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東北大学 院試 過去問 解答例

東北大 工学研究科 応用物理学専攻 応用物理 2021年度 院試 過去問 解答例・解説(全5問)

全5問。テーマタグは7件(ハミルトン形式・固有値・固有ベクトル・調和振動子)。

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収録3年度分の解答PDF:東北大学 工学研究科 応用物理学専攻 応用物理(¥3,200・紙面見本あり)

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解説5問と大問1問の途中式・最終答(全5問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき5問)
問題本文
非収録

東北大 応用物理 2021年度 院試 過去問の出題内容(全5問)

大問主題解説の小見出し最終答
第1問減衰振動と強制振動途中式の見方 / 試験で書くポイントあり
第2問回転コイルの起電力符号の扱い / 試験で書くポイントあり
第3問調和振動子と摂動パリティの意味 / 摂動計算の見方あり
第4問二準位磁気モーメント微分の注意 / 試験で書くポイントあり
第5問零温フェルミ気体積分の構造 / 試験で書くポイントあり

この年度の解説には検算5件・典型ミス5件が付いています。

2021年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に7テーマが出ています。

第1問 — 減衰振動と強制振動

方針

自由振動は二階線形微分方程式の特性根で分類する。根が複素共役なら減衰振動,重根なら臨界減衰,実根なら過減衰である。強制振動は,長時間後に初期条件に依存する項が消えるため,外力と同じ角振動数をもつ特解だけを求めればよい。

途中式の見方

C/(2m)C/(2m) を β\beta とおくと式が整理される。例えば不足減衰では x=e−βt(Acos⁡Ωt+Bsin⁡Ωt) x=e^{-\beta t}(A\cos\Omega t+B\sin\Omega t) と書き,x(0)=x0x(0)=x_0 から A=x0A=x_0,x˙(0)=0\dot{x}(0)=0 から B=βx0/ΩB=\beta x_0/\Omega が決まる。他の場合も初期条件を代入して積分定数を決めるだけである。

検算

どの解も t=0t=0 を代入すると x=x0x=x_0 になる。また微分して t=0t=0 を代入すると x˙=0\dot{x}=0 になる。強制振動では ω=0\omega=0 とすれば静的なばねの伸び x=f0/kx=f_0/k に戻るので,振幅式の分母は必ず kk になる。

典型ミス

共振曲線の最大は一般に ω0\omega_0 ではない。減衰があると振幅最大の角振動数は ω02−2β2\sqrt{\omega_0^2-2\beta^2} に下がる。位相についても,k−mω2k-m\omega^2 が負になる高周波側では δ\delta を第2象限に取る必要がある。

試験で書くポイント

自由振動では,単に「場合分け」と書くのではなく,β\beta と ω0\omega_0 の大小関係を明示する。強制振動では「十分時間が経過した」ことから過渡解を捨ててよい,という一文を入れると解答の流れがはっきりする。

減衰振動と強制振動の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 回転コイルの起電力

方針

この問題は「運動起電力」と「磁束の時間変化による誘導起電力」を分けて考えるのが安全である。一定磁場中の回転では,動いている有効な辺だけを足し合わせる。磁場自体が時間変化する場合は,ファラデーの法則で磁束の BB 依存部分だけを微分する。

符号の扱い

起電力の符号はコイルに付けた正向きの定義で決まる。上の解答では,その正向きに対して回転起電力が +Ba2ωsin⁡ωt+Ba^2\omega\sin\omega t となる向きを採用した。もし図の取り方を逆に置けば全体に符号が反転するが,同じ答案内で正向きを一貫させることが重要である。

検算

一定磁場のときは磁束を Φ=Ba2cos⁡ωt\Phi=Ba^2\cos\omega t とおくと −dΦdt=Ba2ωsin⁡ωt -\frac{d\Phi}{dt}=Ba^2\omega\sin\omega t となり,運動起電力から得た V1V_1 と一致する。また t=0t=0 ではコイルが磁束を切らない瞬間なので,V1=0V_1=0 になる。

典型ミス

辺一本の速度を aωa\omega としてしまうと,起電力が2倍になる。回転軸がコイル中央を通るため,各有効辺の半径は a/2a/2 である。また,時間変化する磁場の設問で B0cos⁡ω0tB_0\cos\omega_0 t を V1V_1 に代入し忘れるミスも多い。

試験で書くポイント

V1V_1 と V2V_2 を別々に定義してから最後に足す。特に V2V_2 は「コイルの回転による cos⁡ωt\cos\omega t は固定し,B(t)B(t) だけを微分した寄与」と説明すると,二重に数え上げていないことが伝わる。

解答

コイルの回転角を θ=ωt\theta=\omega t とする。辺 AB,DCAB,DC は回転軸から距離 a/2a/2 の位置にあるので,磁束密度に垂直な速度成分は v=aω2sin⁡ωt v=\frac{a\omega}{2}\sin\omega t である。

導体が磁場中を動くと,電荷には単位電荷あたり v×B\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{B} の力が働く。したがって辺 AB,DCAB,DC に生じる電界の大きさは E=Bv=Baω2sin⁡ωt E=Bv=\frac{Ba\omega}{2}\sin\omega t である。

起電力の正向きを D→C→B→AD\to C\to B\to A と取る。辺 ABAB と DCDC の寄与は同じ符号で加わり,辺 AD,BCAD,BC は磁束を横切る有効速度成分をもたないので, V1=2aE=Ba2ωsin⁡ωt V_1=2aE=Ba^2\omega\sin\omega t となる。

つぎに,磁束密度の大きさが B(t)=B0cos⁡ω0t B(t)=B_0\cos\omega_0 t と時間変化する場合を考える。コイル面に貫く磁束は,符号を上の正向きとそろえて Φ(t)=B(t)a2cos⁡ωt \Phi(t)=B(t)a^2\cos\omega t と書ける。磁場の時間変化だけによる起電力は V2=−∂Φ∂BdBdt=a2B0ω0sin⁡ω0tcos⁡ωt V_2=-\frac{\partial \Phi}{\partial B}\frac{dB}{dt} =a^2B_0\omega_0\sin\omega_0 t\cos\omega t である。

回転による寄与では,その時刻の磁束密度 B(t)B(t) を用いるので V1=a2B0ωcos⁡ω0tsin⁡ωt. V_1=a^2B_0\omega\cos\omega_0 t\sin\omega t. よって合計の起電力は V=V1+V2=a2B0(ωcos⁡ω0tsin⁡ωt+ω0sin⁡ω0tcos⁡ωt). V=V_1+V_2 =a^2B_0\left( \omega\cos\omega_0 t\sin\omega t +\omega_0\sin\omega_0 t\cos\omega t \right).

最終答

v=aω2sin⁡ωt,E=Baω2sin⁡ωt, v=\frac{a\omega}{2}\sin\omega t,\qquad E=\frac{Ba\omega}{2}\sin\omega t, V1=Ba2ωsin⁡ωt,V2=a2B0ω0sin⁡ω0tcos⁡ωt, V_1=Ba^2\omega\sin\omega t,\qquad V_2=a^2B_0\omega_0\sin\omega_0 t\cos\omega t, V=a2B0(ωcos⁡ω0tsin⁡ωt+ω0sin⁡ω0tcos⁡ωt). V=a^2B_0\left( \omega\cos\omega_0 t\sin\omega t +\omega_0\sin\omega_0 t\cos\omega t \right).

第3問 — 調和振動子と摂動

方針

一次元ではハミルトニアンの形,固有関数のパリティ,縮退なしを使う。二次元では xx と yy の和に分離できるため,固有関数は一次元解の積になる。摂動では,縮退している第一励起準位に対して縮退摂動論を使うのが要点である。

パリティの意味

HH が反転で不変でも,任意の関数が偶関数または奇関数になるわけではない。ここでは「同じエネルギーに属する固有状態が一つしかない」ことを使い,反転した関数が元の固有関数に比例すると結論する。この一文がないと証明として不十分である。

摂動計算の見方

xyxy は xx と yy の両方で奇である。そのため同じ量子数同士の期待値は消え,∣10⟩|10\rangle と ∣01⟩|01\rangle を結ぶ非対角成分だけが残る。二重縮退した準位は,摂動によって ∣10⟩+∣01⟩2,∣10⟩−∣01⟩2 \frac{|10\rangle+|01\rangle}{\sqrt{2}},\qquad \frac{|10\rangle-|01\rangle}{\sqrt{2}} の組に分かれる。

検算

γ>0\gamma>0 であっても最低準位の補正は一次では 00 である。これは基底状態の確率分布が x,yx,y のどちらについても偶対称で,xyxy の平均が消えるためである。また γ→0\gamma\to 0 とすれば,分裂した二つの準位はどちらも 2ℏω2\hbar\omega に戻る。

典型ミス

非縮退摂動論の式 ⟨n∣W∣n⟩\langle n|W|n\rangle だけを第一励起に使うと,二重縮退の分裂を見落とす。縮退がある準位では,必ずその縮退部分空間で摂動行列を対角化する。

試験で書くポイント

二次元の量子数を (nx,ny)(n_x,n_y) と書き,エネルギーが nx+nyn_x+n_y だけで決まることを明示する。摂動の部分では,対角成分が消える理由を「奇関数の積分」として一言添えると,計算の省略が許されやすい。

調和振動子と摂動の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 二準位磁気モーメント

方針

相互作用しない磁気モーメントなので,まず1個の分配関数を作り,最後に NN 乗する。熱力学量は F=−kBTln⁡ZF=-k_{\mathrm B}T\ln Z から機械的に求められる。

微分の注意

b=μB/(kBT)b=\mu B/(k_{\mathrm B}T) は TT に依存する。したがってエントロピーを求めるときは dbdT=−bT \frac{db}{dT}=-\frac{b}{T} を使う。ここを定数として扱うと,−btanh⁡b-b\tanh b の項が落ちる。

検算

高温では二つの向きがほぼ等確率なので,1スピンあたりのエントロピーは kBln⁡2k_{\mathrm B}\ln2 になる。低温かつ B>0B>0 ではほとんど全てが低エネルギー側を向くため,S→0S\to0,⟨M⟩→Nμ\langle M\rangle\to N\mu となる。

典型ミス

ハミルトニアンが −μB-\mu B と +μB+\mu B の二準位を与えることを確認せず,符号を逆にすると ⟨M⟩\langle M\rangle の符号が反転する。また熱容量を求めるときに U=−NμBtanh⁡bU=-N\mu B\tanh b を使うと計算が短い。

試験で書くポイント

揺らぎの式は,最後に両辺を同じ Nμ2sech⁡2b N\mu^2\operatorname{sech}^2 b へ落とすと明快である。一般論だけを書くより,この系で具体的に一致を示す方が点につながる。

二準位磁気モーメントの途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 零温フェルミ気体

方針

零温では,エネルギーの低い状態からフェルミエネルギーまでが完全に占有される。したがって積分範囲は常に 00 から EFE_{\mathrm F} までであり,分布関数を滑らかな関数として扱う必要はない。

積分の構造

状態密度が E1/2E^{1/2} に比例するため,粒子数は EF3/2E_{\mathrm F}^{3/2},エネルギーは EF5/2E_{\mathrm F}^{5/2} に比例する。両者の比を取ると係数が整理され, U0N=(2/5)AEF5/2(2/3)AEF3/2=35EF \frac{U_0}{N} =\frac{(2/5)AE_{\mathrm F}^{5/2}}{(2/3)AE_{\mathrm F}^{3/2}} =\frac{3}{5}E_{\mathrm F} がすぐに得られる。

検算

圧力は正でなければならない。VV を大きくすると EFE_{\mathrm F} も U0U_0 も下がるため,−∂U0/∂V-\partial U_0/\partial V は正になる。また結果は P=2U0/(3V)P=2U_0/(3V) を満たし,非相対論的自由粒子気体の一般的な関係と一致する。

典型ミス

D(E)D(E) の図で原点から直線にしてしまうミスがあるが,三次元自由粒子では E\sqrt{E} 型である。フェルミ分布は T=0T=0 では滑らかな曲線ではなく,EFE_{\mathrm F} で不連続に落ちる階段関数として描く。

試験で書くポイント

図示では軸名と EFE_{\mathrm F} の位置を必ず入れる。計算では,まず D(E)=AE1/2D(E)=AE^{1/2} と置いて係数 AA を最後まで残すと,粒子数との比で自然に消えるため計算ミスを減らせる。

零温フェルミ気体の途中式・最終答をPDFで見る

東北大 応用物理 院試 過去問の収録3年度

  • 2024年度(全5問)

    力学 / 電磁気学 / 量子力学

  • 2023年度(全5問)

    力学:ばねで結ばれた二質点 / 電磁気学:導体球と球殻 / 量子力学:円周上の粒子

  • 2021年度(このページ・全5問)

    減衰振動と強制振動 / 回転コイルの起電力 / 調和振動子と摂動