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東大 学際情報学府 学際情報学専攻 先端表現情報学コース 専門科目 2017年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問です。正定値行列、正規表現・形式言語が出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 回帰と正則化

行列の向き

データ行列 XX は、各データの xTx^{\mathsf T} を行として並べる形にすると XwXw が予測値ベクトルになる。この向きを誤ると、正規方程式の XTXX^{\mathsf T}X と XTyX^{\mathsf T}y が逆になる。

微分の検算

損失を展開してから微分すると符号を確認しやすい。最小化条件は XT(y−Xw)=0 X^{\mathsf T}(y-Xw)=0 とも書け、残差が XX の各列と直交するという幾何学的意味をもつ。

正則化の意味

wTww^{\mathsf T}w を足すと、大きな係数が罰せられる。さらに XTX+IX^{\mathsf T}X+I は常に正定値なので、通常の最小二乗で XTXX^{\mathsf T}X が特異に近い場合でも解が安定しやすい。

解答

  1. x=(1,x1,…,xk)T,w=(w0,w1,…,wk)T x=(1,x_1,\ldots,x_k)^{\mathsf T},\qquad w=(w_0,w_1,\ldots,w_k)^{\mathsf T} とおけば、線形モデルは y=xTw+ε y=x^{\mathsf T}w+\varepsilon と表せる。

  2. k=1,N=2k=1,N=2 では、2点 (x1,y1),(x2,y2)(x_1,y_1),(x_2,y_2) を通る直線を求めればよい。 x1≠x2x_1\ne x_2 とすると w1=y2−y1x2−x1,w0=x2y1−x1y2x2−x1. w_1=\frac{y_2-y_1}{x_2-x_1},\qquad w_0=\frac{x_2y_1-x_1y_2}{x_2-x_1}. したがって w=((x2y1−x1y2)/(x2−x1)(y2−y1)/(x2−x1)). w= \binom{(x_2y_1-x_1y_2)/(x_2-x_1)} {(y_2-y_1)/(x_2-x_1)} .

  3. L=(y−Xw)T(y−Xw)=yTy−2wTXTy+wTXTXw L=(y-Xw)^{\mathsf T}(y-Xw) =y^{\mathsf T}y-2w^{\mathsf T}X^{\mathsf T}y+w^{\mathsf T}X^{\mathsf T}Xw であるから、 ∂L∂w=−2XTy+2XTXw=2XT(Xw−y). \frac{\partial L}{\partial w} =-2X^{\mathsf T}y+2X^{\mathsf T}Xw =2X^{\mathsf T}(Xw-y).

  4. 最小化条件は XTXw=XTy X^{\mathsf T}Xw=X^{\mathsf T}y である。XTXX^{\mathsf T}X が正則なら w=(XTX)−1XTy w=(X^{\mathsf T}X)^{-1}X^{\mathsf T}y である。条件は、XX の列が一次独立、すなわち rank⁡X=k+1\operatorname{rank}X=k+1 であることである。

  5. 新しい損失を L=(y−Xw)T(y−Xw)+wTw L=(y-Xw)^{\mathsf T}(y-Xw)+w^{\mathsf T}w とすると、 ∂L∂w=2XT(Xw−y)+2w. \frac{\partial L}{\partial w} =2X^{\mathsf T}(Xw-y)+2w. したがって (XTX+I)w=XTy (X^{\mathsf T}X+I)w=X^{\mathsf T}y より w=(XTX+I)−1XTy w=(X^{\mathsf T}X+I)^{-1}X^{\mathsf T}y となる。

最終答

y=xTw+εy=x^{\mathsf T}w+\varepsilon。通常の最小二乗解は w=(XTX)−1XTyw=(X^{\mathsf T}X)^{-1}X^{\mathsf T}y、正則化後は w=(XTX+I)−1XTyw=(X^{\mathsf T}X+I)^{-1}X^{\mathsf T}y。

第2問 — Cと正規表現

ポインタの別名

このCコードの要点は、\&x が2回渡されているため、∗i*i と ∗j*j が同じ記憶場所を読むことである。更新後の値を printf\texttt{printf} と return\texttt{return} の両方が読むので、出力は 8,88,8 と 1616 になる。

JITで書くべき効用

JIT は単に「実行時にコンパイルする」だけでなく、よく実行される部分だけを最適化する、実行時プロファイルを使える、仮想機械方式でも高速化できる、という効用まで述べるとよい。

Cと正規表現の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 二色性反射

二色性モデルの骨格

RGB画素値を C=mdcd+mscs C=m_d c_d+m_s c_s と見るのが二色性反射モデルの中心である。cdc_d は物体色、csc_s は光源色で、係数 md,msm_d,m_s が画素位置によって変わる。この式を言葉で説明できれば、RGB空間での分布と分離方法が自然に書ける。

角度の役割

ランバート反射では法線と入射方向の角度 φ\varphi が効く。一方、鏡面反射ではハーフベクトルと法線のずれ α\alpha、観測方向の角度 θ\theta、ローブ幅 σ\sigma が効く。角度記号を混同しないことが重要である。

偏光分離の注意

偏光法では「鏡面反射だけが完全に残る」と断定しすぎない。実物体では拡散成分も半分程度透過し、偏光度も完全ではないため、最大・最小画像の差分や較正によって成分を推定する、と書くのが安全である。

二色性反射の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 状態フィードバック

状態の取り方

2階微分方程式では、状態を位置と速度に分けるのが標準である。入力 uu は x¨\ddot{x} の式にだけ現れるため、B=(0,1)TB=(0,1)^{\mathsf T} になる。

極配置の考え方

この系は可制御なので、2つの閉ループ極を任意に配置できる。係数比較で a,ba,b を出せることを示すと、単なる安定条件より強い答案になる。

速応性の限界

極を左へ移せば数学モデル上は速くなるが、実機では入力制限、ノイズ、サンプリング周期、構造共振が効いてくる。制御工学の論述では、この現実的制約を書けると評価されやすい。

状態フィードバックの途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 防災報道

時間フェーズで分ける

防災報道は、平時、発災直後、復旧期で役割が変わる。本問では事前と直後を明確に分け、事前は教育・監視、直後は避難行動に直結する情報、と整理するとよい。

集中報道の構造

「マスコミが悪い」と感情的に書くのではなく、アクセスしやすい現場、映像価値、公式発表への依存、他社追随という構造を説明する。構造が書けると、解決策も代表取材や情報共有に自然につながる。

具体例の重要性

影響の例では、救援車両の妨げ、物資の偏在、被災者のプライバシー侵害、心理的負担など、被災地側の実害を一つ具体的に示すことが採点上有利である。

防災報道の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(11年度)

  • 2020年度(全7問)

    基礎数学 / 画像検索 / 重力走行と振動

  • 2019年度(全7問)

    基礎数学 / オペアンプ回路 / 流体の無次元数

  • 2018年度(全5問)

    二次曲線 / CとRPN / 色空間とDCT

  • 2017年度(このページ・全5問)

    回帰と正則化 / Cと正規表現 / 二色性反射

  • 2016年度(全5問)最終答まで公開

    ロジスティックモデル / 動的計画法 / 無線LANとフーリエ変換

  • 2015年度(全5問)最終答まで公開

    ガウス関数のフーリエ変換 / 乱数生成アルゴリズム / レイトレーシング

  • 2014年度(全5問)最終答まで公開

    積分とアステロイド / 水量計測と状態探索 / 画像処理

  • 2013年度(全5問)最終答まで公開

    QR分解と最小二乗 / 集合データ構造 / 信号処理

  • 2012年度(全5問)最終答まで公開

    線形最小二乗 / ソートの計算量 / 線形システムと相互情報量

  • 2011年度(全7問)最終答まで公開

    固有値と漸化式 / 命題論理 / 信号解析

  • 2010年度(全11問)最終答まで公開

    線形微分方程式 / 漸化式と高速計算 / z 変換とデジタルフィルタ

2017年度の出題内容

全5問
大問主題解説の小見出し最終答
第1問回帰と正則化行列の向き / 微分の検算あり
第2問Cと正規表現ポインタの別名 / JITで書くべき効用あり
第3問二色性反射二色性モデルの骨格 / 角度の役割あり
第4問状態フィードバック状態の取り方 / 極配置の考え方あり
第5問防災報道時間フェーズで分ける / 集中報道の構造あり

同じテーマを出した他大学・他年度

2テーマ

2017年度は2問に2テーマが出ています。

前年度(2016年度)との違い

大問数
2016年度 5問 → 2017年度 5問
2017年度で新しく出たテーマ
正定値行列・正規表現・形式言語
2016年度の解答例

東京大学の公式過去問

公開年度範囲
2010〜2020(先端表現情報学コースとして公開されている専門科目)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
TOEFL/TOEIC 等の扱いは募集要項で年度別に確認。公式過去問ページは専門科目PDFを公開。
院試hubの最終確認
2026-07-05
東京大学の公式過去問PDF