

零固有空間の次元

dimkerA=2\dim\ker A=2 は「行が2本だけ残る」ことではなく、その2本が一次独立である ことまで確認して初めて言える。例外は a=±ia=\pm i で、このとき第1行と第2行も 比例してランクが1まで落ち、零固有空間は3次元になる。 実数パラメータとして読める問題ならこの例外は自動的に起こらないが、設問が 複素数体上の対角化まで尋ねているため、答案では a=±ia=\pm i を明示しておく方が 安全である。

対角化の判断

固有多項式だけで対角化可能とは限らない。ここでは零固有値の幾何的重複度が 代数的重複度と一致することを先に確認している点が重要である。非零固有値が 重なる a=0a=0 は別扱いになるが、この場合は対称行列なのでスペクトル定理で 対角化可能と分かる。 a0,±ia\ne0,\pm i では非零固有値は単根なので、その固有空間の次元は自動的に1でよい。 重複する固有値だけを個別に調べる、という整理ができると計算を短く保てる。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — A-2:正値半定値行列と平方根

核になる恒等式

この問題の中心は (tAAv,v)=(Av,Av) ({}^{t}AAv,v)=(Av,Av) である。右辺はノルムの2乗なので、非負性が一度に分かる。複素ベクトルを 入れている点に注意し、実行列 AA では共役と AA の作用が自然に両立する ことを使う。 実ベクトルだけで非負性を示しても半正定値性は分かるが、固有値の非負性を 固有ベクトルに代入して一気に示すには複素固有ベクトルまで許しておくと書きやすい。 このため、内積の向きと共役の入り方を曖昧にしないことが答案上の減点回避になる。

平方根行列の作り方

正値半定値な実対称行列は直交行列で対角化できる。対角成分が非負であるから、 各固有値の非負平方根を対角に並べればよい。これは行列の平方根の標準的な構成で、 可逆性は不要である。固有値が0でも 0=0\sqrt{0}=0 とすれば問題ない。 この構成で得られる XXBB と同じ固有ベクトルを持つ。したがって X2=BX^2=B の検算は、各固有方向で (λj)2=λj(\sqrt{\lambda_j})^2=\lambda_j を見るだけで 済む。一般の非対称行列の平方根問題とは異なり、ここではスペクトル定理が 存在証明の本体である。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — A-3:ラプラス型積分の極限

極限値1を平均として取り出す

tetxt e^{-tx}[0,)[0,\infty) 上の重み関数で、積分値は1である。 t0etxf(x)dx t\int_0^\infty e^{-tx}f(x)\,dx は、この重みによる ff の平均と見ることができる。tt が小さくなると重みは 大きな xx の領域を広く見るため、無限遠での値1が残る。

変数変換の利点

u=txu=tx とおくと積分範囲と指数関数が tt に依存しなくなる。あとは f(u/t)1f(u/t)\to 1 と、可積分な優関数 MeuM e^{-u} を確認すればよい。 この形に直すことが、収束定理を使うための最短ルートである。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — A-4:留数定理による実積分

極の選び方

分母の零点は単位円上の4点で、そのうち上半平面にある2点だけが半円経路の内部に 入る。留数定理では経路の内部にある特異点だけを数えるので、下半平面の2点を 入れないことが重要である。

実積分への移行

半円弧上の積分が0に近づくことを示すには、分母の最高次項 z4z^4 が支配的に なることを評価すればよい。弧長は πR\pi R、関数の大きさはおよそ R4R^{-4} なので、積は O(R3)O(R^{-3}) となり0に収束する。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — B-1:局所環と極大イデアル

剰余環で考える

イデアルの素性や極大性は、剰余環の性質に翻訳すると見通しがよくなる。 特に「体なら整域」であるため、R/MR/M が体なら MM は素イデアルである。

局所環の判定

局所環であることを示すには、極大イデアルが一つしかないことを直接示す。 「真のイデアルは単元を含まない」という基本事実を使うと、任意の極大イデアル NNMM に含まれることが分かり、極大性から N=MN=M と結論できる。

第3問の工夫

xMx\notin M に対して M+(x)=RM+(x)=R と書くのが要点である。そこから rx=1mrx=1-m を作り、仮定により右辺が単元であることを使う。右辺が単元なら、 可換環では xx に明示的な逆元 (1m)1r(1-m)^{-1}r を与えられる。

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6 — B-2:相対位相と同相

閉集合の示し方

座標軸は、座標射影の逆像として見ると閉集合であることがすぐ分かる。 点列で示す方法もあるが、連続写像の逆像を使う方が簡潔で誤りにくい。

開でも閉でもない理由

細い線分は R2\mathbb R^2 の中では内部を持たないため開でない。一方、端点を 除いているので、端点へ近づく点列の極限を含まず閉でもない。相対位相での開閉と R2\mathbb R^2 での開閉を混同しないことが重要である。

同相の構成

AA は実線 R\mathbb R と同じ位相を持ち、BB は開区間 (1,1)(-1,1) と同じ 位相を持つ。実線と開区間は arctan\arctan によって同相なので、座標軸上の点に その同相を埋め込めばよい。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — B-3:変数変換とグリーンの定理

領域を斜め方向に見る

被積分関数が x+yx+y だけに依存するため、t=x+yt=x+y を新しい変数にするのが自然である。 領域を直線 x+y=tx+y=t で切ると、切り口の長さが 1t1-t になる。この「長さ」が 右辺の重みとして現れる。

線積分はグリーンの定理で処理する

境界を直接3本の線分に分けて計算することもできるが、向きや端点で符号を 間違えやすい。ここでは Q=f(x+y)Q=f(x+y) と置けば Q/x=f(x+y)\partial Q/\partial x=f'(x+y) となるので、グリーンの定理で重積分に戻すのが 最も安定した方法である。正の向きという条件は、この符号をそのまま使えることを 保証している。

続きの解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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