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九大 システム情報科学府 情報理工学専攻 専門科目(情報系4分野) 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問の分野は情報4問です。正規表現・形式言語、ソートアルゴリズムが出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 情報理論

定常分布では対称性を先に使う

この問題では、図の形をそのまま連立方程式にするより、1列目と2列目の式が一致することに気づくと短い。特に p=qp=q の後半では π1=π2\pi_1=\pi_2 を最初に置くことで、エントロピーレートの計算が一行になる。

ハフマン符号は一例でよい

同じ確率の語があるため、ハフマン符号は一意ではない。必要なのは、短い符号語が高確率語に割り当てられ、平均符号長が一致していることを示すことである。

解答

マルコフ情報源

状態を 1,2,31,2,3 とし、図から読み取れる遷移確率を P=(pp1−2pqq1−2q1/21/20) P=\begin{pmatrix} p&p&1-2p\\ q&q&1-2q\\ 1/2&1/2&0 \end{pmatrix} とおく。定常分布を π=(π1,π2,π3)\pi=(\pi_1,\pi_2,\pi_3) とすると、1列目と2列目が同じ形なので π1=π2=a\pi_1=\pi_2=a である。正規化条件と π=πP\pi=\pi P から a=a(p+q)+1−2a2,2a+π3=1. a=a(p+q)+\frac{1-2a}{2},\qquad 2a+\pi_3=1. よって π1=π2=12(2−p−q),π3=1−p−q2−p−q. \pi_1=\pi_2=\frac{1}{2(2-p-q)},\qquad \pi_3=\frac{1-p-q}{2-p-q}.

p=q=rp=q=r のとき、状態1,2の条件付きエントロピーは hr=−2rlog⁡2r−(1−2r)log⁡2(1−2r) h_r=-2r\log_2 r-(1-2r)\log_2(1-2r) であり、状態3では二つの遷移が 1/2,1/21/2,1/2 なので条件付きエントロピーは 11 bit である。したがって H(X)=12(1−r)hr+1−2r2(1−r). H(X)=\frac{1}{2(1-r)}h_r+\frac{1-2r}{2(1-r)}. r=1/3r=1/3 では hr=log⁡23=1.58h_r=\log_2 3=1.58 なので H(X)=34⋅1.58+14=1.435 bit. H(X)=\frac34\cdot 1.58+\frac14=1.435\ \text{bit}. r=1/4r=1/4 では行分布が (1/4,1/4,1/2)(1/4,1/4,1/2) で hr=1.5h_r=1.5 だから H(X)=23⋅1.5+13=43 bit. H(X)=\frac23\cdot 1.5+\frac13=\frac43\ \text{bit}.

ハフマン符号

p(a)=0.9,p(b)=0.1p(a)=0.9,p(b)=0.1 である。与えられた近似値を使うと H(X1)=−0.9log⁡20.9−0.1log⁡20.1=0.9(0.16)+0.1(3.32)=0.476 bit. H(X_1)=-0.9\log_2 0.9-0.1\log_2 0.1 =0.9(0.16)+0.1(3.32)=0.476\ \text{bit}. X1X_1 に対しては、例えば a↦0, b↦1a\mapsto0,\ b\mapsto1 とすれば平均符号長は 11 bit である。

X1X2X_1X_2 の確率は aa:0.81,ab:0.09,ba:0.09,bb:0.01. aa:0.81,\quad ab:0.09,\quad ba:0.09,\quad bb:0.01. ハフマン併合では 0.01+0.09=0.10, 0.09+0.10=0.19, 0.19+0.81=10.01+0.09=0.10,\ 0.09+0.10=0.19,\ 0.19+0.81=1 とできる。例えば aa↦0,ab↦10,ba↦110,bb↦111 aa\mapsto0,\quad ab\mapsto10,\quad ba\mapsto110,\quad bb\mapsto111 とすれば、平均符号長は 0.81⋅1+0.09⋅2+0.09⋅3+0.01⋅3=1.29 0.81\cdot1+0.09\cdot2+0.09\cdot3+0.01\cdot3=1.29 であり、1文字あたり 0.6450.645 bit である。

X1X2X3X_1X_2X_3 では確率 0.7290.729 の aaaaaa、確率 0.0810.081 の3語、確率 0.0090.009 の3語、確率 0.0010.001 の bbbbbb がある。ハフマン符号の一例は aaa0aab,aba,baa100,101,110abb,bab,bba,bbb11100,11101,11110,11111 \begin{array}{c|c} aaa&0\\ aab,aba,baa&100,101,110\\ abb,bab,bba,bbb&11100,11101,11110,11111 \end{array} である。この平均符号長は 0.729⋅1+3(0.081⋅3)+4語部分=1.598 0.729\cdot1+3(0.081\cdot3)+4\text{語部分}=1.598 すなわち1文字あたり 1.598/3=0.53271.598/3=0.5327 bit である。

最終答

定常分布は (12(2−p−q),12(2−p−q),1−p−q2−p−q)\left(\frac1{2(2-p-q)},\frac1{2(2-p-q)},\frac{1-p-q}{2-p-q}\right)。p=q=1/3p=q=1/3 で 1.4351.435 bit、p=q=1/4p=q=1/4 で 4/34/3 bit。ハフマン平均長は X1:1X_1:1、X1X2:0.645X_1X_2:0.645 bit/文字、X1X2X3:0.5327X_1X_2X_3:0.5327 bit/文字。

第2問 — オートマトンと言語

操作1は多重集合化

操作1を何度でも使えると、文字列の順序情報は消え、各文字の出現回数だけが残る。この観察で P1P_1 の問題は一気に数え上げ問題になる。

巡回シフトは「切る位置」を探す

P2P_2 では、元の文字列をどこで切るかを探す。xxRyyRxx^Ryy^R の証明は、式変形だけでなく「回転の始点をどこに置くか」を答案に書くことが重要である。

オートマトンと言語の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — アルゴリズム

道の数の証明は最後の1辺で分解する

隣接行列の累乗を道の数と読む問題では、「最後の中継点 kk」で和を取る形に落とすと証明が自然になる。連結性の判定では長さを n−1n-1 まで見れば十分である点を書き落とさない。

クイックソートの添字は1始まり

問題文の配列は1始まりで書かれている。実装経験から0始まりで答えると、PARTITION の返り値と再帰範囲がずれるので注意する。

アルゴリズムの途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 計算機アーキテクチャ

NAND段は積和形に直す

NANDだけの回路は、そのまま追うよりド・モルガンで積和形へ直す方が速い。今回の後段は u1m‾ u4m‾‾=m(u1+u4)\overline{\overline{u_1m}\,\overline{u_4m}}=m(u_1+u_4) と読める。

FIFOとLRUの差

FIFOは古く入ったブロックを追い出すため、途中で再利用されたブロックも順番が来れば捨てる。LRUは直近利用を反映するので、このアクセス列では後半の再利用を拾える。

計算機アーキテクチャの途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(5年度)

  • 2026年度(このページ・全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム

  • 2025年度(全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム

  • 2024年度(全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム/プログラミング

  • 2023年度(全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム・プログラミング

  • 2022年度(全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム・プログラミング

2026年度の出題内容

全4問

この4問の分野は情報4問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問情報情報理論定常分布では対称性を先に使う / ハフマン符号は一例でよいあり
第2問情報オートマトンと言語操作1は多重集合化 / 巡回シフトは「切る位置」を探すあり
第3問情報アルゴリズム道の数の証明は最後の1辺で分解する / クイックソートの添字は1始まりあり
第4問情報計算機アーキテクチャNAND段は積和形に直す / FIFOとLRUの差あり

同じテーマを出した他大学・他年度

2テーマ

2026年度は2問に2テーマが出ています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 4問 → 2026年度 4問
2025年度の解答例

九州大学の公式過去問

公開年度範囲
令和4〜8年度(直近5年)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
2027年度は国内TOEIC L&Rのデジタル認定証、TOEFL iBT(ETS送付も必要)、IELTS Academic。一般試験の出願末日から2年以内の受験日。
院試hubの最終確認
2026-10-15
九州大学の公式過去問PDF