東大 学際情報学府 学際情報学専攻 先端表現情報学コース 専門科目 2018年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)
全5問です。固有値・固有ベクトル、固有振動数と振動系、正定値行列などが出ています。2017年度と共通するテーマは正定値行列です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
最終更新:
第1問 — 二次曲線
平方完成で読む情報
二次曲線の概形では、中心、開く方向、頂点、漸近線または半径を明示することが重要である。(1) は 側が正、 側が負なので横向き双曲線である。分母をそろえて と読めば、頂点と漸近線の傾きがすぐに出る。
回転後の線形項の扱い
(2) では の係数に注意する。二次形式では交差項が なので、行列の非対角成分は である。対角化だけで終わらず、線形項も同じ座標変換に入れて まで計算する。ここを落とすと中心が求まらない。
検算
標準形の左辺は常に非負であり、右辺が なので楕円になる。元の二次形式の固有値も で正定値であり、楕円であることと整合する。
解答
平方完成すると である。したがって となる。中心は 、横軸方向に開く双曲線で、頂点は 、漸近線は である。
二次形式の行列を とおく。固有値は 、対応する正規直交固有ベクトルは であるから、例えば とすれば である。
新しい座標を で定めると、 よって標準形は である。これは を中心とし、 方向の半径が 、 方向の半径が の楕円である。元の 平面での中心は で、主軸は直線 方向と 方向に一致する。
最終答
(1) 中心 、頂点 、漸近線 の双曲線。(2) 、標準形は 。
第2問 — CとRPN
最大値出力の計算量
上の big は各出力について配列全体を1回走査するため、計算量は 、追加メモリは である。全体をソートすれば で済む場合もあるが、ここでは関数仕様が小さく、元配列を変えない実装として線形探索が説明しやすい。
RPNの順序
二項演算では、先に取り出した値が右オペランド、次に取り出した値が左オペランドである。減算では特に の順序を逆にしないことが採点上の要点になる。
例外処理で書くべきこと
単に「エラー処理」と書くだけでは弱い。通常処理から異常処理を分離できること、呼び出し階層を越えて制御を移せること、例外の種類ごとに処理を分けられることを具体例とともに書くとよい。
第3問 — 色空間とDCT
色空間の比較軸
表色系の問題では、何を座標軸にしているかを明確にする。マンセルなら「色相・明度・彩度」、YCbCrなら「輝度・青系色差・赤系色差」である。RGB と YCbCr の比較では、単なる座標変換ではなく、人間の視覚特性を圧縮に使えることまで書く。
DCT式の係数
8点DCTでは分母が になる。正規化係数は流儀により少し異なるが、、先頭係数 を含む形を書けば、直交正規化された標準的な答案になる。
DFTとの違い
DCT は DFT の「実数版」とだけ書くと不十分である。偶対称延長によりブロック端の不連続が抑えられ、画像圧縮で高周波係数を小さくしやすい、という実用上の理由まで述べると採点されやすい。
第4問 — 橋梁の空力振動
タコマナローズ橋で強調すべき点
この事故はしばしば単純な共振として説明されるが、崩壊を決定的にしたのはねじりを伴う空力弾性不安定である。答案では渦励振を挙げてもよいが、フラッターの自励性、すなわち「動くことで空気力がさらに動きを増やす」ことを必ず書く。
対策の対応関係
対策は原因と対応させると説得力が出る。渦が原因なら剥離や渦放出を弱める断面形状、フラッターが原因ならねじり剛性・減衰・空力中心の改善である。単に「強くする」と書くより、どの物理量を変えるのかを明示する。
採点上の不足例
風速が設計値より低いのに壊れた理由を、静的な風圧だけで説明すると不十分である。時間的に変動する空気力と構造物の固有振動・減衰の関係を述べる必要がある。
第5問 — 道路線形
空欄の根拠
クロソイドは曲率が距離に比例する緩和曲線であり、直線から円弧へ滑らかに接続するために用いられる。視距の空欄は「停止視距」が最も標準的で、平面・縦断の両方で曲率半径が小さすぎると見通しが不足する。
論述の採点観点
道路維持管理では、老朽化そのものに加えて、財源、人員、交通規制、情報不足を挙げると具体性が出る。自転車空間では、利点だけでなく、幅員再配分、交差点、路上駐停車、ネットワーク連続性という実装上の課題まで触れると答案が締まる。
不足しやすい点
「自転車は環境によい」だけでは交通施設の問題として弱い。歩行者・自動車との速度差、事故リスク、空間配分という道路計画上の理由を中心に説明する。
年度別の解答例(11年度)
基礎数学 / 画像検索 / 重力走行と振動
基礎数学 / オペアンプ回路 / 流体の無次元数
2018年度(このページ・全5問)
二次曲線 / CとRPN / 色空間とDCT
回帰と正則化 / Cと正規表現 / 二色性反射
2016年度(全5問)最終答まで公開
ロジスティックモデル / 動的計画法 / 無線LANとフーリエ変換
2015年度(全5問)最終答まで公開
ガウス関数のフーリエ変換 / 乱数生成アルゴリズム / レイトレーシング
2014年度(全5問)最終答まで公開
積分とアステロイド / 水量計測と状態探索 / 画像処理
2013年度(全5問)最終答まで公開
QR分解と最小二乗 / 集合データ構造 / 信号処理
2012年度(全5問)最終答まで公開
線形最小二乗 / ソートの計算量 / 線形システムと相互情報量
2011年度(全7問)最終答まで公開
固有値と漸化式 / 命題論理 / 信号解析
2010年度(全11問)最終答まで公開
線形微分方程式 / 漸化式と高速計算 / z 変換とデジタルフィルタ
2018年度の出題内容
全5問
同じテーマを出した他大学・他年度
5テーマ
2018年度は2問に5テーマが出ています。
| テーマ | この年度 | 全体の出題実績 | 他大学の直近出題 |
|---|---|---|---|
| 固有値・固有ベクトル | 第1問 | 25大学・544問 | |
| 固有振動数と振動系 | 第4問 | 16大学・71問 | |
| 正定値行列 | 第1問 | 17大学・70問 | |
| 二次形式 | 第1問 | 16大学・63問 | |
| 境界層 | 第4問 | 8大学・30問 |
前年度(2017年度)との違い
- 大問数
- 2017年度 5問 → 2018年度 5問
- 両年度に出たテーマ
- 正定値行列
- 2018年度で新しく出たテーマ
- 固有値・固有ベクトル・固有振動数と振動系・二次形式・境界層
東京大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2010〜2020(先端表現情報学コースとして公開されている専門科目)
- 公式の解答例
- 非公開(問題冊子のみ)
- 英語の扱い
- TOEFL/TOEIC 等の扱いは募集要項で年度別に確認。公式過去問ページは専門科目PDFを公開。
- 院試hubの最終確認
- 2026-07-05