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岡山大学 院試 過去問 解答例

岡山大 環境生命自然科学研究科 数理科学コース 数学 2026年4月入学第2回募集 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問。線形代数1問・微分積分・解析1問。テーマタグは3件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・留数定理)。2026年第1回募集と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・留数定理。

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収録6年度分の解答PDF:岡山大学 環境生命自然科学研究科 数理科学コース 数学(¥3,200・紙面見本あり)

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解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき4問)
問題本文
非収録

岡山大 数学 2026年4月入学第2回募集 院試 過去問の出題内容(全4問)

この4問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数実対称行列の対角化行列の形を見る / 行列式の示し方あり
第2問—核の増大列有限次元で止まる理由 / 一度止まると二度と増えない理由あり
第3問微分積分・解析円板上の重積分極座標を選ぶ理由 / ヤコビアンの確認あり
第4問—複素積分線積分は原始関数でもよい / 極が円周上にないかを確認するあり

2026年4月入学第2回募集の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は3問に3テーマが出ています。

前年度(2026年第1回募集)との違い

大問数
2026年第1回募集 7問 → 2026年4月入学第2回募集 4問
2026年第1回募集のページを見る

第1問 — 実対称行列の対角化

行列の形を見る

この行列は成分の並びが入れ替わるだけで、符号が +1,−1+1,-1 のベクトルに対して非常に相性がよい。各成分を足し合わせるベクトル、2番目と4番目を反転するベクトル、後半2成分を反転するベクトル、2番目と3番目を反転するベクトルを試すと、どれも固有ベクトルになる。

行列式の示し方

行列式の公式を直接展開で示すと計算量が多い。ここでは直交行列 QQ による対角化を先に作ってしまい、 det⁡U=det⁡(QTUQ) \det U=\det(Q^{\mathsf T}UQ) を使うのが最も見通しがよい。直交行列は det⁡Q=±1\det Q=\pm 1 なので、相似変換によって行列式は変わらない。

固有値が相異なる条件の役割

上の QQ は、実は固有値が重複していても UU を対角化する。ただし、問題が「固有値がすべて相異なるとき」としているのは、各固有空間が1次元になり、対応する固有ベクトルを並べるだけで対角化行列を作れることを強調するためである。答案では、列ベクトルの正規化と直交性まで書いておくと、直交行列であることが明確になる。

解答

与えられた行列を UU と書く。次の4つのベクトルを用いる: v1=(1111),v2=(1−11−1),v3=(11−1−1),v4=(1−1−11). v_1=\begin{pmatrix}1\\1\\1\\1\end{pmatrix},\quad v_2=\begin{pmatrix}1\\-1\\1\\-1\end{pmatrix},\quad v_3=\begin{pmatrix}1\\1\\-1\\-1\end{pmatrix},\quad v_4=\begin{pmatrix}1\\-1\\-1\\1\end{pmatrix}. 直接計算すると Uv1=(a+b+c+d)v1,Uv2=(a−b+c−d)v2,Uv3=(a+b−c−d)v3,Uv4=(a−b−c+d)v4 \begin{aligned} Uv_1&=(a+b+c+d)v_1,\\ Uv_2&=(a-b+c-d)v_2,\\ Uv_3&=(a+b-c-d)v_3,\\ Uv_4&=(a-b-c+d)v_4 \end{aligned} である。これらは互いに直交し、いずれも長さは 22 である。

したがって Q=12(11111−11−111−1−11−1−11) Q=\frac12 \begin{pmatrix} 1&1&1&1\\ 1&-1&1&-1\\ 1&1&-1&-1\\ 1&-1&-1&1 \end{pmatrix} とおけば QQ は直交行列であり、 QTUQ=diag⁡(a+b+c+d, a−b+c−d, a+b−c−d, a−b−c+d) Q^{\mathsf T}UQ =\operatorname{diag}\bigl( a+b+c+d,\, a-b+c-d,\, a+b-c-d,\, a-b-c+d \bigr) となる。

よって det⁡U=(a+b+c+d)(a−b+c−d)(a+b−c−d)(a−b−c+d) \det U =(a+b+c+d)(a-b+c-d)(a+b-c-d)(a-b-c+d) である。また固有値は λ1=a+b+c+d,λ2=a−b+c−d,λ3=a+b−c−d,λ4=a−b−c+d \lambda_1=a+b+c+d,\quad \lambda_2=a-b+c-d,\quad \lambda_3=a+b-c-d,\quad \lambda_4=a-b-c+d である。

最終答

det⁡U=(a+b+c+d)(a−b+c−d)(a+b−c−d)(a−b−c+d). \det U=(a+b+c+d)(a-b+c-d)(a+b-c-d)(a-b-c+d). 固有値は a+b+c+d,a−b+c−d,a+b−c−d,a−b−c+d. a+b+c+d,\quad a-b+c-d,\quad a+b-c-d,\quad a-b-c+d. 固有値がすべて相異なるとき、上の QQ が UU を対角化する直交行列の一例である。

第2問 — 核の増大列

有限次元で止まる理由

核の列は必ず増大列になる。有限次元の場合、次元は 0,1,…,dim⁡V0,1,\ldots,\dim V の範囲の整数なので、無限に真に増え続けることはできない。この「次元の単調増加列が有界なら安定する」という一点が第1段階の核心である。 次元が等しくなった段階では、包含関係 ker⁡fn⊂ker⁡fn+1\ker f^n\subset\ker f^{n+1} があるため、単に次元が同じというだけでなく部分空間そのものが一致する。

一度止まると二度と増えない理由

ker⁡fN=ker⁡fN+1\ker f^N=\ker f^{N+1} から ker⁡fN+1=ker⁡fN+2\ker f^{N+1}=\ker f^{N+2} を示すとき、単に「同様」と書く前に、x∈ker⁡fN+2x\in\ker f^{N+2} から f(x)∈ker⁡fN+1f(x)\in\ker f^{N+1} と移すのが大切である。ここで仮定を使って f(x)∈ker⁡fNf(x)\in\ker f^N と戻すため、x∈ker⁡fN+1x\in\ker f^{N+1} が得られる。

無限次元の例

有限次元性が本質的であることを示すには、次数がいくらでも上がる空間を使うのが自然である。多項式空間で微分を考えると、nn 回微分で消える多項式は次数 n−1n-1 以下のものに限られる。各段階で新しく xn−1x^{n-1} が核に入るため、核の増大は止まらない。 この例では各 ker⁡fn\ker f^n は有限次元だが、もとの空間 VV 全体が無限次元であるため、次元列 1,2,3,… 1,2,3,\ldots が上から抑えられない。有限次元の証明で使った仮定がどこで必要だったかを示す反例になっている。

核の増大列の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 円板上の重積分

極座標を選ぶ理由

積分領域が円板で、被積分関数も x2+y2x^2+y^2 だけで決まっている。このような回転対称な問題では、直交座標で積分範囲を分けるよりも極座標に直すのが最短である。

ヤコビアンの確認

極座標変換では dxdy=r dr dθdxdy=r\,dr\,d\theta が入る。この rr があるため、u=r2u=r^2 の置換で一気に積分できる。ここを落とすと答えの形が全く変わるので注意する。

零点の扱い

aa は正と指定されているため、a=0a=0 は答えに含めない。計算上は a2=0a^2=0 も cos⁡a2=1\cos a^2=1 を満たすが、条件外である。最後に正の整数 kk と書くところまで確認する。

円板上の重積分の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 複素積分

線積分は原始関数でもよい

(1) は z2z^2 の原始関数 z3/3z^3/3 を用いて、始点と終点の差だけで求めることもできる。すなわち ∫C1z2 dz=(1−i)3−033 \int_{C_1}z^2\,dz=\frac{(1-i)^3-0^3}{3} である。正則関数の積分では、経路が指定されていても原始関数がある場合は経路に依存しない。

極が円周上にないかを確認する

(2) では ∣z∣<4|z|<4 に入る nπn\pi を数える。π<4<2π\pi<4<2\pi なので、−π,0,π-\pi,0,\pi の3点だけである。円周上に極があると通常の留数定理をそのまま使えないため、ここは答案で明記しておきたい。

三角関数の定積分と留数

(3) のような 00 から 2π2\pi までの有理的な三角関数の積分は、z=eiθz=e^{i\theta} により単位円上の複素積分に変換できる。変換後は、単位円内の極だけを拾えばよい。最後の答えは実数正値でなければならないので、2π/32\pi/\sqrt3 という符号は妥当である。 単位円内外の判定では、根が純虚数 i(2±3)i(2\pm\sqrt3) なので絶対値は係数の大きさだけを見ればよい。

符号の検算

最後の留数は 1i3=−i3 \frac{1}{i\sqrt3}=-\frac{i}{\sqrt3} である。ここで 1/i=−i1/i=-i を落とすと符号が反転する。留数定理でさらに 2πi2\pi i を掛けると正の実数になるため、被積分関数 (2−sin⁡θ)−1(2-\sin\theta)^{-1} が常に正であることとも整合する。

複素積分の途中式・最終答をPDFで見る

岡山大 数学 院試 過去問の収録6年度