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九大 システム情報科学府 情報理工学専攻 専門科目(情報系4分野) 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問の分野は情報4問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 情報理論

微分エントロピーの底

底が自然対数の場合、問1(1)は ln⁡a\ln a、問1(2)は ln⁡a−ln⁡2+1/2\ln a-\ln 2+1/2 になる。ビット単位の答とは定数倍だけが異なるので、答案では底を明記しておくと安全である。

容量の達成部分

加法的2元通信路では、入力を一様にすると任意の誤り列に対して出力が一様になる。この点を書けば、単に上界を示すだけでなく、1−H(SE)1-H(S_E) が実際に達成可能であることまで説明できる。

解答

以下では離散エントロピーはビット単位、すなわち log⁡2\log_2 を用いる。微分エントロピーも同じ底で書く。

問1

  1. XX が [0,a][0,a] 上の一様分布に従うとき、密度は f(x)=1/af(x)=1/a である。したがって h(X)=−∫0a1alog⁡21a dx=log⁡2a. h(X)=-\int_0^a \frac{1}{a}\log_2 \frac{1}{a}\,dx = \log_2 a .
  2. XX の密度が f(x)=2x/a2f(x)=2x/a^2 のとき、 h(X)=−∫0a2xa2log⁡22xa2 dx. h(X)=-\int_0^a \frac{2x}{a^2}\log_2 \frac{2x}{a^2}\,dx . x=ayx=ay と置くと、Y=X/aY=X/a の密度は g(y)=2yg(y)=2y (0≤y≤1)(0\le y\le 1) であり、 h(X)=h(Y)+log⁡2a. h(X)=h(Y)+\log_2 a . ここで h(Y)=−∫012ylog⁡2(2y) dy=−1−∫012ylog⁡2y dy=−1+12ln⁡2. h(Y)=-\int_0^1 2y\log_2(2y)\,dy = -1-\int_0^1 2y\log_2 y\,dy = -1+\frac{1}{2\ln 2}. よって h(X)=log⁡2a−1+12ln⁡2. h(X)=\log_2 a -1+\frac{1}{2\ln 2}.

問2

誤り源の状態を 0,10,1 とする。遷移確率は P=(3/41/41/21/2) P= \begin{pmatrix} 3/4 & 1/4\\ 1/2 & 1/2 \end{pmatrix} である。定常分布を π=(π0,π1)\pi=(\pi_0,\pi_1) とおくと、π=πP\pi=\pi P と π0+π1=1\pi_0+\pi_1=1 より π1=14π0+12π1,π0+π1=1. \pi_1=\frac{1}{4}\pi_0+\frac{1}{2}\pi_1,\qquad \pi_0+\pi_1=1 . したがって π0=23,π1=13. \pi_0=\frac{2}{3},\qquad \pi_1=\frac{1}{3}.

2元エントロピー関数を h2(p)=−plog⁡2p−(1−p)log⁡2(1−p) h_2(p)=-p\log_2 p-(1-p)\log_2(1-p) と書くと、1次定常マルコフ情報源のエントロピーレートは H(SE)=∑zπzH(Zt+1∣Zt=z)=23h2 ⁣(14)+13h2 ⁣(12). H(S_E)=\sum_z \pi_z H(Z_{t+1}\mid Z_t=z) =\frac{2}{3}h_2\!\left(\frac{1}{4}\right) +\frac{1}{3}h_2\!\left(\frac{1}{2}\right). よって H(SE)=23h2 ⁣(14)+13≃0.874bits/symbol. H(S_E)=\frac{2}{3}h_2\!\left(\frac{1}{4}\right)+\frac{1}{3} \simeq 0.874\quad\text{bits/symbol}.

次に、znz^n を固定する。Yn=Xn⊕znY^n=X^n\oplus z^n は XnX^n に対する全単射である。任意の yn∈{0,1}ny^n\in\{0,1\}^n に対し、ただ一つの xn=yn⊕znx^n=y^n\oplus z^n が対応するので、 P(Yn=yn)=P(Xn=yn⊕zn)=2−n. P(Y^n=y^n)=P(X^n=y^n\oplus z^n)=2^{-n}. したがって Y1,…,YnY_1,\ldots,Y_n は独立同分布で、各時刻で P(Yt=1)=1/2P(Y_t=1)=1/2 である。

最後に容量を求める。ZnZ^n は入力と独立で、Yn=Xn⊕ZnY^n=X^n\oplus Z^n であるから I(Xn;Yn)=H(Yn)−H(Yn∣Xn)=H(Yn)−H(Zn). I(X^n;Y^n)=H(Y^n)-H(Y^n\mid X^n) =H(Y^n)-H(Z^n). ここで H(Yn)≤nH(Y^n)\le n なので 1nI(Xn;Yn)≤1−1nH(Zn). \frac{1}{n}I(X^n;Y^n)\le 1-\frac{1}{n}H(Z^n). n→∞n\to\infty とすると上界は 1−H(SE)1-H(S_E) である。一方、入力を独立一様にすれば、上で示した全単射性により YnY^n も一様になり、H(Yn)=nH(Y^n)=n が達成される。したがって C=1−H(SE). C=1-H(S_E).

最終答

hunif=log⁡2a,h2x/a2=log⁡2a−1+12ln⁡2. h_{\mathrm{unif}}=\log_2 a,\qquad h_{2x/a^2}=\log_2 a-1+\frac{1}{2\ln2}. π=(2/3,1/3),H(SE)=23h2(1/4)+13,C=1−H(SE). \pi=(2/3,1/3),\qquad H(S_E)=\frac{2}{3}h_2(1/4)+\frac{1}{3},\qquad C=1-H(S_E).

第2問 — オートマトンと言語

DFAの状態の意味を明記する

状態遷移図を完全に描く代わりに、状態の意味、初期状態、受理状態、遷移規則を明示すれば、図と同等の情報になる。特に P3,3P_{3,3} は同じ報酬が白を取った場合と赤を取った場合の両方から生じるため、残り個数の候補集合を状態にするのが自然である。

補言語の文法

{aibi}\{a^i b^i\} の補集合は、a∗b∗a^\ast b^\ast の中で個数が合わない文字列と、そもそも a∗b∗a^\ast b^\ast の形でない文字列に分けると作りやすい。規則 S→aSbS\to aSb は、悪い中心部分を同じ個数の a,ba,b で包んでも、なお補集合に残ることを使っている。

オートマトンと言語の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — アルゴリズム・プログラミング

KMPの戻り先

一致を検出した直後に qq は mm になるが、そのまま表示されるのではなく、次の探索のために π[m−1]\pi[m-1] へ戻されてから表示される。この順序を見落とすと、出力列の一致位置付近だけがずれやすい。

第3正規形の分解

変更後は教員名から所属が決まるため、教員所属を履修表の各行に重複して置くと更新異常が残る。R3(Instructor,Faculty)R_3(\text{Instructor},\text{Faculty}) を分けると、教員の異動は1箇所の更新で済む。

アルゴリズム・プログラミングの途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 計算機アーキテクチャ

Hの最小化

前段回路から実際に現れない (s,t,u,v)(s,t,u,v) は、HH の設計では don't care として扱える。これを使わずに全16通りを無理に決めると、最小積和形が必要以上に複雑になる。

ミス分類

初期参照ミスは「そのブロックを初めて参照したこと」が原因のミスであり、既存ラインと衝突していても初回参照なら初期参照ミスに分類する。5番目の 11111111 は以前に参照済みなので、これは初期参照ミスではなく競合ミスである。

計算機アーキテクチャの途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(5年度)

  • 2026年度(全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム

  • 2025年度(全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム

  • 2024年度(全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム/プログラミング

  • 2023年度(このページ・全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム・プログラミング

  • 2022年度(全4問)

    情報理論 / オートマトンと言語 / アルゴリズム・プログラミング

2023年度の出題内容

全4問

この4問の分野は情報4問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問情報情報理論微分エントロピーの底 / 容量の達成部分あり
第2問情報オートマトンと言語DFAの状態の意味を明記する / 補言語の文法あり
第3問情報アルゴリズム・プログラミングKMPの戻り先 / 第3正規形の分解あり
第4問情報計算機アーキテクチャHの最小化 / ミス分類あり

前年度(2022年度)との違い

大問数
2022年度 4問 → 2023年度 4問
2022年度の解答例

九州大学の公式過去問

公開年度範囲
令和4〜8年度(直近5年)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
2027年度は国内TOEIC L&Rのデジタル認定証、TOEFL iBT(ETS送付も必要)、IELTS Academic。一般試験の出願末日から2年以内の受験日。
院試hubの最終確認
2026-10-15
九州大学の公式過去問PDF